銃弾の飛び交う戦場。
まだ機関銃が無いだけマシだけどね、
「そこ、ロンリー。勝手に行こうとすな、僕より弱い雑魚が、」
「・・・・・・ちっ、」
薄くて軽い土の壁、
だけどこれは状態が保存された絶対の壁。
僕の掌握した物体なら、まあ少なくとも魔術の干渉でも受けない限りは問題ない。
「おっと、傾斜防御、」
ただこれ、衝撃までは消せないんだよね。
迂闊に後ろにも流せないし、というかお前らちゃんと一直線になれ、なんのために壁張ってると思ってんだ、
腕が痛い、僕一人なら完全に流せるのに。
「そこっ、早く走れ!!」
「ひーーっ!!」
『ッ』、もー弱虫君、君いま当たってたよ?
まあ、幸運にも、盾のおかげで相手が外したってことにしてあげる。
銃弾直接消すのは流石に疲れるし、君の方を事前に掌握しといて良かったよ。
「あ、こら!」
「おらっ、死ねぇ!!」
くそが、君が一番面倒臭いな短小君。
勝手に撃つな盾から出るな、そしてその位置からは僕にも当たりかねないんだが??
本当に、君だけ見捨ててやろうか、
うわっ、しかもこの軌道、相手に当たっちゃうじゃん。
・・・・・・『嫌』だよ、そんなの目の前で見るの。
「あれ?」
「おい班長の盾から勝手に出るな!!」
さて、そろそろ敵の塹壕が見えてくるな。
ここからが問題、どうやって綺麗に終わらせる。
僕が全員撃ち殺す、それは簡単だ、
それでいいなら、もっと簡単な方法なんていくらでもあるんだ。
「っ、ほら、爆弾だよ!!!」
まずは、射撃を止めないと。
これ以上近づいたら、流石に一方向の盾じゃどうしようもない。
『風』
こっそり魔法も使って、ぶん投げてやるのは、
「あれ、今のって、」
「有効活用でしょ?」
不発弾、にしておいたものだ。
君たちにこそ、よく見なれたものだろ? 僕の班、これ配備されてないんだよね。
いいね、逃げてく。
落ち着いた判断はできていない、僕達より経験は豊富かも知れないけど、所詮はお互い少年兵さ、
「入るよ。副君これ持って、あっちにずっと構えて、ゆっくり着いて来て」
「えっ、はい!」
いいね、いい子だ。
全員で、無理やり入る。
『遅い』、弱虫君はまた当たったな、もう服の方だけ保護したら何とかならないかい?
不自然な傷になるからやらないけど。
「じゃ、行ってくる。すぐ戻るよ、」
「え?」
「ああそれと君達、これは僕達みんなの戦果にしてあげるから、内緒でね」
走る、後ろに他の人がいないと楽。
微妙に曲がって射線の通らない塹壕を、ひたすら進む、
「なっ、かわし、」
単発の弾丸なんて、当たるわけがない。
これが、闇雲に乱射されたり散弾だったら、まあ生身じゃ厳しかったかもね、
でも、その程度の腕前、ああエイム力っていうのかい? 君はやっぱり詳しいね。
「ヘルメット? いいね、僕達は貰えなかったよ、」
でも、ちゃんと固定しとかないとダメじゃないか、角とか邪魔なのかな、
ほら、紐が引っかかっちゃうよ?
「あ、それ構えかた変だね、君も教習受けれてないの?」
前に構えた銃身を叩いてあげれば、後ろが顎に綺麗にストン。
ごめんね、脳に悪いかもね、確実に気絶させるなかで、できる限り弱くやったから許して?
「おっと、待ち伏せ?」
いや自分から飛び込んでおいてそれは変か。
二人いるね、じゃあその間に、
「って、撃つな!!」
もー、なにやってるんだ、僕以外への命中率は百点か? まとめて死にたいの??
しゃがみ込んで、視線を下に向かせて、そのまま二人まとめて引っ張ってやる、
きれいにゴッツンこ、なるべく威力は抑えたから大丈夫。魔族だし、これくらいは我慢してね?
「さて次、そんなにじっと見て、」
少しだけ開けた場所だ、三人、隠れてるのが一人、
それじゃあまとめて、『光音』、
「っ、」
スタングレネード、もどき。
ただこれ意識奪うほどの出力にすると、後遺症残っちゃうからね、あくまで抑えて一時的に、
「よっ、とっ、ほぅ、てい!」
首叩いて気絶させるのって、難しいんだよね。
頑張ればできるかもしれないけど、魔族だしまだ加減がわからない。
とりあえず全員ひとまとめに投げて、芸術的な関節の編み物をしてっと。
あ、ベルト借りるよ、後で解放してあげるから、無理すると友達の首が取れちゃうからね?
「お。ここ榴弾あるじゃん」
いいこと考えた、
よし、ちょっと集中してっと、
「おらー! 爆弾だぞー!!」
塹壕の中に等間隔、正確に爆撃してやる。
『風』 それからそっちの『風』も相殺、
全て、等しく、爆破で消えてしまえ。
そして、『収納』っと、
・・・・・・流石に、全部吹き飛びましたは無理か? 今手持ちは、魔物の血でも撒いておこう。
うん、指揮官だけは先に逃げてたね、一番警戒してたのに、周り守れよ。
さて。反対側もやるか、ついでに拘束しといた子達なんかも爆破したことにしてしまおう。
「っ、は、セレン班長、これ、」
・・・・・・お、来たか。
残念、もう気絶させた子も含めて、全員細工した後だよ。
それじゃあ、反対側もやろっか。
「うん。みな壊しってところかな?」
「————お、はは、」
・・・・・・ん、ショック受けてる?
流石に、この人数を一気にやる気は無かった? それとも、単純に僕がちょっと調子乗りすぎた?
・・・・・・何でだろうね、命を奪い合ってるはずなのに、何故かゲーム感覚になっちゃうんだ。
・・・・・・ゲーム? ・・・・・・・・・・・・あー、なるほど、僕の夢、そういうことだったんだ。
平和だね。羨ましいよ、ずっと。ごめんなさい。
「ん? ああ、逃げてるね、ならいっか、」
前線が崩壊したか、残ってるのは僅かな人。
「ちっ、はあ、もう誰もいないのかよ、」
「・・・・・・・・・・・・いや、まだいる。どうする、班長」
「うわっ、真っ赤・・・・・・、」
どうするってそりゃ、手榴弾よーい、
どかーん、下手に銃撃だと『細工』できないからね。
さてと、これで完璧にこの戦線は抑えた。
僕なら、この戦争をこのまま勝たせることもできるかなって、なんて、
——————『殲滅しろ、魔導爆撃』
あっ、やば、遠く、聞こえちゃった、
これ、なるほど、お前ら大型戦術兵器なのか、
戦車より速く自由で、迫撃砲より広範囲、
歩兵の勝敗なんて、一瞬で無に帰す制圧火力、
それが、本物の魔族。
「伏せろ!‼︎」
無理やり全員押し込んで、土の壁を構える。
それで、奇跡的に生還できたことにしよう。
おい、動くな、理解しろ、僕が我慢して寄せてやってんだぞ、
ほら、もう、まだ見えないのか?
アカイ、クソッ、
——————————————ッ、
音、意図的に感度を下げる。
まずい、空間の掌握が乱れそう、
もう全員しまった後だからいいけど、まだ味方もいたはずだろ? 何でそんなに全力で攻撃できるんだ?
アツイ、熱も音も光も振動も『遮断』、どれか一つでもミスしたら全員死ぬ。
・・・・・・とはいえ、ドラゴンの本気とは、比べるまでもないな。
「————ッァ、な、ヒッ???!」
話すな、普通だったら喉が焼けてる。
動くな、本来だったらとっくに死んでる。
恐るな、今だけは僕が守ってやる。
「大丈夫、落ち着いて、」
「・・・・・・ぁ、」
一番怖がってた子を、抱き寄せて目を閉じさせる。
流石に、心理的ダメージまでは防げないんでね。
誰だこれ、今気にしてる暇ない、
それより、
お前、遠くからチマチマと、そっちがその気なら、
————『殲滅しろ、魔導
「『喰らえ』」
次、放とうとしやがったな、周到なこった。
だが、やめろ、もういっぱいだ、
銃、僕なら当てられる、射程さえ足りれば、
『収納』、『放出』、銃弾六発分、火力を一つに圧縮してやる。
限界を超えて弾け飛ぶ、それすら力に、
銃身はただの道、『固定』してやれば問題ない。
弾速の変化、回転量が変化、その都度修正、直線、むしろ簡単だ、
空気抵抗、摩擦、弾頭は『状態保存』、準備完了。
狙う、視線は合わないね、こっちを見てすらいないだろう。
僕もだよ、
散れ。
「・・・・・・っ、な、今、狙ったのか!?」
「班長! 次が!!」
「ひ、ひいー!?」
・・・・・・命中。
「いや、終わったよ」
射程、弾速、威力、それらは同一。
回避することも、障壁で抑えることもなく、弾け飛んだ。
頭だけ、うーん狙い通り、
レコウ、まだ君のようにはいかないね。
・・・・・・・・・・・・戦況が進んだ、何メートル? 興味ないや。
どうせ僕らは、変わらず穴の中だし、
「暗くなってきたね。・・・・・・お、ご飯だ。よかったね、僕らの分も用意されてたよ」
てっきり今日死ぬ扱いだから、
というか少年兵なんて三日に一度でいいとか、言われかねないと思ってたからね。
「見えるんですか?」
「まだ君達にとっては明るいでしょ?」
僕は元々、ほとんど視力に頼ってないし。
「いえ、そもそも、」
「ほら、行こうか? 早くしないと貰えないかもよ?」
そんな事になったらこっそりスってやるけど、君もできる?
「いや、俺は、」
「冗談だよ、僕一人で十分さ、」
さてご飯。
レーションってやつ? よくわからないや。
・・・・・・これは、豪勢、かな?
僕の人生の中では確実に豪華だけど、流石にそう言ったら村の人の宴とかに悪いかな、
あと食い逃げしたレストラン、本当に悪いと思ってます。
お金入ったら、というか僕らって給料でるの??
「さてみんな、ってあれ? またバラバラになってるの?」
君たち本当にそれ好きだね。
副君は、待っててくれたけど、
「あ、あいつら!? くそっ、探してきます!」
「ああいいよ、場所はわかってるし。僕が持ってくよ、」
君まで行ったら、余計面倒臭いだろ?
それに、夜くらい自由にしてやってもね。
ほら、先に君も食べてなよ。
「・・・・・・こんなもん、か、」
「ほら、大丈夫? 食べきれそう?」
僕はちょっと不安かも。
いや、最近は容量上げられたから、問題ないはず。
「え、いや・・・・・・。あ。班長、これ食べますか?」
「なんで君まで僕に積もうとするの??」
やめろよ、むしろ僕があげたいくらいだよ。
「あれ??」
「うん?? 君も少食なの?」
「あ、いや、足りないくらいで、」
あら、そう、
ま、確かに性別差はあるか、そりゃそうだよね。
「って違います!? 渡そうとしないでくれ、ください!!」
「んー??」
気が引ける? 僕は本当にいいのに。
まあ、そこまで言うなら・・・・・・、
あ、バッタだ、魔族領の虫は強いな、こんなところまで、
ヒョイっと、
「うん、いけそう。あげるよ、」
「え、いやなんで、」
「食べないの?」
「食べませんよ!?」
ありゃ? 調べたけど毒とかないのに、
んじゃしょうがない、猟犬スピリット、捕まえちゃったからにはね、
一応焼く? 火使っていいのかな? ああ隊長は使ってるけど、ま面倒臭いか。
もぐ、ん、ここのは栄養価が高いな。
本当にいらなかったの? 僕は足りてたんだけど、
「・・・・・・セレン班長、そこまで・・・・・・。くっ、俺のいた場所なんて、所詮!!」
え、なに、君、なんで泣きながらご飯食べてんの? やっぱ食いたかったの? もう一匹捕まえてこようか?
「いえ、もう、俺が絶対にそんなことさせません!!」
え、なんで?
あはは、君、ちょっと変な人だね、はは??