遠くから、歩いてくる、魔族が一人。
男、相変わらずぶら下げた大きな荷物のせいで、動きづらそう。
「シファ、聞いてたの?」
「アア、オレは耳はいいんだゼ? セシィほどじゃネエけどさ、」
「だろうね」
何しに来たんだろうね、君。
もう全部、終わったつもりなんだけど、
「センソウはしゅーりょー、魔王もコロせず、マオー様にも会えず。これでオワリ?」
「そうだよ。僕の友達が、終わらせたんだ」
・・・・・・そこでドヤってるドラゴンちゃん、別に君だけのことを言ってるわけじゃないよ?
「アーアー、ソウカヨ、」
「・・・・・・にしても、貴様もあそこにいたんじゃな、なにしてたんじゃ?」
「ハハ、どうもレコウサン。結局おいしいところはゼンブ持ってかれちまったナー、」
反抗、相変わらずそれビカビカして見づらいな、、
話す時くらい、やめればいいのに。
「デ? ドウスルンですか、ソレ。こんなナアナアで、オシマイデスカ?」
「・・・・・・我の決定に、なにか文句でもじゃ?」
「アハハ。ソウデスネー。そりゃ、あるだろ。」
魔力、
ああ、まだ君は、終われないんだね。
「ナア、セシィ。用事は、終わっただろ? じゃあ、オレと一緒に、ゼンブコワソウぜ?」
そうだね、
それも、悪くなかったかもしれないね。
でもごめんね、僕が今それを選ぶ合理的な理由も、感情もないよ。
「・・・・・・・・・・・・アー、」
「ヤッパ、コトバジャダメカー、」
「マ、オレタチは、コウドウデシメサナキャだよな?」
「ソレジャ、コンドコソ、オレが迎えに行くぜ」
『反抗・』
「悪いの、今度もお姫様は悪いドラゴンがいただいていくぞ、
「っ、だめ! レコウ、動かないで‼︎」
くそっ、間に合うか、直接の収納は弾かれる、なら『狭間の剣』!
『下剋の刻』
「ウワ、イッテテ、ようしゃねーなー、セシィ」
・・・・・・弾かれた、実体を持たない空間の隙間が、
反抗、それ、ただの斥力じゃないね。
空間魔法、それに類するものか、
「う、動いちゃダメなのじゃ??」
レコウ、いいよ、ゆっくり下がって、
なるほど、これが、君の魔法か。
空気が重い、空間が反転した、
世界の法則が、変化した。
「ハハ。レコウサン。オレもコンカイはホンキだぜ!?」
『反抗の剣』/『狭間の剣』
何者にも止められないはずの剣同士が、打ち合う。
「オ? なんだコレ、ヘンナ感触だな?」
「ちっ、あくまで互いに干渉するだけ、弾く力の分そっちが有利か、」
駄目だ、打ち負ける。
単純な力じゃない、僕と同じだ。
受け止めてちゃ負ける、だけど避けると後ろにいるのは、
「ギハッ、イイぜ、レコウサン。そのままハシッてニゲても、」
「そういうの、僕は嫌いだよ、」
「エッ、ア、しょうがねーナー。説明してやるよ」
なんで? 軽口に返しただけなのに、まいっか。
レコウ、聞いててね、そして離れて、
「下刻の刻。コレは、オレたちのためのセカイよ!!」
空間が軋む、世界が牙を向く、
彼と、僕以外に。
「早くハシれば足がオれ、強くナグれば腕がマガル、デカいやつは立ってるだけでツブレちまうゼ、」
「その上、強い魔法も使った瞬間に暴発するね。なるほど、確かに僕たちだけの空間だ、」
エンゼ、あの子をさっさと完全に隠しておいて良かった、
反作用、返ってくる力、それが強く速く重いほど、加速度的に大きなる。
空間にあの斥力と同じものを散布してるのか? いやそれにしては薄く、均等で作為的すぎる。
なにか、もっと別のカラクリがあるな、
「な! セシィ、いいだろ!! オレと一緒に、」
「『整理』。うん、まあ、時間をかければいけるかな、」
構造自体は単純だ、そのせいで先手を許してしまったが。
僕の魔法は繊細なんだ、完璧に把握しないと発動できない。
メートちゃんの時にもそうだったが、僕こういうシンプルな力押しに弱いな、
まあ、あの子ほど、奪うのは難しそうじゃないけど。
「チッ、んだよ!!」
「おっと、それ、当たったら死ぬんじゃないの?」
反抗の剣、反抗の鎧、彼は常に物理現象では突破できない法則を身に纏っている。
僕ならギリギリで干渉できるが、打ち負かすのは不可能。
幼児と大人より、力の差があるな。正面から倒すのは不可能だろう。
上等だ、いつもと変わらないさ。
「オラァ!」
「相変わらず遅いね。もしかしてその鎧、身に付けてる間は素早く動けないんじゃないの?」
「あ? ・・・・・・オレ、そんな遅いの、本気なんだけど・・・・・・、」
「あー、うん、早いと自分で使った魔法にも引っちゃうからね、しょうがないよ、」
それにこの速度なら、防御のできない剣を当てたとしても、殺す前に止められるのかもね。
ああ、やりづらいな、
「しっかし、君は、動くたびにゆらゆらと、」
「どこみて、・・・・・・ッテ、オレだってしたくてしてる訳じゃネーヨ!」
「知ってるよ! でもイラつくんだよ‼︎」
おら、そこ、足元!
押し返すことはできなくても、君もこの剣を壊せないんだ、
足の間に挟み込んでやるよ!
「ウオッ!? と、イデェ!?」
「うわぁ、すごい芸術的な転び方したね。とりあえずそのまろび出たのしまえや早く、」
「り、リフジンだろ、」
くそぅ、これ見よがしにひけらかしやがって、そこに突っ込んでやろうか!?
・・・・・・やめよう、それで曲がりまかり間違って僕の魔法が壊されでもしたら、本格的に立ち直れない。
「うぐぅ、足のアイダ打った、」
「自分で挟んじゃった分は喰らうんだね。というかそこって・・・・・・、」
レリア。
いや本当ごめん、転ばせようとしただけで、君の財宝狙ったわけじゃないんだ、
僕はあの鬼畜聖女とは違うんだ、
「イヤ、あんまイタくねえ。イタくねえからこそ、グスン、」
「・・・・・・・・・・・・なんで僕はその気持ちが少しだけわかっちゃうんだろうね??」
おかしいなー、僕にそれがあったことは無いはずなのにね。
でも、うん、ご愁傷さまです。
「さて、いつまで寝てんの、ほら足裏!」
「ウグー、チョットまって、」
「・・・・・・ふむ、ダメか、」
隙間はないね、てっきり足元にはやってないと思ったけど。
この子がそんなところにまで斥力つけたら、転びまくるのが目に見えるし、
「クソ、ダセエ、もう油断しねえゾ!!」
「そう、万象の杖、『大光音』、」
「ギャー!? メガ、ミミガーー!?」
ちょっろ、
・・・・・・しかし、効いてはいるが、すぐに復帰しちゃうな、
今は気絶させるつもりでやったのに、一定以上は自動で防御されるのか?
これ以上出力あげると下刻のなんちゃらに引っかかるし、そもそも今の僕の魔力じゃコレが限界だしな。
「そして、その間に攻撃する手段もないんだよね。もう一回、足元狙うしかないか?」
「や、ヤメロー! ク、だが、もうわかったゼ! 『反省!』」
なんじゃそりゃ、意味がわからないな、
それならもう一回、光を当ててあるよ。
「ハッ、聞かねーよ。『反論省略』、オマエが教えてくれたんだゼ? セシィ。オレに、同じ魔法は二度も
「『発光』」
「メガー?!」
うん、知ってる。
反論ねえ、あの一回で覚えられたんだ、君ってそんなに頭が良かったっけ。
でもやっぱバカでしょ、言ったでしょ、それはただの宴会芸。
少し別の魔法に変えるだけで、簡単に貫通するし、せめて一回目で防ぎなよ。
そもそも、光を防ぎたいならわざわざそんなん使うより、サングラスみたいなの作るとかのほうが、もっと一発で全部防げるのに、
「『高音』、『爆音』、『発音』、」
「イダダダー!? なんでそんなイロンナノ使えんだー!?!?」
「いいでしょ、杖のおかげだよ?」
まあこれがなくても、少し魔術の腕が良ければ簡単に方式変えて貫通されると思うよ、それ、
一発芸としても、微妙だね。
「ガァ、ツェー、」
「くすっ、そっちの方が面白いよ?」
「ウググ、ヤッパ、テヌイテ勝てるアイテじゃねーヨナ。クソッ、ちゃんと防げよ!!」
手元、なんだろうね、いつもの反抗の壁でも出すか?
あれ、予備動作がわかりやすいんだよね、直撃したらまずいけど。
しかし、常にビカビカしてるせいで読みづらい。ずっとそんなんだから、僕も結構疲れるな。ま、余裕を持って笑ってあげるけど、
君には、弱いところなんて、見せてあげないもん。
「『反撃!』」
手元、放たれるのは、空気の振動。
ある意味、僕にとって天敵な、
「音、これ僕が浴びせてあげた奴だね。なるほど、余剰分は君が溜め込んでたのか、」
『消音』っと、
あれは、喰らいたくないね、僕は耳がいいんだぞ? うるさいのは嫌いだ。
「・・・・・・・・・・・・チッ、『反撃!!』」
そして、一時的に音を消したせいで無防備になった僕に放たれるのは、
・・・・・・手、銃の形にした? 何の意味が、
放たれるのは、鉄の匂いがしそうな真っ直ぐな衝撃。
なるほど、戦争中にたらふく溜め込んだらしい、昔のものまでお返しできるんだね、
で、それ、手を銃の形にした意味なによ??
「おっそ、自分で貼った空間に邪魔されてるじゃん。しかもわざわざ指と形状で狙いがバレバレ、何やってんの??」
「うぐがぅー、くそう、ボロクソに言われてあっさり避けられたのに。・・・・・・オレは、」
なにそれ、何で安心してんの?
君も僕と同じタイプの変態なの? まったく、ただでさえ君は性癖が情報過多になってるっていうのに、
・・・・・・やめろよ、やりづらいだろ、
僕は君を、最後にこ
「イヤ、飛び道具に頼るなんて男らしくネーよな!!」
「だから何でそれをいちいち口に出すのさ、」
「そっちこそな、」
いや、それは・・・・・・、
うん? なんで僕は君とこんなに話しているんだろう。
黙って戦うのが、普通のはずだよね、
「・・・・・・まあ、別に、いいや」
「お、じゃあもっとやろうゼ、」
「いや、どうだろね。それは君の頑張り次第だ『音光』」
「ナラ、『反抗』!」
お、今度はその壁で音と光を防いだね、
つまり、僕から視線切ったな。じゃあ、
「『整理』、『空間固定』。君がずっとその場にいてくれるから、やっと少し掌握できたよ」
本人を直接どうこうできないなら、周りのごと封じて閉じ込めてやればいい、
夢で知ったね、君との遊びでやるにはズルいかな?
「オー、そうか。オレの負けか?」
「どうだろうね、無理に出るのはオススメしないよ」
「そうか、まあイイゼ。なら次は、」
『叛逆の時間だゼ』