情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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78話

 

「しっかし面白いやつじゃのー、ペシペシ」

「やめろ、叩くな、響くっ、おえっ、」

 

 レコウと車輪の付いたドラム缶が仲良くなってる。

 

 ドラゴン、カー、うっ、頭がっ、

 

 うごごごごごごごごご、

 

 

 

 ——はっ!

 気づいたら、朝になってた。

 

「おはよう、セシィちゃん。昨夜は楽しかったわねぇ、」

「うん。疲れてすぐ寝ちゃってたね。そしてこんな早朝に起きて、もう仕事かな?」

「うわーーん、癒してぇーー、」

 

 よしよし、いい子いい子。

 君、年上だよね? まあ精神年齢的には僕の方が上か、しょうがない。

 

 しかし、意外と夢の象徴のようなドラゴンと、機械の塊は相性がいいらしい。

 連絡先とか交換しそうな勢いだったな、まあ携帯持ってない系ドラゴンだったからできてないけど。

 

「ふはは、また遊びに行ってやろうじゃ。そしてプリンを差し入れして、いったいどこから食ったのか見てやるのじゃ!」

「・・・・・・・・・・・・私が仕事に追われてた間に、誰と仲良くなったのかしらぁ??」

「・・・・・・あー、レリアにも、そのうち紹介するよ」

 

 というか今すれば、いくつかの問題はすぐに解決できそうだけど、まあこの疲れきった女王様に話をするのは後でいいか。

 マキナ、そういや僕は連絡先持ってたな、次に向かう時は事前に言っといたろ。覚えてれば。

 まだ流石に大丈夫だと思うけどね。

 

「それじゃあ行ってくるわね、今日こそは時間作ってみせるから、一緒にお祭りを楽しみましょう!」

「あ、うん。がんばれー、」

 

 走ってった、本当に大変そう。

 いつ休憩時間ができるかもわからないね、僕が選手としてこっそり出てる時じゃないといいけど。

 うん。旗、エウスのとこに行ったのかな、あれと仕事するの疲れそうだよねー。

 

「・・・・・・レコウも、今日から参加?」

「いや、我らは明日からじゃの。今日が一番試合数が多いらしいじゃ、」

「ふーん。そりゃ忙しいわけだね、」

 

 このツヨツヨドラゴンと遊んでくれるのは、トーナメントでも上位数名だけみたい。

 被害者が減ったことを喜べばいいのか、レコウの楽しみが少ないことを悲しめばいいのか、

 まあ僕は、その前に自分の試合の方を考えなきゃか。

 

「今日もプリン売るの?」

「んー、昨日のこともあるしの、自販機の導入を検討中とのことじゃ、」

「へー。今日は僕も売り子できるんだけど、」

「じゃあやるのじゃ! 可愛い制服着るのじゃ!!」

 

 え、そんなんあんの?

 って、何これ、ガチの制服じゃん、学園の。

 女もの、ああ、レコウが着てたやつか、なんだか懐かしいね。

 

 ・・・・・・・・・・・・ん? 昨日レコウ普通に私服だったよね、なんで僕だけ、、まいっか。

 それよりも、うまいこと抜け出す方法考えとこーっと。

 

 

 

 というわけで、やってきましたトーナメント、そして張り出されたよく見る表。

 どこの世界に行ってもこの形状はおんなじだ、説明するまでもないや。

 

 一応の選手情報が載ってるね、一部隠されてるけど。

 その中でもシークレットなシード枠が四つほど、このうちのどれかがレコウだね。あんまり早くに当たらないといいけど。

 

 そして僕の名前、

 

 ————————え、ああ、選手名ですか? ・・・・・・・・・・・・ナナシノゴンベエ、ヤマダタロウ、ジェーンドゥ、タナカ、・・・・・・、。あー、ジョン、スミスで、

 

 ジョン。うん、まあ僕以外にも偽名っぽいのはちらほらいるし、別にいっか。

 さてさてジョンさんは、いちにーさん、今日は三勝すれば明日の上位戦に出られるのか。

 

 しかし偽名で済むとはいえ、無課金参加勢は昨日のバトロワ勝ってさらに今日の一般参加者にも勝つ必要あるんだね。

 初めっから上澄だけで済むレコウが羨ましいか、いやあのお祭りドラゴンちゃんならいっそこっちの方が良かったのかな?

 僕は、面倒臭いだけだね。

 

「あ、レコウ。僕ちょっと、お花摘みに行ってくるよ、」

「え、おう? 誰かへのお土産かの?」

「うん。まあ、僕の大切な人へのね、」

 

 なんてやり取りもあって、バサっとローブで変装完了。

 レコウはあんまり試合の方注目してないけど、でも気は抜けないね。

 消臭、抜かりなし、自然になるよう別の匂いまで採取調合散布してやった。

 後はまあ、なるべく早く終わらせてやろう。

 

 ————トーナメント、一戦目。

 

 いよいよ本戦開始、お相手は、

 

「くくく! ワレこそはこの戦場の真なる王者にして、その終末に運命の姫君と結ばれるに相応しいものだ‼︎」

 

 ・・・・・・・・・・・・要約、俺この戦争が終わったら、結婚するんだ。

 

 あれぇ? 結局本戦出ても変わんないぞー??

 後その言動は鼻に付く、さっさと終われせたろ。

 

「・・・・・・・・・・・・」

「ふむ、少年か。貴公も麗しの姫君に憧れその身を捧げた戦士かね? しかし愚かな。彼女と真に運命を交差させていたのは、このワタシだというのに、」

 

 要約、君も彼女にいいところを見せるために参加したのかな? でも勝つのは自分だけどね!

 

 ・・・・・・的な、死ぬほど好意的に解釈して、うん。

 同じ劇場チックでも、これならまだエウスの方がマシだな。いや比較対象が悪いけど。

 ウザイ、もうさっさと仕掛けてこいよ、

 

「さて、では終わらせようか。『軋む爆炎、終末の業光、闇世の終焉、浄化の聖槌、創世の渾沌、

「『』・・・・・・・・・・・・、」

 

 長々とした詠唱に、それに見合っているのかいないのか、莫大な魔力が流し込まれていく。

 

 しかしこれ、なんの呪文だ? 終わりなのか始まりなのか、光なのか闇なのか、まったく言ってる意味がわからん。

 

 そして肝心の呪文内容は、ただの質量弾だな。ノールックで打ち出せるやつ。

 

 まあ、威力だけはあるのかな? なにせこうしてちょっといじってやれば、

 

「『ふふふふはは! 見ろ、貴様も感じるだろ、この魔力の高まりを、魔術の圧を、世界が軋み重くなるほどの、伝説の空間魔法に思われおっも、立っていられなくなるほどのワタシの圧あっ、あ、重? おも、あれ?」

「・・・・・・・・・・・・」

「あっ、あっ、ちょっ、」

 

 ベチャッ、

 潰れた、うん、死んではないよ?

 

 ははは、あー、その、撃ててたら、それなりに強かったかもね、なんて。

 

「あ、あれー。良くわかんないけど、勝ったーー、」

 

 よし、帰ろ。

 次の試合はいつだったかな。

 

 ・・・・・・しかしこいつ、結局なんのために戦ってたんだろ。

 劇的な口調に、麗しの姫君にアピール、、。あ、もしかして、エウスの強火ファンか?

 こんなのにストーカーされかけるなんて、あの人も大変だなー。まどうでもいっか。

 

 

 

「あ、あの制圧の貴公子が一撃でやられるとはな、じゃ。————じゃが、相手は何もしてないように見えたぞ、じゃ。————いったい、ヤツは何者なんじゃ、じゃ、」

 

 レコウー、こっちは用事終わったよって、何してんの?

 

「ん、ああ、今の試合の総評での、」

「へー、見てたの?」

「いや、見てなかったからこうして聞き出して真似してみたんじゃ」

 

 それ意味あるの?

 見られてないなら一安心だけど、

 

「うむ。せっかく、強そうな奴がいたらしいのにの、見逃したのは勿体無いかと思ってじゃ。せめて感想だけでも、じゃ、」

「ふーん。まあでも、今の試合は相手が事故起こしてただけだから、全然全く今後の試合も気にしなくていいと思うよ?」

 

 あのジョンってヤツはただの雑魚だね、僕がいうんだ、間違いないよ。

 きっとそこらの成人男性にすら筋力で負けて、魔力も今は大したことないカスだよ、断言してもいいね。

 

「お、おう? まあいいか、それよりやっぱその制服、いいのー、似合っとるのー、」

「あはは、なぜか胸のところに少し余裕があるのが気になるけどね、」

 

 何故だちくしょう。

 あれから少しくらいは僕も成長して、ないけど別にレコウだってそんな変わんないはずなのになーぜなーぜ??

 

「・・・・・・む、そういやそろそろお昼かの、」

「プリン食べる?」

「そうじゃの。少しくらいは休憩時間も取れるか、」

 

 ああレリア、探してみるか?

 いやいるな、あそこは指定席か、

 

「・・・・・・・・・・・・よっと、お疲れだね、」

「えぇ、少し前まではね、でも今は全快よ♪」

「僕の顔にそこまでの癒し機能はないよ、」

 

 はい差し入れ、栄養たっぷりゲーミングプリン。

 は、不評だったから、光り輝く聖女様プリンを作ってみた。外見以外はだいたい同じ。

 

「お、そんなもの作ってたのかじゃ?」

「さっきね、」

「なるほどの、綺麗なお土産じゃ、」

 

 まあ時間なかったからチャチャっと作ったヤツだけど。ここにくる途中に、

 

「感激よぉ〜、ぐすん、」

 

 だからこう重く受け止められると、逆に申し訳ない気分になるな。

 しかし、本当に疲れてるね、まあこの試合数だししょうがないか、

 

「ええ、やになるわねぇ。ただでさえ忙しいってのに、何か不穏な気配、私に隠すように魔術が使われた気がするのよ、」

 

 ・・・・・・・・・・・・ギクリ。

 あれ、さっきの、相手の事故に見せかけるための最低限にしか使ってないやつバレた?

 マジで?? 気をつけたつもりだったんだけどなー、

 

「気のせい、ではなくて?」

「そうねぇ。いえ、本当に感知したわけじゃないのよ、」

「なっ、なんだ、なら気にしすぎかも、」

「でも、聖女の勘は良く当たるのよー」

 

 うぐ。そんなん神とか信じてない理論派頭脳のくせに、そういうとこだけ実践派なんだから。

 勘だなんて、普通の生物は五感で得た情報が絶対なんだよ。僕でさえ、第六感なんて備わってないのに、

 ・・・・・・・・・・・・え、触覚と聴覚から得た情報をもとに予測するのは、別に誰でもできることだし。

 

 ・・・・・・んー、もう最悪レリアにならバレても?

 でもレリアの誘い蹴って個人で出てるからね、気まずい。あと変に理論派との繋がり見せるのも今は良くない。

 そういう意味では昨日レコウが遊びに行った相手は、いやまあただのどこにでもいるドラム缶ってことでいっか。

 

「なんでしょうね、これ。意図的に私の思考読んで惑わしてるっていうか、」

「そ、そうかなーー??」

「なんとも言えない不快感がある気がするのよ、」

 

 そ、そこまで!?

 

 確かにレリアの結界のパターンは把握してるし、それ利用して最もバレずらい、つまり性格悪い隠蔽方法したかなーっとも、

 思ったり、思わなかったり、らじばんだりー?

 

 ・・・・・・・・・・・・うん。次からは魔術もなるべく使わないで勝とうか、

 

 縛りプレイだ、好きかな? ははは。

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