「た、大変じゃーセシィ!」
「あ、お疲れ様、」
「プリン売り泥棒じゃーー!!」
「へーー、」
人攫いかな?
ははは、逆に僕は冗談にしか聞こえないね、
「プリン売ってた店員がいなくなってたらしいのじゃ!」
「大変だねー、ところで今の試合見てた?」
「それどころじゃなかったのじゃ、」
よしっ、売るのは勘弁してやろう剣士君。
・・・・・・あでも、レコウに心配させたのは問題だな、やっぱいいや、
「ただのサボりだよ、さっき見かけた、」
「おお? なら、よかった、かの??」
「はは、後で殴り合ってくるといいよ、多分喜ぶから、」
「・・・・・・・・・・・・へん、いや、人のあれこれを言うもんじゃないの、うん、」
そんなこと言って、前にやった時はレコウも楽しんでたくせに、
「わ、我は違うからの!?!?」
まいいや。
明日は、それに勝ったやつと戦うわけだからね、
精々、驚かせてあげよう。
楽しいかは、知らないけど、
というわけで翌朝。
今日でトーナメントは最終日、
さーて優勝目指して頑張りますかなっと。
「・・・・・・セシィちゃん?」
「なに?」
「・・・・・・いえ、今日こそは、二人っきりで時間が取れそうと思ったのだけど、」
うーん?
また仕事忙しそうなの??
含みがある、そんなに大変なのかな、まあそうか。
「頑張ってねー、」
「ええ。お互いに、」
「我も頑張るのじゃーー!!」
そうだね。
それじゃあ今日もお祭り最後まで、みんなで賑やかしていこうか、
最後のトーナメント表を見る。
勝ち残った十二ほど、そしてシード枠が四つ。
端の方にジョンスミス。変な感じがするけれど、よく見ると他にも偽名っぽいのが多いか? まあ乱戦で勝ち上がれる奴は、つまり普通に強い強者側か、道理だね。
つまり四回勝てば優勝だ、レコウと会うのは何回目だろう、シード枠のどこかではあるはずなんだけどな。
「あんまり早くてもつまんないだろうし、遅いと正体バレちゃうかも。んー、決勝で会うまで隠し通せるのが理想だけど、」
正体不明の最終最後の最悪の敵は、なんとずっと近くにいた友でした! みたいな、
よくある展開だよね、僕もつい最近やられたよ、あの感覚は友達としてレコウにも味合わせてあげよう。
「・・・・・・それで、肝心のレコウはと、」
朝からいない、レリアと一緒に裏に行った。
多分、大々的にシード枠の発表をするのだろう。
というか、僕も勝ち上がった選手なんだけど行かなくていいのかな。
まあ見た目も経歴も名前すら伝えてないから、呼ぼうにも呼べないんだろうけど。それでいいのか祭り運営。
飛び込み歓迎にしても限界がある、
「はーい! 盛り上がって参りましたコロッシアム。本日こそが最終決戦、今まで以上の盛り上がりをお約束しましょう!」
壇上中央で、バニーガールが実況している。
よく通る劇場の透き通った声、昨日も聞いたな、クソゥやっぱり結構胸大きい。
・・・・・・あの人、運営責任者でしょ?
こんなところにいていいのか、というか仕事多いな大変そうだ。
レリアも姿が見えないし、裏方で忙しいのかな、
「それでは、まずは映えある選手のご紹介と行きたいのですが、」
そこに並んだ、まあ大体十三人くらいの選手たち、
くらいというのは、なんか僕のようにローブで外見隠してる人もいるから。
なんだあれ、隠蔽魔法? 高度だな、というか結界と似てる奴だ、レリアの魔術だろう。
「一部の選手はさらに最後までお楽しみということで、それではご紹介します。まずはこの方!!」
僕みたいにギリギリまで正体隠したい奴のために、レリアが貸し出してる魔道具か何かかな。
もしかしてそのせいで疲れてたのかも、だとしたらなんて傍迷惑な奴だ・・・・・・、
とは、あそこに参加しなかったせいで、明らかに人数足りてない開会式やらせるハメになっちゃった、僕が言えることじゃないな。
・・・・・・・・・・・・だって、あんなのやるなんて聞いてないし、
選手が順番に紹介されていく。
途中偽名どころか、名乗りすらしないやついたな、どうせ後の試合でバレるのに、
まあいいや、その他なんてどうでもいい、大切なのは、、
「はーーい! レコウじゃー!! 今日は張り切っていくのじゃーー!!!」
パフォーマンスなのか、なんかピョンピョン跳び上がってるドラゴンちゃん。
魔法も使わないただの身体能力で僕と目線が合う、どころかさらに上に吹っ飛んでく。
うーん、順番的に、当たるのは準決勝だな。
二分の一で決勝で会えたと考えると、運がいいのか悪いのか、そういやクジとかなかったから操作もできなかったな。
まあいいや、逆にちょうどいいでしょう、決勝が友人二人はちょっと大会としてどうかとも思うし。
・・・・・・にしても、他のシード枠って誰なんだろう。
そこは流石に、欠席させたらまずいんじゃ?
「それでは、もう一人だけご紹介しちゃいましょう! 本日決勝からご参加されるのはこの方! みなさんご存知、元闘技場チャンピオンの剣闘士、グラディエトさんでーす!!」
紹介されたのは、知らない筋骨隆々のいかにもな大男。みなさんと言われましても、僕はポカンとするしかない、
・・・・・・・・・・・・ん、いや、どっかでは見たことあるな。
・・・・・・あー、あれだ、前にサーカスの最後に出てきた、モンスター役のマスク被ってた人。
流石は役者の一人、格好変わるだけだ雰囲気変わるね。今はちゃんとした装備着てるから、普通に人間守る正義の戦士って感じだ。
・・・・・・しかしという事は、思いっきり大会運営者の身内じゃないか、いいのかそれ?
いやまあシード枠だし、むしろそれが普通なのか??
となると、こいつが優勝して英雄に、まかり間違って勇者になれば・・・・・・。そのまま、まとめて団員連れて自由になることも可能なのか?
なるほどこっちが本命か。確かにあの巨大なら、まあ普通に八百長なしで優勝するのも不可能じゃない。出ているのが人、だけならね、
トーナメントの位置的に、会うのは決勝になるだろう、覚えておいてやる。
「・・・・・・む、というかよくよく考えたら僕最初の試合じゃん。早くどっかに行かないとまずいかも、」
ここまで来て不戦敗とか笑えない、
えーっと、とりあえず大会運営の方に、いやレリアにあったらまずいけど、いっそげーーー、、
————最終トーナメント、第一試合。
なんとか間に合った、レリアに注意しながら進んでいったけど、なんか見当たらなかったしセーフ。
その代わり、係員の人にしこたま怒られて、今日は控え室から勝手に出ていくなって言われちゃった。
・・・・・・あの、ここからだと外の試合すら見えないんですが・・・・・・。はい、自業自得ですねすいません。
よくよく考えると僕、身分情報もろもろ隠しすぎて、本人だって確認取るのも大変なんだよね。
下手すりゃ知らない誰かが勝手に出てた可能性もあると考えると、確かにここでじっとしてた方がいいかも。
どうせ今日はレコウも忙しいだろうし、いっそ何も言わずにここで隠れてた方が楽かな?
・・・・・・それに僕、そもそも人が戦ってるとこ見るとか好きじゃないし。今日が一番観客多くてうるさいしね、
でもまあ、今はその視線も声も、浴びまくってるんだけど。
「・・・・・・最初の相手は、、っ、お前か!!」
人目の集まる決戦場。
相対するのは、
「あ、やあ久しぶり、おじさん、」
「お、おう。・・・・・・まさか、本当にここまで上がってくるとはな、」
こっちのセリフだよ、サーカスおじさん。
この魔術師だらけの国で、よく見るからにフィジカルの人が勝ち残れたね。
・・・・・・まあ、そもそも、この決まった距離からヨーイドンのスタイルが、戦士にとって相性がいい?
魔術の国で、うん、作為的なものを感じるかも。
実践派の御旗さん、なのに開いた大会はこっそり漂う程度の戦士贔屓、そして身内の巨漢投入。
あー、ずるいってほどでは、いややっぱちょっとちーと? 違うか、なんて使うのが正解なんだこれ、
「・・・・・・まあいいや、始めようか、」
「お、おお、」
試合開始。
宣言した、一瞬、もう僕が魔法を気にせず使ってるなら二桁は終わらせられる時間。
なのに、まだ彼は戸惑っている。
確かに彼には僕の力を見せたはずなのにね、まあ向こうに結構押し付けてたけど、
全く、昨日の僕の試合を見ていなかったのか? 見ていたからこそか、最後以外ずっと一方的にやられてただけだし。
さてと、それじゃあどうしようか、
「えーい、」ぺちぺち、
「っ、くそっ!!」
咄嗟に振られた腰の入ってない剣を、ギリギリで避ける。
・・・・・・筋は悪くない。
ただ、正直なところ、昨日の剣士君の方がよっぽど強い。
・・・・・・・・・・・・彼は、僕と同じ境遇だ、
だから、今こうして対面すれば、自分の目的のために必死になってくれると思ったんだけど。
それこそ、こうして、
「う、うわぁ、」
「っ、おい、、。ちっ、さっさと帰んな!」
隙を見せてやってるのに、なんだその殺意のこもってない適当な振りは、
その程度、僕じゃなかったとしても、僕らなら簡単に避け切れるぞ。
どうして本気にならない、どうして全力を出さない、目の前のガキなんて所詮は赤の他人だ。
自分の生存のために、もっと必死になれよ。
僕らは他になんて気にしてる余裕ないだろ、そんな子供だからって、踏み躙ってでもカチを取れよ。
でないと、僕は、
「・・・・・・その程度、なの?」
「・・・・・・またそれか、そんな煽られてもな、、」
剣が振られる、当たればまあ普通は死ぬ程度の速度。
でもそんなものじゃない、彼の筋肉量を見ればわかる、この倍は少なくとも出せるだろう。
本当に、何をさっきから躊躇って、
「お前こそ、その程度、なのか?」
「・・・・・・・・・・・・は?」
なんだ、こいつ。
僕に一撃も当てられてない分際で、まあ一発いいの貰えば沈むんですけどね、気合いで耐えるけど。
本当に、何がしたい。
「・・・・・・ここで勝ち残れるのは、一人きりだ、」
「そうだね、」
「それはつまり、俺様だ、」
「はあ、潰すよ?」
おっと危ない危ない、本気出してバレるわけにはいかないんだった。
「わかんねえのか? つまり、お前が活躍できる機会は今だけだってことだ、」
「・・・・・・・・・・・・んー??」
会話が合わない、キャッチボール苦手かー?
いいから君がやる事は、さっさと本気を出して、サーカスでもなんでも目指すことだろ??
いい加減、早く、、
「坊主。お前、あそこに入りたいんだろ? だったら今、自分の本気を見せなくてどうすんだ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あー、そっか、
このおじさんの中で、僕はそんな設定になってるんだった。
なるほどねえ、それなら、
意味わかんない。
それは、お前も同じだろ?
むしろ、僕なんかが適当についた嘘と違って、君には後がないはずだ。
こんな機会、二度とあるかなんてわからない。僕よりまだそこにいるくせに、なんで自分以外の心配なんてしてんだよ。
僕らにそんな事されたら、僕らがそんなこと出来るんだとしたら、じゃあ、
この国の底なんて無視して、自分のためにこの大会全部台無しにしようとしてる僕は、
なんなんだよ。