わいわい騒ぐお祭り裏の、控室。
静かで寂しい、落ち着く場所。
まあ別に選手用の部屋だし、暗くて汚いわけじゃないしね、うん。
そんな場所だからこそ、こうしてお姫様をそのまま連れて戻ってきたわけだし、
「さて、どうしよう、」
控室、よくよく考えたら今は二人だ寂しくはないかも。
静かではあるけど、寝てると本当に神聖なる聖女様って感じで、逆に心配になるな、
疲れてるだろうしこのままゆっくり寝かせてあげたいんだけど、その場合運営ってどうなんの?
・・・・・・最悪結界の維持くらいは僕でもできるかどうか、うむむー、
人の命と信頼を預かる魔法とか、僕には荷が重いなー、荷物持ちだったのに。
「・・・・・・っ、はっ、セシィちゃん!!」
「おっ? 起きちゃったんだ、おはよう、」
流石にかかりが甘かったかな、
まあ所詮は付け焼き刃の技術だ、・・・・・・レコウになら、もっとしっかり寝かせられるかも?
「あ、おはよう、じゃなくて!」
「うん? ああ試合は終わったよ、僕の勝ちだよ残念だねー、」
「そう残念、じゃなくて!!」
うん?
ああ運営ね。
次の試合始まっちゃうかな、対戦相手は・・・・・・、
げ、順番的にレコウのじゃん。
やっば、対応しないとスプラッタになる!?
まってーー、ドラゴンちゃーん?!
「もう、そんなのどうでもいいのよ!!」
「ええ!?」
「あの子はちゃんとしてるし、それに結界も別にそんなすぐには、じゃなくてじゃなくてよ!!!」
・・・・・・まあ、確かにレコウなら大丈夫か。
それで、結局さっきから何をそんなに慌ててるの、
「セシィ。それ、体、大丈夫なの?」
「え? いたって健康体ですが?? あ、ところでさっき胸が柔らかいって、」
「そんな事じゃなくて!」
「がーーん」
「————心臓、いつから、どうなって、」
ん、ああ。
いつからって何でまた急に、そうか抱き寄せたからか。
人を落ち着かせるには心音を聴かせるといいって言うからね、無意識に選択肢として選んでいたのかね。
まあこの場合は逆効果だった気がするけど、って、誰が心音聞こえるくらい胸が薄いじゃ、
・・・・・・うん。
隠してたわけでもないんだけど、こう正面きって発見されると、なんか気まずいね。
「いやまあ、本当に健康面では問題ないんだよ? むしろいいくらいさ。・・・・・・ちょっとまあ調子は悪いかもだけど、」
「・・・・・・・・・・・・それで、頑なにいつもの魔術を使おうとしなかったのね、」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、まあ、
それも、理由ではあるけどさ。
どちらかというと、レリアの結界がガチガチすぎたからだね、そう。
「大丈夫なの?」
「んー、まあ、調整しようと思えばいつでも出来るし?」
「・・・・・・じゃあ、なんでやってないのよ、」
そりゃ、・・・・・・・・・・・・なんでだっけ。
まあ、不便を感じなかったていうのが一番の理由だろうけど、わざわざそれで時間取るほどでもね。
別に僕の体なんて、大して元から良いもんでもないし、今更そんな内側くらいね、
「・・・・・・・・・・・・いいわ。それじゃあ、私がやってもいいかしら?」
「え、レリアが??」
そりゃ、君の治療の腕は信用してるけど。
そんな、これ、なおしてもらうの、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あー、うん、」
・・・・・・・・・・・・まあ、レリアにだったら、いいかな。
「それじゃあ・・・・・・、って、今はダメね、」
「ありゃ?」
「自分でも消耗してるのがわかるもの、まさかあんなに簡単にいっちゃうとは思わなかったわ〜〜」
「確かにね、僕もびっくりしたよ、」
別にそんな気負わなくても、ささっとやってくれていいのに。
でもまあそこは聖女としてこだわりがあるのかな、ならうんいっか、待ってるよ。
「もう! もう少し耐えてたら、あの感触をもっと堪能できたのにぃ〜〜!!」
「えっ、。・・・・・・別に、あの程度、いつでもやって、」
「ほんとー!?」
「は、よくないから、時と場合を選んだら、はい。」
あぶねっ、
今なんでもするってって、幻聴が聞こえてきた気がするよ。ナニコレ??
「それじゃあ、万全な状態に整えて、あなたのことを完璧になおしたら。ご褒美にねぇ〜♪」
「だから、そういう形を取っちゃうから生々しくなるんだってばほらギューーっと、」
「ピャ〜〜〜〜♡??!?」
あ、また倒れた。
・・・・・・しょうがない、起きるまで見てよっと。
控室には流石にベットはないからね、何か枕でも鶏もも肉、
・・・・・・いいや、とりあえずこのまま膝に乗せたろ。
まあ胸よりは柔らかいし、なら大丈夫かな。
って、誰の胸が骨以下だーー!?
・・・・・・さてと、どれくらい経ったかな。
まだ僕の試合は始まってないか、大丈夫だとは思うけど。
だってこっちは指定された控室にいるからね、呼びにこなかったら向こうが悪い。
「ん、んぅ、」
「おっと、」
ああ、起こしちゃったかな。
悪いね、膝枕とか経験少ないから、むしろゼロじゃないだけすごくない?
これでコツ掴んで、いつかは・・・・・・って、ありえないんだけどね。
「・・・・・・天井が見えるわ、」
「悪かったね、というか見えない方がおかしいだろ、」
「そうね、、・・・・・・って、え!? キャーーーー♡!?」
あっ、また倒れちゃいそう。
流石にそう何度も気絶するのは体調に悪いかなって、というか一緒のベットで寝た事もあるんだからいい加減慣れなよ。
「いえその、セシィちゃんのほうからデレてくれたことが・・・・・・、っと、どれくらいだったかしら」
「さあ、まだ僕が呼ばれてないくらい?」
「なら、まだ間に合うかしら、」
控室の外の方を眺めながら、レリアは名残惜しそうに膝を撫でながら起き上がり、
・・・・・・なんか生々しいんだよな〜、これがなけりゃあ別にいつでもやってあげるのに。
「運営? 結界は見たところ問題なさそうだけど、」
「ええ。でも一つ、仕事を頼まれてたのよ、」
誰にかは、まああれか。なんか個人的な依頼でも?
「まあちょっと、私もセシィちゃんとデートするため強引に捩じ込んだから、そのお返しなのかしら、」
「あれをデートっていうのやめない?」
というかデートって言うから、普通に遊びに行くのもなんか身構えちゃうんだが?
「それで・・・・・・、何するの? 早く行かなきゃ??」
「そうねぇ、あらせっかくだし、セシィも来ない?」
「・・・・・・僕この後、試合あるんだけど、」
「大丈夫よ、その前には必ず終わるから、」
移動しながら話を聞く、
向かってるのは闘技場。
人声溢れる表目に、そういや控室勝手に出ちゃったけど、まあ運営の聖女様と一緒だからいっか。
「あら、なんとかギリギリ間に合ったようね、」
「ここ、どこなの?」
ついたのは、舞台全体を一望できる特等席のような場所。
と、言うには少し狭いか、そして目の前に取り付けられた魔導具は、
「拡声器? ああ、ここ、」
「実況席、だったかしら? 一部の試合だけ頼まれたのよ、」
なるほど、あの変装バニー王子がやってた奴か、
・・・・・・というかあのクラウンムダ乳男装令嬢はどこ行ったん?
そしてなんでまたレリアがそれを、
「それで、ここ、席が二つあるのよねぇ、」
「あるね。それで?」
「解説、だったかしら? やってみない??」
・・・・・・あー、そのために呼んだのか、
・・・・・・・・・・・・いや勝手にダメでは? 僕運営側じゃないんだけど、
「いいのよ、ワタクシが決めたから。ささ、始まっちゃうわ♪」
「んー、しょうがない。・・・・・・台本とかないの?」
前に聞いたやつでは、思いっきり読まされてたな。
あれレリアがやったでしょ、だれがプリンスじゃ、
「こほんっ。あー、それでは皆さん、実況かわりましてこの試合は永遠潔白の大聖女、アウレリアと、」
「・・・・・・えっ、もうはいってんのこれ、。————あー、特に某国の王子とかではない、解説のジョンです」
「今は、ですねー♪」
やめろよみんなに聞こえてんだろこれ!?
・・・・・・って、なんだマイク入ってないや、まあまだ誰が戦うのかもわかってないからね、
「まあ、基本的には私がやるから相槌でいいわ、」
「・・・・・・それ、実況解説逆では?」
「そうなの?」
あれ、違うか?
わからん、この世界の実況とか聞いた事ないし、というか何であるんだ。
「それじゃあ、始めるわよー、」
「え、あっ、ちょっ、ゴホンゴホンッ、」
全体放送ってことはレコウにも聞こえてるからね、しっかり声変えなきゃ、
というか次がレコウとの試合なんだけど、こんなとこでバレるのどうなん?
「それなら普通に、本名なのればいいじゃない、」
「・・・・・・あそうか、ここで誤魔化す理由ないか、」
ケホンケホン、声戻してっと。
・・・・・・ってあれ、僕の元の声ってどれだっけ、むしろ男装してる期間の方が長いまで、コホンコホン、
まあ、いつもの声でいっか。
「それでは皆さん、実況かわりましてこの試合は永遠潔白の大聖女、アウレリアと、」
「その友人の、セルースでお送りしまーす、」
「・・・・・・・・・・・・あら?」
え、本名。
・・・・・・・・・・・・いやなんか、不特定多数に愛称伝えるのもね、
・・・・・・っとほら実況、マイクに声入ってるから。
「あっと、失礼。では左コーナー、彼女に愛を伝えるため、はるばる一般戦から立ち上がってきた仮面の戦士、ローザリィブさんです」
出てきたのはうわ、顔面仮面で隠してるムキムキマッチョ、僕が配った中でもネタ度の高いバタフライマスクマンだ。
というかまだ生き残ってたのか死亡フラグ族。いっそここまで残れたなら、フラグ打ち破ったと言っていいのでは?
「えーっと、それでは右コーナー。こちらも正体隠して一回戦を華麗に突破、ワタクシの真似でしょうか、」
出てきたのはまた謎ローブ。枠的に多分シード枠。
あの体型は、開会式の時にはいなかったはずだけど・・・・・・、いったい誰が、
「いえいえこちらが本家大元、演劇界の大本命。みなさんが待ち望んでくれたからボクが来た、当然いますわ大会主催者。舞台世界の貴公子、エウスミシェルネイさんです、」
バッ、と、ローブー脱ぎ捨てて、そのキラキラと光る相貌を露わにする。
どこから生えたか頭につけたクラウンに、細身の剣を手に持つは、闘技場にも不思議と似合う金色の王子様。
・・・・・・・・・・・・大会主催者、ズルくない!?
「なんと、驚きですねー。・・・・・・・・・・・・いいのあれ、」
「わーー、・・・・・・・・・・・・まあ、観客の反応見る限り?」
————キャーーーー!
————エーウース! エーウース!!
————結婚してーー!!
・・・・・・うぐ、確かにすごい熱狂だ。
ならまあ、祭りとしては成功なのか??
というか本人が出るなら、なんでシード枠に別で自分の団員ねじ込んでたんだ、
「あら、その人なら前の試合で負けてるわよ?」
「うぇっ、そうなん?」
「確かその後で、急遽出演した形ね、」
な、なるほど?
目論見外れたから今度は自分で、
いや、最初からそのつもりか? 単純にシード枠二つの方が、試合一個楽できるし、
「どうかしら。元々、あの枠には外から人を呼んだって聞いてたけど、」
「こんな台本まで用意して?」
「んー、まあ、私は、なにも言えないわね〜」
・・・・・・そうだったこの聖女、強引に参戦した挙句に台本用意してたんだった、僕のほうまで。
「それじゃ、実況戻るわねー、」
「・・・・・・試合中もやってたっけ、」
マイクをオンにして、考えは頭の中に、
・・・・・・エウス、彼女の目的はもしかして、自分自身がさらに権力を得るため勇者になることか?
だとしたら、僕はそれを・・・・・・、
まあ、真正面から打ち倒して止めるなら、逆にスッキリしてる、のかな。