情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

91 / 124
87話

 

 剣を構える、

 

 屠龍の伝説、夢の御伽、ただ一刀を持ってその懐に飛び込んでいく。

 

 これが、君の訪れた世界さって、

 

「ぬおっと、とりゃーじゃー、」

「うん、無防だこれ、」

 

 迎撃、竜の一線、というにはあまりに太い星の一流。

 この中に飛び込むとか、正気じゃないね、

 

「そういえばさ、前に君がプリンを売ってるとこを見たんだけどさ、」

「おお?! な、何じゃ!」

 

 でもまあそうしないと話せないからしょうがないね。

 光と音の彩流、軽く桁数で人体が消し飛びそうな災害、まあ流れがあるだけマシか、スイスイーっと。

 

 近づいて、声が届くまで、大声だと声変えてるのにバラちゃうかもしれないから。

 ・・・・・・ま、ここまで来たら、ネタバラシもすぐだけどさ、

 

「近くに、君の友達もいたんだよね、似合わない制服を着てさ、」

「むっ、そんなことは、」

 

 星の流れが強くなる、強くなるほどに一本化して読みやすくなる。

 紙一重、逸らした流れが体の前を通り過ぎる、あと少しでも体のサイズが大きければ当たっていた必殺。

 だから別に、服のサイズが合ってなかったとしてもうん。違うし、単純に学制服が合わないって話だし。

 

「その後、彼女と一緒にここの裏に行かせてもらったけど、そこで何したと思う?」

「っ、さっきから、何の話じゃ!?」

 

 星の運河が埋め尽くす。

 全てを飲み込み、真っさらに浄化する。

 まるで神のみわざに、いやきっと神なんてものがいたとしても、こんなに綺麗じゃないさ。

 

 それをこんな特等席で見れるなんて、神より竜に感謝しなくちゃね、

 

「ふふ、後で君にも見せてあげるよ。だから、負けられないって話」

「っ!」

 

 そして、視線が交差する。

 無限の宇宙を越えて、遂にその身が届く距離。

 星の銀河も、もはやただの見上げる綺麗な背景。

 

 その剣が。その腕が。お互いに、振りかざし、

 

「——セシィ!!」

「やあ、レコウ、」

 

 髪一重、星の剣が頭上を照らして、視界が広がる。

 

 神一重、木の剣がその身に触れて、世界が広がる。

 

 永遠の運河を乗り越え、たどり着いた御伽の伝説は、

 

「じゃ、じゃーー!!」

「うん。楽しんでくれた様で何よりだよ、」

 

 その身、何もかも丸裸な絶対の間合い。

 大きな剣を振りかぶった直後で、構えもないその隙だらけの竜の体に剣を添える。

 

 力を流して、何度も実践した弱者の剣、

 その真髄は、終ぞ竜に、

 

 

 

「・・・・・・あ、無理だこれ、」

 

 

 

 距離を取る。

 星が降る。

 

 まあ僕が顔を見せようが見せまいが、変わんないね。

 竜と人との差は絶対過ぎて、多少の小細工程度は気にならないらしい。

 

 うん。あそこからどんな良条件を重ねても、どんな神技を繰り出しても、倒せる未来が見れなかったよ。

 よしんば体制を崩したとして、その後復帰して反撃される方が早いね。

 

 なんだっけあれ、かくげー?

 それで倒しても倒しても一瞬で復活して、攻撃後隙の状態に確定で反撃入れられる感じ。

 それに体力も一すら削れない感じで、うん、ダメだこりゃ。

 

「・・・・・・おっと。あー、それで、セシィ、どうすればいいんじゃ??」

 

 距離を取る、振り出しに戻る、

 レコウに疲れた様子は一切ない、あんだけ星をばら撒いてなお、恐らく魔力の少しも削れてない。

 これを繰り返したら、まあ僕が先に潰れるな。

 

「んー、レコウ。お祭りは楽しい?」

「——おう、もちろんじゃ!」

「じゃあ、全力で来なよ」

 

 でもまあ、だからと言って手加減させる理由にはならないよ。

 それに僕も、体力には自信があるつもりだ、

 

「『整理、保護、身体』」

「おおっ??」

 

 別に集中する必要もない基本を、わざわざ声に出して宣言する。

 そんな必要もないかもだけどね。

 

 きっと知っての通り、僕が支配した空間内で、物体の損傷は好きに設定できる。

 ・・・・・・まあ、この場合は強制的に諸々の変化止めてる感じだから、生物に使った時の影響は調整するのがもの凄い大変だけど。

 でも、自分に使う分にはなんの問題もないね、

 

 ほら、レコウ、初めて会った時と一緒だよ。

 ずるいかな、でもいいでしょう、これでなんの遠慮もいらないよ。

 

「ね、」

「・・・・・・じゃー??」

「・・・・・・・・・・・・ほら、ね??」

「・・・・・・・・・・・・あー、じゃー・・・・・・???」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・てーい、

 

 ————バタゴロッ、。自分の心臓に剣を突き立てる音、

 

 を、出させないために全力で近づいてきたレコウに自分からぶつかって、もんどり打って転がったけど、お互いに無傷な音。

 

「うおっ!? 大丈夫じゃ!?」

「うん。無傷、でも目が回る、」

 

 身体は無事だけど、脳に僅かなダメージ、

 これが続けば、身体の保護もいつかは解けるかもしれない程度の消耗。

 うん、程よく無敵じゃない、いい調整。

 

 いいね、とってもとってもズルいけど、この身で竜に抗う夢の魔法。

 ちーとかな、まあむしろ歓迎だね、

 

「だからほら、あの時の続きをしようか、」

「お、おう! ・・・・・・・・・・・・どの時じゃ??」

「・・・・・・・・・・・・もーー!」

 

 剣を構える。

 レコウは未だにお遊び気分、本気は無い。

 

 まあそりゃそうだ、あのドラゴンちゃんが全力出したら、闘技場どころか軽くこの国くらいは消し飛ぶ。

 それでもだとしても、せめて魔法使わない運動の範疇でくらいは、何も気にせず全力で楽しんで欲しいじゃ無いか。

 

 ・・・・・・あぁ。なるほど、さっきのレリアもこんな気持ちだったのかな、わかんないけど、

 だとしたら、僕も本気出さなきゃ。

 

「『整理、情報の壁、絶対の隠世』。・・・・・・もうこれで、外のことは気にしなくていい」

 

 適当に薄くした映像流す。

 とりあえず花火ばら撒いておけば、観客も満足するだろう。

 違和感はまあ、レリアになんとかしてもらおう。

 

「だから後は、僕がどれだけ引き出せるかだね、」

「お、おうじゃ?」

「うん。行くよ、」

 

 剣を構えろ。

 屠龍の剣は、結局のところ物語の一幕でしか無い。

 初めから、その一本で全てを終わらせられる御伽なんて、数えるほど。

 ならどうするか、

 

「そこ、足!」

「うおう?! ぐるぐる〜じゃー、」

 

 レコウを転ばせる、なんて綺麗なものじゃ無い、

 あくまでドラゴン様が流れに乗って、クルクルと遊んでくれただけ。

 

 でもそれでいい。

 条件は同じだ、このまま無傷でお互い踊りあって、先に音を上げた方が負けだよ。

 屠龍の第一段階にして、ドラゴンを楽しませる最初の一歩は、まず酔わせるところからってね、

 

「よっ、とっ、」

「おー! 景色がまーわるーじゃ〜」

 

 竜回し、いや回されてるのは正しく僕の方かもね、

 レコウのいく先に力の流れを置いて、息つく暇もなく振り回し続ける。

 やろうと思えば、このまま永遠にだって力の流れを支配できる。

 

 でも駄目だ、それじぁあ飽きてしまう。

 竜が飽きれば、その先にあるのは崩壊だ。今の硬直した時間なんて、一瞬で力任せに引きちぎれるだろう。

 

 というかこれ、僕も目が回る。

 このまま体力の続く限り続けたら、先に倒れるのは僕か観客か、ともかくそろそろ、

 

「てーい!」

「おーー、飛んでくじゃー、」

 

 遠心力、

 絶対に僕の細腕では出せない力を、レコウも一緒に乗っかったおかげで生まれたそれで、お返しに投げとばす。

 

 竜の飛翔よりも遅い速度で飛んでって、

 

「あ、ちなみに、場外負けあるから、」

「えっ、なにーーーっ!? じゃ!?」

 

 まあ、空間の壁があるから飛び出してくることはないんだけどね。

 でもあんまり気を抜いてると、レコウが出ていく時だけ穴あけちゃうかもよ、

 

「・・・・・・確か、テンカウント以内に戻らないと駄目だっけ。レコウが出てった後に、入口閉じれば、」

「うおっ、ずるーいじゃーー!!」

 

 お、いい反応。

 飛び出して行ったはずのレコウが、会話ができる距離にいる。

 僕の作った壁まで届いてないね、空中で軌道を変えて戻ってきたか。

 

 ・・・・・・ドラゴンちゃん今翼生えてないけど、空気でも蹴ってきたのかな、というか掴んだな不自然な空気の動きを感じる。

 まあ考えるだけ、楽しいね? これが夢のドラゴン様だよーって、

 そんなレコウと友達になれるなんて、ここも捨てたもんじゃ無いよーって、

 

「ほらほらレコウ、お祭りだよー、」

「おう、楽しいの!」

「お祭りといえばー、」

「いえばーじゃ、」

 

 剣を構えた。

 聖なる火花、というには派手すぎる大輪。

 でもそれはもう見たしね、

 

 今度は、僕の知識を披露しよう。

 

「お祭りといえば、人ごみだー!!」

 

 ブワッと、ゴミが増える。

 綺麗な星の運河のを掻き消して、濁った濁流が溢れ出す。

 

 うん、お祭りは楽しいけれど、これが疲れるらしいね。

 だから今にはぴったりだ、

 

「うおっ!? セシィがいっぱいじゃ!!」

「「「「「「「あはは、どう、疲れるでしょー、」」」」」」」

「いろんなところから声がするじゃーー!」

 

 まっ、やってる事は、僕から出て行く光とか音とか匂いを、しまった後にその辺に設置してるだけだけど。

 どこぞの誰かさんと違って本当に増えてるわけじゃ無い、

 

 でもどれが本物かわからないだろー、

 その幻影たちと踊り遊んで、お祭りを満喫するがいい。

 みんなで一緒に回るのも、お祭りの醍醐味だよね。太鼓も欲しいな、君もそう思う?

 

「面白いのー、」

「ねっ、もっと遊んできていいよ?」

「まあ、せっかくなら一緒に回りたいしの、」

 

 それで、レコウと二人で並んで鑑賞する。

 うん、お祭りだねー、

 

 一瞬で本体バレたな、ありり、五感の全て程度は再現したはずだったんだけど、いや味はどうだろ、

 まさかレコウ、舐めて判別してないよね、嘘の味とか。

 

「むっふっふっー、我がこの程度で、セシィのことを見失う訳がないじゃー!」

「そう。それは嬉しいね、」

 

 ・・・・・・・・・・・・ん? だとしたら、、

 

 ・・・・・・うん、やめよう、疲れるだけだ。

 というかこれも、無駄に僕が疲れるだけだな、次だ次、

 

 あはは、まだまだ楽しませてあげるんだから、覚悟しろよーー。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・えー、先程からずっと、花火が打ち上がり続けておりますが、これはどう見るべきでしょうか解説のアウレリアさん、」

「心の目で見るのよ、そしたら素晴らしい景色が見られるはずだわ。・・・・・・凄いわ、ハーレムよ! 一つくらい持ち帰ってもバレないかしら?」

「・・・・・・・・・・・・本当に同じもの見えてます??」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。