情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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93話

 

 起き上がる。

 体の調子はいつも通り万全、さてと、では次の用意をしなくちゃね、

 

「・・・・・・うん。おや? 来たようだね、ちょうどいい、」

 

 予定変更、いや元通りかな?

 流石にあれは予想外だったけど、まあこっちは無事になんとかなりそうだ。

 

 さてとそれじゃあ踊ってもらおう。

 新たな物語の、幕開けをね、

 

 

 

 

 

「レリアー! 緊急事態じゃー!!」

 

 人の多いお祭りの中、一人を探して練り歩く。

 

「あー、レリア、さんー?」

「・・・・・・面倒くさくなりそうじゃから、貴様は黙っておくのじゃ、」

「あ、はい。」

 

 しかしいない、観客席に、実況席に、普段いたところは探したのじゃけど、

 となると、裏側にいるのだろうか。

 あんまりそっちは行かなかったから、うむむ、どこにいるか、

 

「・・・・・・ん、何か匂いがするの。なんじゃろ、どこかで嗅いだ、」

「え、犬?」

「セシィは何か聞こえ、って、ちっ、」

「うぐっ、なんかすいません、」

 

 ・・・・・・・・・・・・はぁ、気が重い。

 ともかく、なんじゃろうこれ、

 

 レリアの匂いは・・・・・・、確かにするが、散逸的でわからんの。

 最近ここに出入りしてたのは確かじゃが、一番新しいものはいったいどれか。

 

「・・・・・・・・・・・・んーーー、」

「これ、いや、こっちじゃ?」

「・・・・・・・・・・・・あーーー。」

「こっちの方が濃い、でもこっちの方が乱れてないし、」

「・・・・・・・・・・・・おーーー?」

「・・・・・・なんじゃ!? さっきからうるさいな!!」

 

 気が散るじゃろ!

 もう、貴様は黙って立って居ればいいのに、その声で顔で変なことするんじゃない!!

 

「いや、なんか、聞こえる気が、」

「はあ?」

「えっと、こっちか??」

「・・・・・・ふむ?」

 

 目の前の人間が、大切な体で、なんか聞き耳を立てる辺な姿勢で歩き出す。

 ・・・・・・セシィじゃったら絶対にしない動きじゃな、しかし、我にはなにも聞こえない。

 仮にも同じ身体、少なからずは、同じことができるのか、

 

「なにが聞こえたんじゃ?」

「いや、さっきからずっと、何かが引っかかる感じがして、」

「・・・・・・だから、なにが聞こえたんじゃ?」

「てっきり気のせいかと思ったけど、ずっと変わんないから、」

「・・・・・・・・・・・・で、なにが聞こえたか聞いてるんだが?」

 

 イライラする、セシィなら、こんな鬱陶しいことは・・・・・・、

 ・・・・・・・・・・・・どうじゃろ、割とセシィも説明不足なところがあったような、いやセシィだったら別に気にならないんじゃけど。

 ともかくしょうがない、付いてってやるが、

 

「わからないが、ともかく怪しい音?」

「ふーん。・・・・・・仮にそれが本当にあったとして、レリアを探すことより優先することじゃなかったら、」

「ひぃ!? いや、なんか手掛かりになるはずです、まむ!?」

 

 ・・・・・・普段あんまり出ないセシィの表情を見れるのは面白いな。

 でもそれ故に、表情があんまり変わんなかった、それでもたまに見せる変化が嬉しかった、セシィでは無いのだと思い知らされて、

 

「あっち、あそこら辺?」

「む、確かに引き返してきたら、何か匂いが・・・・・・。これは、」

「ブンブンブン————。・・・・・・あれ、ただの虫? やべっ、まじでやられるっ・・・・・・」

「よっ、かくほーじゃーー!」

 

 ピョーンと、こっちを見ていたな何かを捕まえる。

 見たことも、嗅いだこともある。

 でも動いているところを見るのは、初めてだ。

 

 どこか金属の中に甘い香り、これは、

 

「・・・・・・ちっ、気づかれた、か、」

「プリン泥棒、じゃ?」

 

 クルクルと回る羽根で飛ぶ、虫のようなおもちゃ、

 確か、マキナと言ったっけ、そいつの声が聞こえてくる。

 

「まあいい。ほら、オマエ、」

「・・・・・・え、お、自分?」

「じゃ?」

「・・・・・・・・・・・・? 見てないで、どうにかしろ、」

 

 まーるいはめ込まれた瞳、動いても無いのにセシィの方を向いている気がする。

 ・・・・・・む、いや動いてはいるのか? どうなってるんじゃ?

 

「やめろ、ひっくり返すな、羽に触るな、壊れるだろ、」

「ふむふむ。って、今はそんなことしてる場合じゃないんじゃー!」

「おい、乱暴に扱うな。っ、オマエ、見てないで助けろ」

「え、あ、レコウ、さん? そこ回ってる羽触ると、危ないから!」

 

 

 

 なんか怪しい音を探ったら、異世界で超高性能なドローンを見た件。

 ・・・・・・うん。おかげでなんか有耶無耶になったけど、これ別に手掛かりでもなんでもなさそうだな。やっべー。

 

 とりあえず、思わず言われた通りに取り上げ、取り、と、

 

「お、おい待て、本当に壊れる!?」

 

 力つよ!?

 そ、そうだった、この人は、というかこの竜はこう見えて、マジもんの異世界ツヨツヨドラゴン様なんだった。

 

「————んっ、ほれ、」

「うわっと!?」

「あぶなっ、ジブンを持ったまま、転ぶな?!」

 

 ゴロゴロくるんと、おお見事な着地。

 なんか自分の体じゃ無いのに、むしろすごく動きがいい気がするな。筋力は無いけど。

 

 ともかくこれは、えっと、マキナ?

 スッと名前が出てきた。つまりはあの子にとってあんまり重要じゃない知人。というか、知ロボット?

 

「・・・・・・しかし、さすが異世界。あんな想像の中から出てきたようなロボットがいるとは・・・・・・、」

「——ふぅ。それで、さっきのは、どういうことだ?」

「・・・・・・・・・・・・ん、え? さっきの??」

 

 羽の生えたドローンが小声で話しかけてくる。

 なんだろう、すごい変な感じがする。

 初めての経験のはずなのに、どこか懐かしいような、

 スマホで話してる感じを思い出すのかな?

 

「・・・・・・ちっ、十分距離はとっただろ、まだ話せないか?」

「えっとー、なんのことだか、」

「面倒だな、もういい、オマエの方で勝手に誤魔化せ、」

 

 なんかよくわからないことで、なんかキレられてる。

 理不尽、いやまあ会社勤めの時と、昔のことを考えると、別になんてことはないけど、

 ・・・・・・昔? この場合の昔って、どこのこと、

 

「例の件、いきなり手を引くと、一体どうしたんだ、」

「れ、例の、あーあれね??」

「どこまで進んだ? 今更になって急に、一方的に宣言してくれて、」

「いや、まあちょっと、事情がね???」

「・・・・・・それに何か、雰囲気が変わったか?」

「そ。そうかなーー??」

 

 あーーーーー、なんか、思い当たる節があるような無いような。

 あの子の記憶、実は思い出せないのは大切な記憶だけじゃなくて、覚える気すらないどうでもいいものも無理なのだ。

 だから多分、割とその例の件とやら、どうでもいいと思ってたりしてー・・・・・・、いやまだそうと決まったわけじゃ無いけど。

 

 流石に、だから忘れましたと言うのは、怪しまれるし何よりこの子が可哀想だ。

 ・・・・・・ん? まあともかく、全力で誤魔化さねば、

 

「だが、・・・・・・まあいい、こっちも事情が変わった」

「え、あ、それは、大変だね?」

「・・・・・・やはり、オマエも気づいていたか、」

「あっ、うん、もちろんですよーー???」

「なら、どうするつもりだ?」

「と、とりあえず、レコウさ、レコウと、相談しないと、」

 

 や、やばい、何を言ってるのか一つもわからない!?

 えっとーーー、確かーーー、なんか大会に出て優勝するって話、だったかな??

 それがなんでだったのかは、思い出せないけど、

 

 だから、つまり、俺が今こんな状態になってそれが果たせそうに無いから怒ってる?

 ・・・・・・でも、事情が変わったって、いや何が変わったのか、誰か教えてくれ!?

 

「・・・・・・そうか——」

 

 

 

 

 

 

 

「——それで、教えてくれるかしら? どうしてこんなことになってるのか、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さあ?」

 

 あまり使われてない控え室、その奥にあったのは、あか。

 

 まあなんて事はない、普通の血溜まりでしたわ、死体が一つ。

 

 知った顔、全く、なんでこんなことになってるのかしらって、

 

 それで、思わず観察していたら、急に視界が塞がれて、 

 

「事前にセシィちゃん成分補給してなかったら、やばかったわね、」

「・・・・・・なにそれ?」

 

 あなたは味わったことのない、とっても素敵なものよ、

 っと、それは今は置いておいて、この状況。どうしましょうか。

 

 魔導具は最低限のものしか携帯してないし、魔力も万全とは言い難いのだけどね、

 

 それに仮に、事前準備が万端だったとして、どうにかなるのか。

 

「・・・・・・・・・・・・別に、そんなに警戒しなくていいのに、」

「無理を言うわねえ、この惨状で、」

 

 改めて、部屋の中を確認する。

 

 

 うん、間違いない、これはこの会場に来ていた観客だ。

 私が、ワタクシとして、個人的に話をしたこともある。

 つまり、ワタクシと同じ特別席に招かれた、それなりに権力を持った人。随分とまあその、あれな方向に印象的な外見だっから、覚えてしまったわ。

 

 確か、この会場の運営にもそれなりの発言力があったかしら、

 何を元々やっていたのか、ワタクシに話す事はなかったけど、まあそう言うことよね。

 恨みは随分、というか犯人の動機もわかりそうなものだけど、

 

「だから、違うってもう、」

「ええ、だから、説明、」

 

 背後を確認する。

 逃げ道は十分確保できてるかしら、あれを呼ばれちゃどうしようもないのだけど。

 

 というか、話によれば、この思考自体がまずいらしいわね。

 まったく、それだけの力があるなら、もっといくらでもやりようあったでしょうに、

 

「・・・・・・・・・・・・だから、さあ? って、。わたしのほうが、教えて欲しいくらいだよー?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう、だったわねえ、」

 

 死体の置かれた部屋に、その中に潜んでいた彼女、

 その上さっき、襲われかけたのだけど? まあこうして、怪我はしていないけれども、

 それでどう信じればいいというのかしら。

 

 ただでさえ、私は、あなたをどう扱えばいのかわからないのに、、

 

「・・・・・・・・・・・・そうだ。そろそろ時間かな、わたしは行かなきゃいけないんだけど、」

「・・・・・・どこに、かしら? こんな状況を放っておいてまで、さぞ重要な用事なんでしょうね、」

 

 引き止める。

 思わず語気が強くなってしまうが、いえ問題ないわ。

 どうせ全部見られているのなら、わざわざ隠さないで強気に行きましょう、

 

「うん、応援。最後だからね、ちゃんと見ておかなきゃー、」

「あら、あなたにも、真っ当にお祭りを楽しむ感性があったのねぇ、」

「むー。あなたにわたしの何がわかるの?」

「少なくとも、お祭りについては詳しいわよぉ? 次の試合、先に三位を決めるためのが入る予定よ♪」

 

 ・・・・・・まあ、まだ私が勝手に決定しただけだけど、

 これであれに断られてたら恥ずかしいわね、まあセシィちゃんのことですし、何も問題はないと思うけれど。

 

「はあ?」

「という訳で、それまで話を聞かせてもらいましょうか、第一発見者さん?」

「・・・・・・・・・・・・んーー、」

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・目が合う。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ、しょうがないな〜。そこの勘違い周回遅れ弱々聖女様のために、と、く、べ、つ、に♪」

 

 

 

 相変わらずの、綺麗でドロドロとした、

 桃色の瞳。

 

 

 

「メートが、教えてしんぜよ〜〜、」

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