起き上がる。
体の調子はいつも通り万全、さてと、では次の用意をしなくちゃね、
「・・・・・・うん。おや? 来たようだね、ちょうどいい、」
予定変更、いや元通りかな?
流石にあれは予想外だったけど、まあこっちは無事になんとかなりそうだ。
さてとそれじゃあ踊ってもらおう。
新たな物語の、幕開けをね、
「レリアー! 緊急事態じゃー!!」
人の多いお祭りの中、一人を探して練り歩く。
「あー、レリア、さんー?」
「・・・・・・面倒くさくなりそうじゃから、貴様は黙っておくのじゃ、」
「あ、はい。」
しかしいない、観客席に、実況席に、普段いたところは探したのじゃけど、
となると、裏側にいるのだろうか。
あんまりそっちは行かなかったから、うむむ、どこにいるか、
「・・・・・・ん、何か匂いがするの。なんじゃろ、どこかで嗅いだ、」
「え、犬?」
「セシィは何か聞こえ、って、ちっ、」
「うぐっ、なんかすいません、」
・・・・・・・・・・・・はぁ、気が重い。
ともかく、なんじゃろうこれ、
レリアの匂いは・・・・・・、確かにするが、散逸的でわからんの。
最近ここに出入りしてたのは確かじゃが、一番新しいものはいったいどれか。
「・・・・・・・・・・・・んーーー、」
「これ、いや、こっちじゃ?」
「・・・・・・・・・・・・あーーー。」
「こっちの方が濃い、でもこっちの方が乱れてないし、」
「・・・・・・・・・・・・おーーー?」
「・・・・・・なんじゃ!? さっきからうるさいな!!」
気が散るじゃろ!
もう、貴様は黙って立って居ればいいのに、その声で顔で変なことするんじゃない!!
「いや、なんか、聞こえる気が、」
「はあ?」
「えっと、こっちか??」
「・・・・・・ふむ?」
目の前の人間が、大切な体で、なんか聞き耳を立てる辺な姿勢で歩き出す。
・・・・・・セシィじゃったら絶対にしない動きじゃな、しかし、我にはなにも聞こえない。
仮にも同じ身体、少なからずは、同じことができるのか、
「なにが聞こえたんじゃ?」
「いや、さっきからずっと、何かが引っかかる感じがして、」
「・・・・・・だから、なにが聞こえたんじゃ?」
「てっきり気のせいかと思ったけど、ずっと変わんないから、」
「・・・・・・・・・・・・で、なにが聞こえたか聞いてるんだが?」
イライラする、セシィなら、こんな鬱陶しいことは・・・・・・、
・・・・・・・・・・・・どうじゃろ、割とセシィも説明不足なところがあったような、いやセシィだったら別に気にならないんじゃけど。
ともかくしょうがない、付いてってやるが、
「わからないが、ともかく怪しい音?」
「ふーん。・・・・・・仮にそれが本当にあったとして、レリアを探すことより優先することじゃなかったら、」
「ひぃ!? いや、なんか手掛かりになるはずです、まむ!?」
・・・・・・普段あんまり出ないセシィの表情を見れるのは面白いな。
でもそれ故に、表情があんまり変わんなかった、それでもたまに見せる変化が嬉しかった、セシィでは無いのだと思い知らされて、
「あっち、あそこら辺?」
「む、確かに引き返してきたら、何か匂いが・・・・・・。これは、」
「ブンブンブン————。・・・・・・あれ、ただの虫? やべっ、まじでやられるっ・・・・・・」
「よっ、かくほーじゃーー!」
ピョーンと、こっちを見ていたな何かを捕まえる。
見たことも、嗅いだこともある。
でも動いているところを見るのは、初めてだ。
どこか金属の中に甘い香り、これは、
「・・・・・・ちっ、気づかれた、か、」
「プリン泥棒、じゃ?」
クルクルと回る羽根で飛ぶ、虫のようなおもちゃ、
確か、マキナと言ったっけ、そいつの声が聞こえてくる。
「まあいい。ほら、オマエ、」
「・・・・・・え、お、自分?」
「じゃ?」
「・・・・・・・・・・・・? 見てないで、どうにかしろ、」
まーるいはめ込まれた瞳、動いても無いのにセシィの方を向いている気がする。
・・・・・・む、いや動いてはいるのか? どうなってるんじゃ?
「やめろ、ひっくり返すな、羽に触るな、壊れるだろ、」
「ふむふむ。って、今はそんなことしてる場合じゃないんじゃー!」
「おい、乱暴に扱うな。っ、オマエ、見てないで助けろ」
「え、あ、レコウ、さん? そこ回ってる羽触ると、危ないから!」
なんか怪しい音を探ったら、異世界で超高性能なドローンを見た件。
・・・・・・うん。おかげでなんか有耶無耶になったけど、これ別に手掛かりでもなんでもなさそうだな。やっべー。
とりあえず、思わず言われた通りに取り上げ、取り、と、
「お、おい待て、本当に壊れる!?」
力つよ!?
そ、そうだった、この人は、というかこの竜はこう見えて、マジもんの異世界ツヨツヨドラゴン様なんだった。
「————んっ、ほれ、」
「うわっと!?」
「あぶなっ、ジブンを持ったまま、転ぶな?!」
ゴロゴロくるんと、おお見事な着地。
なんか自分の体じゃ無いのに、むしろすごく動きがいい気がするな。筋力は無いけど。
ともかくこれは、えっと、マキナ?
スッと名前が出てきた。つまりはあの子にとってあんまり重要じゃない知人。というか、知ロボット?
「・・・・・・しかし、さすが異世界。あんな想像の中から出てきたようなロボットがいるとは・・・・・・、」
「——ふぅ。それで、さっきのは、どういうことだ?」
「・・・・・・・・・・・・ん、え? さっきの??」
羽の生えたドローンが小声で話しかけてくる。
なんだろう、すごい変な感じがする。
初めての経験のはずなのに、どこか懐かしいような、
スマホで話してる感じを思い出すのかな?
「・・・・・・ちっ、十分距離はとっただろ、まだ話せないか?」
「えっとー、なんのことだか、」
「面倒だな、もういい、オマエの方で勝手に誤魔化せ、」
なんかよくわからないことで、なんかキレられてる。
理不尽、いやまあ会社勤めの時と、昔のことを考えると、別になんてことはないけど、
・・・・・・昔? この場合の昔って、どこのこと、
「例の件、いきなり手を引くと、一体どうしたんだ、」
「れ、例の、あーあれね??」
「どこまで進んだ? 今更になって急に、一方的に宣言してくれて、」
「いや、まあちょっと、事情がね???」
「・・・・・・それに何か、雰囲気が変わったか?」
「そ。そうかなーー??」
あーーーーー、なんか、思い当たる節があるような無いような。
あの子の記憶、実は思い出せないのは大切な記憶だけじゃなくて、覚える気すらないどうでもいいものも無理なのだ。
だから多分、割とその例の件とやら、どうでもいいと思ってたりしてー・・・・・・、いやまだそうと決まったわけじゃ無いけど。
流石に、だから忘れましたと言うのは、怪しまれるし何よりこの子が可哀想だ。
・・・・・・ん? まあともかく、全力で誤魔化さねば、
「だが、・・・・・・まあいい、こっちも事情が変わった」
「え、あ、それは、大変だね?」
「・・・・・・やはり、オマエも気づいていたか、」
「あっ、うん、もちろんですよーー???」
「なら、どうするつもりだ?」
「と、とりあえず、レコウさ、レコウと、相談しないと、」
や、やばい、何を言ってるのか一つもわからない!?
えっとーーー、確かーーー、なんか大会に出て優勝するって話、だったかな??
それがなんでだったのかは、思い出せないけど、
だから、つまり、俺が今こんな状態になってそれが果たせそうに無いから怒ってる?
・・・・・・でも、事情が変わったって、いや何が変わったのか、誰か教えてくれ!?
「・・・・・・そうか——」
「——それで、教えてくれるかしら? どうしてこんなことになってるのか、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さあ?」
あまり使われてない控え室、その奥にあったのは、あか。
まあなんて事はない、普通の血溜まりでしたわ、死体が一つ。
知った顔、全く、なんでこんなことになってるのかしらって、
それで、思わず観察していたら、急に視界が塞がれて、
「事前にセシィちゃん成分補給してなかったら、やばかったわね、」
「・・・・・・なにそれ?」
あなたは味わったことのない、とっても素敵なものよ、
っと、それは今は置いておいて、この状況。どうしましょうか。
魔導具は最低限のものしか携帯してないし、魔力も万全とは言い難いのだけどね、
それに仮に、事前準備が万端だったとして、どうにかなるのか。
「・・・・・・・・・・・・別に、そんなに警戒しなくていいのに、」
「無理を言うわねえ、この惨状で、」
改めて、部屋の中を確認する。
うん、間違いない、これはこの会場に来ていた観客だ。
私が、ワタクシとして、個人的に話をしたこともある。
つまり、ワタクシと同じ特別席に招かれた、それなりに権力を持った人。随分とまあその、あれな方向に印象的な外見だっから、覚えてしまったわ。
確か、この会場の運営にもそれなりの発言力があったかしら、
何を元々やっていたのか、ワタクシに話す事はなかったけど、まあそう言うことよね。
恨みは随分、というか犯人の動機もわかりそうなものだけど、
「だから、違うってもう、」
「ええ、だから、説明、」
背後を確認する。
逃げ道は十分確保できてるかしら、あれを呼ばれちゃどうしようもないのだけど。
というか、話によれば、この思考自体がまずいらしいわね。
まったく、それだけの力があるなら、もっといくらでもやりようあったでしょうに、
「・・・・・・・・・・・・だから、さあ? って、。わたしのほうが、教えて欲しいくらいだよー?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう、だったわねえ、」
死体の置かれた部屋に、その中に潜んでいた彼女、
その上さっき、襲われかけたのだけど? まあこうして、怪我はしていないけれども、
それでどう信じればいいというのかしら。
ただでさえ、私は、あなたをどう扱えばいのかわからないのに、、
「・・・・・・・・・・・・そうだ。そろそろ時間かな、わたしは行かなきゃいけないんだけど、」
「・・・・・・どこに、かしら? こんな状況を放っておいてまで、さぞ重要な用事なんでしょうね、」
引き止める。
思わず語気が強くなってしまうが、いえ問題ないわ。
どうせ全部見られているのなら、わざわざ隠さないで強気に行きましょう、
「うん、応援。最後だからね、ちゃんと見ておかなきゃー、」
「あら、あなたにも、真っ当にお祭りを楽しむ感性があったのねぇ、」
「むー。あなたにわたしの何がわかるの?」
「少なくとも、お祭りについては詳しいわよぉ? 次の試合、先に三位を決めるためのが入る予定よ♪」
・・・・・・まあ、まだ私が勝手に決定しただけだけど、
これであれに断られてたら恥ずかしいわね、まあセシィちゃんのことですし、何も問題はないと思うけれど。
「はあ?」
「という訳で、それまで話を聞かせてもらいましょうか、第一発見者さん?」
「・・・・・・・・・・・・んーー、」
・・・・・・・・・・・・目が合う。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ、しょうがないな〜。そこの勘違い周回遅れ弱々聖女様のために、と、く、べ、つ、に♪」
相変わらずの、綺麗でドロドロとした、
桃色の瞳。
「メートが、教えてしんぜよ〜〜、」