情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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95話

 

 抗争、果たしていったい、いつ始まるのか。

 それほど時間は経たないと思うが、場合によっては対処しなくてはな。

 

 それにしても、急な予定変更には、戸惑った。

 てっきり、何かを感じ取ったのかと思ったが、見たところ、何だこれ?

 何か、明らかに、おかしい。まるで人が変わったかのような、いやそれほどこいつの事を知っていた訳でもないが。・・・・・・なんだか、親しみやすい?

 でもその分、察しが悪くて苛つくか。わざとやってるんじゃないだろうな、嫌がらせか?

 

 まあいい、大元に、変更はない。

 よくわからんがまあ、何故だか危険性は減った気がするし、こっちにいるなら問題ないだろ。

 さてと、では、見てもらうとしよう。

 科学の、——の、力を、

 

 

 

 

 

「むむむ、こんな時に呑気に観光なんて、でもこいつを一人にする訳にもいかんし、連れてくわけにもいかんし、」

 

 もどかしい、今こうして普通に歩いてる時間すら、むず痒くてイライラする。

 遅い! 特にどっかに向かってるわけではないとはいえ、中身がセシィでないだけでこうも、

 ・・・・・・同じ体なのに、背に乗せるのすら嫌だった。はぁ、つい乱暴にしてしまったが、セシィは許してくれるかの。

 

「・・・・・・あ、鞄の中に、靴があったじゃ、」

「え、そんな小さな鞄の中に、」

「ああでもこれは、なんか世界が壊れるとか言ってたから駄目か、」

「え。こっわ!?」

 

 何か勝手に人間が変な目でこっち見てくる。

 いや全部セシィがやった事じゃからな? 貴様がそんな状態じゃなきゃ、何の問題もないんだが、

 ・・・・・・多分、恐らく、あれ、普通にこの鞄使えたけど、これ使って大丈夫なやつじゃったのかの。

 

 もしかして、セシィがいないと壊れた時に、周り全部吸い込んで大変なことになったりして・・・・・・。

 えーー、その場合は、こうして肩に下げてる我は——、

 

「・・・・・・貴様、本当に一刻も早く元に戻る方法見つけるのじゃぞ!?」

「えっええ、はい!!?」

 

 まあ別に、それはいいが。

 セシィから貰ったものを壊しちゃうなんて、絶対嫌だからの。

 とはいえそれ以上に、セシィがこのままなんて、耐えられないが。

 

「・・・・・・さっきから、何の、話をしてるんだ?」

「ああ、別に貴様には、関係ない話じゃ、」

「・・・・・・・・・・・・そう、か、」

 

 ふよふよと浮かぶ変なおもちゃに連れられて、というかなんとなく付いてっているが、どこに向かっているんじゃ?

 方向的に、多分、本体がいるところかの?

 

「・・・・・・ちょっと、レコウさん? 言い方キツくないですか?」

「はあ? ・・・・・・別に、いつも通りじゃが? というか、貴様に言われることではない、」

「・・・・・・・・・・・・あ、もしかしてそれが素? だとしたら、俺に対する態度も、」

「いや貴様は普通に嫌いじゃ、」

「うぐぅ!?」

 

 全く、なにを考えているのか。

 セシィの顔で、そんな百面相するの。ちょっといいもの見れた気もするが、やっぱり苛つくじゃ。

 

「というか、それくらいわかるじゃろ?」

「い、いやレコウさんのことはマジで殆ど見れてないんですよ。つまり、それだけ大切にされてたってことですよ。——いよっ、大親友!」

「ふふ、当たり前じゃ!」

「————ふぅ、」

「あ、因みに次にその手段使ったら、ぶちのめすから覚悟しておくのじゃ♪」

「ひぃ!?」

 

 当たり前だろ。改めてセシィの気持ちを感じられるのは気分がいいが、それを他人に踏み込まれて許せるわけが無い。

 

 ・・・・・・まあ、我にとっては他人でも、セシィにとっては大事な人のようじゃし? 多少は許してやったが・・・・・・、

 あんまり軽々しく、それを口にするな。

 

「・・・・・・・・・・・・本当に、何をやっているんだ、」

「それよりじゃ、どこに向かってるんじゃ?」

「え、ああ。ただ町を見せているだけだが、」

 

 え、本当にただの観光?

 なんで今、こっちの予定が狂ったから埋め合わせ?? いや本当にそんな暇はないんじゃが、

 

「・・・・・・ん? いや、違う。とりあえず、ジブンと会って欲しい、」

「そ、そうか。そっちに向かってるしの、なんで——」

「・・・・・・・・・・・・は? 何故、うん??」

 

 ふよふらと、なんじゃこいつ、ふわっとしとるの。

 まあとはいえ、我らもそうじゃ。

 セシィの記憶を呼び覚ますとは、いったい何をどうすればいいのか。

 

 遺憾なことにそれを一番わかっていそうなのは、目の前の親友の中の他人。

 しかも何か普通に戻すだけじゃ駄目だとか言い出すし、本当に、適当だったらどうしてくれようかじゃ、

 

「・・・・・・試しにやっぱ一度、攻めて見てもじゃ」

「うおう急に!? ・・・・・・いや本当、それで何とかなるならこちらからお願いしますが、無理な事したらさらに閉じこもっちゃいそうなんですよ、」

 

 ・・・・・・・・・・・・薄っぺらい自己擁護。

 でも何故だか不思議に、嘘だとは感じない、

 おかしいの、セシィの外見じゃからって、甘く受け止めてしまってるのかじゃ?

 

「それに、この体をこれ以上傷つける訳には、」

「それは大丈夫じゃ、我がそんなことするわけないし、我がその程度で止められるわけが無いだろ」

「えぇ・・・・・・??」

「むぅ? 何じゃその目、それじゃあ試しにやってやろうか? 『粉砕する大地、お」

 

「——おい、やめろ、何してる、」

 

 む、間に入った小さなおもちゃ。

 マキナが止めて、なんじゃ? 別にそんな、変な事はせんが、

 

「いや、魔法か? とにかく、やめろ、」

「別に、ちょっと気合い入れただけじゃろ? 周りには何も起きんよ、」

「そいつに、手を出すな、」

「は? 言われなくとも手は出さんよ。絶対にな、」

 

 ・・・・・・まあ多少乱暴に扱ったのは、移動させるためだったから違うって事で、じゃ。

 しかし、町を守るため? それでわざわざ止めに来たのか、何か、

 

「・・・・・・・・・・・・んん? 何だ、これ、」

「・・・・・・あー、なんかよくわかんないけど、助けてくれてありがとう、マキナ」

「っ、ん、あ、。・・・・・・誰だオマエ?」

「あ、やべ、」

「・・・・・・・・・・・・ちっ、貴様はもう黙ってろじゃ、」

 

 はぁ、気が抜ける。

 何というか、もっと危機感を、これじゃあ本気でセシィを救う気があるのか信じられなくなる。

 ・・・・・・いやまあ、その意思は感じるが、何故だか。理由はわからんが、何でだろう。おかげで未だに手っ取り早く殺す気にならない。

 

 だから、しょうがない。

 少しくらいは付き合ってやろう、セシィの頼みじゃしな。

 でもわかっておけよ。どうしても駄目なら我は、手段を選ぶ気はないぞ。

 

「——それは、ああ、頼もしいな、」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 化学の町を見回って、やってきたのは見覚えのある普通の家。

 何故だか異世界ドローンにくるくると案内されて、こんなとこまで来てしまった。

 

 えっとここに、何があるんだっけ、

 覚えてるような、いないような、記憶が曖昧。うーん、確か地下室で、中にあの子が、

 

「・・・・・・まあ、ようこそ、ただいま?」

「本体はここにいるのにそれは、おかしく無いかの?」

「む、じゃあ、おかえりなさい、?」

「それも、誰に言ってるのじゃ?」

 

 おー、ただいま?

 何だよく分からんが、ともかく地下室へ。

 

 しかし、ここに何か手掛かりがあるとも思えんし、勝手に変なとこ入って申し訳ないな。

 いや別にここは変な所では無いんだが、

 

「「・・・・・・・・・・・・あー、久しぶり、か?」」

「お、声が二重に、いやもっと?」

「別に、久しぶりってほどでも無いじゃろ、」

 

 そして再会した、ドラム缶みたいな外見の、その声。

 うーん、R2ー、いや、やめておこう。

 それがこうして元気に動いているのを見ると、何故だか感動を覚えるな。

 

「それで、ここまで来たが、結局何のようなんじゃ?」

「ああ、いや、用があるのは・・・・・・、まあ、ともかく、座れ、」

「ふむ、よっと、」

「おい、ジブンの方に近づくな、それ何度やるんだ、」

 

 こらこら、壊れたら大変でしょう。

 といっても、相変わらずここに椅子もないんだけど、

 いや、奥の方に一個だけあるな、でもこの体には大きいか。

 

 使われた形跡も全くないし、まあ座る人がいないんだから当然か?

 

「・・・・・・あー、それで、なんだ、」

「じゃ? はっきりしないの、」

「とりあえず、ゆっくりして行け、」

「はぁ? こっちもちょっと、緊急事態なんじゃが、」

 

 車輪のついた機械とドラゴンが話している。

 うん? まあ別に、ちょっと微笑ましい感じになる、かな??

 

 ——おい、オマエも巻き込まれるのは嫌だろ? 説得しろ、

 

「え、ああ、抗争?」

「じゃ?」

「ああ、そうだ。この中は、絶対に安全だ。落ち着くまで、ここにいても、」

 

 でもそれって、どれくらいかかるのだろうか。

 抗争といっても規模感は、内戦まで行ったら、下手すりゃ年単位で収まらないんじゃ、

 

「と言っても、それはどのくらいじゃ? あまりかかるようなら、無理にでも、我が終わらせて、」

「っ、だから、それが、」

「えっと、それは何か、まずいらしい、です、」

 

 うーん、丁寧に喋ると違和感持たれるし、かといって馴れ馴れしくいったらそれこそプチのめされる気がする。

 そもそも、あの子が親友とどんな風に会話してたのかよく分からないし、

 とても大切な記憶なんだろうな、いい事だけども。

 

 あの子にとって大切な記憶、それになる程思い出せない。

 つまり、自分が考えつかないほどの、奥の奥の最も重要なもの。

 それさえ分かれば、糸口ができそうなんだけど。

 

 でもそれが分かれば苦労しないというか、分からないからこそ意味があるというか、そう簡単に分かっちゃうなら違うというか。

 あー、いったいどうすれば、何かヒントは無かったかな・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

「おう、ようやく着いたか、」

 

 ——。 ——。 ——。

 

「まあ、少し遅れちまったが、問題ないだろ」

 

 ——。 ——。 ——。

 

「わざわざ招待されてやったんだ、さぞ豪華な歓迎してくれるんだろうな、」

 

 ——。 ——。 ——。

 

「それじゃ、行ってやるか。エウスとやらの所によ」

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