B小町の、いや、星野ルビーの人気は大爆発した。
恩人の死を感じて影を帯び、同時に深い愛を知り、惜しみなくそれを振る舞えるようになった。
家族愛は知りつつも、異性愛は憧れに近いものがあり、それが深いところまで踏み込まれた。
ぺかーと光り輝くだけだった光る石は見るものを魅了する深みを帯びた宝石に変わりだしたのだ。
「オタゲーしようぜ!!」
「は?」
「オタゲーしよう!!!」
「なんかこのノリ会長味を感じる……」
旅行からしばらく、人気絶頂のB小町が大きなライブをするということでチケットをアクアからもらったのである。
ありがとうと受け取ると『受け取ったな?』といい出し、『もう一人くらい人数がほしい。時間のある男友達はいないか?』と言われて紹介したのが、石上くんである。大学生なんだし暇やろと声をかけたらホイホイ来てくれたのだが、これである。
「ルビーを応援したい。しかし他のメンバーも応援してやらなければいけない。だから三人必要だったんだ」
「お、おおう」
「チケットと夕飯に釣られるんじゃなかった……」
夕食に釣られたと言っているが別にちょいちょい奢っているわけではない。
彼は先輩らしく後輩にたかるようなことはしない。
そもそも、彼自体裕福な家庭でお金に困っているとは言えない。
ただ、大学生になった石上くんは色々進み出して時々女性と食事に行く機会もあるようである。
そのたびに『バカにされたり鼻で笑われたりしない飯屋ってどこ!?』と聞かれるので教えているくらいである。
今回はいつもと違いその会長といっしょに食べに行くための男同士で行く美味い飯屋情報である。
「応援ならいつもアクアがしてるじゃん……」
「してるんだ」
「してるが最近寿にルビーちゃんばっかりずるいって言われて……」
ハイと渡されたのは赤のサイリウムである。
自分は青を持ち、石上くんには黄色のサイリウムを渡した。
「金髪のルビーちゃんが赤で、ピンク色のみなみちゃんが青で黒髪のミミちゃんが黄色なんだよな。なんでこの色に決まったの?」
「ルビーがアイと同じ赤がいいといいだして、寿がじゃあ赤以外かー。なら青や! ってな。ミミはなら信号機の黄色にする、目立たないしって」
「深いようで浅い理由だった……」
たまに送られてくるB小町とアクアの写真を見ると寿みなみはアクア色で青を選んだ可能性がありそうだった。
このB小町はアクアが集めたB小町というわけでないが、仲はとても良いようである。
「はあ、はあ、死ぬ。アイドルオタって本当にこんなことできんの?」
「石上くんは大学生になって運動不足なんじゃ?」
「くそう、芸能界っていう体育会系所属たちと一緒にされたくない……」
「ヲタ芸だぞ」
アクア指導のヲタ芸レッスンはなかなかの運動量である。
簡単なやつからと言われているが結構動く。
ステージからでも一発で見つかるだろうが動きが大きい。
「お前らヲタ芸なのにかっこいいんだよ! スタイリッシュ感じるんだよ! 全然陰の物じゃないんだよ!」
「闇は深いかもしれない……」
ボソリと口にする。
我ら色々と闇の深い陰の者である。
「そういう意味じゃない!」
しかし言葉にしない何かを感じ取ったのか、それ以降ちょっと石上くんはアクアに優しくなったようだ
石上くんは気にいると懐深いというか、結構ツッコム。
アクアも遠慮ないそのやり取りになんだかちょっと仲よさげだ。
ルビーを応援しつつも、変に欲の色のない目で見ているところもプラスポイントなんだろう。
まあ、アイドルとして応援してほしいけど、身内のスカートの中身なんだろうとかあれって乳首の影ではござらんか! と言われたくないのはわかる。
応援に行くならまっすぐガチか純粋に応援してくれるやつが気持ちがいいかも知れない。
こうして俺達B小町ファンスリースターズはコンサートでヲタ芸を披露した!!
バズった。