推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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104 こいつうっざーー!!

 

 有馬かなは今割とムカムカしていた。

 仕事は順調。

 

 子役のときはだいぶ追い詰められた時期もあったが、役者として自分の輝かせ方を知って伸ばし続けたこともあり、上々と言っていい。

 それでもまあ、周りにいるいかにもな女性らしさをもつ同年代の役者だのアイドルだのを見ると思うところがないでもない。

 

「(あ~もっと身長欲しかったな)」

 

 雰囲気のいい喫茶店でのんびりと休憩中だ。

 香りのよいコーヒーを口にしながら雑誌をめくる。

 そこには理想の男女の身長差に10~15cm差と書かれている。

 

 10cm差があると「守られている感じ」「並んだときのバランスが良い」と感じるらしく、15cm前後差があると女性がヒールを履いたときでも男性が高く見えるため、カップル写真や並んだときに「絵になる」らしい。

 

 キャラクターや演じる役柄や生まれたときからの長い関係もあり、あいつと何度もヒロイン役で一緒になる女がいるとちょいちょい私と比べる記事だの投稿だのが増えるのだ。

 

 幼馴染は負けヒロインじゃない。

 マジだから。

 ロリはマスコットでヒロインじゃない? ぶっ飛ばすぞ。

 ていうか、幼馴染は家族っていうなら家族を悲しませるな。人生の責任を取れ。

 

 イライラしながら見ている雑誌には『相性抜群!? 姫川大輝と星野ルビーの人気の秘密に迫る!』とデカく記載されていた。

 迫るべき秘密なんかねーわ。

 いやあるわ。結構あるわ。

 あーやだやだ。こいつアイドルのくせに。

 男いますよー! このアイドル男いますよー! 

 

「おっ、ロリ先輩それ見てくれてるんだ~。めっちゃ可愛く撮れたよね! このカメラマンさんスキー」

「じゃかしいわ! この小娘が!!」

「わ~小姑がおこった!」

「だれが小姑よ! 干すぞっ!!」

 

 眼の前にはなぜか雑誌に写っていた星野ルビーがいた。

 ぺったんこではないのでそういう面での嫉妬はないが、それでも成長止まりがちな自分よりアイドルとして人気のでるだろう体つきには思うところがある。

 

 ぐぬっ。

 ぐぬぬっ。

 身長の割にはよく発達したほうだが、肉体仕事側の仕事である役者業を行ってきただけあって、身体は絞られているし、体質なのかどうにも幼い印象が残り続けている。ふと見せるエロさみたいなものは出せるし、切り抜かれるが

 

「うーん、めちゃくちゃ仲良しなのがみんなにもバレちゃうなー?」

「はいはい、よかったわね~」

 

 アクアと行くつもりの旅行がB小町もついてきたと嘆きの連絡はあったが、それ以降のこいつの態度がだいぶうざいのである。

 夢見る処女臭さがなくなったので、これはやることやったなと気づいた。

 

 あのバカち◯こは義妹だからって我慢ができなかったらしい。ファンとかには手を出さないが、真剣に迫られると割とちょろい方なので時間の問題ではあったかも知れない。

 

 いやーまいっちゃうなーとか照れながら記事をあれこれ読み上げている。

 なんてうざい小娘なのか。

 

「でもこいつ頭軽そうなのよね……」

 

 大奥の主ではないが、色々こっそり采配しているが、こいつ言われるままに分け合う気持ちにならないだろうな。

 うん、結婚したいとかいいそう。無理だけど。

 

「あ、それって次のドラマ?」

「そーよ。あんたと姉妹だって」

「えー、おねーちゃん?」

「あんたが妹だけどね」

 

 役柄もあって、私のほうが姉だ。

 姉妹両方を好きになった主人公のどろっとした恋模様だ。

 ついでにエンディング曲はデュエットでどうだろうかと言われている。

 てめえ、アイドルと一緒に歌わせる気かよ。

 歌が下手な方の姉とは言われたくないのでめっちゃレッスンを入れてるが果たして間に合うだろうか。

 

 あー腹が立ってきた。

 

 今日は私が襲う。

 絶対許さない。空っぽになるまで出させる。

 

「あ~あ、会いたくなってきたなー。ロリ先輩、大くんいつ頃あいてそうかわかる?」

「来月」

「うわー、めちゃ恋しい!! 電話しよー! ……出ない!」

「そりゃ、仕事中だから出るわけ無いでしょ」

 

 子役のときほどではないが、仕事で埋まりまくるとあんまりフリーになる時間は出ない。

 私も大くんもリテイクをあまり出さないので仕事の数の割には時間が空いているが、それでも重なる時期は重なるのだ。

 

「……ロリ先輩もしかして大くんの仕事把握してる?」

「……してないわよ?」

「嘘だっ!」

「昨日聞いただけみたいな?」

「さてはスマホでスケジュール共有してるでしょ!」

 

 くっつかれてスマホを狙われるが見せるわけ無いでしょ。

 まあ、アイツのことだから多少絞ってもアクアとルビーに時間は作りそうだし、わざわざ空いている時間を教える気はまったくなかった。

 

「ぐぬっ、ロリ先輩なのに手強い……」

「役者舐めんじゃないわよ。体格で負けてもアイドルに負けるわけ無いでしょ」

「しゅーん」

「……別に、あんた相手ならほっといてもあいつが自分で時間作るわよ」

「ロリ先輩!」

「おい、いい加減その呼び名やめろ!」

 

 うざいしムカつくし、腹が立つのに困ってるところを見せられるとつい一言助けを出してしまう。

 まったくなぜだろうか。

 

 あいつの家族ではあるからか、同じ男に抱かれた仲だからか、

 それとも、実は内心では気に入ってるんだろうか。

 

「あ、このケーキおかわりお願いします!」

「何勝手に注文してんのよ。私払わないからね」

「割り勘でいいよね」

「私コーヒーしか頼んでないでしょーが!!」

「細かいなあ……アイドルへのお布施だからいいでしょ?」

「うっざ~~」

 

 結局ムカついて私もケーキを頼んでしまった。

 まあいい、追加で摂取したカロリー分運動すればいいだけである。

 

 

 

 

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