推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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[あらすじ]技を見せてもらうために自宅に呼び込んだアビ子先生は青春をこじらせて札束ビンタ土下座で姫川さんを買った(本人の認識上)のでした。
近しい先輩に何も言わないはずがなく……?


108 春を売ると言って売春

 

吉祥寺頼子は漫画家である。

 

月刊連載の漫画家で、連載の今日あまは大ヒットになったし、他の作品もちょいちょいヒットしている。

おかげさまでアシスタントを複数抱えてもやっていけるくらいにはしっかり儲けられている。

漫画家の基本的な収入である原稿料は原稿一枚あたりいくら、といったものであるため、月刊よりは週刊のほうが原稿料は多い。

だが、週刊連載は人間のやる仕事ではない。

1日中漫画のことを考え、1日中漫画を描ける人生=漫画の人間だけが週刊連載という仕事をこなせるのである。

 

そんな平和で漫画以外の時間もそれなりに楽しめる月刊漫画家の吉祥寺頼子には出世頭と言ってもいい元アシスタントがいる。

それが鮫島アビ子である。

抜群のセンスと、漫画だけあれば生きれる週刊漫画家スピリットを持っている。

おかげさまで普通の人間として生きる才能が欠如している。

今はまだ可愛く黒猫みたいな少女であるが、30過ぎて体が衰え始めたら一気にきそうな生き方している子である。

 

そんな生きていけてるか心配な子ではあるのでたまに様子は見てはいるのだが、忙しくてしばらく時間が空いているうちに……変化があったのである。

 

「け、化粧してる! ……肌艶もいい!!」

 

服はよれよれで何年着ているんだと言いたいスウェットで来ているが、それでもしっかり洗濯されている。

何日も着回してそうな獣の匂いがしないのだ。

一般では最低限と言われるラインのより一つ下ではあるが、彼女の見てきたラインからすると二段は上である。

 

「え? えへっ、そ、そうですかね……?」

 

これが年齢の差なのだろうか? 

最近始めたであろうスキンケア程度なのに、自分を上回っているような気がする。

見た目が幼いのは見たままだが、肌まで若いのか!?

おお神よ!どうして全く必要としないものにこのようなものを与えたのですか!

 

いや? まさか……え? まじで!?

 

「ど、どうしたの!? あなた野良だったじゃない!」

「え、なんですかノラって……いやまあ、ちょっとは気にしようかな……って」

「馬鹿な!?」

 

白目を剥き、背景に雷が落ちる。

古いマンガ表現が画風を変えるほどに衝撃的な話だった。

下手すると一週間1日も外に出ないで生きていけるクソ陰キャが身だしなみを気にする理由なんて一つしかなかった。

 

「ホストは漫画家がハマっていい世界じゃないわよ! 人生終わるわよ! ずっと売れ続けられる漫画家なんていないんだから売れてるときのお金を使いまくる生活を当たり前にするとコケたときにどうしようもなくなるわよ!!」

「ほ、ホストなんてハマってません!」

「担当だってホストみたいなもんよ! いい気にさせてはくれてもそれ以上はないわよ!」

「あんなやつにハマりませんっ!!」

「ならいいけど……」

 

一度だけ見たことある妙にペコペコする頭の軽い担当が脳裏に浮かぶ。

特にかっこいいわけではまっ……たくないが、出会いのない中であれば人間というだけで高評価を得てしまうこともある。

女子校の先生効果のようなものだ。

大事な弟子が間違った道を歩もうとするなら殴ってでも止めなくては行けない。

ホストでも担当でもないなら……ううん……同じ漫画家だが、漫画家が集まる場でこの子が進んで話しかけられるはずがない。

 

「あ、出会い系やったわね!?」

「で、出会いは出会いでしたけど、出会い系なんてやってません!! んもう! なんですかさっきから!」

「ええ、ほ、他に何かあった?」

 

もうネタが切れた。

吉祥寺頼子、月刊連載で多くのアシスタントに囲まれているが……自宅兼作業場になっているだけあり、自分もまた、出会いはなかったのである。

 

「ふふーん! これを見てください!」

「うわえろ……じゃなかった、かっこいいわね、てか姫川大輝じゃない」

 

自信ありげに見せてきたのは芸能人姫川大輝の写真だ。

刀を握り構えているが、ものすごく様になっている。

 

下手くそが撮ったせいで手ブレを感じるのに、それでもわかる見た目の良さ。

程よく、それでありながらしっかりついた筋肉がなんとも妙な色気を放っている。

薄着で首筋や胸元など肌が見えている部分が多いだけに、……いい。

全裸よりエロい。この汗は舐めれる。

 

これが香り立つ色気というのか……漫画に使いたくなるな。

後でこの写真もらおう。

 

しかし、なるほど。そういうことか。

 

「サイン会のあとファンになっちゃったか……」

 

まあわかる。

 

役者だけあって身体の見せ方がすごいのだ。

ただのポーズ一つで視線を奪う力がある。

ちょっと見せてもらった動き一つ取り入れただけでサブキャラの人気が倍になったこともある。

 

生まれた瞬間から一人で人生を生きることを定められた陰のものには眩しすぎる存在である。

ファンになってグッズに金を貢いでイベントに通い続けるには十分な輝きである。

あわよくばサイン会で再び話したいと思って身だしなみを気を使うくらいは理解できる話だ。

ファンと書いて奴隷と書くやつである。

 

「ファンと言うか、ですね。へへっ」

「おおっと、いくら対面でお互い認識があってもタッチはNGよ。セクハラは女がしてもセクハラだからね。相手は人気芸能人。すっぱ抜かれたくなければお行儀よくするのよ」

「もう! 違いますから! いいからさっさと飲みますよ!」

 

いつまでも待ち合わせ場所で話し続けるわけにはいかないのは確かである。

場所は移して個室である。

漫画家同士の、それも女同士の話になるとどうしても多方向に話が飛ぶし、場合によっては掲載されていない話の相談をされたりすることもあり、こういう話をするときはいつも個室で話すことにしている。

 

「はあ!? 金で買った!?」

 

衝撃的なことを聞かされてしまう。

ああ、ここが個室で良かった。

 




あっちを見てないとよくわからねーじゃんですが、エッチくない部分はこっちでいいかみたいなきもちもあり……!

アビ子先生のR18でやった話の流れがわかるように修正して掲載しておいたほうがいい?

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