推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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111 秘められしもの

 

 インターホンを鳴らす。

 

 場所は星野宅。

 もう何度かやっていることではあるが、ちょっと緊張する時間でもある。

 といっても斎藤夫婦も二世帯住宅状態で一緒に住んでいるので苺プロ一家宅という感じでもある。

 入口は別ではあるが、普通にミヤコさんが出てくることもあるのでちょっと緊張がないでもない。

 

「あ、大輝くんいらっしゃ~い」

 

 ルビーちゃんの声に招かれてお宅訪問である。

 今日はルビーちゃんに会いに来た訳ではないが、会える分には嬉しいことだ。

 飛びつくように抱きついてくる彼女を抱き返して唇を軽く重ねて笑い合う。かわいいね。

 

「アクアは?」

「お兄ちゃんならまだ帰ってきてないよ。30分くらいで帰ってくるらしいからそのままアクアの部屋で待ってて」

「ん? ルビーちゃんは?」

「お仕事! 残念だけどもう出なきゃなんだよね……。またデートしようね!」

「そりゃ残念。またね」

 

 勝手知ったるというほどではないが、アクアの部屋の場所はわかっている。

 石上くん含めて遊ぶ機会のせいか、アクアの部屋には最近ゲームが増えたので、待つ間はなにか適当にやってよう。

 

 アクアの部屋は相変わらず整理整頓されている。

 年頃の学生らしい煩雑さはなく、いま写真撮ってブログに上げてもアクアのイメージ通りといわれそうなほどで、完璧にデザインされてそうである。

 

「そういえば、エロ本とかないんだろうか」

 

 普通の学生と違い金はあるアクアだが、年齢が年齢なので、そういうお店には行けないだろう。

 付き合っている彼女もいないはずだ。

 そうなれば、性欲あふれる中学生の体である。

 何もしてなくてもエロくなくても立ってしまうほどの暴力的な性欲の溢れた時期を一体どうやって乗りこなしているのだろうか。

 

「まあ、スマホがあるか……」

 

 アイ、ミヤコさん、ルビ……女所帯のなか、早々そういうものを部屋には置かないか。

 現代の利便性を考えればおかずは雑誌や本である必要はまったくない。

 デジタル世界である。

 そもそも、なにかしでかしかねないルビーちゃんが妹の状態で尊敬されている先生の身でそんなことはできないか。

 

 ……いや、でも、アクア(ゴロー先生)だしな……。

 本を読むならタブレットじゃなくて紙だろ常考(常識的に考えて)という可能性も……ある? 

 

 途端にきれいな部屋が宝の眠る場所に見えてきた。

 

「ベッドの下、じゃないか……」

 

 そこまでありきたりな場所に隠すことはなかったようだ。

 となれば、机の中でもないだろう。

 ルビーちゃんが普通にのりとかハサミを借りに来たとかで開けていきそうな気がする。

 ルビーちゃんの部屋との違いから、アイやミヤコさんが掃除しているのではなく、部屋は自分で片付けている。

 部屋の配置すべてがアクアの意思でもって配置されている。

 

 ……ちょっと探して『やっぱりないんだ』と思わせる。

 そういう作りになっているはずだ。

 机、ベッド下、クローゼットの中。

 そういったありそうなところにはないと見るべきだ。

 

 逆に考えよう。

 どこならアイやルビーが触らないか。

 

 俺は部屋を見渡しながらここだろうかと見当をつける。

 

「医学書とかいろんな"賢そうな本"が並んでるな……」

 

 ご立派な本の隠し場所はご立派な場所ではないだろうか。

 医学書なんかの高額な書物はケース付きだったりするので、別のものを隠すことは可能だ。

 じっと見つめると何冊かのケース付きの本の前だけ本棚の中でホコリのつき方が違う。

 必要なものとして購入されていても、アクアは医師免許を獲得した前世がある。

 学生の身でもある。

 

 買ってあってもそこまで頻度高く医療関係の本を読み返すことはないのだろう。

 もちろん別に気になるほどホコリが溜まっているわけではない。

 そう、この辺だけ一週間以内に動かしてそうな感じがするなあ……というだけである。

 

「ビンゴ!! ……お、おう。巨乳女子高生ものだ……」

 

 せんせってそうなんだ……。

 知らなかった。

 てっきり……ロリ派かと……

 

 いや待てよ? そもそもアイを推していたのはさりなちゃんを重ねてで、さりなちゃんは異性と言うよりは推しとして見ていて、推し(さりな)推し(アイ)推し(さりな)を重ねていたところもあったはず。

 つまり、好みの容姿はアイと一致しているとは限らないのだ。

 原作で付き合ったのはあかねであるが、あれは色々複雑な要因ありきで好みの外見だからというわけではない。

 好きなタイプを聞かれてルックスの良さは出していたが、性癖に繋がる部分は隠されていた。

 

「ははあ……」

 

 今世では自慰をすることがないので、俺は持っていないが、こうやって見るとなんだかナマナマしいな……。

 

 ん……? 

 

 分厚いケースの中にはヌード雑誌などが入っていたがその中に一冊だけ非R18が入っていた。

 

「……寿みなみ……?」

 

 新生B小町に所属する三人のうちの一人、寿みなみだった。

 アイドルでありながらグラビアアイドルでもある彼女はアクアと同じ年だがもうかなりのものである。

 ボボンキュボンである。

 コレで最大ではないのだから流石である……。

 

 だから青少年であるアクアがグラビアを持っていてもおかしくない。

 おかしくないが……

 だが、こうしてエロの中に混ざっている分、余計生々しい……。

 

 よく開くページがあるようで、めくったときにさっとそのページが開いた。

 

 ──うん、とてもエロい。

 

 そっと閉じてバレないように慎重に慎重にすべてを現場回帰した。

 

「そうなのかぁ……」

 

 ゲームを起動してバレないように装いながらもなんだか弟のことに頭がいっぱいだった。

 そうなのか、アクア……

 そうなんだな。

 

「すまない待たせた」

「こちらこそごめん」

「……は?」

 

 謝罪は全く通らなかった。

 よくわからんと困惑するアクアにごまかすようにコントローラーを渡した。

 

 ……きょうはたのしいひでしたまる。

 

 




アナログに安全な場所などないのだ……
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