推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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『続いてのニュースです。

 元B小町のアイドルで、現在はマルチタレントとして活躍する“アイ”さんが、本日未明、自身のSNSを通じて“出産に関する重大な報告”を発表しました。

 子どもを授かっていたものの、相手のプライバシーや仕事への影響を考慮し、公表を控えてきたということです。

 しかし、周囲への配慮や子どもの将来を見据え、今回の発表に踏み切ったとみられています。

 

 発表の中でアイさんは、子どもの父親については“一般男性”と説明し、結婚の予定はなく、シングルマザーとして育てていく意向を示しました。

 また、『これまで応援してくださった皆さまに、私の家族が増えたことを祝福してほしい。親に愛されなかった自分も社長やファンの皆さんに愛されることで愛を知り、こうして家族を持つことができました。子どもを愛する一人の母親になります』とコメントし、休止期間は設けるものの、今後も芸能活動は継続する方針とのことです。

 

 ファンの間では驚きの声が広がる一方で、アイさんの決断を尊重し、温かく見守る声も多く寄せられています。

 

 以上、最新のエンタメニュースをお伝えしました』

 

「SNSでも全体的に温かいコメントが多いわね。まあ、旧B小町の中でも家庭をもったのって複数いるもんね。ニノとか、◯◯とかさ」

「それにすでにアイドルを引退してマルチタレントしてるもんな。引退と同時ではなく、それなりに年数経ってからだからアイドル中に裏切っていない証明みたいな形になって応援されてるっていうのもあるかもしれない」

「それでも熱狂的なファンは居るみたいだけど、そこはまあ、アイが全然老けないからかしら」

「確かに、30過ぎたようには見えないよな」

「そうね。あんたもちゃんと立つもんね」

「いきなりの下ネタ……」

 

 ぎろりと睨まれた。

 ここは俺の自宅でリビングのテレビ前でカナちゃんと一緒にテレビを見ていたのだが、その姿勢は正座である。

 

「心配しなくてもカナちゃんも年取らないタイプ……いた!」

「誰がエターナルロリか!」

「言ってないし、カナちゃんはなんだかんだ女性的な魅力も高いからシコれると噂で……イタっ」

「誰がそんなこと言ってほしいと言ったのよ」

 

 どこのバラエティでもらったものだったか忘れたが、大きな人を指す指のついた棒が俺の正座した足をバシバシ狙って打つ。

 本気で殴られているわけでもないのでまあこそばゆいくらいだ。

 

「……あんた、結婚するんじゃないわよね」

「しないよ。できない。それに、するならカナちゃんとするさ」

「そー……」

 

 ギラギラしていた目が柔らかくなるのを感じる。

 しかしそれも腕を組んでプンスカして『怒ってるからね、わかってる?』という表情に変わる。

 こういうわかってもらうことが前提の怒りの姿勢を見せてくれている分、文句はあっても本当の本当のレベルで怒っているわけではない……かもしれない。そうではないかもしれないが、縁切りしないでくれるのはありがたいことである。

 かなちゃんに去られたら悲しいではすまないだろう。

 

「……私も30になる前に仕事調整つけるから、その時生むわよ」

「計画しっかりしてるね……」

「私は年取っても急にニョキニョキ伸びる感じしないし、年を取ればどうあがいても役幅は小さくなるでしょうね。25前後……27くらいには調整つけるつもり。……貯蓄は十分あるでしょうし、男女ひとりづつはほしいわね」

「お、おう」

「アイはあんたなしでも育てるでしょうけど、私は"パパ"もしてもらうわよ」

 

 この辺はアイやルビーちゃんとの差かもしれない。

 なんだかんだでカナちゃんにはお父さんがいたのだ。

 

「ああ。パパになっていいならなるよ」

 

 そしてそれは俺もそうである。

 アイとカナちゃんだけでも複数の子どもを持つことが確定しているが、"一般男性"との関係を発表したアイのことを考えると俺は普通の男親のように運動会や保護者会に行くことはないだろう。

 そうしてほしいと思われないのは助かる反面少し寂しく、そうしてほしいとお願いされるのは嬉しい気持ちがあった。

 

 ああ、カナちゃんはこんなこんな俺であると知ってもまだ家族でいてくれる。

 家族を作りたいと言ってくれる。

 

 愛おしいという気持ちが体を溢れてしまいそうだった。

 ……怖いな、この心。

 

 **

 

 ああ、やはりこうなったか。

 

 強い波にさらわれて私の夢の砂でできたお城は崩れていった。

 

 幸せに笑う両親と子ども。

 笑顔の絶えない温かい家庭。

 そこに大きなペットも加えてほら完成。

 

 ──でも、波に攫われていった。

 

 崩れた。

 ありきたりな夢は普通じゃない私には難しい夢だった。

 

 別に今回のことを裏切りとは思っていない。

 やればできるのだ。

 いままでも可能性はあった。

 彼も事故を起こさないようにする用心深さはあったが、複数人と関係を持っている相手である以上確率の問題で、つまりは時間の問題でもあった。

 

 人生プランに役者が置かれていて、最低でも20歳まで続けていたいと思っていた段階でアイと関係がなくても、おそらく夢は叶わなかっただろう。

 彼の相手には彼の年上もいて、私が20になる頃には彼女達も同じだけ年を取るのだ。

 別れて新しい相手を見つける相手はいいとして、別れない選択をした女性はずっと別れない確約を欲しがるだろう。

 幸せにしてくれると信じていても、なにせ彼は離れていく相手を見送っている相手だ。

 

 若さという強みはなくなるものなのだ。

 彼の反応が変わらなかったとしても周囲の扱いは変わる。

 よく知っている。

 なのに彼は変わらないといつまで信じていられるだろうか。

 

 彼女たちが捨てられないためにできることを準備しだせば同じことは起きただろう。

 

 だから、プランは複数練っている。

 役者は長く続けて、十分に稼いでから子どもを作る。

 それなら……人生を幸せに生きることができる。

 

「最悪のプランは私以外の誰かと結婚してしまう場合」

 

 結婚すればあいつは責任を取って他と別れるだろう。

 隠れて相手を裏切り続けるような真似はしないだろう。

 

 だからこそ唯一の勝者になる夢を捨てずに残していた。

 

 けど、悪いことばかりではない。

 アイは自分と同じ結婚の可能性のある相手だったからだ。

 

 アイと自分(有馬かな)であれば自分の方を大切に思ってもらっている自信がある。

 でも、星野家であればどうか。

 星野兄妹の二人と合わせた三人であれば。

 

 しかし、結婚しなかった。

 

 だから前例ができた。

 ”子どもができても結婚しない” という前例だ。

 

 言わなくてもするだろうが、きっと彼はアイも生まれてくる子どもも大切にするだろう。

 それを見れば他の"別れないこと"を選択する女性たちにも"結婚はしないけど子どもを産むなと言わないし援助をする"という選択肢を信じてもらえるだろう。

 子どもができたから別れるなと脅す必要がなくなる。

 そんなことをしなくても別れないし関係を続けるのだから。

 

 だからきっと、私のセカンドプランはうまくいくだろう。

 気の済むまで役者をやって、子どもを生んで、普通じゃないけれど幸せな家庭を作ることができる。

 

「憧れてたんだけどな……」

 

 仕方がない。

 私は役者でいたいのだから。

 

 ああ、涙は見せるべき舞台で流すものなのに……。

 

 

 




納得してるし明日も夢に向かって頑張るけどまあ全く思うところがないわけでは全然ないかなちゃん。
きっとアニメで見せた闇顔してます。

産まれてくる子供は?

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