「あのさ~。別に妊婦って病人じゃないんだよ」
「え……?」
アイのお腹が大きくなりだす頃になると、なんというか、彼女のことが脳裏によく浮かぶようになった。
大丈夫だろうか、無理していないだろうか。
すると様子を見に行きたくなるので、そのついでに食事を作ったりしていた。
レシピを見れば作れるし、記憶力もあり一度作ればもうレシピはもう見なくても作れるし、舌の感度も悪くない様で味の善し悪しはよくわかる方である。
ただ、家族のためになる行為を好んでしていた努力家であるアイと比べれば正直なところまだまだかもしれない。
そもそもの話、忙しいこともあり時間のかかる料理なんかの経験が薄かったりすることもあり、単純目な物が多いということもある。
とはいえ、子供の頃から一人暮らしであることは伊達ではない。
体のためにも栄養については気を使っていたこともあり味自体は悪くはないはずだ。
個人的にはアクアやルビーにも料理を作ってあげられるというのはちょっとした楽しみな部分もある。
だが、アイからストップが入ってしまったのである。
「いや、そんなにショックな顔しないでよ。あのね、私、今仕事してないでしょ? 暇なんだよね。買い物に出かけたり時間のかかるお菓子焼いたりって結構いい暇つぶしになるんだよね。アクアも運動量には注意してって言ってくるしさ」
「あ~……」
「ごめんね?」
背負ったリュックの中にはスーパーで買ったあれこれがたくさん詰まっていたが、ちょっとやってしまったな、という感じがする。
「だからさ、今度はいっしょにいく?」
「え?」
「だから買い物と料理」
「ぜ、ぜひ」
「是非ってなにそれ」
へんなのーと笑われてしまったが、まあ、確かに妊婦のことをよくわかってなかったかもしれない。
ちょっと浮ついて相手のことを見ずに色々焦っていたかもしれない。
アイと……アクアによく聞いてみよう。
ルビーは時々極端なファンの意見が飛んでくることもあり、アイについてはちょっと偏りすぎる可能性がある。
「俺はなんかうちと味付けの違う感じで好きだけどな。濃い味が多いし」
「うーん、まあ、男料理って感じはするよね。パスタ系だけ盛り付けの見た目がいいのがちゃらい」
「ひどい」
「嬉しいけど家のご飯はママの料理が食べたいんだよなーって実は思ってるけど、男の思いやりは黙って受け取ったほうがいい女なのかな? と思って黙ってる私っていい女?」
「それを言わなきゃな」
「ひどい」
弟妹たちからはフルボッコである。
アイの態度は子どもたちの内心の思いを受けてでもあるのかもしれない。
ふたりともアイ大好きだからなあ……。
彼らの居場所やコミュニケーションを邪魔しない程度の関わり方が今は一番なのだろう。
なんだろう、再婚した夫の気持ち。
「あーでも、お腹重くなってきたーって体凝ってるみたいだからマッサージとかいいかもね」
マッサージなら任せてほしい。
腰でもどこでももみほぐそうじゃないか。
普通のマッサージだって評判いいのだ。
「まあそうだな。……また双子みたいだしな」
「賑やかになるよねえ」
そう、アイのお腹の中の子どもは双子だったのである。
……ちょっとアクアとルビーに重なるせいで転生者だったりしないかと不安になるところがないでもない。
生まれ変わりは確かに前世の未練を果たせたり経験を活かせたりするが、トラウマや負の負債も引き継ぐことになる。
「アイドルで隠さなきゃいけないわけじゃないから帝王切開も可能ではあるから俺達のときよりはいいんだろうけど」
「え~、痛くなんてない方がいいよ」
「そりゃそうだけど、必ずしもするりと生まれるとは限らないからな。まあ、アイならなんてことない顔してスルッと産みそうだけど」
「楽しみだねえ。私達みたいに男女だといいな。弟も妹もほしいもん」
誕生日の暴露からなんだかんだで食卓を一緒にすることが増え、なんだか賑やかだ。
普通の家庭っぽい。
「そういえばそろそろ入学式?」
「うん、そーそー。写真送るからねー」
「うんうん。ふたりとも楽しみだな」
「俺は送らないけどな」
「お兄ちゃんの分も撮っておくよ」
それはアクアのことも送ってくれるってこと? ルビーちゃんをアクアの分も送ってくれるってこと?
……もしアクアの写真がなかったらアイに貰おう……。
こんな感じで星野家に姫川大輝を追加した家族関係はゆっくりと形作られ始めていた。
マッサージは伏線……まだ書いてないけど!
出番が多いと嬉しいキャラは?
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星野アイ
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星野ルビー
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星野アクア
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有馬かな
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黒川あかね
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MEMちょ
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寿みなみ
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不知火フリル
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鮫島アビ子
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吉祥寺頼子
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ツクヨミ
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かぐや様のキャラ