「あ、この人知ってる」
「メルトくん? そういえばアクアとも共演しとったなあ……」
今はお昼時。
ルビーは学校でお弁当を持ち寄り三人でぱくついていた。
話題はテレビの話になり、予告の出ていた『恋愛リアリティショー』の話になったのである。
ここにいるのはB小町のアイドル二人と売れているマルチタレントのフリルである。
自分のことはあまり大きな声で語れない立場であることもあり、ドラマだのなんだのの恋愛話であれば気軽に話せることもあり、話が弾む話題の一つである。
恋愛はするのも楽しいが聞くのも話すのもとっても楽しいのだ。
それが自分に少しでも関係ある相手となればなおさらだ。
「……ふうん?」
タブレットに写った鳴嶋メルト。
ルビーの兄のアクアと高校なのにホスト物なドラマに出ていた気がする。
タブレットに目を向けていたみなみは気づかなかったようだがフリルはなにか面白いものを見つけたように目を細めた。
こいつになにかあるのだろうか。
ルビーもタブレットを見つめる。
「鳴嶋メルトね。顔だけのモデルかと思ったけど、最近は少しずつ役者方面でも良くなってるかも。アクアと共演するまでは全く経験がなかったらしいから頭角現すかもね」
「そういえばちょっと演技について教えたみたいに言ってたかも?」
「へー、さすがアクア。おにーさんはすごいなあ」
早速第一回を流す。
みんなの自己紹介から始まっているが、メルトはアイドルじゃなくて役者でやっていきたいらしい。
この番組でチャンスを掴みたい! と言っている。
なるほど、夢があるようである。
そのメルトをじっと見つめるのはメルトより少し年上っぽい女性。
メーキャップアーティスト見習いだという彼女はどうやらメルトとなにか関係があるらしい。
何かを含んだ態度を取っている。
「うーん、この子とメルトくんなんか関係あるんやろか? 最初からみょーに距離近くあらへん?」
「……これは元カノ。しかも振っておいて垢抜けた彼によりを戻したがってる感じと見た」
「そんなん……あるんかなあ?」
「フリルちゃんすごいねー」
言われてみると二人の距離が近い。
二人のというか、彼女の距離が近い。
逆にメルトの方は少し引き気味である。
表情も彼女の紹介からちょっと硬い。
……これは、ありますねえ!
ルビーはワクワクしてきた。
恋愛リアリティーショー。これは毎週見るリストに追加するか。
ふんすふんすと鼻をならしていると、フリルちゃんから爆弾が投下される。
「というか、みなみ、アクアのこと呼び方変わったね」
「へあっ!?」
「ホントだ!? どしたのどしたの!?」
アクア呼び名問題である。
星野アクア、星野ルビーが芸名であることもあり、双子でもあることもあり、クラスメイトもアクアと呼ぶが、みなみちゃんはB小町としての付き合いが昔からあり、おにーさん呼びだった。
あくまでルビーの兄だからおにーさんなのである。
入学してもおにーさんだったはずだ。
それが、いつのまにかアクアになっている!
……アクア、なんかセクハラでもしてお兄さんじゃなくなっちゃったのかな?
「なに、みなみ、アクア気になってるの?」
「き、気になってるわけ……あるけど」
「あった!? え、え、みなみちゃんそうなの? そうなの? アクアに? ウッソー!!」
「最近距離が一歩近くなったから気になってたんだよね」
「うわー、フリルちゃんってばめいたんてー! さすが! すわりっぱ探偵!」
「安楽椅子探偵ね」
「いや、まだそんなやないし……」
「くうう、身近でも恋愛リアリティーショー始まってた!!」
「まあ、私達よりはただれてないし、ピュアでいいかもね」
まあ、自分たちはただれてるもんな……。
一人相手に複数付き合ってるし、うまく行っているのが不思議なくらいではある。
アイドルやっている身ではむしろうまくいく相手のような気もして入るが、普通の高校生にあった恋愛関係ではないといえばないし、甘酸っぱい感じとは一切無縁ではある。
ドキドキというかあへー♡って感じだもんな……。
顔を真っ赤にしてぱたぱた手を振っているみなみは実に高校生らしい青々しい青春味を感じる。
ルビーとフリルのタッグによる『アクアどこがよかったの』聞き込みはお昼休み終わりのチャイムが鳴るまで続いたのだった。
原作とはOUT:アクア、あかね、MEM、IN:メルト、メルトの先輩
メルトくんの相手はメルトくんをやり捨てした先輩。
メルトは先輩から逃れるためにもゆきに接触するが、うまくいかずにだんだんと先輩に詰められていく。
どこか病んでいる感じが漏れ出していると噂。
#メルト喰われる
#メルト逃げろ
#メルト「ああ! 窓に! 窓に!」
程々に人気に、でも無事炎上はせずに終わることができた模様。
メルトはある回以降、げっそりして出演していた。
メルトくんの相手はメルトくんの初めての相手。
相手は中身が詰まってうれしい!と思っているがメルトくんはお前のための中身じゃないよと逃げ腰。