「ね~、どうしたの?」
「しゃ、しゃべった……」
「しゃべるよ?」
きらっきらした目がこちらを見る。
一瞬にして目に焼き付けられる。顔小さい、かわいい。女神だ。
危うく目に星の光ではなくハートマークが浮かびそうになったところをブルブル顔を振って耐える。
俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった……。
でもファンはステージで歌う最高に可愛いアイにチュッ♡ とかされるんだろ、やばいな!
いつか都合をつけてコンサートに行ってみるべきだろうか。
こちらをじっと見つめるアイの視線、
「あ、うん。その……どうしたの?」
もじもじしながら返事をする。
なんだか急に気恥ずかしくなった。体温が上がっているのを感じる。
「いや、役者さんばっかりなのに子供がいるからさー。どうしたのかなって」
「あー、うん。お父さんがここと関係があって練習させてもらってるんだ。舞台にも立ったよ」
「へー、すごいね」
何が目的なんだろうか。
なんだか妙に興味深めに見られている気がする。
下手するとカミキヒカル以上かもしれない。
「ねえ、──お父さん好き?」
「え? う、うん」
「愛してる?」
「う、うん。愛してる」
「お母さんは?」
「お母さんも愛してる」
いきなりの愛問答だったが、まあ楽勝である。
ふたりとも俺のことは愛しているし、俺だって愛してる。
悪いがうちの家庭には問題がないので俺はカミキヒカルやアイとは一緒ではない。
「じゃあ、愛って何?」
アイッテナニ?
さっ……三歳の子供に愛をたずねないでほしい。
間違いなく両親を俺は愛しているはずだが、愛って何? と言われると難しい。
そもそも、はるか昔から人類はアイに名前や色で縛り付けてきたが未だよくわからないものなのだ。
なんだろう。笑ってくれると嬉しいとか、胸が膨らむ気持ちとか、ずっと一緒にいたいとか?
「一緒にいると幸せで、一緒に幸せになりたいって思う……こと?」
「ふーん。そうなんだ。ファンは私と一緒にいると幸せになるのかな」
「な、なるんじゃない? 応援してるわけだし……」
うりゃおい! うりゃおい! である。
アイを応援するさりなちゃんもゴロー先生も幸せそうだった。
人生において夢中になれるものを持てることは幸せだ。
多数へのものでも、本人嘘のつもりであっても愛を受け取れる。
「君は?」
「え、えと?」
「私と一緒にいると幸せになる?」
えー、なに? ナンパされてるの? 俺。
悪いねえ、カミキクン! アイさん寝取っちゃったねえ! (寝てから言え)
だが、罪深さがカミキヒカルの比ではないぞ、アイさん。
三歳だからね、俺。
応援しているかといえば応援しているけども、ファンかと言われればまだライブにも行ったことのないにわかである。
おそらくルビーにもアクアにもファン認定はされないだろう。
即座に布教はされるだろうが。
「い、いや別に……」
「そっか。そりゃそうだよね……幸せ、愛……かあ、愛されてるから愛せるのかなあ……」
なんだか納得がいったような行かないような顔をしてフラフラいなくなってしまった。
うーん、だいじょうぶかなあ、一番星のアイドルさん。
ちょっと不安になってきた。
彼女について考えるに、正直、カミキヒカルは恋人としても夫としても外れ男だと思う。
元彼だとして自分の子供への責任を全く取っていない。
養育費も払わなかった。
事務所にも黙ったままだった。
病院にだって相手として行かなかった。むしろ殺しに行った。
どう考えても祝福してない。やりっぱなし男である。
ただ、彼のお陰でアクアとルビーは生まれ、アイは愛を知ることができたのだ。
彼でないといけないわけじゃないのかもしれない。
けど、彼でなければ16歳で出産するようなことはなかった……かもしれない。
アイドルとファンの
なんかこう、カミキヒカルと出会わなかった場合それはそれでなんか「愛している」を安く連打する男あたりを「これが愛だ」と決めることにして依存しそうなきもする。
『結局私もお母さんといっしょだったね』と悲しそうに笑うアイの姿が浮かんだ。
わかりやすいバッドエンド。歴史は繰り返すやつである。
……うーん、それよりはカミキヒカルとはマシな相手なのだろうか……。
いや、ないな……。
なんとなくアイは家族の形に父親を求めてない気がします。
家族の形に父親が必要がないことも子供ができたときにカミキヒカルを必要としない理由かなって。財政豊かっぽいカミキに頼る考えがないというか。
逆に家族ではなく女性からの愛を裏切られた/必要としているカミキヒカルは子供ではなくアイを必要としていて、アイが死んだ後の子どもたちがアイくらいに大きくなったからちらちら現れだした……とかなんとか。
本誌で愛の深掘りが行われていてドキドキする毎週ですw