俺は目の前の親子判定の結果を震えながら手に取る。
これは爆弾だ。
俺の家族を壊す爆弾だ。
カミキヒカルはそれに火をつけて投げ込んだのだ。
カミキヒカルは一家を壊すためにやったんだ。
なぜ? どうして?
怒りがふつふつと湧き出し頭が働かない。
あの異常者。
カミキヒカルが薄く微笑む姿が頭に浮かぶ。
姫川愛梨はアイではない。
確かに幼少期にカミキヒカルを抱いて彼を狂わせた一員であっただろうが、もう何年も前の話だ。
確かにアクアは何年もカミキヒカルを追っていた。であれば親のカミキヒカルが執念を持っていたとしてもおかしくない。
殺したいほど恨んでたというのだろうか。
そうだろうか。
カミキヒカルの演技や俺に対する態度は恨みを抱いていなかった。
所詮アニメの情報と違って生の情報は遥かに俺にとって重かった。
第一それができるなら、吾郎先生を殺したからってララライを辞める必要はなかった。
感情を表に出せなくなったカミキヒカルを知っている。
だから、それまでの彼の感情はまるきり嘘ではないはずなのだ。
死ぬほど恨む女の子供にあれほど親切にできるのだ。
だからだ。
姫川愛梨も、清十郎も、大輝も……カミキヒカルが殺すほどの彼にとっての重みはないと勝手に信じていた。
認める。
俺が馬鹿だった。
この世界は俺にとって現実だった。
星野アイは俺の弟妹を襲う悲劇だったけど、それでも他人事だ。
俺が馬鹿だった。
一度しか会ったことのないアイドルのことより自分の家族を考えるべきだった。
今更後悔を募ってももう遅い。
殺人鬼になると知って、殺人を犯したとわかっていて俺は彼を放置した。
殺人を犯した……これからも犯すだろう人間を知ってて放置した。
そうだな、そうだろう。
俺の罪だ。
死者は蘇らない。
転生のあるこの世界で、けれども主役ではない父と母はきっと蘇らない。
俺への罰だ。
「カミキヒカルぅ……かならず、かならず……」
お前は俺から両親を奪った。
俺の罪だろうが俺への罰だろうがお前が一番悪い。
「ころしてやる」
どうせ一度死んだ身だ。やってやる。
ああ、やってやる。
俺の家族を破壊したやつが生きて繰り返そうというのだから。
最初の目的を果たす。
二人の弟妹を助ける。
そうじゃないなら二人が死んだ意味がないじゃないか。
二人が死ぬことを見逃して彼女を助けようとしたのなら、助けられなければ無駄死にだ。
あの二人が……あるいはこれからできるだろう俺の兄弟たちが死んだ意味。
彼らの命の重みがカミキヒカルに奪われてしまったのならそれを奪い返さないといけない。
俺は俺の復讐劇を始める。
死んでくれ、カミキヒカル。
ようやく推しの子一話なわけですね! 気持ち的には!!
(実際は推しの子ではカットされている高校生になるまでが続くわけですけど。原作遠いぜ)