推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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027 ドアチェーンを誰なら開けることができるか?

 

 原作でアイ殺害には共犯がいたとされている。

 

 なぜならドームコンサート直前に星野一家は引っ越しをしているからだ。

 

 人間、生活圏というのは決まっており、職場の延長線にあるどこどこのスーパー、コンビニ、飲食店……ファンの目撃証言を集めていけば範囲が絞られてゆき、SNSにあげられる自宅写真や窓の外の背景を元に場所が割れる、なんてことが起こる。

 

 ただそれも情報が集まるにつれ特定される、という話なので、引っ越してすぐとなるとなればなるほど、見つけることが困難になる。

 元はただの大学生であったリョースケには見つけるスキルがないだろうとされ、共犯の存在が囁かれた。

 

 原作ではそれを元に【住居のリークが何者かに行われた】こと、『事務所の稼ぎ頭であり保護者でも社長ではないだろう』、『グループメンバーのB小町は自宅を教えるほど仲が良くない(少なくとも双子のことを教えておらず、双子視点今まで一度も彼らが自宅を訪れたことはない)』ゆえに住所をリークしたのは『アイ自身である』とされている。

 そして、そのアイがリークしただろう先こそが『アクアとルビーの父親』である。

 

『アイは交友関係が非常に狭く芸能界にほぼ限られる』こと、そして父親は『DNA検査で確認することができる』ことから、アクアは芸能界に挑むことになる。

 

 上記はほとんどがアクアの当てずっぽうである。

 証拠というか根拠をアクアはもっていない。

 吾郎先生の母親は父親が何者なのかを告げないまま出産後に亡くなっており、父親という存在自体に思う所があるように思う。

 

 それ以上に母を自分がそばにいたのに助けられなかったことからの逃避もあるかもしれない。

 原因は自分以外にあると思いたい気持ちはわかる。

 アイを狙っていて自分のことを殺したリョースケを知っていたのに彼に対して何も対策を取らずアイを殺されたアクアなのだから。

 

 ただ、上記の推論も状況を考えればいくつか根拠を見出すことができる。

 

 死亡時、アイは「ドアチェーンってこういうときのためにあるんだね、孤児院では習わなかったよ……」というし、しばしば『ドアチェーンがかかっていれば助かった』みたいな話を見かけた。

 

 本当だろうか? 

 

 正直、一人暮らしをしてる女子大生だってドアチェーンくらいかけたりする。アイドル事務所を持っているイケメンの彼は女性がドアチェーンをかける可能性くらい知っているだろう。であればかけられないことにかけたのだろうか? 

 

 そんなことはない。

 

 そして、リョースケの行動からいくつかの推論は事実になるのだ。

 

 ポイントになるのは次の点だ。

 相手の家に関係を秘密にしたい人間がこっそり会いに行くときどのようなカッコをしていくか? 

 

 アイからの電話で新居の場所を聞いて会いに行くと言ったカミキヒカル。

 アイは彼がどんなカッコで来ると思うだろうか。

 

 きっと『リョースケのように顔や正体を隠して来る』だろうと思ったに違いない。

 

 もし確認に『はーいだれですか?』と聞かれたら顔を隠すように花束を見せればいい。

 

 それだけで【アイは正体を隠したカミキヒカルが花束を持ってやってきたと勘違いをしてドアチェーンや鍵を開けて招き入れる】だろう。

 

 なに、リョースケには『花束をもっていけば本当のファンだってわかって入れてくれるはずだ』とでも言っておけばいい。

 

『正体を隠したこと』、『隠しているのに招き入れてもらえると思っていること』からアイはあの日訪ねてきた相手がアイ最大の秘密の双子に関係する、かつ家に入れていい相手が来ると思ってきたのだ。

 

 人気絶頂のアイドルであるアイである。

 双子という秘密と一緒に暮らしているアイである。

 

 ストーカーのひとりふたりは今までもいただろうし、誰彼構わずドアを開けることはないだろう。

 

 その上で『そんな格好で行くともいわれていないのに勝手に勘違いしてドアを開けちゃった。私って馬鹿だ』と思ったからこそ『ドアチェーンってこのためにあるんだね(よく確認すればよかった)』という言葉になったのだろう。

 

アイはドアを開けたことではなく勘違いしたことを後悔した】のだ。

 

 

 

「ありがとうヒカルくん。ドームのお祝いに花束持ってきてくれるなんて嬉しいな」

 

 

 そんなアイの気持ちは踏みにじられるのだ。

 

 何にせよ、事前に会いに来る約束をしており、変装してきてもおかしくない相手であるとアイが思う相手であるということがわかる。

 となれば素顔で家に来る【斎藤夫妻】は犯人ではないし【同じグループのB小町】でもない。

 さらに言えば双子がいる状況で招き入れたということから【双子のことを知っている相手である】ということもわかる。

 双子のことを知らないだろうとアイが思っているのならば当然家でなんて会わないので、来るとは思わないということになるのだ。

 

約束した本人ではないリョースケの襲撃が成功すると考えられるのは共犯が双子の父親のカミキヒカルであるから】なのだ。

 

 そもそもだが、なぜ新居の住所を教えたのだろうか。

 電話時点ではまだ引っ越していない。

 じゃあ引越し前に会えばいいじゃないか。

 

 かなちゃんのスキャンダルを思い出してほしい。男性のシマカン監督の家に行ったことで肉体関係があるとニュースになったのだ。

 

 引越し前の家より、引っ越してから記者の目のない場所で会ったほうがいい。

 アイはそう思ったから新居で会うことにしたのだろう。

 やはり相手はバレれば秘密の関係を疑われるような相手であることがわかる。

 

 アイはカミキヒカルとおそらく妊娠以降会っていない。

 成長期の彼を知らない。

 役者をしていない彼はメディアにも出ていない。

 そうすると【身長や体型ではカミキヒカルを判断できない

 

 身を隠し、花束をもたせたことでリョースケはカミキヒカルになりすますことができたのだ。

 

 そう行動された以上、ドアチェーンはかかってようがいまいがアイを助けることができない。

 

 アイは住所を伝えた瞬間、死ぬことが確定したのだ。

 





アイは運悪く死んだのではなくしっかりと高確率で成功するように誘導されて殺された。
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