アイがどうしてドアを開けてしまったかはわかった。
ではどうするか? である。
なにせアイさん、その直前に社長から男と連絡取るなよ! と釘をさされた上で会っている。
いや、連絡したのはその前だからねー? (てへぺろ)という顔がうかんだがいいわけなかろうが! と叱っている社長の顔も浮かんだ。
というわけで、斎藤社長に襲撃をリークしても防げるかはどうにも怪しい。
転生の事実を明かす気はない。俺が知れるはずのない事実であるアイと社長の出会いのシーンでも熱演すれば信じてもらえるだろうが、直接彼らに正体を明かす気はないのだ。
なにせ俺は双子と血の繋がりがある。
俺は母似でアクアがカミキヒカル似なのかもしれないが、あんまり似ていないと思う。ただ、疑って見れば俺がカミキヒカルの子供であることはバレるかもしれない。
少なくとも、アクアは俺になにかを感じ取って年齢的に父親でないとわかっているのに俺のDNA検査を行っている。
バレれば家族として迎え入れられてしまうかもしれない。
でもカミキヒカルは俺の親じゃない。
俺の両親は清十郎お父さんと愛梨お母さんだけなのだ。
だからカミキヒカルと血が繋がっている理由で受け入れられたくないのだ。
事前予告が無理となるとやはり現場対応だ。
だがそうするとだ。
どうやって新居の住所を突き止めるか
という話になる。
リョースケにそういうスキルはない、と言われたのが返ってくる。
当然五歳の幼児にそのようなスキルはないのである。転生特典にくれても良かったのよ? 神様。いやあったら今みたいに健やかに成長できた気がしないけども。
移ってすぐの住所をどうやって特定すればいいのか。
俺が小さくなった名探偵ならボタン型盗聴器や探偵バッチをカバンにでも潜ませて追跡メガネで追うところだが……。
……ん? 探偵、とな?
**
「あのなー、坊主。探偵はな? アイドルの住所なんてしらべねーのよ」
「でもぉ~、ボク、お礼言いたいのに……」
「ファンレターでも送れ!」
「お金はちゃんとあるよ?」
「お金の問題じゃねーんだわ」
毛利ではないが人の良さそうな小さめの探偵事務所を狙ってみたがだめだった。探偵にアイドルの家を調べてもらう事はできないらしい。
暇そうにしてたくせに。馬券を買う時間があるなら働いてくれ。
まったく、可愛子ぶって損したぜ!
「いいか? そういうのはプライバシーの侵害やストーカー行為に当たって違法なんだよ。正当な理由がなきゃどの探偵だって受けないよ。ファンだってガキの願いじゃなおさらだ。相談料は取らないでやるからもー帰れ」
まあ、調べること自体リスクを孕むし、調べた結果アイドルストーカーが事件なんてなったら調べた探偵まで訴えられかねないもんなぁ。いちごプロがきれいな芸能事務所であることは知っているが、ヤクザと繋がっているとこだってあるだろうし。宝石にたかろうとするダニがどうなるかはお察しである。
それを思えばはした金ではやってられないとなるかもしれない。
ダーティーな探偵事務所であれば高額で受けてくれるのかもしれないがその伝手もない。
「アイドルだとだめなのかー。ちなみに一般人ならいいの?」
「そりゃそっちは行けるさ。ただ、理由によるがな」
しっしと追い払うように手をふるおじさん探偵に別れを告げる。
探偵に依頼するのは無理だなあ……。
まあ、お金があれば探してくれるならリョースケくんでもできるわな。
現在やらなければいけないことはアイへの襲撃を防ぐ方法を考えることだが、もう一つ防いだ後のカミキをなんとかする方法も考える必要がある。
カミキを殺す。
ただ、それだけなら順番を逆にすればアイへの襲撃を防ぐ必要はそもそも無くなる。死者は何もできないのだから。
俺はカミキヒカルへの復讐を考えていたが、その方法は直接的なものではなく、間接的なものを考えていた。
原作ではアイを殺したのがカミキヒカルであることを周知させ、民衆にカミキヒカルを(社会的になのか実際なのかは分からないが)殺させる方法を取った。これと同じように直接手を出さずに行うつもりだった。
俺はあいつがアイだけの殺人鬼でないことを知っている。
片寄ゆらを殺している。
そして命の重みというもののために人を殺すのであれば被害者は彼女達だけではない。
だからこそ、アイへの犯行を防ぎ、別の被害者に手を出したとき、そのファンを使って命を奪うことで自業自得の形にもっていきたいと思っている。
俺が手を出すと意味が出てしまう。
両親の死が二人だけの世界の心中じゃなくて、カミキヒカルに騙された父と母のものになってしまう。
俺は二人の間にカミキヒカルを混ぜたくない。
自宅襲撃ガード派もどうして自宅を知ったかはカットされてることが多い問題。みなさんはどうやって見つけますか? 一応私なりの回答は…先で!