推しの子の異母兄   作:もこもこ@

35 / 124
035 飴強盗アイドルと無償役者

 

「ハイ、飴頂戴?」

 

 B小町のサインを貰ったときからメグのアイドル熱は冷めることがない。

 よくわからない彼女なりの感性でアイドルを目指しながら日々訓練である。

 

 よくわからないなりに差し出さないと話が進まないと梨味ののど飴を差し出した。梨は喉に良いらしい。りんごよりも好きな果実だが、味のはっきりさで負けているせいか梨味はレア。

 だが、声を出す仕事をしているので常備いくつか持ち歩いている。

 

応援してくれてありがとう!

 

 なんの? 頭の中をクエッションマークが支配していたが、よくわからないうちに手を取られてぎゅっと握手された。

 体温の差か温かい手だ。

 

「うーん?」

「アイドルの練習! 握手と笑顔の!」

「飴いらなくない?」

「アイドルはただじゃ握手できないもん!」

 

 そうかなー? そうかも。

 でもアイドルじゃないじゃん……。

 

 最上家に遊びに来ていた中、いきなり現れたアイドルの襲撃だった。

 その魔の手は弟にも襲いかかり、飴なんか持っていないと答えるとポケットを漁られ、チョコを奪われた上に握手されて帰っていった。

 アイドルと言うか、ハロウィンのお菓子を奪う妖精かなんかじゃないだろうか。もしくは山賊。

 また襲われると思うから駄菓子屋行ってくる……としょんぼりした顔で言う勝利くんは姉思いだ。そうかな、姉に無力なだけかも……。

 俺のポケットにも飴がもうなかったので逃げ帰ることになった。

 

 **

 

 異世界ファンタジーならゴブリンやスライムを倒してコツコツレベルを上げていつかボスを倒してやると念じるところだが、子供にできることなんて仕事をしてツテを作ってお金を稼ぐくらいである。

 

 これはそんな活動でできたつながりである。

 

「大輝おにーちゃんっ! コップあいてるんだけどっ!」

「おー、そうだな」

 

 カナちゃんとのつながりである。

 赤ちゃんタレントだったカナちゃんもまた、赤ちゃんを卒業し、子役畑にそのままエスカレーターである。

 

 赤ん坊からの泣きの演技は今も健在どころか、のび太の睡眠と張り合うほどに自然な泣きのモードにシリアスな展開のドラマに引っ張りだこである。

 ギャン泣きするだけのただの子役とことなり、さめざめとしずかに多くの涙を流したり、すっと片目から一条の涙をこぼしたりと多彩なのである。

 

 最近は原作再現の違法改造スケートボードアクションを盛り込んだ少年探偵映画で共演。

 おしゃまな女の子としてアクションにもちょっと参加した。

 

 激しいアクションにガチで泣かれてしまったが、それもまたよしとする変態監督によりOKが出て公演されている。評判は上々だが、やはり原作の超人アクションほどではないという世間の評価がやや壁である。

 人間にはあそこまでできないんだよなあ。

 子役にはスタントマンが存在しないのだ。しょうがないね。

 

 限度がある。なにせ俺はハワイに行ってないんだ……。

 だから監督、意味深にヘリの資格って何歳から取れたっけ? とか言わないでほしい。

 

 そんなカナちゃんであるが、最近人を使うのが趣味になってしまった。

 大して重くもない荷物をもたせたり、隣りにあるお茶を注がせたりである。

 ただ、こういうのは原因に親がいる。

 

 そう、カナちゃんママだ。

 

 赤ちゃんタレントのときは周りに自慢しても『かなちゃんかわいいわねー』『おたくのあかちゃんぷりぷりねー』『いいお尻だわー』とどうしても赤ちゃん本人が褒められるが、子役となれば人気になればなるほどそれを育てた親の手腕が褒められるようである。

『カナちゃんどうやって育てたの?』『親の教育がよかったのよね』『教えてほしいわ』『カナちゃんの泣き顔そそるわよね』

 

 合わせて子役として振り込まれる多額の給料。

 基本的に子役の給料は子どものものだが、その子どもと合わせるためにとか、子どもの仕事を取るためにと子どものためを名目にして買い物が激しくなっているらしく、しばらくしたらカナちゃんのためにと家も買い替えるらしい。

 

 そんなカナちゃんママ自体、プライドが高まってきており、周りにアレヤコレヤと仕事を押し付けたり横柄な態度を取るようになったらしい。

 

『一流には一流の扱いがあるの』

 

 らしいのだが、果たしてそうだろうか。

 

 とはいえ、まだ見た目が派手になる程度であるし、コントロール不能な泣いたり機嫌を悪くさせる子役より、チヤホヤすればいいだけの子役のほうがよろしい。

 扱いの簡単さが雲泥なので、カナちゃんもママもちやほやされている。

 

 来週の共演シーンについてあれやこれやと語り合っていたら家に遊びに来ないかと誘われてこれである。

 

「りっぱなしんしはかかさないんだから!」

 

 うーん、これはカナちゃん! 

 

 でもちっちゃい子が精一杯レディぶってるのってかわいいと思いませんか? 俺はいつか我に返ったカナちゃんになったときのためにいっぱい写真を取っておかなきゃいけない。

 

 イイネー、そのすまし顔キュートだよー! 

 世界一かわいいねーカナちゃんかわいいよー!! 

 

 

 





※年上の成功しているお兄ちゃんにチヤホヤ愛されて原作よりわがまま増量中。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。