推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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041 お労しやパパ上

 

 金とコネさえあればできる事自体は恐ろしく広がる。

 特に信頼できるパートナーを抑えられたことが強い。

 

 何でも屋のお兄さんには金払いもあるだろうがだいぶ信頼関係を築く事ができた。

 

 小学生低学年の男の子がほとんど関係ないアイドルへの襲撃があることを察知して何年も前から事前に準備をして防いでみせた。

 正直普通なら気持ち悪がってもおかしくない。

 すくなくともあの日の襲撃があることは普通では予測できないとして、どうして知ることができたのか教えてくれればより協力しましょうと言われた。

 

 だが、これ以上を一緒に作業するということは【カミキヒカルを殺す】ことを知られるということだ。

 彼を殺すことに共犯をこれ以上作る気はなかった。

 

 教えられないと断るとため息をつかれる。

 彼とは今日で終わりか。他に探さないといけない。

 

 そう思うと頭を撫でられた。

 

「では今までどおりお金さえいただければ仕事をしましょう。何も聞かずに」

「いいの?」

「ええ……仕事ですから」

 

 信頼できる仲間を得られた。

 

 

 **

 

 

「はっ、はっ!! ああ、そうか! 死ななかった! アイ! 運命が彼女の死を選ばなかった。まだ僕では殺せない価値の差があった!」

 

 ろくにものの置いていない清潔というより病的な空々しい部屋で一人の男が頭をかきむしりながら空を見上げる。

 

「ああ、ああ! 君はなんて僕から遠いんだ! でもいつかいつかきっと掴んでみせるから! どんなに遠い星だとしても! 待っていて、アイ」

 

 笑う、人のように。嘲笑う。獣のようにけたたましく。

 様々なものに押しつぶされ、情緒がめちゃくちゃになった、なにか支えを持たなければ立てない人間が心をさらけ出していた。

 

 **

 

 盗聴にはいくつか種類がある。

 

 音とは波である。

 

 よってその波さえ解析できれば聞くことができる。

 例えばカーテンのかかっていないガラス窓であれば実はその揺れから音声を聞く事が可能である。

 窓でなくとも壁の薄いマンションであれば何もせずとも聞こえるだろう。

 機器を使えば壁越しに音を拾うくらいさらに簡単になるし、天井から下を聞くことも可能だ。

 

 アイのマンションの上の階を借りたように、カミキヒカルの上の部屋を押さえたのだ。

 まだ親の脛齧りのプータローと比べると、人気役者の収入というのは雲泥の差がつく。

 

 親の事務所をいずれ完全に引き継ぐようだが、引き継ぎが完了するまでは自由になる金はこちらの財力のほうがはるかに上。

 下手したら自由になってからもだ。

 

 この程度のマンションなら狙い撃ちできる。

 アイ襲撃までは下手に刺激をしたくなかったから最低限だったが、今はこうやって本人からも情報を収集している。

 最近の録音機器は性能もよく、音がしたときだけ録音をしてくれる機能があるので、一日分とはいえ、聞くのは簡単だ。

 

「よかった」

 

 唯一不安だったのはカミキヒカルが殺人鬼ではない場合だ。

 アイにかかわらない殺人は一切犯さない。

 その場合はリョースケからの自白がなかった以上、こちらには付け入る隙がなくなる。

 

 どういう意味か? 

 

 原作では片寄ゆらを害していることを示唆するシーンがあったが、そのシーンがあった瞬間は快楽殺人鬼のように見える演出であったが、アレは15年の嘘の主役(アイ)を無関係の人間がすることに耐えかねての行動の可能性があるのだ。

 片寄ゆらは当初15年の嘘にてアイ役の筆頭だった。

 裏で制作陣と付き合いのあったカミキヒカルはそれを知っていた可能性があり、彼女がアイを演じることを嫌って(娘のルビー以外に演じる資格なしとしたとか)殺しただけの可能性があった。

 

 だがこの情報で一旦アイへの次の襲撃がすぐにならないであろうことと、次の被害者が別に発生することになるだろうことがわかった。

 

(次は誰に手をだすか)

 

 

「カミキの事務所にも人をやるべきかな」

 

 幸運にも子どもの今、金銭はほぼ必要ない。

 稼いだ金は全額対応に使っても問題ない。

 月額50万程度で一人フルで雇える。

 事務所の事務員にでもなってもらえば社長の予定や金の動きを知ることができる。

 

 まあ、カミキは山で背中を押すみたいな地味な方法で殺すようだが、急に登山用品を買い出すなんてことがわかれば次の動きもわかるし──。

 

 そうしてカミキヒカルの近くに人を置くようになって辛抱強く獲物が動くのを待った。

 彼が日々こぼす心の苦しみを耳にしながら聞き取れなかったときは巻き戻して何でも聞く。

 ──ねえ、カミキヒカル。今この瞬間、誰より俺があんたのことを知ってるんだなあ……。

 

 彼はスノーボード用品を買い出し始めた。

 

 

「この人か」

 

 





描写にはないですが、しこしこしているカミキ氏
吐息や荒ぶりながら息子を愛でている彼を聞いている大輝くん。

歪むんじゃねえぞ!

それはそれとして二期の大輝くんかっこいいですね!
いやあ、楽しみ。
本編は……会社名がよくわかりませんが、神木プロとは別ってことかな。
ヒカルも輝で姫川愛梨がわかってつけたであろうことがわかりますね。

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