048 復讐のあとにも人生は続く。
復讐を終えた俺はカミキヒカルほど人を殺したことに感じることがなかった。
そもそも殺した相手が殺人鬼であったせいかもしれない。
殺人を止めることは善行で、唆した結果であっても自分でやっていないからかもしれない。
カミキヒカルの事件自体は殺人犯不明でイケメン芸能事務所社長の殺人事件として三角関係のもつれか何かで刺されて死んだんだろうという記事になっていた。
要は男性に殺されたということしかわかっていないらしく、犯人もわかっていないらしい。
マリンのマネージャーは芸能界をやめて田舎に戻ったらしい。
まあ、接点をこれ以上作る気はない。
バレないのであればそれでいいだろう。
推しの子世界の警察は名探偵のいない探偵世界の警察みたいなものなので、しょうがないかもしれない。
かく言う俺はと言えば結局今までの延長の人生を歩んでいた。
芸能界でドラマやCM。
小学生高学年になって年々整っていく見た目の良さでも注目が強くなってきた。
可愛いとかっこいいの混ざる子供でそれはそれで人気だったが……いずれ可愛いは抜けていくことだろう。
劇団ララライから中学生になったらそろそろ本気で訓練つけてやるから役者やらないかと言われた。
子役という年でもないのでしばらく劇団の役者に専念するのもいいかもしれない。
小学生では男子は女子に成長で抜かれ気味だが、中学生にもなれば逆転してニョキニョキ伸びだすものだ。
役者としては子役の次の主戦場は高校生である。
子供らしさから男らしさに変わる。
中学生はまだ子供らしさがでる。
男らしい魅せ方を学んでおいてもいいかもしれない。
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身の回りでは問題が起きていた。
「はー? メグが夜の仕事しようとしている?」
「そうなんだよ。アイドル首になったからってさー。いやまあ、母さんが体壊したからだけども……」
最上家で大黒柱であったおばさんが倒れてしまったのだ。
実は
今回は軽度らしいが同じ生活が続くようなら次は危ないかもしれないと脅される始末。
メグとしては稼ぎたいがアイドル業界がそうそう稼げるものではないことは身にしみただろうし、一人ならともかく5人家族を支えようとすれば実入りの良さを求めて確かに夜の仕事が視野にはいるだろう。
しかし、そういう仕事に偏見があるわけではないが、リスクが高いのも確か。
原作でもそういう時期があったらしいが、さほど人気ではなかったとは言え元アイドルという肩書がつく。
その闇堕ちとなればいい未来は抱けない。
「どーにかならないかな?」
「どーにかねえ……」
アイドルになったメグはマネージャーのつけたメグミンという名前でデビューしていたが、なにせ彼女はダンスのレベルは高いものの、歌が下手である。
いや、味はあるのだが、うまいとは言い難い。ヘタウマなのだ。
そのせいかグループでもいつも外側。
バックダンサーのような立ち位置になっていた。
変装して応援に行けばファンへのサービスはいいし、毎回応援に来ているような固定ファンは意外に多いようだ。
ファンを捕まえてはいたのだが……。
黒髪でアピールすべく長髪にしていたが、動ける魅力とはあまり噛み合わず地味ではあった。
どうにもモブっぽい感じがあるのだ。
何にせよねーちゃんと話してみてほしい! と言われて部屋に行ったところ、いきなり俺は襲われた。
「小学生襲っちゃった☆」
「ちゃったじゃないんだけど……なに? 発情期?」
「ちがうよ──!?」
部屋に入れられた俺はベッドに腰掛けるとメグは向かいの学習デスクではなく隣に座り込みガバリと押し倒されてキスされたのだ。
強引すぎる。
柔らかさ以上に強く押し付けられて歯があたった。ちょっと痛い。
「……でもこれでもうアイドルにはなれないし、踏ん切りがついたかも……。ごめんね、私、大輝くんのことが好きなんだ」
「別に謝る必要はないけど」
「でも付き合えませんっ! なぜなら私は夜の仕事に羽ばたくからっ!」
「なんで振られたみたいに言うのさ」
ばってんを作るメグ。
成長しているようでその笑顔は変わらないなと思った。
「いちおう、お触りNGって事になってるけど、軽度のはあるだろうし、もしかしたら酔ったお客さんにされちゃうかもしれないし、ま、穢れる前にっていうかね?」
利用しちゃってごめんね、と謝られる。
……正直一家を救うくらいの金はある。
だが、それをこの家の誰も考えなかった。
考えたかもしれないがお願いされなかった。
親友と親友の姉。
でもその姉自体も長い間ずっといっしょにいた、大切な相手だと言える。
「まだ諦めるのは早いんじゃない?」
「え?」
俺には成功することがわかっている秘策がある。
一生気づかれなさそうなこだわり。
実は1話と前話でタイトルが変わってます。
カミキ死んでしまえ!の死ぬがよいから死こそが苦しみの終わりだみたいな死ぬが良いに。
原作154話にもやって書きなぐってみました。
『HEYカミキヒカル!罪を教えて』