推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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059 生徒会に走る戦慄の稲妻

 

 放課後。

 

 秀知院学園は大きな学園ではあるが、多くの生徒を束ねる生徒会であっても毎日毎日長い時間を拘束されるほどの仕事があるわけではない。

 

 本日はちょっとした書類仕事をこなす程度でメンバーは全員仕事を終えてしまった。

 

 そういう日は大体が早く家に帰ってゲームをしたい石上の帰宅宣言と何かと交友関係の広い藤原書記が解散を宣言し、それに合わせるように白銀とかぐやが生徒会室をあとにする、ということが多い。

 だが、今日はかぐやが生徒会メンバーにお茶を振る舞ったこともあり、のんびりとした空気が漂ってくる。

 

(さてどうしたものか)

 

 普段であれば1戦かぐやに恋愛頭脳戦を仕掛けるところなのだが、特に現状にあったストックが無かった。

 受け身になるがまあいいやとコーヒーを啜る。

 

「あ、かぐやさんかぐやさん! 知ってますか、今日あまで実写のドラマがやるらしいですよー!」

「あら、そうなんですか?」

 

 ほう、今日あまか。

 

 かつて白銀の妹である圭ちゃんからおすすめされて生徒会でも布教した今日あまである。

 生徒会の皆も虜になったが、もちろん白銀も注目度は高い。

 

 ドラマの話は初めて聞いたが、多方向展開されている事自体は人気の証としてファンとしては好ましいと言える。

 

 だが──

 

 

「だが実写だろ?」

「あ、あれー? あれほど今日あま大好きなかいちょーなら喜んでくれると思ったんですけど」

「確かに喜ばしいことだ。だが、実写化は……なあ。確かに今日あまはよくあるファンタジーな物語でもなければ髪色虹色な物語でもない。現実に近い物語だからドラマ化だってそこまで外すことはない、と思っている。だが、なあ? 実写は常にファン(俺達)の期待を裏切ってきただろ?」

「そうですかねー?」

「デビ◯マン」

「うっ!」

「ドラ◯ンボール」

「ううっ!」

 

 まあ、いつまでも藤原書記をいじめてもしょうがない。

 100%外れになってしまうわけではないというのも知っている。

 

「で、でもでも、デス◯ートやる◯剣、銀◯みたいにうまくいったものも多いじゃないですか! 今日あまはコスプレになりませんし! きっと胸キュンのあの恋愛したい気持ちになる感じを現実にしてくれますよ!」

 

「まあ、そうなんだが、それでもなあ。似合っていたとしても、いくつなんだよお前みたいなのが高校生面するの高校生としては違和感感じるんだよなー。例えばこの生徒会が実写の物語になったとするだろ? 俺を二十後半の男が演じたとしたらどう思う? 四宮を二十五くらいの女が演じたら……? お前らうちの学校通えないな、みたいな感じがさ」

 

「に、二十五歳……」

 

「べ、べつに四宮を二十五に見えると言っているわけではないぞ。演じるとなればそういう役者があてられることもあるだろうということだ」

 

「それなら藤原先輩はおっぱい枠でグラビアアイドルあたりがやりそうですね」

 

「はー!? 私をやるならきっと清純でフレッシュな17歳アイドルが演るに決まってますが!? 石上くんはきっと予算の関係でそのへんのスタッフかいなかったことになるにちがいありませんよっ!」

 

 そんなに言わなくてもいいだろうに。

 きっと石上はイケメンの俳優か歌手が演じてくれるだろうさ。

 髪で顔を隠しているせいでアレだが、顔はあれで悪くないやつだからな。

 

 まあ、むちゃを言っている自覚はある。

 本物の学生は1年・2年で声も変われば体格が変わるからな。

 

 それを考えればある程度の年齢でキャストが決まっているということは次シーズンも期待できるといえる。

 それに若いだけで演技が下手な連中よりはプロにこそ演じてほしい気持ちは十分にある。

 

「まあ、そんな感じで高校生役を高校生が演じるのは稀だろ? コンカフェや風俗のコスプレ……とまでは言いたくないが」

「会長なんで風俗のコスプレなんて知っているんですか?」

「い、いや! そういうふうに言われたコメントを見ただけでなっ! 石上も実写には思う所あるだろ!?」

 

 急に鋭い視線を感じるようになり、女性二人から目をそらして石上にパスをおくる。

 生徒会の中では一番その手の知識に深い彼からなら同意を得られるだろう。

 

「いや、いいんじゃないですか? 今日あまの実写化。なにせ主演は不知火ころもと姫川大輝ですし」

「あら、不知火さんなのね。たしか、石上くんと同じ学年の」

「あ、そーなんですよ! ころもちゃんなんです! 同じ学校のメンバーとして応援するしかないんですよ! 会長!」

 

 わあわあきゃあきゃあと話し出す二人。

 だが俺はあまりにも違和感に動けなくなってしまった。

 

 石上が受け入れるだと!? 

 それも、あれだぞ! 姫川大輝だぞ!? 

 

「ば、馬鹿な! 相手は姫川大輝だぞ! あのイケメンの!」

 

 子役のイメージが強くて賢く動ける少年という感じがイメージがあったが、最近は背も伸びておりおや? と思った。

 恋愛物にも手を出し始めたようだ。

 モデルとしての仕事でもかっこいいファッションをしているなと思った覚えがある。

 

 少年から男に変わりだす間の怪しい雰囲気のある男だ。

 四宮の近くにはいてほしくない類の存在である。

 

「はっ! そういえばそうですね!」

「いや、そうですねって、大輝くんいい子ですよ」

「いい子!?」

 

 親戚のかわいがっている子くらいの距離の近さを感じる。

 石上がイケメン俳優に共感できるはずがないのだが、すべてを受け入れる笑顔を浮かべている。

 

 馬鹿な。

 

 そもそも、不知火ころもは秀知院難題女子であり、1年の妖精などと呼ばれている学園のアイドルと言える。

 石上とは同じクラスではなかったはずだが、それでも同じ学年のアイドルとなれば男子として思うところがないはずはないはずだ。

 アイドルに男が近づいても何も思わないどころか笑顔で受け入れるとは。

 

 ──成長したな、石上。

 

「ついに石上もイケメンを受け入れられるようになったか」

「いえ、チャラいイケメンは死ねと今も思ってますが」

「どういうことだ!?」

 

 この場にいもしないチャラいイケメンに対して軽蔑するような冷ややかな目を向ける石上。

 一体お前はどうしてしまったんだ! 石上! 

 

「あ、もしかして石上くんは姫川大輝くんと関係あるんですか?」

「ええ、実は時々遊ぶ仲なんですよ。はは、妙に懐かれちゃって。今度趣味のイベントに一緒に行こうって話をしてます」

「あら、石上くんの男友達だったんですね」

「ですです。芸能人ですがしっかりしているいいコですよ。今度今日あまのPVでいじるつもりです」

 

 ほらこれとスマホを差し出されるがそこには石上と一緒にピースをしている少年……姫川大輝がいた。

 子役の頃のかわいい印象が強かったがだいぶ大きくなったな……。

 

 何枚も撮っているいるようで、どれもお互い笑顔だ。

 石上に服を合わせているシーンなどもあり、一緒に買物をする仲でもあるようだ。

 ほんとに仲良しじゃないか。ううむ、いいな。

 

「あれ、これだれが撮ってるんですか?」

「あ、不知火ころもです」

「そっちとも交流があるのか!?」

 

 付き合っているのかと追求したが別に付き合っていないという。

 会長、異性とも友情は成り立つんですよと得意そうに笑ったが、どうだろうか? 

 

 その日は石上への尋問で終わってしまった。

 

 石上優の勝ち(特に勝負はしていないが白銀よりリア充に見えたので)





あ、個人的には別に映画自体は面白いと思いますし、特に小道具の仕込みがいいですよね。
例えば引き出しにしまってあるものが彼らの日常を見せてくれて厚みがあるというか。
笑えましたし。

会長もかぐや様も美形でよろしい。
ただまあ、主要人物なんか制服姿が高校生といわれるとやっぱね……。

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