推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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061 ゲーム友達の妹は変態

 

「いいねー、いいねーぱしゃり、パシャリ」

 

 不知火ころもはカメコになってしまった。

 先行して部屋まで案内してくれるが歩みは遅く、アングルがローアングルである。

 下から撮られているが歩く際にスカートがふわりと揺れるとシャッターの回数が増えてなんか……キモいぞこの女。

 

「おい、何枚撮る気だよ」

「ああ、男声はころもさんの心が萎えちゃう~……パシャリ」

「いや、いっそ萎えてほしいよ……」

「パシャリ。ああ、ころもさんの心が萎えちゃう~~……ちらっ」

 

おい、何枚撮る気だよ

 

「言葉遣いー」

 

何枚撮る気なの?

 

「はいやめます! ぱしゃり!」

「いい加減にしろ!!」

 

 スマホを奪おうと手を伸ばすとさっと飛び退かれてしまう。

 素早い。

 

 伊達にアイドルをしていないと言ったところだ。その性根はアイドルにふさわしいか怪しいが。

 普段はハイライトが消えて見える生気にかける表情をしているが、カメラの前ではガンガンに輝く彼女。

 それが今も光っていた。

 

 いわゆるアイの嘘の瞳ではなく興味深いことにキラキラ輝くタイプのハイライトである。

 

 ──こいつ、変装のためじゃなくて女装のために女装させたな! 

 

 女装した男が好きなのか女が好きなのかわからないが、アイドルの闇を感じる。

 

「さっさと部屋に案内しろよ、……ちなみにご家族は?」

「両親と妹がひとりいるよ―」

「家族構成じゃなくて今日誰がいるかって話!」

 

「あれあれ、それって家族がダレもいえにいなかったらころもさんどうなっちゃうのかなー?」

「馬鹿! バカアイドル! 廊下で馬鹿やってる場合じゃな──『ころも、お客さんか?』──い」

「うんー、友達だよー」

 

『そうか。あんまりバタバタせず部屋に連れて行ってあげなさい』

 

 お、お父様だー!! アイドルに女装して会いに来た友人としては一番会いたくない!! 

 

お、お父様ですか? お邪魔します

『ああ、ゆっくりしていきなさい』

 

 よし、通った! 壁向こうからの声に挨拶だけ返すが、どうやら女声はクリアラインだったようだ。

 ころもはお腹を押さえながら声を出さずに笑っているが……このっ! 

 いい性格してるなこいつ。

 

 ヒッヒとついには小さく笑い声を漏らしながら楽しそうに笑うころもを引っ張って部屋に移動する。

 

 

 **

 

 

 アイドルらしいといえばらしい明るい色合いの大きな洋風の部屋がころもの部屋だった。

 ただ、置かれているものといえばゲームがいたるところに置かれており、金持ちゲーマーの部屋といえば納得できる程度にはそういうものばかりが置かれている。

 まんべんなくハマるたちなのかコレクションアイテムのようなものは全然なく、ただゲームが好きなのだということが伝わってくる。

 今は三人はかけられる大きなソファーの左右に座って大きなディスプレイでゲームをしている。

 

「あ、うまい」

「いや、くそ、ずるいぞ!」

 

「ずるいのはそっちだよー。性根の悪さがでてるねー」

「対抗しているそっちもだろ! 絶対そっちのほうが性格悪い!」

 

 環境の違いに色々あった。とはいえ、ゲームをしだせばいつも通りだ。

 定番の土管整備士のパーティーモノをやったり、格ゲーをやったり、パーティーゲームで足を引っ張り合ったり。

 男の友人が一人しかいなくて買う必要がないからと一人ゲー以外にはあまり手を出していなかった俺とは根本が異なる。

 

 さすが普段は目が死んでるとはいえアイドルである。

 おそらく友人も100人くらいいるのだろう。あっぱれだ。

 

「ころもさん尊敬してもいいよー?」

「ほざけ! 次は負けない!」

 

 ゲームに熱中していると部屋にノックの音が響く。

 ササッとずれたウィッグを整える。

 その瞬間にころもに攻撃され状況は劣勢に。

 容赦のかけらも存在しない。

 

「はーいどうぞー」

「お姉ちゃん、ジュースです」

 

 ちらりとドアの方を向くとそこには黒髪のこれ以上はないというくらいに顔が整っている美少女がいた。

 神が直接作ったと言われれても頷く作りの良さである。

 アイもまたレベルが高かかったがあくまでアイドルとしての総合力で、彼女の外見はそれだけでかっ飛んでる。

 

「はじめまして、不知火フリルです」

はじめまして……えっと、ヒカルで……す

 

 しまった! 偽名を考えていなかったせいでヒカルを採用してしまった。

 ジェンダーレスな名前とはいえ、父親の名前を女装時に名乗るのは変態過ぎる。

 

 これではこいつの家に遊びに来たときはヒカル呼びになってしまう。

 ぐぬぬと悩んでいるとジュースとお菓子を運んでいたお盆をソファー前のテーブルに置くとじっとこちらを見て、すすっと俺の横に移動してくる。

 なんだろう、距離近いなこのコ。

 

 友人の妹ということを抜きにしても整いすぎているせいで性欲を抱きにくい彼女。

 はてと首をかしげたその瞬間に、背中から両手を突っ込まれた。

 

 背中から両手を突っ込まれた!! 

 

ぎゃわああああ!?

 

 役者のプライドが声を維持していたせいで女の悲鳴超えが上がる。

 何だこの糞女!! いきなり背中に手を突っ込んできたぞ!? 

 真冬の学校ですらゆるされねえ行為だ!? 

 

 ギョッとして背中を向くと更に唖然とする。

 こ、こいつ、浸るように両目を閉じて感じ入っている!! 

 ソムリエがワインの匂いに感じ入るように!!

 

へ、変態だぁ……!

 

 背中に差し込まれた両手を引き抜くこともできずにブルブル小動物のように震えつづける俺を無視して彼女は姉に語りかける。

 

「ねえさん。この人って芸能界の友達?」

「そうだよ~! ゲーム友達でもあるけどねー」

 

 なるほどとその言葉を飲み込んだフリルは更に続ける。

 全く前後続かない言葉を。

 

「ねえさん。私芸能界に入る」

「……! フリルちゃん! 決心してくれたんだねー!」

「うん、私頑張る!」

「がばー!」

 

 ころもはフリルを抱きしめる。

 二人の姉妹は感じ入るように目と目を向け合っているが、妹殿の手は依然として俺の背中に入り込んでいる。

 それどころかさわさわと現在進行系でセクハラを働いている。

 指の動き一つ一つが背中の凹凸を楽しむように動き始めて気持ちが悪すぎた。

 ムカデかなにかに這われ続けるようなキショさである。

 

「な、なんだコイツ等……!」

「そっちの声もかわいい、ひめかわさん……!」

 

 ひえ、正体がバレている! 

 

 俺は債権者に実家がバレてしまったくらいの非常に追い詰められた気持ちでよくわからないがわかり合う姉妹の横でただブルブルと震え続けた。

 

 ここは伏魔殿である。

 もう二度とこない。

 




15年嘘映画でのフリルのカミキヒカル(アクア)への背中に指入れはおねショタを遥かに超えたネットリしたフェチを感じましたね。
絶対フリルのアドリブだよね。あれ。

多分腰を抱くとかそんな感じの指示からのアドリブって気がします。
やばい女だぜフリル!

(こっそり)あっちの方も更新してます。
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