眼の前にいるのは初めて出会う原作キャラである。
両親も、あえて言うなら自分もそうではあるのだが、俺たちは言ってしまえばモブである。ライバルと言うほどライバルもしなかったし、なんというか先輩って感じからのお兄ちゃんで、むしろ真のパパからはずさせ、一時的に平穏展開にするためのミスリード役である。
主人公のアクア、ルビーの異母兄なのだが、割とモブである。
だが、有馬かな。
彼女は作品上のヒロインの一人だ。
天才子役として有名になり、ちやほやされる中天狗になってしまった少女であったが、アクアに分からせられてしまいつつも、高校で再びアクアに出会うまで努力をやめなかった努力家でもある。
性質としてはいわゆる自分を見てくれる相手にちょろい傾向があり、わかってくれるとつい引かれてしまうところがあるようであるが、それも子役終了後の不遇時代があったせいであろう。
……そんな初の原作ヒロインであるが……。
んー、なんというか。
あかんぼうって、なんかおさるさんみたいだなあ……。
なんでこれがにんげんになるんだろう……
なんかめっちゃふしぎ……
ちっちゃいし……なんか柔らかそうだし……
だあだあと手を伸ばし続けるので右手を差し出すとギュッと人差し指を掴まれる。
あっ……すき……
赤ん坊から伝わる体温は自分より暖かく命のオーラのような何かを感じる。生きてるに溢れていて、輝いている。すごい。
「あかんぼうかわいいねえ~、かなちゃんかわいいねー!」
テンションバク上がりである。
マジでかわいい。
かなちゃんのお母さんから『抱っこもしてみる?』と言われて抱っこしてみる。とても暖かい。
「きゃっきゃっ」
抱きしめるとかなちゃんの手が伸び、俺の腕をペシペシしたりしているが、何が気に入ったのかとっても笑顔である。
すごいかわいい。
うわー、すごいなあ。
正直有馬かなであるといわれてもちょろっと生えている髪の毛が赤毛でそこがまあ、将来彼女になるのかな? という感じだが。
「かなちゃんのお母さん、ありがとうございます」
「いいのよ。また現場であったら仲良くしてあげてね」
「はい!」
またねーと手を振り離れようとすると引き止めるようにそのキラリと輝く瞳がうるみだし……あっ
「びええええええっ!!!!」
よくまあ、これだけ大声で泣けるなと言う声で泣き出した。
かなちゃん、かなちゃんのお母さんごめんなさい、俺も仕事があるんだ。
後ろ髪を引かれる思いとはこのことだろうか。
何度も振り返ってしまうが、振り返ったくせにこっちに来ないことに更にかなちゃんは泣いて俺も悲しくなってしまった。
夏風邪とかでダウンしてました。
気をつけるべきはコロナとインフルだけじゃない……!