推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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076 私のせんせハーレム

 

 私はアクアの言うことにびっくりしまくりだが、色々考えてみたがこれはこれでありなのでは? と思うようになった。

 

 アクアがせんせだと知ったがそもそもアクアとして十年以上付き合って来ているのだ。

 さりなも含めた人生で最も身近な男性と言えばアクアと言えるだろう。

 

 第一アクアは双子である。

 

 同じ苗字になるという意味ではもうすでに結婚しているようなものである。

 兄妹ということは結婚式で言われる『死がふたりを分かつまで』愛する相手ということだ。

 なんだ、結婚してんじゃん。

 

 それに、性欲が湧く相手かと言われると、ほっぺにはいくらでもキスできそうだが、それ以上はやっぱりどうかなーと思ってしまう。

 

 ……それに、実際せんせとなりたかったのは家族なのではないかと言われれば否定はできないところでもある。

 お母さんに捨てられたと思っていた私の世界の住民はアイとせんせだけだったから。

 だから、せんせだったアクアを家族として愛していこう。

 

 

 第一そう思ってみれば、兄としてせんせ(雨宮吾郎)! 恋人としてせんせ(姫川大輝)というのは最強のハッピーセットなのではないだろうか! 

 二人に囲まれるこれからの人生を思うと、転生してよかったと心から思うのだ。

 

 

「ねえ、アクア」

「なに?」

 

 今の自分は一人では動けなかったさりなではない。

 ソファーに座るアクアの背中に覆いかぶさるように抱き着きながらダラダラ過ごす。

 

「姫川さんのこと、なんて呼んだらいい?」

 

 せんせのかっこでデートもしているし、できればせんせと呼びたい感はある。

 アクアを兄として受け入れる以上これからはせんせではなくアクアと呼んでいきたい。

 その分も彼のことはせんせと呼びたい欲はあるが、アクアがせんせである以上甥であるとはいえ彼のことをせんせと呼んでいいのかとも思うのだ。

 

「せんせってあいつのこと呼ばれると嫉妬しそうだからそれ以外で」

「え! 嫉妬するんだー!」

「さりなちゃんにせんせって呼ばれるの好きだったんだ。実はね。別にアクアになったし呼んでほしいとは思わないけど、ほかのやつにせんせって呼ぶのはやっぱもやる」

「うわー、お兄ちゃんくぁわいー!」

「おいやめろ」

 

 兄妹のいちゃつきをしているとママが帰ってきた。

 不思議そうにこちらを見ている。

 

「ルビー、アクア、ただいま。なんだか今日は二人とも仲良しさんだね?」

「ママおかえり! まあ、ちょっとね!」

「アイおかえり。喧嘩してるよりはいいだろ?」

「まー、そうだね。おなかすいた?」

「すいたー!」

 

 愛しのアクアと愛しのママと一緒の生活。いやあ、これ以上望むのはわがままなんだろうけど。

 せっかく得た二度目の人生だ。

 どこまでも欲張って生きたい! 人生はいつだって短いものなんだから! 

 

 **

 

「というわけで、実はアクアがゴローせんせだったんだ!」

「え、マジで? 世間は狭いなー」

 

 ルビーちゃんに呼び出され、デート帰りに歩き疲れたという彼女を連れてマンガ喫茶のカップルシートでだらだらと映画を見ていると彼女からそう告げられる。

 原作なんてないようなものだが、もう正体がバレたらしい。

 だったらこの関係も終わりだろうか? 

 

「……でも、そうするとデートもこれで最後かな?」

 

 原作での彼女はアクアがせんせであると知ってでれっでれになった。

 

 その直前までアイの秘密を掘り明かした裏切り者だと家族の縁を切るといった相手だったのに。

 もちろん、『せんせなら私を裏切るようなことをしない』という認識のもと、暴露も含めてすべて意味のあることだったと受け入れた上で、アクアとせんせ二人分の思いが一つになった結果ではあると思うが、それだけに何者も勝てない思いだと思っている。

 

 そうなればせんせの甥の偽せんせより本物のせんせであり兄でもあるアクアには勝てまい。

 妹兼推しのアイドルとの時間は楽しいものだったが、ついに終わりか。

 

「え? なんで?」

「え?」

「え?」

 

 本物がいるのにいいの? と言えば、『ゴローせんせは、……アクアは家族だから!』とのことだった。

 

 なるほど? 

 

 どうしてそうなったのかはよくわからないが、ルビー的には(あるいはアクア的にも)OKらしい。

 

「でも、そういうわけだからこれからは大輝って呼ぶね?」

 

 せんせ呼びはちょっとアクアに悪い気持ちがないわけではないので、それはいいのだが。

 

「でも本名で呼び合っちゃうと変装の意味ある?」

「え、うーん。じゃあヒカル? 大くん?」

「大くんで」

 

 危うく親の名前で義妹から呼ばれるところだった。

 大君ならいくらでもある呼び方だから正体はバレはしまい。

 

「あ、言っておくけど」

「なに?」

 

 狭いマンガ喫茶のカップルシートである。

 お互いの距離は映画館あたりよりずっと近い。

 

「口にキスしたいせんせは大くんだから」

 

 目をつむったまま近づいてくる彼女のキスは歯があたり少し痛みのある口づけだった。

 

「へへっ、まだへたっぴだね。でも、口にしたキスって前世含めても初めてだから!」

 

 ……やばいな、推しのアイドルでもある義妹とマジのキスをしてしまった。

 

「うれしいよ、さりなちゃん」

 

 きゃーと笑い足をバタバタさせるルビーは妖精のようにきらめいている。

 それをほほえましくみなながらも脳内は激しく稼働している。

 

 

 やべえ、やばいな、やばいです。

 

 

 あれれー? 一体何がどうなってこうなったんだ?

 妹との微笑ましい時間のはずがなんだか修羅場の匂いがしてくる。

 

 

 アクアが胸を刺そうとしてくる図がなぜか頭に思い浮かんだ。

 ……あいつと会うときはお腹にジャンプ入れておこうかな。

 

 





いまさらあれなんかちょっとやばくない……?と思い出した模様。
判断が遅いっ!
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