推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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079 美少女浮気調査探偵

 

「う、うらぎりだ……!」

 

 ルビーは携帯の画面に光る事実におののいた。

 震えが止まらず、ふつふつと怒りが沸いてくる。

 裏切り者をどうしてくれようか。

 手で雑巾を絞るようにぎゅうぎゅうにしてボロ雑巾のようにしてやりたい! 

 

 ……おのれ、おにいちゃんめえ!! 

 

 画面にはだらしないカッコをした大輝の胸元のボタンを止めるアクアがいた。

 角度のせいかアクアが少し照れているせいだろうか、なぜか異様に耽美に見える。

 このカメラマンはやばいテクだと確信する。

 いや、でもなにやってるの! 

 

 ドラマ共演すると騒がれやすいのは普通のことだが、共演者による裏話として表にでるとより騒がれやすい。

 共演者の一人がネットに上げたこの写真が今めちゃバズっているのである。

 生モノがイケる女子に大人気だ。

 大輝は元から人気だったが、今までわかりやすい恋人関係の人間はおらず(有馬かなは0歳からの幼馴染のせいで世間からは妹ポジになっている。わがままを受け入れ続ける二人の姿を長く見てきているファンはいつの間にかそうなっている)妙に距離の近い二人に感情が爆発してしまったようだ。

 

 なんか警戒していたはずの兄が! ミイラ取りがミイラになっている! 

 

 なんか怪しいとは思っていたんだ。

 仕事のスケジュールは家族共有のボードに記載するルールになっている。

 これはできるだけ家族でご飯を食べたいママの要望でずっと続いている。

 でも、最近お兄ちゃんは仕事じゃないのによく外出している。

 

 仕事じゃない私事のカバンで出かけるのだ。

 しかも、なんだか楽しそうだし、戻ってきた時は満足そうだ。

 スマホ見て時々楽しそうにしてる。

 連絡を受けてソワソワするときもある。

 

 今までは彼女って感じじゃないから友達でもできたのかなーなんてニヨニヨしてたのにこれである! 

 

 ずるい! ズルい! ずるう──ーい! 

 というか、明らかに私と遊んでる回数よりおおいんですけーど! 

 

 週に二回も三回も会ってるのは明らかにおおいでしょう!? 

 

 だから、アクアをこっそり尾行することにしたのだ。

 なにか大輝をたらしこもうとする何かがあるんじゃないか。

 だとしたらその方法はぜひとも身に着けなきゃ! 

 

 **

 

 あー、やってしまった気がする。

 

 最近、妹からの視線にちょっと厳しい責めるような拗ねるような色が含まれるようになったのだ。

 明らかに俺が姫川大輝に接触していることと、遊びに出かけていることがバレている。

 正直、仕方がないとは思うのだ。

 

 なにせ、役者としては先輩で聞きたいことはいくらでもあるし、姫川大輝は俺の甥であるわけだし、なによりやはり転生という事実を知る人間であるということが大きい。やはりしかたがないし、至福ではあったものの、人生二度目をすることへの勝手の利かなさは結構ある。

 推しのアイドルのバブミを摂取できたことはまあ、幸福ではあっても外に出れない、自力ではトイレにもいけない日々は結構辛い。

 

 例えば、美人ナースに世話をされると言っても入院生活をしたいかと言われれば一週間くらいならみたいに期限をきるものが多いだろうが、こちらは数年単位である。

 大きくなったからと言っていくらでも誘拐できてしまう幼児を自由には行動させないし、家は秘密も多いから気軽にはいられない。

 幼稚園、小学校と動ける範囲が広がろうと、そもそもガチの幼児たちと友達になんてなれるはずがない。

 

 芸能界の大人と接し慣れている早熟な子どもたちならともかく、普通の学校の子どもなんてどうしても年下も年下である。

 友達ではなく保護者みたいな立ち位置にならざるを得ないし、そんな状態で友情は芽生えるはずもない。

 そういう意味で、中身を知っていて一人の大人として扱ってくれる相手というのは恐ろしく新鮮で居心地が良かった。

 

 大輝自体芸能界に長いせいで大人と接することに慣れきっているし、役柄を演じているせいで医療業界の話にもついてきてくれる。

 それどころか勉強熱心なせいで外科医の最新医療についてはジャンル違いもあって負けかねないくらいだ。

 

 そうやって何度か二人で遊んでいる間に、そういえばろくに俺は遊んでこなかったな、ということにも気づいた。

 そりゃ、俺は医者になるため勉学に必死だった。

 

 母親を生まれた瞬間になくし、父親を知らない生まれで、祖母の愛情と、けれども周囲からの黒い感情を受けて育ってきた。

 田舎の父親不明で生まれた子どもがどんな目で見られるかなんて考えるまでもないだろう。

 でも、それを母と同じ道を行く姿が変えてくれて、逆に言えば母と全く同じ道以外は許されなかった。

 

 中学高校は勉強漬けだったし、大学になってからは東京に出て初めて自由を感じて、先輩たちが遊び方は教えてくれたが、それはやっぱり酒や性に関係した遊びだ。

 ただの友人として同性と遊びに行くというのがなんだか無性に新鮮で、楽しかったのだ。

 

 甥相手に何遊んでもらってるんだよと言われればそりゃ、言葉がなくなるが、楽しいものは仕方がないのだからしょうがないだろう。

 

 

 だからな、ルビー。話を聞いてくれ。

 

 

 




あけましておめでとうございます。

原作ではあかねにも転生のことは口にしませんでしたが、(アクア死後たどり着きましたが)転生というものにガチに取られると危険(年を取ったものが若返るのに等しい)がありますし、オカルトは体験なしに信じてもらうのは難しいみたいなものもありそうですが、だからこそ逆に境遇を理解してくれる相手は強いですよね。

コナンで言うところの哀ちゃんや赤井さんみたいな。
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