推しの子の異母兄   作:もこもこ@

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087 美少女調査探偵アイ!!!

 

「ありゃ、だまっちゃった。おーい」

 

 ピクリとも動かなくなってしまった。

 石像って感じの1mmも動かない感じから油の足りないロボットみたいにぎぎぎと動き出した。

 ちょっとかわいいね! 

 

「はっ! い、いや、なんでアイがここに……?」

「私歳上なんだけど?」

「星野アイさんがここに?」

 

 んむむっ! ピキーンと来たよ。この子も確か探偵役やってたけど、私も名探偵の才能あるかも! 

 今度そういうのに出てもいいよな~。

 カントクには『お前に賢そうな役は合わん』とかひどいこと言われたけどー。

 

「わかってたけど名字も知ってるんだ。じゃー、双子のことも知ってるよね? そのうえでドームの日に張ってたってことは……つまーり、ヒカルくんが裏にいて君はヒカルくんのこともよーく知ってるってことだよね? *1

「げっ*2

 

 会心の一撃は彼に決まったみたいだ。

 冴えてる―! 私ってば名探偵だね。*3

 

 いやあ、ヒカルくんと別れたことには色々と思うこともあったけど、こうやって気をつけてくれてたんだね。

 本当に残念。

 生きていたらヒカルくんに愛を聞けたのかなあ? 

 

「きょ、今日は何の御用でしょうか、星野アイさん」

「アイでいいよ?」

「アイさん!」

 

 彼はカミキくんではないけど、あのとき私を守ってくれたと思うとあのことを相談してもいいかなって気持ちになる。

 カミキくんにも誰にも言っていないことだ。

 

「実はね、私って愛がわからないんだ。小さい頃にお母さんに捨てられちゃったせいかな。アイドルになってファンに()を伝えても、ヒカルくんと付き合っていたけどわからなかった」

 

 ドラマチックにいえば、"愛を知る"が私の人生の命題かもしれない。

 子どもたちへの思いはきっと、たぶん本物……なんだと思っている。

 でも口にしたいけど口にした瞬間それが嘘だと感じてしまったら……そう、思って言えずにいた。けど。

 

「アクアとルビーを産んで、二人と一緒に生きて、きっとこれがそうだと思う、そうだといいなって思ってる。でも、もし本当の愛じゃなかったりしたら……」

 

 誰かに相談なんてするつもり無かったのにな。

 アイじゃなくて星野アイとして話したくなったのはせんせみたいに見えたからかな、カミキくんの子供だからかな。

 それとも私に触れる彼の体が優しい暖かさだったからかな。

 

 子どもができて、母親になって、いっぱい元気もらって、でも、勇気はまだないままだ。

 私はまだ二人に愛していると言えてない。

 

 嘘だと思ってるわけじゃない。

 でも、嘘だと思ってしまうかもしれない。

 

 二人との関係は良好で、二人は私を大好きで、だから、嘘になる可能性を考えた瞬間に口が重くなる。

 

 彼と関係を結んだ子達はみんな彼を愛していると言った。

 胸に抱く気持ちを大切にするように微笑んで彼女たちは愛を知っているみたいだった。

 

 それがとてもうらやましい。

 

「大きくなった君はヒカルくんとも私とも違ってた。たくさんの女の子と付き合ってたのはヒカルくんといっしょだったけど。

 君と仲がいい子と何人かとこっそり話してみたけどみんな大切にされていて君のこと愛しているみたい。ヒカルくんの子どもなのになんで愛を知っていて人を愛せるんだろう。そう思ったら話してみたくなって。

 愛かはよくわからないけど、君に抱かれてなんとなく温かいものと繋がってる感じ……一人じゃないんだなって感じがしたよ。きっとみんなこういうのが良かったんだよね?」

 

 カミキくんとの行為は『求められている』感じがした。

『すがられている』思いもあった。

 

 彼からはなにか温かいものを注がれる、満たされる感じがあった。

 同時に大切に思われているような、強く求められる気持ちもあった。

 彼もどこか自分と同じ欠けている人間でもあった。

 そのせいだろうか、必死に求めるような、触れる瞬間に愛おしく思われているような気持ちを抱くのは。

 

 一夜の相手に注ぐ気持ちとしては不思議な気持ちは、でも中毒性があるような気がした。

 もっと満たしてほしい思いがある。一緒にいてあげたいような気持ちも。

 

「だからね、愛を教えてもらおうかと思って」

 

 彼への気持ちが本物の愛だと言えたら二人(子ども)にも愛していると言えそうだって。

 正直なところ、やや焦っている気持ちもある。

 気持ち自体は年々高まっているのに、むしろ言えない気持ちも同じように増えているように感じるからだ。

 

「いや、聞く感じちゃんと二人のことを愛してると思う。言ってみればいいんじゃない?」

「言ってみて嘘だったらどうすればいいの? 嘘は真実にならなかったんだよ?」

 

 だが、なぜか罪悪感のようなものを抱いているように見える彼はなるほど、情に厚そうである。

 社長がする、だめとは言えない空気に似ていると思った。

 これはいける。

 

 じっと見つめると……

 

「わかった。協力するよ」

「やったね★」

 

 いやあ、信じてたよ☆ 

 

「調子いいなー」

 

 了解が得られた以上、あとはもうなし崩しである。

 勝ちが確定したならあとは取り分を増やす。仕事を増やすときのコツの一つだ。

 遠慮する子よりなぜか厚かましいくらいにぐっと近づいてくる子のほうが何故か受けが良いのである。

 

「って、なんで服を脱ぐんだ」

「えー、さっきのはまなへの愛だったわけじゃない? アイとして愛してほしーな♡」

 

 うふんとポーズを取る。

 

 星野アイをしっかり刻み込んでおかないとね☆

 

*1
黒幕という意味ではなく、カミキヒカルに言われて助けに来てくれたと思っている。大輝くん8歳だったからね

*2
カミキが黒幕だったとバレていたと思っている

*3
迷探偵

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