ぼっちちゃんの彼氏はバスケ部エース   作:リーグロード

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2回目のデート回じゃ!!!


休日、Wデート

 週末の日曜の午後、とある約束の為に普段はしないオシャレをしながら、出掛ける準備をしていた。

 普段は見ない鏡の前であれでもないこれでもないと悩みながら、母が買ってきてくれた服をとっかえひっかえしながら考える。

 長時間考えた末に、ようやく着る服が決まったところで、時計を見ればもう家を出る時間に差し迫っていた。

 

「あっ、もうこんな時間!いっ、行ってきます!」

「いってらっしゃい!ふふ、ひとりちゃんに彼氏が出来て本当に良かったわ~」

 

 家を飛び出すひとりの嬉しそうな背中を見送りながら、しみじみと呟く。

 

「それにしても、ひとりちゃんが男の子とデートかぁ~。ちゃんと青春してくれてお母さん嬉しいな」

 

 ひとりちゃんが風邪の時にお見舞いにやって来た零士君って男の子、まさかひとりちゃんの彼氏が家に来るなんて思っていなかったから、あの時は恥ずかしい姿を見せちゃったし、今度はちゃんとひとりちゃんの母親らしい姿を見せないとね!

 

 

 

 

 今日の待ち合わせ場所である下北沢に近づくごとに、ひとりの心臓がドクンドクン!と高鳴る。

 

 中学の頃から互いの都合が合う日には時たま行うデートだが、それでも毎回始まる前は緊張で心臓が痛いくらいに鼓動する。

 しかし、私にとってこの痛みは嫌なものではなく、むしろ心地よいとすら感じる。

 だってこの痛みは、私がちゃんと零士に恋をしている証拠であり、証なのだから。

 

「ふふふ……」

 

 ついに目的の駅に到着する。駅から降りて少し歩いたところで、スマホで時間を確認する。

 まだ集合時間まで少し時間がある。出掛ける前に鏡の前で確認した髪の具合を再度確認する。

 

「ねえ、そこの君。今もしかして暇?もしよかったら俺とお茶しない?」

「ふぇ!?わ……私ですか?」

 

 突然、背後から声を掛けられたことに驚いて振り返ると、そこには見知らぬ人が私に声を掛けてきた。

 見た目からしてチャラそうな男の人。もしかしてこの人、私にナンパしてる?

 

「そう君だよ!もし暇ならお茶しない?俺が奢ってあげるからさ!」

「い……いえ……結構です……」

 

 こんなことは普段ならありえない。いつものひとりの服装はピンクジャージで、陰キャオーラを纏ったやばい女といった印象の容姿ゆえに声を掛けてくる人がいない。

 しかし、今のひとりの服装は今時な女子高校生らしい可愛らしいもので、清楚な感じを漂わせており、その表情も普段の落ち込んだような陰キャのそれではなく、とても可愛らしい美少女と言っても過言では顔立ちになっている。

 つまり、今のひとりは普段の奇行もなく、ナンパしたくなるような可愛い女の子に大変身を遂げているのだ。

 

「え~、そんなこと言わずにさ!俺今めっちゃ暇してるし、これも人助けだと思ってくれたらな~」

「で……でも、私、人と待ち合わせ中で……」

「えっ、もしかしてお友達とか?なら、その子も誘っちゃおっかな。俺こう見えて金はあるし、女の子2人くらい余裕で奢れっからさ!」

「と……友達は女の子じゃ……」

「いいじゃん!ほら、いこいこ!」

「ぴゃっ!?」

 

 グイッと手を引っ張られた。その行動に身の危険を感じたひとりは恐怖で固まっていると、ナンパ男に声を掛ける人物がいた。

 

「へぇ、君お金持ってるんだ。なら、俺は焼き肉食いてえな」

「は?いきなり何だよ……って、デカぁ……」

 

 突如、目の前に現れた大柄で、全身に鍛え抜かれた筋肉を携えた男性にナンパ男が思わず後ずさる。

 その隙に、ひとりの腕を組んで引き寄せる零士。

 

「悪いけど、こいつ俺の女だから、ナンパは別の女探しな」

「れ……零士君!」

 

 男らしい力強い腕で引き寄せられたひとりは、頬を赤く染めながら思わずときめいてしまった。

 

「くっ……」

 

 その見た目からして、どうあっても敵わないと悟ったナンパ男は苦虫を噛み潰したかのように顔を歪めると、そのままその場を立ち去ってしまった。

 

「わりぃな、来るのが遅くなって……」

「そ、そんなことないよ!まだ待ち合わせ時間じゃないし、それに……、助けてくれたから」

 

 ピンチを助けられた事に頰を赤らめながら感謝するひとりの頭を撫でてやると、嬉しさと気恥ずかしさを混ぜ合わせたような顔で困惑する。

 

 いきなりのトラブルに見舞われたものの、当初の予定通りにデートを再開させる2人。

 普段はデートコースのプランを考えるのは零士の役目だった。

 けれど、今回のデートでは部活で忙しい零士の変わりに、最近地元くらい(ひとりの体感的)に慣れ親しんで詳しくなってきている下北沢をデート場所に指定し、巡る場所もひとりが考えてきたのだ。

 下北沢は様々なジャンルの店があり、ひとりの趣味や零士の趣味に合う店が色々とある。

 

 だが、人混みの多さは普段のデートで行く所と違って少々多いが、いつもSTARRYに行く際に通っているから、人混みなんかは中学の頃よりも慣れたものだ。(比較的)

 

「ねえ、今の2人見た?」

「うん、美男美女って感じだったよね」

「っけ、見せつけやがって!」

「もしかして芸能人!?」

「や~、どっかのモデルかも?」

「あわわわ……!?」

 

 っが、2人並んで歩いていると、周りの人からの視線がドンドン集まってくる。

 いつもは普段の奇行ゆえに、奇異の視線はあれど、嫉妬や羨望の類の注目なんて浴びないせいか、このような通行人の反応に慣れていないひとりは終始落ち着かない様子でいる。

 逆に、隣にいる零士はこんな視線は本当に慣れたもので、蚊が差すような鬱陶しさは感じても、それをとやかく言ったり、態度に出すようなことはしない。

 

「ほら、ボサッとしてたら危ねえぞ!他人の目が怖いなら手ぇ繋いでやっから、しっかりと歩け」

「ふぇっ!?」

 

 他者からの視線でガチガチになっているひとりの手を零士は問答無用とばかしに繋ぎ、下北沢を歩き始めた。

 しばらく歩けば、流石のひとりも人の視線に慣れ始め、繋がれた手に意識がいく。

 

「ね、ねえ零士君……もう手を繋がなくても大丈夫だよ……?」

「あぁ~?まだ手ぇ震えてるじゃねえか。今日は人が多いんだからしっかり繋いでないと迷子になっちまうだろ?」

 

 噓である。零士の本音としては学校も離れて登下校を一緒に出来ない時間を埋めたいがために、より密着できるよう手を繋いでいるのである。

 それに、普段は陰キャで引きこもりなくせに、今日のひとりの服装はデート用に気合いをいれており、そんな愛らしい姿を見せられれば零士の庇護欲は高まるばかりだ。

 

「で……でも……」

「あのなぁ、今日はデートなんだし、これくらいはいいだろ?それに手ぇ繋いでれば、その恰好のお前を他の男にナンパされる心配もねえからな」

 

 ひとりは顔を真っ赤に染めながら、零士の言葉に納得すると、そのまま黙って下北沢の街を歩き続ける。

 ただそれだけの行為でも、恋人同士ならば特別な気分になれる。

 

 そうやって楽器の店やスポーツ用品の店を巡りながら歩いていると、偶然の再会というのはあるもので、高校入学式の日以降は出会わなかった2人と再会することになった。

 

「「「「あっ!」」」」

 

 零士とひとり、喜多と山田が同時に声を挙げる。

 

 何故ここに喜多ちゃんとリョウさんが?という疑問が湧いたが、よくよく過去を振り返ってみれば、先日学校で喜多ちゃんからリョウさんとデートすることになったからオススメスポットを教えて欲しいと頼まれたのを思い出した。

 

「わぁ!偶然ね、後藤さん。もしかして、隣にいる彼氏さんとデート中?」

「えっ、わっ、あぁ……」

 

 他人の恋バナ大好きJKである喜多がひとりを揶揄い、なんか小さくて可愛い生き物のような声で返事を返すひとり。

 傍から見ればなんだこれ?と言いたくなりそうな光景だが、その傍から見ている零士とリョウにとっては慣れた光景で、零士はひとりの反応が面白くてくっくっく、と笑いながら見ており、リョウはスマホで動画撮影している。

 

 やがて喜多ちゃんからの質問攻めに疲労困憊となったひとりを零士が抱きかかえながら、折角だからという喜多ちゃんからの提案でWデートをする流れになった。

 まあ、基本的に変に暴走して動けなくなるひとりの介護をする零士の後ろで、ひたすらにリョウに貢ぐ喜多ちゃんの構図であったが、それでも4人は楽しい時間を過ごした。

 

 喜多ちゃんのオススメで今時のJKの流行りであるタピオカミルクティーの店に寄り、写真を撮ってSNSにアップした。

 ちなみにひとりはタピオカという圧倒的陽キャの飲み物という情報だけで溶けかかったが、零士からの気つけで正気に戻ったひとりは勇気を持ってタピオカを注文する。

 初めて飲むタピオカミルクティーに恐る恐るといった様子で口づけるひとりだったが、一口飲めばその表情から分かる通り、タピオカの魅力にハマったようだ。

 

「そういえば、タピオカと言えばタピオカチャレンジってのがあるらしいが、お前らはしないのか?」

「私はちょっと無理で……」

「いけそうではあるけど、私も少し不安定で飲みにくい」

 

 タピオカチャレンジ……イソスタなどで豊満な胸の持ち主である女性が数多く上げている動画で、自身の胸の上にタピオカを乗せて手を使わずに飲むというチャレンジの1つ。

 

 喜多ちゃんは悲しそうな顔をして胸に手を当てて無理だと答え、リョウは出来るだろうが失敗する可能性もあるということで普通に飲む方を選択する。

 そして、彼女であるひとりはというと……。

 

「あっ、出来ました!」

 

 普段はピンクジャージで隠されているひとりの胸だが、今日はそのスタイルを存分に魅せられる服装になっており、そこにはたゆんと揺れる大きな胸があり、その胸の上に置かれたタピオカミルクティーは倒れることなく安定して立っている。

 

 それを零士はジーっと凝視し、喜多ちゃんはジトーっと恨めし気に睨むようにひとりの胸を涙目で見ており、リョウは頭の中でひとりを如何にして売りに出すかと捕らぬ狸の皮算用をしている。

 

 その後も、喜多ちゃんの要望でクレープを食べ歩きをしたり、リョウの要望で中古楽器を扱ってある店を巡ったりとWデートを楽しみ、気が付けば既に夕方になっていた。

 流石に学生の身分で夜中まで遊び歩いていると親に心配が掛かるし、警察にも補導される危険もあるので、Wデートはここでお開きとなり、駅までの帰り道を4人で並んで歩いている。

 

 駅に向かう道すがら、喜多ちゃんは今日撮った写真を整理しながら、今この場にいない虹夏へLINEで写真を送ろうと提案するが、それをリョウが阻止する。

 

「え~、虹夏先輩にも思い出を共有しましょうよ~!!」

「やめておいた方がいい。そうなれば今度会った時が面倒。それに、ぼっちの彼氏の紹介は生の方が絶対に面白い!!」

 

 絶対にそっちが目的でしょ!と虹夏のツッコミが聞こえそうなリョウの台詞に、喜多ちゃんは苦笑いするしかなかった。

 そうして駅に着いた4人はそれぞれが帰路へと着くため、解散する流れになった。

 

「後藤さん、今日は楽しかったわ。また今度も一緒にWデートしましょうね!!」

「ふぇっ、あ……こちらこそです!」

 

 喜多ちゃんのハグを受けて顔を真っ赤にしながらも嬉しそうにするひとり。

 

「じゃあ、ぼっち。また今度」

「あっ……はい!」

 

 リョウもひとりに別れの言葉を送って去って行った。

 最後に残ったのは零士1人。別れの言葉は決まっている。

 

「それじゃ、ひとり。また今度だな。……愛してるぜ」

「ぴゃっ!!」

 

 ボソッと耳元で呟かれた一言は効果抜群で、毎度のことながら大袈裟な反応を見せるひとりを笑いながら零士も帰りの電車に乗って帰ってゆく。

 




あかん、なんかイマイチやで!アオハルを!!もっとアオハルを感じたいんじゃ!!!

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