ぼっちちゃんの彼氏はバスケ部エース   作:リーグロード

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なんとか後藤ひとりの誕生日の日に投稿が間に合った。



打ち上げ前のラブコメ

 ライブも無事に成功し、他のバンドのライブも終わってSTARRYを閉じる頃には嵐も通り過ぎ、結束バンドのメンバーと店長さんにPAさんにきくりお姉さんと眞妃お姉さんと一緒に打ち上げの為に居酒屋へ行くことになりました。

 

 けど、演奏が終わってフロアのどこを探しても零士君の姿は見当たらなかった。

 折角上手く演奏出来たからちゃんと褒めてもらいたかったのに……。

 

 日も沈んで真っ暗な夜道をみんなで歩いていると、ちょっと先の角から誰かが私達を待ち伏せしていたみたいに現れた。

 

「よ!ライブ成功おめでとさん!!」

「あっ!」

 

 そこから現れたのは姿が見えなかった零士君だった。

 何処へ消えたかと思えば、私達が店から出て外で待っていてくれていたのだろ。

 

 まあ、その原因は多分、あの逆ナンしてきた女の人だろうけれども。

 けれど、こうして姿を現してくれたことに嬉しくなって近づこうと一歩進もうとした時、前にいたきくりお姉さんが何故か後ろにいる私達を庇うように手を広げて立ちはだかった。

 見れば店長さんやPAさんに眞妃お姉さんも警戒したように零士君を睨んでいる。

 

 皆さんの行動の理由が分からずに戸惑っていると、後ろから虹夏ちゃんが私の肩を掴んで小声で「大丈夫だからね……」と声を掛けてきました。

 

「えっ?えっ?」

 

 何が大丈夫なのか全くわからないまま、私は何故か虹夏ちゃんに庇われる形で後ろへ追いやられてしまった。

 すると、リョウさんと喜多ちゃんがコソコソと隠れて何か話をしている。

 

あの、あれ後藤さんの彼氏さんですよね?

多分、私達以外は誰もぼっちの彼氏の顔は知らないし、見た目的にタチの悪いヤリモク男だと思われてるんじゃないか?

 

 た、確かに!?事情を知らないで今の状況を冷静に第三者視点で見てみると、JKをお持ち帰ろうとするチャラい男にしか見えない!!

 だから皆さんこんなに警戒しているんだ!?でも、なんて言ってこの誤解を解けばいいんだろう。

 

『あ~、実はこの人は私の彼氏で、全然危ない人じゃないですよ』

『『『『はぁ?』』』』

 

 あれ?なんか不味い雰囲気になりそうな予感が……ん?

 

「ふぁ~~」

 

 っていうか、よく見たら眞妃お姉さん、なんか零士君の顔を見て目を輝かせてない!?

 っは!そういえば、眞妃お姉さんの片思いしていた男の人、外見的特徴が零士君とそっくりだった。

 ま、まさか、零士君のこと狙ってませんか!?いくら眞妃お姉さんでもそれはダメですよ!!

 

 どうしよう?やっぱりちゃんと前に出て誤解を解かないとダメかな?

 

 私がどうすればいいか悩んでいると、警戒する店長さん達の様子を見て零士君はポリポリと頭を掻きながら面倒くさそうに溜息を吐いた。

 そして、へらへらした顔を止め、未だ警戒し続ける店長さんに近づいてくる。

 

「ちょっ、こいつらまだJKだから、手なんかだしたらすぐに警察に連絡するからな!」

 

 そうスマホを取り出してガルルル!とばかしに威嚇する店長さん。

 そんな店長さんの警告も我関せずとばかしに零士君は店長さんの目の前まで距離を縮めてきた。

 

「あ~、そりゃ知ってますよ。なんたって……」

「ふへぇっ!?」

 

 急にこっちを向いた零士君がニコッ!と今まで見たこともないような笑顔を浮かべた。

 

「俺はひとりの恋人ですから」

「えっ、はぁ?ぼっちちゃんの恋人だぁ!?」

 

 店長さんも今まで見せたことのないような驚いた顔を浮かべる。

 というか、店長さんだけじゃなく、PAさんや虹夏ちゃん、きくりお姉さんと眞妃お姉さんも同じような顔でこっちを見ている。

 

「ほ、本当なの、ぼっちちゃん?」

「えっ、あっ、はい……、本当です。あの人は零士君で、前から言っていた私のこ……恋人です!」

 

 虹夏ちゃんにそう聞かれて、私は少し恥ずかしいけれどちゃんと答えた。

 

「「うぇ~~ん!ぼっち(ひとり)ちゃ~ん!」」

 

 すると、何故か泣きながらきくりお姉さんと眞妃お姉さんが抱き着いてくる。

 

「ふえぇぇ~~!?」

「ぼっちちゃん、あいつに騙されてない?変なお店で仕事しろだなんて脅されたりしてない?」

「ひとり!あんた、彼氏がいるなんて私聞いてないわよぉ~!」

 

 きくりお姉さんにギュウ~と抱き締められ、眞妃お姉さんにはぺちぺちと叩かれる。

 

「い、いや、別にそんないかがわしい店の紹介なんてされてませんよ。あと眞妃お姉さん、言うのが遅くなってすみません」

 

 きくり姉さんの誤解の払拭に、眞妃お姉さんへの謝罪を済ませると、私は改めて零士君の紹介をする。

 

「あ、あの、こちらが私が中学の頃からお付き合いさせてもらってます、鬼龍院零士君です」

「どうも、改めてご紹介に与りました鬼龍院零士です。俺の彼女のひとり共々、これから何かとお世話になります」

 

 私が紹介すると、零士君は未だに放心状態の店長さんを含めた全員に向かって気安い挨拶を交わす。

 すると、店長さんはハッと我に返ったように口を開いた。

 

「お、お、お前がぼっちちゃんの彼氏だということは分かった。だがな、それでお前を認めるかどうかは話はべぶぅ!」

「落ち着きましょうか、店長。突然のことでパニックになるのは分かりますけれども、それで年下相手に結婚相手のお父さんみたいな発言はどうかと!?」

 

 慌てふためきながら捲し立てる店長さんの口をPAさんが後ろから裸絞で止めにかかる。

 その間に、姉の醜態を見て冷静さを取り戻した虹夏ちゃんが零士君に近づいていく。

 

「っま、というわけで俺は怪しい奴じゃないって理解してくれた感じでいい?」

「あっ、はい。すみません、勘違いしてしまって。あとウチの姉がご無礼を!」

「別に、俺の面が悪人っぽいってのは昔から理解してっからそんな気にしちゃいねえよ」

 

 虹夏ちゃんからの謝罪を零士君は一切気にした様子もなくヘラヘラと受け流す。

 これでようやく場が収まり、いざライブの打ち上げに行こう!ということで、零士君も参加すればいいと誘いをかける。

 

「あ~、その打ち上げ場所って居酒屋だろ?俺も行きたいのはやまやまなんだが、誰かに俺が出入りするの見られて余計な疑い掛けられたりすると面倒だからよ……」

「あっ!?そっ、そうだよね。零士君、もう部活でレギュラー取れたって言ってましたし、未成年飲酒なんて噂が出たら困るよね……」

 

 ひとりが納得したように頷きながら、零士君が未成年だから居酒屋に入れないと残念そうにする。

 まあ、それを言ったら、結束バンドのメンバー全員が未成年者であるのだが、仮に先生や警察に見つかっても、お酒を飲むつもりもないから厳重注意だけで終わるだろう。

 

「でも、出来れば今日のライブの成功、零士君にも一緒に祝って欲しかった……なんて贅沢言い過ぎですかね?」

「…………」

 

 残念そうに顔を俯かせるひとりの肩を、零士は無言で優しく抱きしめて自身の胸元へ引き寄せる。

 突然何を!?とその場の全員が驚いているのを無視して、零士はその相手を威圧させながらも非常に整った顔立ちをグッとひとりに近づける。

 

 誰もがこれから先何が起こるのかと固唾を飲んで見守る中、零士はそっとひとりの耳に囁いた。

 

「確かに、ひとりの言う通り、頑張った彼女にお祝いしなきゃ男が腐るってもんだよな」

「あ、あわわわ~~~!!?」

 

 顔が近い!?なんかいい匂いがする?!ハスキーボイスな声が耳を犯してる!!?

 

 あわあわとパニックになるひとりを他所に、零士君は続ける。

 

「ご褒美ついでに、居酒屋で他の男どもが近寄ってこれねえようにマーキングしておいてやるよ!」

 

 零士はそっとひとりのバンドTシャツの首元を引っ張り、そこから露わになったひとりの白い肌に唇を近づけ、しっかりと目立つ痕になるよう吸い付くようにキスをする。

 

「はっぴゃぁぁぁ~~~~!!?」

「…………これでいいか」

 

 時間にして数秒のはずの出来事が、ひとりの体感的には何分にも感じられるほど刺激的な行為だった。

 ちゃんと痕が付いたのを確認する為、そっと首元から口を離した零士はひとりを解放した。

 

 そして、夜道でも見えるくらいに赤くなったひとりの首筋についたキスマークを見て、自分がこれを残したということにゾクゾクする高揚を抑え込みながら、その赤くなった部分を指先でなぞる。

 

「んっ!」

 

 撫でられたことがこそばゆかったのか、反射的にひとりの声が漏れる。

 その妙に艶めかしい声を聞いた零士は、思わず手が止まったままひとりの赤くなった顔を見つめ続けた。

 

「あ~、やばい。俺の中の中学生(性欲)が飛び出しそう」

 

 今すぐにでも襲い掛かりたくなる衝動を抑え込もうと、必死に我慢する。

 幸い、小声で漏らしただけなので、周りにいる者には聞こえなかった。すぐ目の前にいるひとりを除いて……。

 

「えっ、え~っと……」

 

 どう反応すればいいのか分からないといった感じでツンツンと左右の指先をくっつけたり離したりするひとり。

 その姿に、もう自分が抑えられなくなりそうになりながらも、零士はグッと堪えていつものお調子者の仮面を被り直した。

 

「~~~っ、まあ、これで変な男が寄って来たら追い払えるだろ。だから、お前は安心して打ち上げを楽しんで来いよ」

「う、うん。ありがとう……」

 

 まだ少し顔を赤くしながら、ひとりはコクンと頷いた。

 

「じゃあな、ひとり。また後で連絡するわ」

 

 ヒラヒラと手を振って立ち去る零士君の背中を見ながら、私は自分の首筋についた零士君からのマーキングをそっと愛おしそうに指でなぞった。

 

「あっ!そ、それじゃ、みんなで打ち上げ……に……?」

「もうダメだ、お終いだ……」

「この歳であんなラブコメ……、耐えられません!」

「ぼっちちゃんが……、ぼっちちゃんがぁ……!!」

「なによこれ、彼氏のいない喪女への当てつけ?」

 

 振り返れば、大人組である店長さん、PAさん、きくりお姉さん、眞妃お姉さんの4人が死んだような表情で、絶望するかのように膝を付いていた。

 




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