ぼっちちゃんの彼氏はバスケ部エース   作:リーグロード

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やっぱり眞妃お姉さんは最高だ!!
オリキャラで作っておいて本当に良かった。


江の島デート

 夏休みが残り僅かとなる8月30日のある日、STARRYに今日も集まって結束バンドの練習に励もうと準備をしていると、ひとりのスマホにピロン♪とLINEの連絡が来た。

 練習が始まる間に誰からの連絡かな?とポケットからスマホを取り出してその連絡を確認する。

 

「っ!た、大変です!?」

「ん?どうしたの、ぼっちちゃん」

「何かありましたか?」

「おばあちゃんが峠とか?」

 

 不謹慎なことを言ったリョウさんは普通に虹夏ちゃんに頭を叩かれたが、ひとりはあわあわと慌てながら、スマホに送られてきた内容を見せると、そこには眞妃お姉さんから『SOS!!至急、江の島に来て!!出来れば結束バンドのメンバーも連れて!!』と記載されていた。

 

 ひとりは慌てていたが、他の3人はあの打ち上げで知った彼女の性格からして、なんとなく嫌な予感を感じたが、その後、連投してくる同じようなメッセージの内容に「あっ、これ行かなきゃ絶対面倒になるな!」と確信して、渋々と指定された江の島に行くことになった。

 

 下北沢から江の島までは電車1本で行ける距離なために、かなり気軽な気分で江の島まで来たのだが。

 

「うぇ~~~い!お姉ちゃん達ィ!!暇ならウチの海の家で食べていきなよ~~~!!!」

 

 海に到着した途端に超絶陽キャ(パリピ)な海パン男の集団に囲まれてしまう。

 

「あひゅっ!」

「ぼっちちゃんが爆発四散しちゃった!」

 

 完全に自分のような陰と対極な存在のオーラに当てられたひとりは人体では不可能な爆発をしてはじけ飛び、戦闘不能状態へと陥る。

 

「あれ?ひとりちゃんじゃないの?うぃ~っす!零士さんは元気してます?」

「ふぇっ?……あっ、去年零士君に助っ人を頼んできた!」

 

 爆発四散した肉片を全て取り込んで元の形に戻ったひとりが気絶顔を披露していると、その顔を見た海パン男の1人が声を掛けてきた。

 気絶から回復したひとりも、よくよく絡んできた集団を見てみると、去年の夏に零士と江の島の海デートした際に、そのガタイの良さからビーチバレーの大会の助っ人として急遽お願いされて優勝に導いたチームであると気が付く。

 

「今日はもしかして友達と江の島観光とか?なら、これ持っていきなよ!」

 

 そう言って手渡されたのは、海の家の定番である焼きそばや焼きとうもろこしだった。

 

「えっ、そんな悪いですよ……」

「いいのいいの、去年はお礼もちゃんと出来ないままに別れちゃったし!」

「そうそう、ぼっちも相手のお礼は断らない方がいい!」

 

 お礼の食い物に目を輝かせたリョウさんの後押しもあって、半ば強制的に焼きそばと焼きとうもろこしを渡されては断ることも出来ずに受け取ることになってしまった。

 

「いや~、江の島もいいところだな~」

「ちょっと、リョウ!ちゃんとぼっちちゃんにお礼言ってから食べなよ」

「い……いえ、別にそんな……、これなんか本当は零士君へのお礼ですから」

 

 焼きそばを啜りながら海を見渡して呟くリョウさんを咎める虹夏ちゃんに、ぼっちは苦笑しながらお礼は要らないと告げる。

 それにしても、江の島へ来てくれという連絡を寄こしたきり、いっこうに眞妃お姉さんから連絡が来ないでいる。

 具体的な場所も記載されていないことから、何処へ行けばいいのか悩んでいると、江の島神社方面で何やら聞き見知った声が聞こえてくる。

 

「だ~か~ら!その子らが迷子ならウチらも一緒に探すっすよ!」

「いや、ほら、だからそういうのは悪いっていうか……。あっ、あんた達じゃ顔も知らないでしょ!」

「そりゃそうっすけど……」

 

 誰かとモメているのか、眞妃お姉さんの焦ったような声が聞こえてくるが、どうも雲行きがよろしくないようだ。

 そこで気になったひとりたちは声のする方へと近付いてみると、そこには零士君並みに背がデカくて悪人面な男性とその隣に立つ中学生に見えそうで身体の一部がSUGOIDEKAIために年は自分達と同じかそれ以上であろう女性を前にした眞妃お姉さんが立っていた。

 

「あ、あの~……」

 

 恐る恐るひとりが3人──会話していたのは眞妃お姉さんと童顔の女性だったが──の間に入ろうと声を掛けると、それに気づいた眞妃お姉さんが瞬時にパッ!とひとりの元へ移動して肩を掴む。

 

「ちょっと、何処へ行ってたのよ!探したんだからね!!」

「え、いや、だってLINEじゃ江の島にき「もうお姉さんからはぐれちゃ駄目よ!」ひゃ……ひゃい!」

 

 余計なことは言うなとばかしに、目がまったく笑っていない眞妃お姉さんから謎の圧が放出され、それに押し負けたひとりは涙目で頷く。

 そして、ひとりの肩を掴んだまま眞妃お姉さんは童顔の女性へと向き直り、口を開いた。

 

「いや~、ごめんね!探していた子が見つかったわ!」

「えっと、見つかったのは良かったけど、そろそろ離してあげた方がいいんじゃないっすか?なんかその子すっごい涙目っスよ」

「あ、ああ……」

 

 眞妃お姉さんの異常とも取れる行動に若干引いた様子を見せる2人は肩を掴まれているひとりの心配をしてくれる。

 そうして、今にも泣きそうなひとりの様子にようやく気が付いたとばかりに慌てて離れる眞妃お姉さん。

 

 そんな様子を後ろで見ていた虹夏ちゃん達の3人は、瞬時にこの状況を理解した。

 

(((あっ、これ完全に面倒事に巻き込まれたやつだ!)))

 

 察しの良い3人はこの現状から、大体の予測として、あの2人が前に打ち上げで酒に酔った際に愚痴をこぼしていた片思いしてた人とその人と付き合った親友の2人なのだろうと想像ができた。

 そして、先程までの発言から、恐らく自分達は何らかの形で生贄にされたと察せられる。

 

「紹介するわね!この子が前に言っていた私の友達の後藤ひとり。そして、あそこにいるのがこの子と一緒に結束バンドって名前のバンドを組んでいるメンバーの子たちよ!」

「あっ、よろしくです」

「ど、どうも……」

「こんにちは」

「は、初めまして」

 

 突然の紹介に、ひとり、虹夏ちゃん、リョウさん、喜多ちゃんの4人は困惑したように挨拶を返す。

 

「君たちの事は前々から眞妃ちゃんから話は聞いてたっす!私は宇崎六花。眞妃ちゃんとは同じ大学の親友っす!」

「俺は櫻井真一。えっと、眞妃との関係は高校からの部活の先輩後輩って感じで、よろしくしてくれると嬉しい」

 

 童顔の女性、宇崎六花が元気よく自己紹介するたびにどこがとは言わないが、SUGOIDEKAI部分がこれでもかと自己主張してくる。

 悪人顔の男性、櫻井真一はその外面に反して、酷く紳士的で礼儀正しく自己紹介をする。

 

「それにしても、駄目じゃないっすか!保護者を置いて子供らだけで勝手に何処かへ行ったりしたら!」

「「「「えっ?」」」」

 

 言われた意味がよく分からずに、事の発端であろう眞妃お姉さんの方を向くと、眞妃お姉さんは気まずそうに海の方を向いて視線を合わそうとはしなかった。

 問いただそうにも、多分、この2人の前じゃ絶対に本当のことを話してはくれなさそうだろう。

 この場で問いただすのは諦めて、可哀想だから仕方なく全員が眞妃お姉さんの芝居に付き合ってあげることにした。

 

「えっと、私は結束バンドのリーダーでドラムを担当している虹夏って言います。もしかして、お2人はお付き合いされてたりとか……」

「あ~、えっと……、はいっす」

「……おう」

 

 虹夏ちゃんの質問に対して、2人は気恥ずかしそうに顔を赤らめて頷いた。

 そのついでに、何やら眞妃お姉さんが血を吐いて倒れた気配がしたが勘違いということでスルーする。

 

 これでもう大体の事は理解できた。

 今回の眞妃お姉さんの呼び出し騒動の原因は、大方この2人が江の島でデートすることを知った眞妃お姉さんが尾行することにし、いざという時のための保険として私達を呼び出し、尾行がバレたタイミングで私達が合流したということなのだろう。

 

「だったら、私達はお邪魔ですよね。デートの邪魔をしたごめんなさ~い!」

 

 虹夏ちゃんは風のように颯爽と倒れている眞妃お姉さんを掴んで、去っていく。

 その後を追ってひとり達もその場から退散する。

 

 やがて、2人の姿も見えなくなった場所で眞妃お姉さんを地面に降ろして意識を回復させると、即座に土下座からの財布を開けて何でも奢りますよと誠意を見せてきた。

 

「女の愛に歯止めは効かない!ならば、私達はそれをただ温かく見守るのみ!!」

「金で買収されるのが早い!?」

 

 財布から覗く諭吉数枚に目を$に変えたリョウさんにツッコミを入れる虹夏ちゃん。

 

「まあ、今回は練習も辞めて江の島までやって来た訳だし、折角だから眞妃お姉さんの奢りで江の島を満喫しよう!!」

「「イエーイ!」」「い、いえ~い!」

「ほ、ほどほどにしてね……」

 

 結局、虹夏ちゃんも今回の件にはほんのすこ~し頭にきていたようで、そのキラキラした笑顔からは遠慮の影は一切見えず、眞妃お姉さんの財布の中身を使い潰す気満々だった。

 

「「「「おいし~い!」」」」

 

 皆でたこせんべいやシラスアイス等を食べ歩き、眞妃お姉さんの財布はちょっぴり軽くなったという。

 

「あっ、折角なので今後の結束バンドの成功を願って神社でお参りしませんか!」

「喜多ちゃん、いいね!リョウもぼっちちゃんもいいよね?」

「いいんじゃない」

「あっ、いいと思います」

 

 メンバー全員の了承を得て、早速神社にお参りすることに決定した。

 え?眞妃お姉さんはどうしたって?今日に限ってあの人に拒否権はありません。

 

「それじゃ、ここから頂上まで登りましょう!」

「えっ、階段!?」

 

 見上げるほど長い階段の光景に、比較的陽キャに近い虹夏ちゃんもその顔に嫌そうな色を浮かべる。

 だが、それにもめげずに喜多ちゃんは自分で歩いて見る景色の素晴らしさをこれでもかと説いてくる。

 その陽キャっぷりは陰キャの者からすれば到底抗えるものではなく、渋々と階段で登ることを承諾する。

 

「も、もう無理……」

「つ、疲れましたね……」

 

 インドア派なリョウとひとりは中間地点まで登った時点でアウト寸前だった。

 虹夏ちゃんも2人よりかはマシだが、それでも疲労の色は見えており、今もワンコのように元気いっぱいではしゃぐ喜多ちゃんのテンションに負けそうになっている。

 

「ちょっと、華のJKがこの程度でへばってどうするのよ!」

 

 意外にも眞妃お姉さんはアウトドア派のようで、喜多ちゃんに負けず劣らずの元気さをみせていた。

 

「ふふ~ん!これでも高校の頃はテニス部でエースを張っていたんだから!体力なら有り余っているわ!」

 

 無い胸をこれでもかと張る眞妃お姉さんだが、そんなことには興味がないとばかしにひとりもリョウも木陰で休んでいると、ふとひとりの視界に頂上まで続くエスカレーターが映る。

 

「あっ、エスカレーターでも頂上まで行けるみたいですよ……」

「よく見つけたぞぼっち!」

 

 天からの祝福だと言わんばかりにリョウさんが飛びついたが、エスカレーター前の受付でエスカー使用には有料のチケットが必要であると告げられる。

 一瞬啞然としたものの、今の自分たちには保護者(財布)がいると思い出した。

 

「お姉さん!今こそ大人の財力をみせるときです」

「いや、ちゃんと歩きなさいよ……」

 

 すぐに頼ろうとするリョウさんの態度に呆れる眞妃お姉さんだったが、すぐに耳元で「親友、片思い、デート、生贄」の呪文を唱えると、大人しく財布から諭吉を取り出してチケット5枚を購入した。

 エスカーを使って頂上まで行くと、そこから綺麗な景色が見えて疲れが一周したのか、謎の深夜テンションのようにはしゃいでしまう。

 

「あはは~、みてぼっちちゃん!凄く綺麗だよ!」

「は、はい、凄いです……」

「最高の眺めと空気だね!」

 

 せっかくの頂上到達の祝いとして、自撮り棒で記念撮影をする。

 パシャリといい一枚が撮れたのだが、その後ろでイチャつくカップルも一緒に映ってしまう。

 

「消去」

 

 リョウさんは嫌そうな顔でデータを消す。中学生までの私だったらリョウさんと一緒にデータを消去してただろうな。

 

「って、あれ?奇遇っすね。また出会うなんて!」

「あっ、宇崎さん」

「あっはっは、六花っでいいっすよ!」

 

 突然声を掛けられたので振り返ると、そこには先ほど出会ったばかりの宇崎さんと櫻井さんが立っていた。

 

「皆もここの絶景を見に来たんっすか?」

「えっと、そ、そうなんです……」

 

 まさかこんなところで再び出くわすなんて思ってもみなかった。

 それもあんなイチャついている場面で出会うだなんて、眞妃お姉さんは大丈夫だろうかとそちらを振り向くと、案の定ともいうべきか、血反吐を吐いて今にも倒れそうになりながら虹夏ちゃんと喜多ちゃんに支えられていた。

 

「うざ……六花さんも櫻井さんとここへ絶景を見に?」

「そうっすよ!真一君ってこう見えて結構インドア派な人間っすからね。筋トレは普段からしてるからこの体系なんで分かりにくいかもしれないっすけど、やっぱりこうしてお日様の光を浴びる生活を送らせなきゃっていう、いじらしい彼女からの愛っすよ!」

「お前な、そういうのは態々言わなくてもいいだろう!」

 

 本当にそう思います。だって、見なくても分かる。背後から聞こえてくる声にもならない眞妃お姉さんの悲鳴にも似た声を上げて倒れる様が……。

 多分、彼女はただ普通に自慢しているだけなのだろう。だが、後ろにいる眞妃お姉さんにとって、その惚気話は失恋した女を殺す話しだ(ゾルトラーク)

 

「そ、それじゃあ、私達は神社に行って今後の成功祈願とかしないといけないので、この辺で失礼します!」

 

 これ以上この場に留まっていては、いつ眞妃お姉さんが投身自殺を決行してもおかしくないので、早々にこの場から立ち去ることにした。

 

「えっと、その……。落ち込まないでください!人生山あり谷ありと言いますし、きっとこの先の未来ではいい出会いに恵まれますよ!」

 

 親友と片思いの相手のイチャラブを間近で見たショックで今にも灰になって消えそうな眞妃お姉さんを虹夏ちゃんがなんとか励まそうと頑張るが、暖簾に腕押しといった様子で、「あっ、そうね……」とまるで壊れた機械のように返事するだけだった。

 

「ど、どうしましょうか?」

「どうするもこうするも、こうなった以上は時間が解決する以外は方法はない」

「ですね。本にもこういった場合は時が解決してくれるって書いてありましたし」

 

 あまり気に病むのも良くないだろうから、ここはそっとしておくのが一番だろう。

 帰るまでには歩けるまでにはメンタルも回復しているだろうとのことで、先程あの場から逃げる口実にした神社での今後の結束バンドの成功祈願をする為にお参りに行く。

 

「えっと、眞妃お姉さん。私達そこの神社でお参りしに行くので、何かあったり用があればすぐにLINEで知らせてくださいね」

「うん、そうね……」

 

 本当に分かっているのか不安になるカラ返事だったが、一応は大人だしと自分達を納得させて神社へと足を運ぶ。

 それぞれがお財布から5円玉を取り出して賽銭箱へと投げ込み、各々の願いを心の中で神様へと伝える。

 

(神様、ライブ成功させてくれてありがとう。これからも宜しくお願い致します……)

(零士君が部活で活躍しますように。それと結束バンドのこれからも成功しますように……)

 

 皆がお願いごとをし終える。あとついでに、眞妃お姉さんの前にいい人が現れますようにと全員が祈る。

 

 お参りも終えて元の場所に戻ってみると、神社へお参りに行く前と一切変わらない姿の真っ白に燃え尽きた眞妃お姉さんの姿がそこにはあった。

 通行人の人もなんだか気味悪がって近づこうとはせず、遠巻きに写真を撮ろうとする人達も……。

 

「は~い!散ってくださ~い!」

「ま、眞妃お姉さん!そろそろ帰りましょうか」

「あっ、そうね……」

 

 結局、最後までこの調子なので、仕方なしにきくりお姉さんに連絡を入れてSTARRYで合流して回収してもらうことになった。




はい!今回のサブタイでのデートはぼっちちゃんと零士君じゃなくて、眞妃お姉さんの親友と片思いの相手のデート回でした。
本当はもっとイチャコラさせて眞妃お姉さんにトラウマ級の曇らせを実行させてやろうかと迷いましたが、そうなると結束バンドメンバー全員が空気になっちゃうので止めました。
今後もオリキャラは何人かは増やすつもりですので、出したいキャラとか感想欄で教えてくれると嬉しいです。
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