ぼっちちゃんの彼氏はバスケ部エース   作:リーグロード

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更新が遅れて申し訳ありません!!
他の新規小説を思いついてストックしてたら遅れました。


ラッキースケベ!?

 体育館内は既に人が大勢集まっており、ステージ上では見知らぬバンドが演奏していた。

 恐らくは、この学校の軽音学部のメンバーなのだろう。

 

 周りの学生は知り合い効果か、そこそこの腕だが盛り上がっている。

 

 ひとりらの出番はこのすぐ後か。

 問題があるとするならば……。

 

「うぃ~、ヒック!ぼっちちゃん達の出番まだ〜?お酒無くなっちゃう〜」

「この馬鹿!学校になんで酒を持って来てんだよ!?」

「ギャ~!!ギブギブ!!」

 

 あそこで騒いでる酔っ払いとヤンキー店長だな。

 下手な騒ぎになる前に止めに入るか。

 

「あんたらここで何やってんだ?」

「あん?ってお前は……」

「おっ!彼氏君も来てたんだ〜!!」

 

 俺に話しかけた店長は最初は睨んでいたが、俺だと気づくと睨むのをやめた。しかし、何故か不機嫌さを態度に出してそっぽを向いてくる。一方で、酔っ払いは俺だと分かると、犬のように嬉しそうに手を振ってきた。

 

「ひとりの出番が来るまでに追い出されるとか勘弁だぜ」

「安心しろ。その時はこいつだけが追い出されるようにするから」

「そんな~、先輩~!」

 

 この人らと関わったのは前のライブ帰りとこの前の浮気騒動ぐらい。

 どちらもあまり関わったことないからどういった人物かはよく知らないが、先程の騒動を見ればどちらも面倒な類だとは分かる。

 

 この場を離れようかと考えたその時、軽音学部の演奏が終了し、結束バンドの出番がやってきた。

 

「お、ぼっちちゃんの番が来た」

「あまり騒ぎ立てるようなら速攻で叩き出すからな!」

「いや、叩き出すのも充分に騒ぎだろ……」

 

 ストッパーみたく言っているが、店長も充分に騒ぎの原因だと静かにツッコミを入れる。

 個性的な奴の周りには同じく個性的な奴でも集まるのかと柄にもなく考えてしまう。

 

 そんな風な事を考えていると、いつの間にか喜多のMCが終了していて、結束バンドの演奏が始まった。

 

「あん?」

 

 一番最初に異変に気が付いたのは零士だった。

 その優れた聴覚がひとりのギターの音のズレを聞き取り、それをコッソリと隣で馬鹿騒ぎするアホ2人に伝える。

 

「おい、ひとりのギターの音ズレてないか?」

「っ!?」

「…………確かにズレてるな。機材トラブルか?」

 

 やはり音楽関係で食っている人間なだけあって、この手の話題になると途端に真剣さを見せた。

 そして、ふたりとも少しの間結束バンドの演奏を聴いたあとで口を開く。

 

「これどうにかなりそうか?」

「う~ん、ちょっと難しいかな」

「確か、ぼっちちゃんは予備のギター持ってなかった筈だ。こりゃ最悪中止かな」

 

 そりゃ確かに最悪だな。普通の人でもこんな舞台で自分が原因で失敗したならばちょっとしたトラウマになるのに、ひとりならマジで部屋に引きこもるレベルだぞ……。

 とはいえ、部外者の……それも音楽に関しては素人の俺じゃ役には立たないしな。

 出来ることといえば、これが終わった後に落ち込むアイツを慰めてやることくらいだな。

 

 そんな時、酔っ払いが発したある言葉が耳に入った。

 

「心配しなくても平気だよ。ぼっちちゃんは土壇場でどうにかしてくれるよ……絶対にねぇ!」

 

 そんな確信めいた発言に、俺は不思議なほどに納得してしまった。

 

「そうだな……」

 

 今もまだひとりのギターはチューニングが安定してない。

 なんならついに弦が切れてしまった。

 

 誰が見ても異常事態だと理解できる。ひとりもここにきてようやく自分のギターの故障に気が付いたようだ。

 顔が目に見えて分かるぐらい青ざめさせていた。

 

 普通に考えればここからの巻き返しなんて無理だと思う。先程までの俺もそうだと思っていた。

 だが現実は違う結果をみせた。酔っ払いが持ってきたカップ酒の空き瓶を拾って見たことのない技術で演奏を披露してみせた。

 

「ボトルネック奏法とか普通この場面でやるか?」

「ねえ、言ったでしょ。ぼっちちゃんならどうにかできるって……」

「ああ……、ちょっと見くびっていた」

 

 今も舞台の上でここにいる観客の視線を釘付けにしているひとりの演奏している姿に感嘆しながら、俺もひとりの演奏に聴き入る。

 そして、数分間に及ぶ曲が終わると拍手喝采が巻き起こった。

 

 舞台上のひとりや他の結束バンドのメンバーはやり切った顔で、観客の人達も歓声を上げてライブの成功を祝福していた。

 歓声の中には結束バンドを褒める声の中にひとりの演奏に感動したと褒める声もあり、そのひとりは舞台上で嬉しさと同時に困惑していた。

 そんなアイツに対して喜多が善意なのだろうが、ボーカル用のマイクを手渡した。

 

「ほらっ、ひとりちゃんも一言ぐらいなにか言わなきゃ!」

「あっうっ……」

 

 明らかに混乱している。こうなった状態のひとりは奇行に走る傾向にある。

 一体何をしでかすつもりかと内心ではハラハラしながら見ていると、ひとりがこっちを……正確には酔っ払いの姉さんの方を見やると、何か決意を決めた顔をした。

 

 迷走するひとり+トラブルメーカーのきくり姉さんの組み合わせはどう考えても厄介事の気配しかしない。

 

「っ!!」

 

 案の定とも言うべきか、ひとりの奴が舞台から飛び降りた。

 それに反応できたのは日頃からひとりの奴に付き合っていたおかげだろう。

 

 即座にスタートダッシュを決め込むと、大の字でダイブするひとりの真正面に先回りしてキャッチの態勢を取るが、ここで問題が1つ。

 

 ひとりのダイブが飛び降りというよりも、舞台から躓いて転んだような形で落ちて来たので、滞空時間が少なく、もう目と鼻の先くらいの距離しかないということだ。

 

 つまるところ……。

 

「わひゃっ!??」

「ぶふっ!?」

 

 普段は猫背でジャージを着ている為に気付かれにくいひとりの巨乳が、受け止めようと構えていた俺の顔面にムニュっと押し付けられた。

 その際に俺の顔面に沈み込む感覚が襲ってきて、俺の意識は全て服越しの巨乳の感触に奪われた。

 

「っ!!?」

 

 鍛えぬかれた体幹のおかげで転ぶこともなくひとりをキャッチ出来た俺だが、この幸福な時間を楽しむように、無意識にひとりを抱き締める。

 

「うおっ!?なんかすげー!!」

「おい、酔っ払い!写真撮ってんじゃねえよ!?あと、お前もさっさとぼっちちゃんを離せ!!」

「ひゅ~!ひゅ~!」

「こら~!そこ、ぼっちちゃんを早く降ろせぇ!!」

 

 周りの連中、特に伊地知姉妹が騒ぎ立てる。

 そして、そんな俺達の姿を周りの連中がスマホで写真を撮っている。

 今もスマホのカメラ音が聞こえてくるが、この幸福感を手放したくない俺は気付かない振りをしてひとりの体を抱き締め続けた。

 

「あばばば!!」

 

 そんな中、ひとりはこの状況に限界を迎えたのか気絶してしまった。

 結局、この騒動は伊地知姉妹の手によって引き剝がされ、ひとりは念の為に保健室に連れていかれた。

 

 俺も連れていかれそうになったが、大丈夫だと鼻を押さえて拒否する。

 キャッチの際に鼻を少し打ったせいで鼻血が出たが、周りの連中はスケベ野郎を見るような目で見てきやがった。

 

「ちくしょう、人を変態扱いしやがって」

「いや~、アレはちょっと擁護できないっていうか……」

「ぶっちゃけ、ひとりちゃんをすぐに離さなかったのが問題というか……」

「どっちもロックだったぜ!!」

 

 体育館から移動して外へ出ると、結束バンドのメンバーが集まってきた。

 っていうか、人の独り言を勝手に聞くなよ。

 

「あっ、これ見て」

 

 そう言って喜多が見せてきたのはトゥイッターに投稿された記事だった。

 そこには先程のライブの内容と俺とひとりがラッキースケベしたシーンが映っていた。

 

「物凄い反響ですね」

「ほとんどのコメントが結束バンドじゃなくてぼっちちゃんと彼氏君のものばっかり。っていうか、彼氏君への恨み言が多い」

「有名バンド並みにウケてて草www」

 

 俺も自分のスマホでその記事を読んでみるが、確かに俺への罵詈雑言がいくつか書きまれている。

 幸いというか、当たり前のことだが俺もひとりも顔がボカされているからそう簡単には特定はされないだろう。

 

「とりあえず、俺はもうひとりの奴が起きてるだろうし、保健室に迎えに行ってくる」

「OK!とりあえず打ち上げの場所はぼっちちゃんに連絡入れとくから、後で確認してって伝えといて!」

「了解!」

 

 虹夏からの伝言を受け取った俺は、保健室に向かって歩く。

 その道中、結構な数の通行人に視線を向けられた。なんなら、ラッキースケベの人だなんて不名誉なあだ名をコッソリ呼ばれもした。

 そうした相手には無言で睨んでやると、財布を差し出して謝ってくる。(当然、財布は受け取らずに見逃してやる)

 

 保健室に辿り着くと未だにベットの上でひとりが眠っていた。

 

「あ~、まだ寝てるか」

 

 ベットの横に椅子を置いて寝ているひとりの顔に視線を向ける。

 俺は寝ているひとりに近づくと、そっと前髪を払い除けて、怪我1つない綺麗な顔を撫でる。

 

「まったく、俺がキャッチしなきゃどうしてたんだよ、馬鹿野郎が……」

 

 なんてことをぼやきつつ、ひとりが起きてたら多分顔を赤くしているであろう台詞を吐く。

 

「お前が無事で本当に良かった」

 

 勿論、寝てる人間からの返事は無く、俺は髪を梳かしていた手を退ける。

 そしてひとりが目覚めるまでスマホをいじる。

 




次回にはついに俺のお気に入りキャラを登場させます!!
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