ぼっちちゃんの彼氏はバスケ部エース   作:リーグロード

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ついに長年使っていたパソコンの一部が逝かれました。
バックスペースキーが反応しなくなり、この週末に買い替えようと思います。
思えば高校の卒業の日から使い続けて早6年の月日が経ちましたし、当然と言えば当然ですね。




パロディ回その1

時々ボソッと逆さ言葉で愛を囁くぼっちちゃん

 

 今日はSTARRYでのバイトの給料が出たので、帰り道に本屋によって漫画でも買おうかなとひとりは物色していた。

 とはいえ、自分が読んでいる漫画の最新刊は既に買ってあるので、何かまだ自分の読んでいないのがあるかチェックしていた。

 と、そこでひとりの目に一冊の本が留まった。

 

「あっ、これって前にラノベで面白いって宣伝されてたやつだ。漫画化してたんだ……」

 

 手に取った漫画のタイトルは『時々ボソッと韓国語でデレる隣のチェ・ボミさん』という少々長ったらしいタイトルである。

 普段は恋愛モノの漫画は買うことはないのだが、ここ最近は彼氏である零士と急激に距離を縮めたことで、そういったことへの耐性が上がり興味を持つようになった。

 ということで、購入することに決定した。

 

 レジで会計を済ませて本屋を出ると、さっさと家へ帰って自分の部屋で漫画を読んでみた。

 

「ふわぁ~っ……!?」

 

 ぶっちゃけるとその漫画の内容にドハマりしてしまった。

 普段は強気で好意を抱く隣の席の男子についツンツンとした態度で接してしまうが、ふとした瞬間に母国の韓国語でデレを見せるヒロインの立場に憧れを覚えた。

 

 伝えたい思いがあるのに、照れや羞恥心でつい言葉に出来ない感情を伝わらないと分かっている母国語でボソッと呟く。

 それが実にたまらない! 一言では言い表せられないが、この気持ちを言語化するならまさにそれだ!

 

(ふぁ~~~っ!!?こんなこと私も零士君に言えたらな~)

 

 その漫画のヒロインに感情移入するあまり、つい自分と零士に置き換えて妄想してしまう。

 だが悲しいかな、ひとりの学力は底辺クラスで韓国語は勿論のこと、英語ですらハロー程度しか喋れないポンコツ女子。だから、この漫画のヒロインのようにはなれないのだ。

 その現実に軽く鬱になってゴロゴロと部屋の中で転がりまくる。

 

「よし、諦めよう」

 

 やがて転がるのも飽きて立ち上がると、気分転換にリビングにでも降りてテレビでも見ようかなと部屋を出る。

 すると、タイミングよく玄関が開く音がしたので誰か帰ってきたのかと思い階段から玄関を覗くと、ジミヘンの散歩に行っていたお母さんとふたりが帰ってきたようだった。

 

「あっ、お姉ちゃん!ねえねえ、スデリタフウトゴハシタワ!!」

「えっ、今なんて?」

 

 いきなり謎の言語で話しかけられて困惑するひとり。

 

「ふふ、さっきふたりちゃんが言ったのはね、私は後藤ふたりですって言ったのよ。最近のふたりちゃんの周りでのブームみたいで、逆さ言葉っていうらしいのね」

「逆さ言葉?ああ、逆さまから喋ってたんだ。すごいね!さっきの私全然分からなっっ!!?」

 

この時、後藤ひとりに電流走る!!

 

「……?お姉ちゃん、どうしたの?」

「ごめんふたり!お姉ちゃん、ちょっと用事思い出したからお部屋戻るね!!!」

 

 ダダダッ!!!と急いで部屋に戻り、机にかじりついた。

 普段は曲の作詞を作るとき以外は真剣に向き合うことはないのだが、この時のひとりはそれに負けないぐらいに真剣な表情で何かを書いていた。

 

 ~次の日~

 

 この日はSTARRYのバイトがないのと、零士君の部活が偶然にも休みだった為に放課後デートが前々から予定されており、いつもならピンクのジャージにスカートを穿いた格好で学校に行くのだが、今日は気合を入れて

制服に着替えて学校に登校した。

 だからだろうか、今日は何故か人の視線が物凄く多いような?

 

「おい、アレっていつもジャージで来てた……!?」

「確か……、呉ナントカさん?」

「えっ、なんで?ってか、普通に可愛くないか?」

「だよな!声掛けてみよっか?」

 

 う、噂されてる!?やっぱり、学校はジャージで登校して帰る時に制服に着替えたらよかったかな。

 でもそうしたら荷物が増えて登校がしんどくなって大変だし、零士君とのデートにも影響したらイヤだしな……。

 

「はぁ~、せっかく零士君に向けて言いたい台詞考えてきたのに、デート前に疲れちゃいそう……」

 

 ライブではともかく、学校での人の視線に慣れていないひとりは気疲れして机に突っ伏して寝たふりをして時間を潰していると、教室の扉が勢いよく開かれる。

 

「ひとりちゃん!今日は制服で来たんだって?見せて見せて!!!」

「ふぇっ!?き、喜多ちゃん!?」

 

 突然入ってきたのは喜多ちゃんだった。その事に驚いて寝たふりを止めて立ち上がったひとりに周囲の視線が集中する。

 すると、ひとりの顔が羞恥心でみるみる真っ赤になった。

 

「あわわっ、こ、これは、その……!?」

「きゃー!ひとりちゃん、可愛いぃぃ!!普段からその格好すればいいのに!!」

「いや、ジャージじゃないと落ち着かないというか、ヒラヒラした服って私には似合わないって思っちゃって……」

「そんなことないわよ~~!!普通に似合って可愛いわぁぁぁ!!あっ、もしかして今日ってバイトないから彼氏さんとデートなのね!!」

「あうっ、その、ここ教室なので、そういうことは……」

 

 喜多ちゃんの勢いにたじたじになるひとり。と、そこで一人の女の子が喜多ちゃんに話しかける。

 

「ねえねえ、今の話ってこの前の文化祭に来ていたちょっと怖そうなイケメンの彼のこと?」

「えっ、あっ、これって言っちゃダメかしら?」

「あう、あう、あう……」

 

 興奮のあまり余計なことを口走ってしまい、気づいた時にはもう遅かった。慌ててひとりに確認を取ろうとするが、ひとりは顔を赤くして、あわあわと狼狽えることしか出来なかった。

 これにはクラス中がワッと沸いた。基本男女の色恋沙汰には敏感な時期である高校生にとって、普段は陰キャな女子が陽キャの頂点みたいな男とデートする。この字面だけでも十分ネタになるのだ。それが自分のクラスの1人が当事者ともなれば、興奮して騒ぎ出すのも無理からぬこと。

 教室中がキャーキャーと盛り上がっている中、予鈴のチャイムが鳴り響き、担任が教室に入ってきたことでやっと騒ぎは収まった。

 ちなみに喜多ちゃんは予鈴のチャイムを聞いた瞬間、騒ぎを起こしてごめんなさい!と謝って自分の教室へと帰っていった。

 

 そこから先の事は覚えておらず、気がつけば放課後になっており、心配して見に来てくれた喜多ちゃんに起こされるまで意識が無かったらしい。

 

「え~っと、ごめんね、ひとりちゃん。その、怒ってる……?」

「ふん、カバノンャチタキ」

「ふぇ?カバ……なんて言ったの?」

「喜多ちゃんには内緒です!」

 

 プクッ!と頬を膨らませてそっぽを向くひとりに、喜多ちゃんは不覚にもキュンとしてしまった。

 

「よかった。やっぱりこれなら何言ったかバレないみたい……」

「え、何か言ったかしら?」

「う、ううん!あっ、それよりもそろそろ下校しなくちゃ待ち合わせに遅れちゃうかも!?」

 

 ひとりは喜多ちゃんに聞こえないように小さな声でボソッと呟くと、これ以上喜多ちゃんの相手をしているとデートの時間が無くなってしまうので席を立って帰ることを告げる。ひとりが席を立ったことで喜多ちゃんも慌てて立ち上がり、一緒に教室を出た。

 未だに制服姿のひとりの格好に違和感を持った人たちが興味深げに遠くから見ていた。

 

「それにしても、やっぱりひとりちゃんって可愛い美人さんよね。いつもの野暮ったいジャージから制服姿に変わるだけでこれだもん」

「へっ?急になんですか……」

「だって、こんなにも注目されてるじゃない。もしかしたら、今にもナンパ目的で声を掛けてく男子とか出てきそうね」

「そんな!私なんかにナンパするなんて……零士君くらいしか、ていうか零士君以外はちょっと……」

「っぐ!彼氏がいる女の余裕ってやつね!?」

 

 顔を赤くしながら恥ずかしそうに呟くひとりに、喜多ちゃんはグサッ!と心に何かが刺さったような痛みが襲った。

 そうして校門で別れたひとりは集合場所である駅前に向かった。

 予め決めていた待ち合わせ時間には余裕があり、距離的にも自分の方が近いので私の方が先に到着したのだろう。

 時間に余裕がある今のうちにスマホのカメラで、ちょっとでも可愛く見られようと軽く前髪をセットする。

 

 それが少し不味かった、今のひとりは原作の内気なジャージを着たダサい少女ではない。彼女は好きな彼氏のために猫背を直し、二重顎も解消して、ペットボトルの水で前髪を整える。

 そのおかげで顔の輪郭もクリアになって本来の可愛らしさを引き立てている。

 

 そのせいで、道行く人の何人かがひとりを見ては時折立ち止まって見惚れて、また歩き出すという謎の光景が繰り返されていた。

 そんな周囲の様子に気づくことなく、ひとりは零士君が来るのを楽しみに待っていると……。

 

「ねえ、そこの彼女!もしかして今暇してる?だったらさ、俺と一緒にお茶してかな~い?」

「ひぃっ!?」

 

 急にチャラついたナンパ男に声を掛けられて驚いてつい悲鳴を上げてしまう。

 っていうか、前にも似たような出来事があったような……?

 

「あ、あの、私今待ち合わせしてて、お茶するのは無理みたいな……」

「え~、でも君みたいな可愛い子を待たせる奴とか最低じゃん。俺ならそんなことしないけどな~」

「なっ、あっそのっ……、れ、零士君はそんな酷い人じゃありません!偶々、待ち合わせの場所が私の学校の方が近かっただけで、遅刻とかそんなこと一切ないです!!」

「おっ、おう……」

 

 思いのほかに大声での反論に、ナンパ男はたじたじとなって、ひとりから少し距離を取った。

 ナンパ男は自身よりも小さな女の子に気圧されたことに内心では男としてのプライドが傷ついたが、それでもまだめげずに再度チャレンジする。

 

「あ~、ならさ、その待ち合わせの相手が来るまでの時間潰しならどうよ?ねえ、ねえ?」

「いや、そういうのもちょっと……」

 

 零士の為ならば強気に出れるひとりも、自分のことになると途端に弱気になって押されてしまう。

 そして、そんなひとりにナンパ男は更に調子に乗り始めようとしたその時だった。

 

「おい、俺の彼女に何してんだよ?」

「おわっ!?」

「れっ、零士君!」

 

 ナンパ男が背後から突然肩を掴まれた。勢いで振り返ると、そこには怒りに満ちた表情の零士が立っている。身長差により下から見上げざるを得ないナンパ男は、怯えながら圧倒されていた。

 

「こいつに用があんなら俺を通してもらおうか。そうじゃないならとっとと失せろ」

「ひぃっ!?」

 

 零士に凄まれて、ナンパ男は尻尾を巻いて逃げ出してしまった。その背中を見ながら、ひとりはホッと息を吐いた。

 あのまま零士君が来なければどうなっていたか、あまり想像したくはない。

 けれど、そんな不安と同時に、ひとりは零士が自分を助けるために怒ってくれたのに喜びを覚える。だからか、自然と用意していた台詞が口から飛び出す。

 

「れ、零士君。ルテシイア」

「ん?今なんか言ったか?」

「ううん、ありがとうって言いたくて」

「あっそ……」

 

 そんなぶっきらぼうな態度も、ひとりにとってはラブコメ漫画の主人公ばりにカッコよく見えた。

 その後、ボディーガード兼エスコート役である彼氏に連れられて、いつも通りの最高のデートを満喫する。

 

 その間、何度か逆さ言葉で愛の告白をするが、普通に気づかれることなくスルーされて終わった。

 その事に少し不満があるも、言葉の意味に気付かれたら自分のノミのような心臓が耐えられる筈もなく、やっぱりこれでよかったとひとりは自身を納得させた。

 デートを何事もなく楽しんだ後、日が沈む頃に2人は帰路につき、零士がひとりを自宅まで送り届ける。

 

「そんじゃ、また次のデートでな」

「うん、ここまで送ってくれてありがとう」

 

 ひとりはそう言って手を振る。が、零士はその手をグッと掴んだ。

 突然のことに驚いて硬直するひとりの頬に手を添えると、そのまま自分の顔を近づけて……。

 ちゅっ♡と触れるだけのキスをした。

 

「ナシエカオノウョキガレコ」

「へっ、今のって……、もしかして、今日の言ってたこと全部知って……?」

「そりゃ、あんだけ何度も繰り返して使ってたら気付くはな……。あっ、ちなみに、気付いたのは3回目辺りからな」

 

 茶目っ気たっぷりにウィンクを飛ばして去って行く零士の背中を見つめながら、幽鬼のような足どりで帰路へとついた。

 そんな状態で家へと帰宅すると、ひとりはそのまま自室に直行する。

 そして……。

 

「んがああ あっ!? んむうぅ!!?」

 

 ドサッ!と、そのまま布団へとダイブして、枕に顔をうずめて足をバタバタとさせる。

 そうでもしないと恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだったから……。

 

 やがて、その恥ずかしさがある程度落ち着くと、枕から顔を上げてポツリと呟く。

 

「……キスイダンクジイレ」

 

 更に自分の首を絞めることになるというのに、それでもひとりは呟くことを止められず、またも逆さ言葉で愛の告白をして枕を顔に押しつけてバタバタと暴れるのだった。

 

 ちなみに、その奇行を襖の隙間から目撃していた家族は、霊媒師を呼ぶかエクソシストを呼ぶかで悩んでいた。

 




打ち間違いしたときはバックスペースキーのありがたみがよくわかりますね。
間違い箇所を切り取りで消す作業は面倒でしたwwwww

次回はパロディ回その2か掲示板ネタやりたいと思います、乞うご期待!!!
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