ぼっちちゃんの彼氏はバスケ部エース   作:リーグロード

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2週間くらい空いてすみません。
どうしても原作通りの内容になってしまって。
っていうか、前半部分はまるっきり原作通りです。
後半からなんとかオリジナル展開に持っていけたので、最初らへんは流し読みで結構です。


ヨヨコの完全敗北

 MVの再生回数が万を超えてテンションが跳ね上がる結束バンド。

 これまでの動画と違った確かな結果に、4人は満足感と共に確かな自信を感じる。

 

「すごいね!こんなに再生されるなんて、やっぱり本格的に映像をつけたのが正解だったみたい!」

「曲がよかったからじゃん?」

「私もそう思います!特に歌詞がすごくよかったです!」

「そ、そうですかね?」

 

 喜多ちゃんの勢いにたじろぎながらも照れるひとり。

 お返しにとばかりに喜多ちゃんの歌声も良かったと褒めるが、喜多ちゃんはそれを謙遜する。

 

「私なんか、リョウ先輩やひとりちゃんに比べたら、ただ歌ってただけですよ」

「喜多ちゃ~ん、そこで私の名前が入ってないのはどうゆうことかな?」

「あはは、勿論、虹夏先輩もドラムの腕は凄いですよ!」

「う~ん、なんか取って付けた感が否めないけど、まぁいっか!」

 

 2人が軽くじゃれ合いながらも、その内心で喜多ちゃんは考える。

 

(みんな、すごいな。私なんて、まだまだだ……)

 

 喜多ちゃんは、自分の実力不足を痛感していた。

 何度も曲を再生して聞き返す度に、自分の歌声に違和感が出てくる。

 

 曲の完成度に対して自分の歌声がイマイチであると感じ、勇気を出してエンジニアを担当したPAさんに話を聞いてみた。

 

 その結果はやんわりとフォローされ、遠回しに下手だと告げられた。

 ギターの腕は始めた当初よりは上達した自負はあるし、成長していると実感できているが、ギターボーカルという立場上、ギターだけでなく歌声も成長しなければと奮起する。

 

 だからこそ、喜多ちゃんは自分が成長するために行動を起こす。

 その為にはまずするべきこと、それは……。

 

「カラオケよ!」

「は……はい……」

 

 唐突にカラオケに誘われたひとりは困惑しながらも、喜多ちゃんに連れられてカラオケボックスへとやってきた。

 カラオケなんて殆ど行ったことがないひとりは、どうして自分が誘われたのかが分からない。

 もしかしたら、何か相談事でもあるのかと邪推して話を切り出すのを躊躇うひとりに対し、喜多ちゃんは新曲の歌い方の相談をしたいと切り出す。

 

「ひとりちゃん、私ね今のままじゃダメだと思うの!」

「えっ、そ……そんなことありません!最近は喜多ちゃんもギターの腕がどんどん上達してきてますし、この前のMVもたくさん再生してもらえたじゃないですか!」

「そうね。でも、あの曲を何度も繰り返して聞いてみて気づいたの。みんなの演奏の技術に私の歌声が追いついていないって。その証拠に、コメントにもいくつか私の声に対する不満もあったし……」

「あ、あうう……」

 

 喜多ちゃんの言葉に、ひとりは言い淀む。

 確かにあの曲を何度も聞いてみて、正直喜多ちゃんの歌声に物足りなさを感じていた。

 そのことはひとりも分かっていたが、それでも自分が出来ない事をやっている人に面と向かってそれを指摘するのは憚られた。

 ひとりのそんな気遣いに気づかない喜多ちゃんではない。

 

「それでね、考えたの。これから伸びていく上で、絶対的に必要なことがあるって……それは、努力よ!努力こそが人を強くする、それしかないのよ!」

 

 喜多ちゃんはそう言い切って、ひとりを真っ直ぐに見つめる。

 

「……そうですよね。分かりました!どこまで助けになれるかは分かりませんが、私も喜多ちゃんを応援します!」

 

 ひとりは喜多ちゃんの熱意に触発され、自分にできることなら何でもすると決意した。

 以前、クラスの皆と初詣でカラオケに行って以来だが、喜多ちゃんと二人きりなので、心情的にはまだ楽だ。

 

「ああっ、安心してね。練習とはいえ、せっかくのカラオケなんだもの私が精一杯盛り上げるわ!!」

「あっ、はい……」

 

 訂正。やっぱり人数は問題ではなかった。

 彼氏がいるとはいえ所詮は陰キャ、陽キャのノリにひとりは付いていける自信がなく、少し不安になった。

 

「よーし、さっそくなにか歌いましょうか」

「えっ、店員さんがドリンクを運んできますよ?」

「?別にいいじゃない」

 

 周囲の目を気にするひとりと、気にしない喜多ちゃんの間には大きな意識の違いが存在していた。

 最終的に、ひとりの忠告を無視し、喜多ちゃんは歌を歌い出した。

 その結果、店員がドリンクを持ってきた際にそれを阻止しようとしたひとりの奇妙な努力が、まるで立てこもり事件のような大騒ぎに発展してしまった。

 

「それじゃ、ひとりちゃんも何か曲を入れましょうよ!」

「えっ、いや、私は結構です」

「え~、そんなこと言わないで一緒に歌いましょうよ!」

 

 勢いに任せて渡されたマイクを受け取り、自分の最近の十八番を選曲する。

 

『恋愛サーキュレーション』

 

 最初は照れが入っていたが、サビの部分になると夢中になって熱唱し、喜多ちゃんを圧倒した。

 その歌声は普段のひとりからは考えられない程に力強く、そして熱の籠もったものだった。

 

「お、驚いたわ!?ひとりちゃんって歌上手だったのね!?」

「えへへ~、カラオケは零士君とのデートで何度も来てますので。それにこの曲も零士君にオススメされて実は密かに練習してまして……」

「あぁ……そうなんですね……」

 

 褒められて嬉しそうに照れるひとりは無自覚に惚気を口にして、彼氏いない歴=年齢の喜多ちゃんの心を傷つけた。

 それはそれとして、ひとりの歌声に感化されて、喜多ちゃんもマイクを握って歌を歌う。

 練習とはいえ、楽しそうに歌う喜多ちゃんの歌声に聞き惚れていると、ふと尿意が襲ってきた。

 

「あっ、すみませんトイレ……」

 

 そう言って席を立ち、トイレから戻る途中、隣の部屋からは騒音のような大声で熱唱する声が聞こえてきた。

 気になって少し立ち止まり、部屋の扉のガラス越しに中を覗くと、そこには大槻ヨヨコがいた。

 

「「あっ」」

 

 お互い目が合った瞬間、思わず声が漏れた。

 そこからのひとりの反応は早かった。何も言わずに無言で目を閉じてからの自然な立ち去りにヨヨコは反応が遅れ、ひとりを自分の部屋へと帰してしまう。

 

「あれ、ひとりちゃん?どうしたの、そんな見てはいけないものを見たような顔をして?」

「いえ、その、墓場まで持っていく秘密が出来たといいますか……」

「本当に何があったの……!?」

 

 ひとりが自室に戻るとすぐに、顔色の悪さを見て喜多ちゃんが心配して声をかけた。

 しかし、ひとりは何も言えず、ただ酸っぱいものを食べた後のような顔で黙るしかなかった。

 その時、だだだだだ……という大きな足音が近づいてきて、顔を真っ赤にしたヨヨコが部屋に突入してきた。

 

「バンドメンバーが全員ドタキャンしたから仕方なく一人で来ただけで、好きでヒトカラしてたわけじゃないからね!」

「大槻さん!?」

 

 突然の乱入者に驚いて声を上げる喜多ちゃん。

 そのまま言い訳を並べるヨヨコに、持ち前のコミュ力を発揮して喜多ちゃんが仲間に誘う。

 

「……まあ、たまには大人数もいいか」

 

 ヨヨコがわずか3人を大人数と表現することや、たまにはという言葉から、彼女がヒトカラの常連であることが察せられる。

 しかも、しれっと自分の部屋から注文した料理を持ってきて、混ざる気満々の様子だ。

 別に誘ったのはこちらだし、別に文句はないのだが、少々図々しいと思うのはこちらの心が狭いのだろうか?

 

「じゃあ私のバンドの曲でも……」

「え~!カラオケに入ってるんですか!?」

 

 まるでプロのバンドマンみたいだが、どうやらリクエストすれば入れてもらえるらしい。

 それはさておいて、自分の曲とはいえ、本当に上手い。声に説得力があるといえばいいのか、うまく説明ができないけれど、これが人気バンドのボーカルの声なんだと納得させられる。

 

「ふふん!!どうよ、私の歌唱力は?」

「流石は大槻さんでした~!」

「はっはい……。す、素晴らしかったです」

 

 ヨヨコはパチパチと称賛の拍手を受けて、胸を張り満足げにしている。

 その次に喜多ちゃんが歌うが、先に歌ったヨヨコと比べるとどこか劣っているように感じてしまう。

 それが何かわからずモヤモヤしていると、ヨヨコから手厳しい言葉を送られる。

 

「まぁ、今のあなたには結束バンドのボーカルである必然性はないわね」

 

 間違ってはいない。だからこそ、余計に心に突き刺さる。

 

「あ、あの!!いっ言ってることは正しいかもですけど、私は結束バンドのボーカルは喜多ちゃんがいいです!!上手いとか下手とかじゃなくて、喜多ちゃんじゃないと嫌なんです!!!」

「ひとりちゃん……。私頑張るから!!」

「あっ、はい」

「ちょちょ、ちょっと待ちなさいよ!これじゃ私がただの嫌な奴みたいじゃない!!」

「「ええぇ!??」」

 

 言外に違うのですか!?と驚きの声を上げる2人に、心外だと怒りつつも適切なアドバイスを送る。

 そのアドバイスは聞けば納得がいくもので、普段の残念な姿が印象に残っていたが、さすがはSIDEROSのリーダーと認めざるを得なかった。

 

「と、ところでここまでアドバイスしたんだし、ちょっと貴方に聞きたいことがあるんだけれど……」

「えっへっ、わ、私にですか?」

 

 ヨヨコの突然の言葉に、ひとりは動揺して声が上ずる。

 

「大槻さんがひとりちゃんに聞きたいこと……、もしかして……?」

 

 嫌な予感を感じ取る喜多ちゃんだったが、それを止める暇もなくヨヨコがひとりに詰め寄る。

 

「あ、あんたの彼氏の零士とはどうやって付き合ったの?」

「ふぇ、零士君とですか!?」

 

 慌てるひとりにヨヨコは更に詰め寄り、その勢いにひとりはたじたじになる。

 そして、ヨヨコの質問に対するひとりの反応といえば、困り顔をしながらも明らかに照れと嬉しさが入り混じった女の顔をしていた。

 でも、気がついてひとりちゃん!!ヨヨコの顔が段々と般若顔に近づいているのを!!!

 

「ふ、ふ~ん、随分と嬉しそうな顔してるじゃない。そんなにロマンチックな出会いだったのかしら?」

「いえ、そんな。ロマンチックな出会い方とかじゃなくて、どちらかといえば黒歴史に近いものでしたし……」

 

 そんなひとりの言葉にピクッ!と興味が出たのか、喜多ちゃんも止める様子から聞く態勢へと変えて大人しく席に座る。

 聞きたい様子の2人の圧に押し負けてボソボソと当時の状況を説明すると、喜多ちゃんは漫画みたいな展開に喜色の声を上げて聞き入るが、反対にヨヨコは苦々しい顔を浮かべていた。

 

「うぐぐ……、何よそれ!!つまり結局のところ運じゃない!!」

 

 爪を嚙みながら悔しそうに呟き続けるヨヨコに気が付いていないのか、ひとりの語りは中学時代から高校へと移り変わっていた。

 そろそろ、ここら辺でストップしておかなければヨヨコが憤死してしまいそうになるので、喜多ちゃんがひとりの口を慌てて塞ぐ。

 

「むぐぐ……」

「もう結構よひとりちゃん。流石にこれ以上の惚気は私もキツイから……」

 

 強制的にストップされたひとりはちょっと申し訳なさそうな顔でドリンクに口をつける。

 そんなひとりの隣でふてくされた顔で肘をついてドリンクのストローに口をつけるヨヨコは、不満そうな表情で睨み付けてくる。

 

「あの、なにか……?」

「ねえ、それって本当に愛し合ってるって言えるの?」

「ちょっ、大槻さん!?」

 

 ヨヨコの爆弾発言に、喜多ちゃんが慌てて止めに入るが時すでに遅し、ひとりは放心したような顔で固まっている。

 

「ワタシハレイジクンノコト好きデスヨ」

「あ~!大槻さんが余計なこと言っちゃうから、ひとりちゃんがロボットみたいになっちゃった!!!」

「えっ、これ私のせい?っていうか、ロボットみたいじゃなくて、まんまロボットの見た目になってるじゃない!?」

 

 動揺の連続で肉体が常人離れしてカチコチの四角いロボットみたく変形したひとり。

 普段の奇行に慣れている喜多ちゃんだからそこまで驚いていないだけで、この間の偶然出会った買い物の際に、ひとりの奇行(まだ常識の範囲内)を1度見ただけのヨヨコにとっては恐怖以外の何物でもなかった。

 

 なんで人間が硬質化するのかは置いておいて、喜多ちゃんのテキパキとしたマッサージによって角が取れて元の人間に戻っていくひとり。

 なんだか頭が痛くなる光景だが、それでも恋で暴走した大槻ヨヨコは止まらない!

 

「……電話してみれば?本当に好きなのかって」

「ちょっ、大槻さん!!!」

 

 流石にそれは踏み込みすぎだと少し怒りをみせる喜多ちゃんに、ちょっとばつの悪そうな顔で押し黙るヨヨコ。

 それでも暴走列車にブレーキは搭載されてはいない。ここでヨヨコが更に一歩踏み込む。

 

「もしあんた達の間に真実の愛があるのなら、ここで電話して証明して見せなさい!」

「真実の愛って……」

 

 今日日小学生でも言いそうにない、真実の愛という単語に喜多ちゃんは少しドン引きしている。

 しかも、言った本人も自分の言葉にダメージを受けてプルプルと真っ赤になって震えてる始末だ。

 でも、ひとりはそのヨヨコの言葉を受けて、覚悟を決めた顔をしている。

 

「っ分かりました。私、零士君に電話します!」

 

 忘れがちだが、ひとりの感性は少々時代の流れに乗り遅れているし、センスも若干男の子よりで単純思考に近い。

 真実の愛だなんて厨二センスの言葉に感化されてしまうのも、さもありなん。

 現に、彼女は決意を固めて携帯を手に取っている。

 

「ひとりちゃん!?そんな本気にしなくても……」

「い、いや!やってみてもいいんじゃない?本当に真実の愛なら何の問題もないわけだし!?」

 

 錯乱して自分でも意味不明なことを口走るヨヨコに喜多ちゃんがキッ!と睨み付けてそろそろ黙れと実力行使に移りそうになっていた。

 ちょっとしたカオスに展開しかけたが、そんな2人のやり取りをよそに、決意を固めたひとりは零士に電話をかけた。

 

 プルルルル!!!!

 

 コール音が1回2回と鳴る度に決意を固めた顔がどんどんと崩れていき、5回目辺りで電話から耳を離して焦ったような顔に変わっていく。

 そして7回目のコールでやっと電話が繋がった。ひとりは緊張に震えながらも、ゆっくりと口を開く。

 

「も、もしもし……」

「おう、ひとりか。珍しいな、お前から電話してくるなんて、それもこんな時間に……」

「ちょっと聞きたいことがありまして……」

「聞きたいこと……?」

 

 電話越しからはっきり伝わる困惑の声に、周囲で聞き耳を立てていた2人もゴクリと喉を鳴らして事の成り行きを見守っている。

 テレビの音はいつの間にか消音にされており、スピーカーモードでなくても聞こえる声に、2人はさらに注意深く耳を傾ける。

 そして……、ひとりは意を決して質問する。

 

「あの、零士君は私のこと大好きです……よね……?」

「は?突然何を……って、ああ、誰かに何か吹き込まれたとかそんなところだろ」

「あ、あう、そういうんじゃなくて、ええっと……」

 

 見事に察せられて動揺を隠せないひとりの声に、電話越しからハッキリと溜息が聞こえてきた。

 電話越しでも分かる呆れの感情に、ひとりは嫌われてしまったかもしれないと泣きそうになる。

 

 ヨヨコは自分が原因を作ったことに罪悪感を感じつつも、チャンスの到来を複雑な心境で見守っていた。その様子を横で見ていた喜多ちゃんは、さっき受けたアドバイスに対する尊敬や感謝を返してほしいという強い眼差しで睨みつけていた。

 

「言い訳なんていらねえよ。ただな、お前にアレコレと凝った言葉で言うよりも、分かりやすくシンプルに言った方が伝わると俺は思っている。だから言わせてもらうが……」

「ひゃい!?」

 

 思わず情けない返事が口から漏れるひとりだが、そんな返事にさえ気に留めず、零士は電話越しに言い放つ。

 

「愛してる。始まりの出会い方はどうであれ、今は心の底から惚れている。ってか、この前将来結婚しようって約束したばかりだろうが」

「~~~~っ///」

 

 一気に顔が沸騰したように赤くなる。何か自分も言った方がいいのだろうが、思考がオーバーヒートしたひとりはパクパクと口を開閉させるだけだった。

 ただ1つ、今のひとりの脳内にあるのは真実の愛の証明。

 そのようなドラマチックな展開に、喜多ちゃんは目を輝かせてヨヨコの手を握り、ヨヨコは敗北を認めて目のハイライトが消え去っていた。

 

「あ、あの!!私も零士君のこと愛してましゅ!!」

 

 焦りのせいで盛大に嚙んでしまったが、それでも本心である言葉を絞り出す。

 

「知ってる」

 

 電話越しから聞こえる零士の言葉に、ひとりは幸せで蕩けそうな笑みを浮かべる。

 やがて電話を切り、静寂状態となった個室に女が3人。女が3人集まれば姦しいとはよく言うが、今の彼女たちはそんな喧しい状態ではなかった。

 

「ひとりちゃん、さっきのまるでドラマみたですっごくドキドキしちゃった!!私も将来あんな素敵な恋をしてみたいわ!!でもでも、今のを人前でするのはちょっと恥ずかしいというか」

 

 訂正、喜多ちゃんはさっきのでテンションが爆アゲしたみたいで騒がしかった。

 

「で~す~よ~ね~。素敵な恋なんて女なら誰しもがしたいよね。で~も~、私みたいなモブ女なんかにそんな素敵な出会いなんて出来ないでしょうね。なんたって、運命みたいな出会いも周回遅れみたいなもんですし~~~」

「いや、それはなんていうか……」

「???」

 

 不貞腐れながらストローをガジガジと齧るヨヨコに、同情混じりの視線を送る喜多ちゃん。

 ただ1人、ひとりはヨヨコが零士に恋していることを知らないので、運命の出会い云々の話に首を傾げていた。

 

「あ~も~!っていうか、今日は喜多の歌の練習の為にカラオケに来たんでしょ!!私が監督してあげるから、さっさと歌いなさいよ!!」

「……そうですね!今日はとことん歌っちゃいますか!!」

 

 ヨヨコに促されてマイクを渡された喜多ちゃんは、さっきのひとりへの意地悪を水に流して、意気揚々と曲を選び始めた。

 そうして、ヤケになって指導に熱をいれるヨヨコと、それに必死になって食らいつく喜多ちゃん。それをひとりはジュースを飲みながら、先程の零士との会話を思い返し、幸せな気持ちに浸りながら2人を見守っていた。

 




次回の話はもう少し早めに投稿します。

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しねぇ奴は人の心とかないんか?案件です。
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