ねぽらぼのね   作:夢寺ゆう

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尾丸ポルカ

 

 ねね、ラミィ、ぼたんの3人は物資調達のために、とある港町に来ていた。

 

 とりあえずこの社をどうにかするよと百鬼あやめに破壊された神社に残ったミオ、フブキと別れ、3人は次の目的地をどうするかと話し合っていた。

 

「とりあえず、ねねの記憶を取り戻すことを第一優先にするとして、ラミィの里に一度戻ろうと思うんだけどいいかな?」

 

 ラミィの言葉にねねとぼたんは顔を見合わせる。

 

「ラミィの里!? うおぉ! 行ってみたい行ってみたい!」

 

「ラミちゃんの里に何かあるの?」

 

 二者二様の反応に軽く微笑みながら、ラミィはぼたんの問いに答える。

 

「ラミィの里の方が設備が整ってるから、一度戻ってねねにちゃんと星詠みをしてみようと思って。あと、記憶を戻す方法もやっぱり魔法に精通していて、且つ長生きしてる人の方が何か方法を知ってるかもしれないでしょ?」

 

 ラミィの里はエルフの里であり、この口ぶりからすると、長寿のエルフが里にはいるのだろう。

 

 ラミィの故郷、エルフの里へは神鏡山からだとねねが入院していたシケ村方面に戻ることになるのだが、シケ村をさらに越え、南下していく必要があるため長旅が予想される。

 

 物資を探し町中を3人で歩いていると、不意に声を掛けられた。

 

 

「そこのお3人さん。ちょいと寄っては行きませんか?」

 

 

 自分達へ向けた声だと理解するのに一瞬時間を要したが、その声の主を探し振り向く。

 

「「「…………?」」」

 

「こっちこっち」

 

 振り向いた先に人影はなく、キョロキョロと声の主を探す3人に今度はやや下から声が聞こえた。

 

 声のした方に視線を向けると、そこには道の端で胡座をかいている燕尾服にシルクハットを被った少女がいた。

 

「私たちに何か用?」

 

 ぼたんが代表して尋ねると、少女は体重を感じさせない身軽な動きで立ち上がり、3人に歩み寄る。

 

「いやー、あまりにも綺麗なお嬢さん方だったもんで、ついつい呼び止めてしまいました」

 

 少女の言葉に1人は顔をほんのり赤らめ、1人はえっへんと胸を張り、1人は無表情ながらも獣耳をピクピクさせる。

 

「特に金髪のお嬢さん。貴女からは不思議な力を感じる」

 

 そう言いながら少女はねねの顔を覗き込むように近付き、お近付きの印にと握手を求める。

 褒められて悪い気はしていないねねは何の疑いもなくその握手に応えると、いきなりパコっという音が聞こえた。

 

「…………取れたァァ!!!??」

 

 ねねが握っていた少女の右手が右手首から離れ、謎の右手だけと握手をしているという奇妙な光景が出来上がった。

 

「あっはっはっは! いやー、良い反応をしてくれるねー!」

 

 ねねの反応に高笑いを決める少女。袖から本物の右手を出し、ねねを安心させるように手をグーパーグーパー握ってみせる。

 

「えっと、貴女は一体……?」

 

 怪訝な表情のラミィに少女は笑い過ぎて目尻に溜まった涙を拭いながらシルクハットを脱ぐ。

 

「いやー、ごめんごめん。私の名前は尾丸ポルカ。しがない道化師のひとりだよ」

 

 背の高いシルクハットの中には大きな獣耳が収納されていたらしく、外に解放された耳をピョコピョコ動かす。

 

「道化師?」

 

「ピエロってこと」

 

 ニカッと晴れやかな笑みを見せ、どこからともなく取り出した1輪の薔薇の花をねねに渡すポルカ。

 それを受け取ったねねは首を傾げながら目の前の少女の瞳を覗き込む。

 

「……? どうかした?」

 

「あ、いえ、そんなピエロさんがこんな所で何を?」

 

「ああ、ただの客引きだよ。これからうちのイリュージョンショーが始まるもんだから、少しでもお客さんを集めないと。ってことで、お嬢さん方もどうかな? あと数時間後に中央広場に建てた大天幕で始まるから」

 

「ショー! ねね見てみたい!」

 

「それは良かった」

 

 ねねの反応に笑顔を見せたポルカがパチンと指を鳴らすと、ねねに手渡された薔薇の花が1枚の封書に姿を変える。

 

「うえっ!?」

 

「これも何かの縁ということで、それ、招待状だから。是非是非見に来てねー」

 

 そう言ってポルカがシルクハットを被り直し一礼すると、ポンッと煙幕が上がり、一瞬でポルカの姿を消してしまった。

 

「……あー、びっくりしたねー。それで、どうする? そのイリュージョンショーの招待状」

 

「私はどっちでもいいけど」

 

「えー! せっかく貰ったんだし行こうよ! ねねイリュージョンショーなんて見たことないよ!」

 

「そりゃそうでしょ! あんた今記憶ないんだから!」

 

「……あ、確かにw」

 

 ねねは笑いながら封書を開け、中にある招待状を見る。

 

「それにしても不思議な体験だったなぁ。手に持ってた薔薇が招待状にいきなり変わるんだもん。あれも魔法なの?」

 

「多分ね。でも、ラミィでも視認できないくらいの早業だったし、魔法だとしたら相当な手練だよ。それで、招待状にはなんて?」

 

 ラミィの質問に招待状を一緒に覗き込んでいたぼたんが答える。

 

「18時に開演だって。あと3時間後」

 

「それじゃあそれまでに買い物を済ませて、一度宿に荷物を置いてから見に行こっか」

 

「さんせー!」

 

 初見のイリュージョンショーに見るからにテンションを上げるねねと、実はねねと同じく生でそういったショーを見るのは初めてな2人も内心心を踊らせながら、3人揃って市場に向かった。

 

 

 

 

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