一般人時々バーサーカー   作:黒カム

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思いつきのお話。


異世界召喚

 

 

 

 

──気がついたら中世のヨーロッパの様な場所に立っていた。

 

 

 

男は困惑していた。

先程まで目にしていた光景が、瞬きひとつのうちに変わっていたのだ。

 

住宅が建ち並び、街灯が地面を照らす近代的な夜の街から、石やレンガ造りの建物が並ぶ中性的な昼の大通り。

まさに真反対な景色。

夜の闇に慣れていた目は唐突な光にシパついていた。

 

まずは状況の整理だ。

 

男の格好はTシャツに短パン、サンダルといったラフなもの。今、この景色に全く溶け込めていない格好で周りからの視線が突き刺さっている。

背丈は165、体重は68。細身ながら筋肉質な身体に顔の整った青年。

 

そんな男が顎に手を当て考えた末に出した現在の状況。

"何もわからん"である。

 

途方に暮れた彼は参ったなーと頭を叩いた。

その時だった。

 

 

 

「はぁ……はぁ……み、見つけた…!」

「……お?」

 

 

 

男のそばで膝に手をつき、肩で息をしている少年。

黒い短髪。鋭い目つきの三白眼。上下ジャージのこれまたこの場の景色に似つかわしくない格好の男。

 

「えーと、おたくは?」

「俺は"ナツキスバル"だ。アンタのことは知ってる(▪▪▪▪)

"ヤマモトタイヨウ"だろ」

「………」

 

男は少年、ナツキスバルに対し警戒を強めた。

初対面で名前を知られている。ストーカーの線も有り得る。

 

そこまで考え、いや待てと頭を捻った。

 

中世的な世界感に、"浮く"2人の男。

最近流行りの異世界もののような流れ。まさにファンタジーのような展開。

 

「何か知ってる……ってことでいいのか?」

「あぁ……とりあえず話だけでも聞いて欲しい。アンタの力が必要なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──異世界召喚〜!?」

 

場所を移しここは路地裏。

ちょっとした段差に腰かけ2人は話していた。

 

「ああ」

「……納得も理解も出来ないけどまあ、話を進めるか。そんで?俺のことを知ってる理由は?」

「………っ」

 

タイヨウの言葉に喉が詰まったスバル。

その様子を見てタイヨウもまた察した。

 

「訳ありか。言えないのか、言っても信じれない話か……何はともあれ何かはあるわけだな?」

「……ま、まあ」

「よぅし、お兄さん当てちゃおっかなー」

 

そうして考え込むタイヨウ。

異世界……ファンタジー……魔法の類が存在してる世界だとしておそらくはその系統の力。

 

相手の情報を見ることが出来る?いや、出会いのときを思い出すとあれは確実に"タイヨウ"の存在を知っている様子だった。

では、目的の人物を探す能力か?いや、だとしてもわざわざ会いに来る理由はなんだろうか。

力を貸してほしいということからこれから何かが起こることが分かる、ってとこをみるに未来視の力か?いや、それなら"タイヨウ"のことを初対面で知る機会は無い。

 

これらが当てはまるような力は無いか。頭をひねり考え出した答えは。

 

「……もしかして、未来から来た、とか?」

「っ!」

 

未来から来た。そう考えると辻褄は合う。

今がナツキスバルの中では何周目かは分からないが、そのルートの中でタイヨウと知り合い、タイヨウが初めにどこに召喚されたのか場所を知り、これから起こる何かしらのトラブルでタイヨウがキーマンになることを知った。

 

なるほど納得した。

 

「何があったか、聞かせてみ?」

 

タイヨウはナツキスバルにそう問いかけた。

 

 

 

 

 

「なるほど、ルート1周目で助けて貰った女の子に恩を返すため、女の子が盗まれたとあるものを探してたら殺された、か」

 

そこから導き出される答え、それは、

 

「死ぬ事が発動条件のセーブとロード、か?」

「っ!?……あ、アンタすげぇな」

 

驚くナツキスバルを他所にタイヨウの体が震えた。

背筋を走る寒気、直後にヒヤリとした手のようなものが首筋を伝う感覚。

タイヨウの額に冷や汗が流れた。

 

「正解なのかよ。しかもこれ、能力とかじゃなく呪いの類じゃ…」

「ど、どうかしたのか…?」

「あー、いや。とりあえずその力のこと口外禁止だ。俺はどうやら許された(▪▪▪▪)っぽいけど他の人に話したら、まあ、いいことは起こらないと思う」

 

異世界召喚、しかも、かなり厄介な事案に巻き込まれたことを理解してタイヨウの口からため息が零れた。

 

「で?なんで俺なんだ?」

「ああ、ルート1周目。そこでタイヨウとは出会ってはいたんだけどわけも分からず女に殺されて2周目に突入したんだ。2周目、3周目はタイヨウと出会わずに死んで。今に至るわけ。それでどうしようか悩んだとき思い出してさ。1周目の時、意識が無くなっていく中、タイヨウが俺を殺した女と互角に戦ってたから……」

「なるほど、護衛ってことか」

「まあ、ぶっちゃけるとそう」

 

相手の実力がどれほどかは分からない。

それでもタイヨウには魔法とかいう不可思議な力を使われない限り、どんな相手だろうがそれなりに食らいつける程には強い自負がある。

 

「でもまあ、あの女が来る前に盗品蔵に行って全員連れ出してしまえばいいってことに気づいたからな。念の為にって感じだよ」

「なるほど…、ま、いいよ」

「マジで!?」

「行くあてないしなぁ。同じ境遇同士、仲良くやるべきだしね」

 

そんなタイヨウの言葉にナツキスバルは喜びを露わにした。

とりあえず、タイヨウ、そんなナツキスバルをよそに持ち物の確認。携帯に財布。以上。

財布のなかには万札が3枚。カードがいくつか。

 

腹も減った。何か食べたい。

 

「なあ、この世界って"円"使える?」

「えん…?……あ、お金か。いや、ここじゃ日本円は使えなかったな」

 

そらそうか。

 

予想はしてたがその言葉を聞いてより一層腹の減りが増したような気がした。

 

そんな時だった。

 

「よぉ、兄ちゃんら」

「げっ、またコイツら。不回避イベントなのかよ」

 

ヌルッと現れた3人組の不良。

ナツキスバルの反応からして毎度、どんなルートでも遭遇すると輩らしい。

なるほど。

 

「金目のモン置いていきな」

「おとなしく言う事聞いてりゃ怪我はさせねぇからよ」

 

懐からナイフを取り出す男の1人。そんな彼を中心に他2人は逃げ場を防ぐように左右へと広がった。

 

「……ちょうどよかったー」

「あ?何言って──」

 

そこから先の言葉は続かなかった。

タイヨウが手にした拳大の岩が、男の顎へと直撃。

骨が碎ける音が辺りに響いた。

 

「な、テメェ…!」

 

その言葉と共に突き出してきたナイフ。

それを躱し、伸びた腕を手首を上から、肘を下から押すことで骨が折れる鈍い音が鳴った。

 

「あがっ…!?」

 

そのまま身を翻し、一本背負いの要領でなげる。と、同時に手元のナイフを奪取。

逆手に構え、後から迫ってきていた1番背の低い男のほおへと突き立てた。

 

「いっ…!」

「下手に抵抗したらこのまま喉奥に突っ込んでやる」

「ひ…!」

 

タイヨウの睨みひとつに怯える男。

他2人も痛みにのたうち回って地面に伸びていた。

 

「金目のモン……はいいか。所持金全部ここに投げてどっか行け」

「……っ!」コクコクコクコク

 

涙目で降参する男。

この光景を見てナツキスバルは冷や汗を流していた。

 

バカ強い。けど、容赦もない。

 

ヤバい人を仲間にしたのではと不安になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お金ゲット出来たな!ナツキスバル!飯が食えるぞ!」

「俺、もう、アンタの情緒が怖いよ…」

 

嬉々として喜ぶタイヨウと、それを見て引くナツキスバル。

不良3人組もどこぞへと逃げ出しこの場には2人だけが残っていた。

その時だった。

 

「ここで何をしてるのかな?」

 

透き通った男の声が路地裏に響いた。




本当は金カム要素とかじゃなく杉元佐一自体を主人公にしてみたいなと思ってたけど、異世界転移の辻褄合わせとか思いつかないから金カム要素持ちのオリ主にしました。
性格まんまです。ほのぼのしてたと思ったら次のシーンではバーサーカーみたいな感じにしていきたい。

名前は杉元と語感似てるなと思って山本に、名前の方は……関わりあるキャラ、いるよね?
好きなんです。だから後々からませたい。
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