一般人時々バーサーカー   作:黒カム

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騎士の中の騎士

 

 

 

「誰だ?知り合い?」

「いや、知らない」

 

ナツキスバルが知らない。つまり今回のルートで初の会合ということだ。

 

白を基調とした服に剣を腰に差した赤髪の青年。

一目見ただけでわかる、The騎士感。

 

「僕はラインハルト。今日は非番だから制服を着てないが、これでも騎士をしている」

「……なるほど、衛兵さんか」

 

そんなつぶやきと共にタイヨウは不良から奪った小刀ほどの大きさのナイフを後ろ手に握った。

いつでも抜けるように。

 

「先程、ここから走り逃げていく男たちが見えた。何があるかと思えば君たちだ。何をしていたのかな」

 

やるべきかやらざるべきか。

ナイフを手にしたタイヨウは悩む。相手の実力も分からない。佇まいは歴戦のそれ。謙遜さに隠れた実力者。

魔法も不確定。どんな力を持っているのか。

攻め手が思いつかない。故に動き出すことが出来ていなかった。

 

しかし、それを後ろから見ていたナツキスバル。タイヨウの容赦のなさは先程目にしている。

このまま放っておくと起こり得るできごとが脳裏に過ぎり、慌てて口を開いた。

 

「あ、あー!あの不良たちかぁ!いやー俺らがここで一休みしていたらよ、カツアゲされそうになってさ。そこでこの俺様が見事に撃退したって訳よ」

「え?俺がボコボコ「シィー!」

 

タイヨウの言葉半ばに遮り鼻に人差し指を立てた。

 

「……ふぅー、なるほど。信じよう」

 

焦るナツキスバルを見て笑顔でそう言うラインハルト。

しかし、その目はタイヨウに向けられた瞬間に鋭くなる。

ナツキスバルに脅威は無い。しかし、タイヨウの佇まい、そして何より躊躇なく"ナイフに手をかけた"彼を警戒していた。

 

「えーと、ラインハルトさん……でいいんでしたっけ?」

「ラインハルトでいいよ、スバル」

「さらっと距離を詰めてきたな…」

 

爽やかな笑みをうかべるラインハルト。それに苦笑いを浮かべるナツキスバル。

ごほんと咳払いをひとつ、改めて口を開いた。

 

「んじゃ、ラインハルト。悪かったな、勘違いさせちまって」

「何、気にする事はないよ。ところでスバル。めずらしい髪と服装、それに名前だと思ったけど、スバルはどこから王都ルグニカに来たんだい?」

「……っ」

 

言葉につまるナツキスバル。

衛兵として素性の分からない男がいたらこうなるのは当然のことだ。それをナツキスバルもタイヨウも理解していた。

 

「……お生憎、田舎者だからあんまり詳しくは分からないが方角で言えば東の方からだ」

「ルグニカの東?大瀑布の向こうからって冗談か何かかい?」

「大瀑布……滝、だっけ?そんなのあるの!?」

 

タイヨウの言葉に首を傾げるラインハルト。

辻褄合わせが難しい。何よりこの世界の知識が欠けに欠けている2人。怪しまれている。

 

「……とにかく、王都の人間じゃないのは確かだね。なにか理由があってここにいるんだろう?僕でよかったら手伝うけど」

「なら一つ聞きたいことがあるんだけど」

「なんだい?」

「このあたりで白いローブ着た銀髪の女の子って見てない?……あと、ついでに超絶美少女」

「フム」

 

ナツキスバルの言葉に顎に手を当て考えるラインハルト。

記憶をたどっているのだろう。時間にして数秒、ラインハルトは顔を上げた。

 

「すまない、心当たりは無いな。もしよければ探すのを手伝うけど」

「いや、休日なんだろ?そこまで面倒はかけられねえよ。大丈夫、あとはどうとでも探すさ」

「そうか」

「てなワケで、俺たちはもう行くよ。行くぞー、タイヨウ」

「……ん?ああ」

 

ナツキスバルの言葉に"ようやく"後ろ手に握っていたナイフを離し、服を上からかぶせ歩き出す。

ラインハルトの横を通り、ナツキスバルの元へ。

その一瞬の中でタイヨウはラインハルトと視線が合った。

 

「じゃ、世話んなったな。この礼はまたいずれ」

「……ああ、君たちならいつでも歓迎さ。気をつけて」

「ああ、じゃあな!ラインハルト!」

「………」

 

そうして走り出すナツキスバルを追いかけるタイヨウ。

その2人の背を青い双眸で見つめる男。それに気づいていたのはタイヨウだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……警戒されてたな」

「え?」

「なんでも」

 

ナツキスバルの横を走るタイヨウ。

彼の脳裏には先ほどの騎士の男、ラインハルトが思い浮かんでいた。

 

あの場で戦っていたら負けていたのはタイヨウだ。彼はなんとなくだがそれを理解している。

不用意に敵対するのは避けるべき。そう結論をつけ、ため息がこぼれた。

 

「んじゃ、俺聞き込みしてくるから。例の特徴をした女の子見つけたら教えてくれ」

「おっけ、任せとけ。鷹のように見張っておく」

 

敬礼をひとつ。ナツキスバルは去っていった。

さて、スバルから教えて貰っていたとある女の子の特徴。金髪の髪を後ろでひとつに纏めた、薄着の女の子。

 

こうして周囲を見てみると案外特徴に合う人物は多い。

その中でも身軽そうな小柄な体。

 

「……人が多すぎるな」

 

小柄ということは人垣に隠れやすいということだ。これはなかなか見つけるのに骨が折れる。

そう思っていたが、

 

「タイヨウ!」

「お?戻ってきたかナツキスバル。どうだった?」

「ああ!フェルトのとこに行くぞ!

「……あ、うす」

 

この言葉から察した。

既に"盗まれた"のだと。

タイヨウはやれやれ、と頭を振った。

 

「人生は、上手くいかないもんだな」

「ああ!でも、何度だってやり直せる!」

「……それは精神的な話?それとも物理的な話?」

 

そんな軽口を言い合いながら彼等は貧民街へと向かった。




主人公はチート過ぎないようにチートにしたいけど加減難しいな…
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