かいご・ざ・ロック   作:男の娘って良いよね

10 / 13
第十話 極の番「綺羅羅跳躍」

ひとりちゃんの見つけたいい感じの場所に着くと、早速写真撮影を始めた。

 

「それじゃとるよ。はい、チーズ」

 

試しに一枚、パシャリと写真を撮る。

 

「どうかな」

「うーん、メンバーのキャラは出てるけどいまいちバンド感が。バンドっぽさを感じる要素が欲しいなぁ」

 

ひとりちゃんの顔が完全に隠れてるのがなぁ。

心霊写真かな?

 

「バンドマンのお手本たる存在こと、私の真似してみて」

「ホント何処からくるのその自信」

「でも先輩の言う事を聞いていれば間違いないですよ! ねっ、後藤さん!」

「あっはい!」

 

ねっ、じゃないのよ。

ひとりちゃんに聞いたら全部肯定するに決まってるんだから。

リョウちゃん全肯定マンとイエスマンの組み合わせが強すぎる。

 

「イエスマンが二人……」

「まあこの二人ならそうなるよね。それで撮ってみよっか」

 

取り敢えず撮ってみたのだが……

 

「お通夜みたいだね……」

「だね」

 

全員無表情なの怖すぎる。

心霊写真感が三倍増しだ。

 

「一回休憩にしよっか」

 

僕はバッグからエナドリを取り出しながら言う。

この前虹夏ちゃんが買ってきたエナドリまだ余ってるんだよね。

僕が買い取ったから良かったけど、ホントにどうするつもりだったんだ。

 

「にしても喜多ちゃんはどの写真もかわいいね~」

「そんなことないですよ」

「あるある。なんていうか写真なれしてるっていうか」

「ああ、それはよくイソスタに写真あげてるからかも? ほらっ」

 

ほんとに可愛いね。

SNS担当大臣なだけはある。

 

「ゔっ」

「ひとりちゃんが瀕死状態に?! 後藤さんどうしたの!? 死なないで!? やだ! 凄いピクピクしてる! どうしちゃったの!? 起きてぇ〜!」

 

ああ、ひとりちゃんが死んじゃった。

 

「ぼっちちゃん顔やばいって」

「私が、私が下北沢のツチノコです」

「後藤さんが変なこと言ってる!?」

「いつもこんなんだよ」

「うん」

 

二人共ももう慣れたみたいだね。

扱いが雑になってきてる。

 

「ぼっちちゃんもイソスタ始めてみたら? ね! 大臣もそう思うでしょ?」

「ぜひ! 友達になりましょう! バンド活動していくなら、メンバー個人のアカウントがあったほうがいいと思うし」

「あっ……二人共……」

 

そんなことひとりちゃんに言ったら……!

 

繝九ず繧ォ縺」縺ヲ隱ー!!!

「後藤さん!?」

 

ああ、SAN値チェック失敗して発狂しちゃった。

虹夏ちゃんもまだまだだね。

これじゃただ死体蹴りしただけだよ。

 

「理、理斗くん、こういうときどうすればいいの!?」

「こういう時はこうやって……」

 

ひとりちゃんの頭を優しく撫でる。

そして耳元で囁いてひとりちゃんを褒める。

すると、次第に震えが治まっていく。

 

やっぱりひとりちゃんを復活させるのは褒めて調子に乗らせるのが一番手っ取り早い。

 

それにしても、ひとりちゃんたまに人間辞めるのどうなってるんだろうね。

まるでアニメみたい。

そう、例えるなら、きら……いや、きらら作品は主人公が爆散したりしないか。

なんでそう思ったんだろう。

 

「後は……今は出来ないけど、ひとりちゃんの好物、唐揚げとかの匂いで復活するよ」

「理斗くん距離感おかしくない? 付き合ってるの?」

「え? 別に付き合ってないけど? なんで?」

 

近いかな。

別にそこまで近くないと思うけど、虹夏ちゃんが言うならそうなのだろう。

 

「虹夏ちゃん達も頭撫でてあげようか?」

「どうしてそうなった!?」

 

なんでだろうね。

 


 

「うーん、なかなかいいの決まらないねぇ〜」

 

撮影を再開した僕たちは、アングルを変えたりして何枚も写真を撮ってみたが、決めることが出来なかった。

 

「ジャンプとかどうですか? 絵になるし、みんなの素の感じ出そうですけど」

 

ジャンプか、いいね。

僕も日常系のアニメでは積極的にするべきだと思うよ。

 

「それいい! 喜多ちゃん天才!」

「有識者がいっていたオープニングでジャンプするアニメは神だと。つまりアー写でジャンプすれば神バンドになるのでは」

 

大抵のアニメでジャンプしてる気が……

むしろ今どきオープニングできららジャンプしてない作品のほうが珍しいのでは?

 

「まああんま気にしなくても大丈夫だよ。みんなかわいいから何やっても絵になるし」

 

早速撮ってみた。

 

「どう?」

「あっ……ごめん失敗しちゃった撮り直そう!」

 

これは駄目だ!

すぐに消さないと!

 

「?」

「どうしたんですか? そんなに焦って」

「ななななんでもないよ! ほら! 次の写真撮ろう!」

「怪しいなぁ〜。ちょっとそのカメラ見せて!」

 

ちょ、虹夏ちゃんカメラとろうとしないで。

喜多ちゃんも辞めて。

 

「あっ」

「げっと。あ、ぼっちのパンツが写ってる」

「あれれ〜とんでもない写真とれちゃってるな〜!」

「ごめんひとりちゃん、すぐ消すから」

「い、いえ、無価値なもの写してすみません」

「もっと可愛い反応期待してたんだけど」

 

ひとりちゃん!?

羞恥心の欠片もないよ!?

 

「それに比べて理斗くんは顔赤くしちゃってさぁ。平気で抱きついたりするからてっきりそういうの興味ないんだと思ってたけど、ちゃんと男の子だったんだね」

「うっ……」

 

だってみんなかわいいんだもん!

相手を甘やかす時は距離が近くてもなんとも思わないけど、そうじゃない時は僕だってドキドキするんだよ!

 

「可愛いですね!」

「うぅ……も、もう! いいから! と、撮り直すよ!」

「はぁ~い」

 

小悪魔め。

今度何かあったら絶対からかってやるんだ。

 

「お、これいいね! バンド感に青春っぽさがプラスされたね」

「これでいいんじゃない」

「よし! アー写はこれで決まり! もう一枚撮ろう! 今度は理斗くんも一緒に!」

「僕も?」

「それいいですね!」

 

タイマーをセットする。

 

「理斗、両手に花だね」

「な、何で僕に抱きついてるの?」

 

リョウちゃんと喜多ちゃんが何故か抱きついてきた。

二人共僕の顔を見てニヤニヤしてる。

確信犯だ、僕の反応を見て愉しんでる。

 

そしてそこにひとりちゃんと虹夏ちゃんが加わった直後、シャッター音が鳴った。

 

「ひ、ひとりちゃんまで!?」

 

そして溶けるひとりちゃん。

やっぱり無理してたんだ……

 

「これで人気バンドへの夢にまた一歩近づいたね」

「結束バンド、本格始動ですね!」

「よぉーし夏にライブ(未定)と、デモCD配布(未定)して、ファーストアルバムリリース(未定)。下北沢発祥のエモエモなエモロックバンドになるぞー!」

「確定情報が何もないですね!」

 

全部(未定)だからね。

 

「あはは、たしかに。まだ曲も出来てないのに」

「まあここはリョウとぼっちちゃんに頑張って頂いて……ってあれ? リョウは?」

「気づいたらもう……」

「本当自由なんだから」

 

なんだ……もう帰っちゃったのか……

せっかくカレーを奢ってあげようと思ったんだけどなぁ。

まあいつものことだけどね。

 

「じゃあ今日はありがとね。かいさーん!」

 

さて、今日お昼はなに食べようかな。

そういえばこの前テレビでやってた人気のカツ丼屋、よさそうだったな。

よし、お昼はこれで決まりだ。

美味しかったら再現してリョウちゃんに食べてもらおう。




おかしいな、主人公は常識人枠の予定だったのに段々とただのヤベーやつになってきてる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。