かいご・ざ・ロック   作:男の娘って良いよね

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第三話 ミーティングとまた明日

「ぶたさん?」

 

ガタガタ震えてる後藤さんが取り出したのは豚の貯金箱だった。

サイコロの時も思ったけどみんなどっから出してるんだ。

 

「こっ、これ、お母さんが結婚費用に貯金してるお金です。これで、どうか……バイトだけは……」

「ありがたくいただきま――」

「いただかないの! あたしたちを鬼にする気!?」

 

貯金箱を受け取ろうとする山田さんの手を伊地知さんが叩いてとめる。

山田さん……流石にそれはどうかと思うよ。

 

「山田さん、お金に困ってるなら僕が貸してあげますから……。というか後藤さんはなんでそんなもの持ち歩いてるの?」

「あっ、いや、どうせ使わないし…………万が一の時のために持ち歩いてるんです」

 

だからって貯金箱持ち歩く?

重くない? 色んな意味で。

というか後藤さんにとって今が万が一の時なのか。

そんなバイトするのが嫌なの?

あとどうせ使わないとかそんな悲しいこと言わないで。

 

「大丈夫だよ! 後藤さん奇行に走らなかったらかわいいし! 他人とコミュニケーション取れるようになったらきっと結婚できるよ!……多分」

「理斗くんがナチュラルに鬼畜!」

 

まあ後藤さんなら大丈夫だよ。

もし結婚できなかったら僕が養ってあげるから安心してね、後藤さん。

 

「それで、ぼっちちゃんもここでバイトしたらどうかな! ここならあたしもリョウもいるしさ!」

「アットホームで和気あいあいとした職場です」

「それブラック企業の謳い文句では?」

 

アットホームで和気あいあいとか言ってる会社は1000%ブラックなのよ。

 

「ねっ? どうかな?」

「が、がんばりましゅ……」

 

あっこれ後藤さん断われなかっただけだ。

後藤さん基本イエスマンだからなぁ。

多分働きたくない社会が怖いとか思ってる顔だな。

いやまあここまで言われたら断りずらいだろうけど。

 

「そうだ! 理斗くんも一緒にしようよ! 男の子もいると心強いし! ぼっちちゃんも安心できるだろうしね!」

「いいね、ノルマも減っていいことずくめ」

 

えぇ……僕メンバーじゃないし一応部外者なんだけどなぁ。

なんなら出会ってそんな時間たって無いけど。

というか僕もノルマ払うんですか。

まあいいか、後藤さんも心配だしね。

 

「わかりました! 僕も結束バンドのみんなを手伝いますよ!」

「やったー! あ、バンドの経費の管理はアタシがするね」

「えっ! リョ、リョウさんに預けたほうがいいんじゃ……」

「どういう意味じゃ」

 

後藤さんの言葉に伊地知さんが怒りの台パンをする。

山田さんが金欠で雑草生活をしていたと知ってなお伊地知さんよりしっかりしてると思ってるのか。

後藤さんの中の伊地知さんのイメージどうなってんの?

 

「あのねぼっちちゃん。リョウはこう見えて滅茶苦茶お金遣い荒いの。お金持ちでお小遣いたくさん貰ってるのに楽器に注ぎ込んでるから年中金欠なの」

 

まあ楽器って高いしね。

安いのでも数万するし。

それでも雑草生活送るレベルの金欠はおかしいと思うけど。

こっそりポケットに食費入れておこう。

いや、それすらも楽器に注ぎ込まれるか?

そしたら最悪料理作ってあげればいっか。

 

「てれっ」

「どこが褒め言葉に聞こえた?」

 

伊地知さん今日ずっとツッコミしてるな。

まあ二人がずっとボケてるから仕方ないね。

伊地知さんジト目もかわいい。

やっぱり天使、いや、大天使と呼ぶべきか。

 

「あっ、そうだ。理斗くんロイン交換しよう!」

「あっはい。じゃあロインID教えてください」

 

三人とロイン交換をすると、伊地知さんを通してすぐに結束バンドのロイングループに招待される。

伊地知さん自分のドリト……じゃなくてアホ毛アイコンにしてるんだ……。

 

「伊地知さん? 僕結束バンドのメンバーじゃないですよ?」

「いーのいーの! 細かいことは気にしない気にしない! あと、アタシたちのこと下の名前で呼んでよ! 敬語も使わなくていいからさ!」

 

伊地知さん結構強引なところあるな。

こんな目をキラキラ輝かせながら言われたら断れないよ。

まあ断る気も無いけど。

 

「わかったよ! 虹夏ちゃん! リョウちゃん! ひとりちゃん! これからよろしくね!」

「お、おぉ」

「破壊力がっ!」

「ヴァッ!」

 

ひとりちゃんまた爆発しちゃった。

みんなの反応もなんかおかしいし、一体どうしたんだろう。

 

「じゃ、じゃあ、近いうちにまたライブ出来るように頑張ろう! 目指せ高校生でメジャーデビュー!」

「おー!」

「おー」

「お、おー」

 

高校生でメジャーデビューか。

大変だろうけど、このバンドなら出来そうな気がするな。

 

「じゃあバイトは来週からね! 学校終わったらウチに直行で!」

「ばいばいぼっち、理斗」

「あっはい……また明日」

「うん! またね!」

 

二人に別れを告げ、歩きだす。

しばらくひとりちゃんと話しながら帰り道を歩いた。

ひとりちゃんだいぶ目が合うようになってきたな。

ちゃんと成長してる。

 

「じゃあひとりちゃん、僕こっちだから。また明日!」

「あっはい……また明日……」

 

ひとりちゃんまだ震えてる。

そんなにバイトが怖いのか。

僕がひとりちゃんのこと精一杯サポートしないとね。

 




結婚費用の入った貯金箱持ち歩くヤベーピンク色
スタイルはいいのに中身が余りにも残念すぎる……

理斗くんを結束バンドに入れる?

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