かいご・ざ・ロック   作:男の娘って良いよね

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五話目にしてもうサブタイトルが思いつかなくなってる


PAさんスプタンってマ?


第五話 逃げたギターと男の娘

「ひとりちゃん、大丈夫だった?」

「あ、はい。ありがとうございます」

 

あの後、ひとりちゃんは数日間休み、僕が代わりにシフトに入ることになった。

 

「あっ! それボーイミーツガールの新譜じゃん!」

「学校来る前に買ってきたんだ〜」

 

そう会話するのは前の席の可愛さんと灰原さんだ。

二人共音楽好きなんだ。

ひとりちゃんと仲良くなれそう。

 

「あっあの!」

「どうしたの?」

「後藤さんが話しかけてくるなんて珍し〜」

 

ひとりちゃんが自分から話しかけてる!?

頑張れ、ひとりちゃん!

 

「忘れました……」

「この一瞬で!?」

 

駄目だったかぁ。

でも一歩前進だよひとりちゃん!

この調子なら今年中にクラスメイトと話せるようになるかな?

 

「ひとりちゃん!? 二人共ごめんね! ひとりちゃん人見知りだからさ」

「いや、それはいいけど……」

「桃槍くん最近後藤さんと仲いいよね」

「もしかして付き合ってるの!?」

 

それから根掘り葉掘り聞かれ、恋人ではないと訂正するのに昼休みまでかかってしまった。

誤解だと言っても全然信じてもらえなくて大変だった。

 

 

ようやく解放された僕は、喜多さんが歌が上手くてギターが弾けるという噂を聞き、勧誘するため一組に来ていた。

 

「喜多さん! ギター引けるって本当!?」

「確か……二組の桃槍さん?どうしたの?」

「今僕の友達のバンドがギターボーカル探しててさ、入ってくれないかな!」

「あぁ、ごめんね。私そのバンドには入れない…………その……私ギター引けないの……私ね、前のバンドの先輩目当てで嘘ついて入って、結局何一つ分からなくて逃げたのよ」

 

嘘ついて入った!?

結構やばいことしてるね。

その先輩と一緒にいたいからってそこまでする?

 

「え?……れ、練習の時とかどうしてたの?」

「ギター修理に出してるって言ったりして誤魔化してたわ」

 

お、おぉ。

喜多さんロックだね。

というかそれで誤魔化せるものなの? 

 

「だから一度逃げ出した私がバンドなんて駄目なのよ」

「…………本当にそれでいいの?」

「え?」

「逃げ出したこと、後悔してるんでしょ? 多分、一生引きずると思うよ」

 

喜多さんはいい人だ。

だからきっとそのことを引きずるだろう。

 

「私……謝りたい。ギターを本当に弾けるようになって、先輩たちに謝りたい!」

「ならさ、ひとりちゃんにギター教えて貰えばいいじゃん! よし、行こう喜多さん!」

「え!? ちょ、ちょっと待っ! キャァッーー!」

 

喜多さんの腕を掴み、ひとりちゃんのところへ走り出す。

この時間帯なら……階段下かな。

 

「凄い……」

「この下から聞こえてくるギターを演奏してるのがひとりちゃんだよ」

 

ギターの音が聞こえてきた。

あれ?

ひとりちゃんギター上手くなってる?

ライブの時とは明らかにレベルが違う。

それに、どこかで聴いたことがあるような………

まあいいや。

下に飛び降り、ひとりちゃんに話しかける。

 

「おーい、ひーとりちゃん! ってなんで泣きながら演奏してるの? ひとりちゃん、大丈夫? 何かあったの?」

「あっいや、ちょっと黒歴史を思い出してしまって……」

「よしよし、大丈夫だよ〜」

 

泣くほどの黒歴史って一体何があったんだ。

いやまあひとりちゃんネガティブ思考だしちょっとしたことでも黒歴史認定しそうだけど。

 

「感動〜! 後藤さんギターうまいのね〜!」

「えっ!?」

 

喜多さん?

いつの間にひとりちゃんの後ろに行ったの?

気配が全くなかったよ?

 

「ひとりちゃんにお願いがあるんだけどさ、喜多さんにギター教えてくれないかな?」

「ゔえ゛っ!?」

「私にギターを教えて。こんなに上手い後藤さんに教えて貰えたら頑張れる気がするの」

「な、なんでそんなことに?」

 

ああ、そっか。

ひとりちゃんは何も知らないもんね。

 

「実は、カクカクシカジカで……」

「じ、事情は分かりました。で、でも放課後はバイトが……」

「お願い! バイトは僕が何とかするからさ! お金だって払うから!」

「後藤さんお願い!」

 

二人でひとりちゃんに頼み込む。

 

「わ、分かりました……」

 

よしっ!

ありがとうひとりちゃん!

 


 

「バイト先って下北沢だったのね」

「あっ、来たことあるんですか」

「前のバンド下北系だったから。それに、前のバンドの先輩がここに住んでて……」

「大丈夫だよ、流石にその子達に鉢合わせたりしないって」

 

そう言って喜多さんを安心させようとするがまだ不安なのか怯えながら周囲を見回している。

正直ちょっと可愛い。

 

「そうだといいけど……ところで」

「STARRYって言うライブハウスで、ひとりちゃんのバンド、結束バンドっていうんだけどね。結束バンドのメンバーと一緒にバイトしてるんだ」

「結束バンド……STARRY……ごめんなさい私そこには行けないわ帰るねまた明日――」

 

早口で喜多さんが捲し立てるがそれを遮るように虹夏ちゃんの声が聞こえた。

 

「ぼっぉぉぉちちゃぁぁぁん! りぃぃぃとくぅぅぅん! よくわかんないけどエナドリたくさん買ってきたよぉぉぉ!」

 

虹夏ちゃんがこちらに走ってきながら僕たちを呼ぶ。

大量のエナドリを抱えながら。

おそらくひとりちゃんが頼んだのだろう。

ひとりちゃんなんでエナドリなんて頼んだんだろう。

 

「あ~~~! 逃げたギタァーーーー!」

「ひぃぃぃぃぃ!!」

 

喜多さんが……逃げたギター……?

 

 




よくわかんないのにエナドリ買ってくる虹夏ちゃんがあまりにも天使すぎる

理斗くんを結束バンドに入れる?

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