ヌーノ「よし、6番ゲート開けてくれ!」
ゲートを開くと、推進ユニットを接続したRX-03の姿があった。
推進ユニットはたった数時間前に地球から輸送されてきたものであり、2時間ほど前に地球寮総出の急ピッチで取り付けられた。
ティル『カタパルト超伝導ストレージ、異常なし』
オジェロ『フライトユニット各部の警告表示なし』
アムロ「オジェロ、INSはどうか?」
オジェロ『INSアライメント問題ない!』
アムロ「よし....ぎりぎりだが間に合ったな」
ニカ『アムロくん、本当にシュミレーションは大丈夫だったの?』
アムロ「ああ、問題ない。それより...時間がない中間に合わせてくれて感謝するよ、皆」
ニカ『うん、アムロくんと“ゼムリア”なら絶対勝てるよ!』
アムロ「....ゼムリア?」
ニカ『あ、えへへ...RX-03ってちょっと堅苦しいでしょ?だから名前...付けてあげようと思って。勝手にごめんね...』
アムロ「へえ、名前の意味は?」
ニカ『えっとね、地上のある地域の言葉で“地球”って意味だよ!』
アムロ「地球か....いいね」
ティル『射出方向にオブジェクトなし....準備完了』
ヌーノ『ハッチ開けるぞ!射出権限をパイロットに移譲』
ヌーノの指示とともに外へのハッチが全て開く
チュチュ『アムロ!気張っていけよ!』
アムロ「スレッタ、懸けは本当にそれでいいんだな?」
スレッタ『.....はい!』
アムロ「よし......」
アムロ「L P 042 アムロ・レイ、ゼムリア出る!」
勢いよくゲートから射出されると、メインエンジン回路をフライトユニットに接続、そのまま火を入れて発進する。
アムロ「...有効排気速度も問題ない」
ニカ『アムロくん、進行方向前方にペイル寮の学園艦!』
アムロ「....来るか、エラン・ケレス」
『星間物質を含む脅威オブジェクトなし、射出準備完了。権限をパイロットに』
エラン「....K P 002 エラン・ケレス、ファラクト出る」
学園艦のカタパルトから勢いよく射出されると、そのままメインエンジンを機動して発進。アムロのゼムリアと相対する。
シャディク「......ようこそ、関係するよ。ジェターク寮 新寮長、ラウダ・ニール」
ラウダ「挨拶は不要です。さっさと決闘を始めてください」
セセリア「あっれぇ〜?この前の決闘、まだ根に持ってるんですかぁ?」
ラウダ「」ギロッ
セセリア「うわ、こっわぁ〜」
シャディク『これより、双方の合意のもと決闘を執り行う』
シャディク『勝敗は通常どおり、相手MSのブレードアンテナを折った者の勝利とする。』
シャディクのアナウンスが学園中に響く
シャディク『立会人はグラスレー寮、寮長のシャディク・ゼネリが務める』
シャディク『両者、向顔』
アムロ「......」
エラン「......」
アムロの生徒手帳に着信が入る
シャディク『アムロ、決闘に懸けるものは決めた?』
アムロは機内通信でスレッタと繋ぐ
スレッタ『...はい』
シャディク「え、水星ちゃん?」
アムロ「俺が懸けるのはスレッタの懸けたいもの、だ」
セセリア「...これっていいんすか?先輩」
シャディク「エラン、了承するかい?」
エラン『....どうでもいいよ』
シャディク『.....だそうだよ?水星ちゃん』
アムロ「スレッタ」
スレッタ『アムロさんが勝ったら....エランさんのこと、私に教えてください!』
スレッタの言葉に船内で一緒になって聞いていた地球寮の面々も反応する。
マルタン「えっ、それって.....!」
アリヤ「告白だな」
リリッケ「きゃあ〜っ!」
ミオリネ「...ほんと、うっとおしいヤツ」クス
シャディク『....じゃあ、始めようか』
アムロ「...勝敗はMSの性能のみで決まらず」
エラン「操縦者の技のみで決まらず」
アムロ・エラン「「ただ、結果のみが真実」」
シャディク『....フィックスリリース』
〜
先に先制したのはアムロ
アムロ「.....当たるか?」
ビュン!
アムロは2、3発ビームライフルをファラクトに撃ち込む
エラン「...っ」
エランはその初撃スルリと躱して、逆にビームアルケビューズでアムロを狙撃し返す
アムロ「仕掛ける!」
アムロは銃口が向けられているのにも関わらず、ファラクトに向かって速力を上げて機体を進める
オジェロ「お、おい!撃たれるぞ!?」
エランは真っ直ぐに突撃してくるゼムリアにアルケビューズを撃つ
サッ!
だが、アムロは最小限の回避でビームを回避する
エラン「.....やっぱり」
更にエランは簡単に回避できない範囲に連発して射撃。
マルタン「よ、避けろっ!アムロ...!」
アムロ「....このままっ」
アムロもライフルを連発。しかも、
ゼムリアの向きを1ミリも変えることなく、そのまま突き進む
エラン「....!」
スレッタ「な、なんですか今の...!?」
マルタン「避けた....?」
ニカ「多分、ビームにビームを当ててかき消したんだよ!」
アリヤ「....そんなことができるのか」
アムロはビームサーベルを展開して白兵戦を誘う
エラン「....そのまま来るつもりか?」
ファラクトは通常なら回避不能なほどの近距離からゼムリアに向けてビームを連発する。
アムロ「.......あたるかっ!」....サッ!
エラン「なに.....っ?」
エランが銃口を向けてトリガーを引く瞬間、アムロのゼムリアはすでに回避行動を取っている。その次も、またその次の射撃も....アムロに同じ動きで避けられる。
ミオリネ「アムロがまた....!」
マルタン「すごいよ....一体どうやって避けてるんだ」
アリヤ「.....砲身の動きを読んでるのか...?」
エラン「チッ...!」
エランはアルケビューズのマガジンを外して、新たに取り出したマガジンを装着しようとする。
アムロ「弾切れだな」
しかし、すかさずそこへビームライフルを連射
エラン「くっ...!」
目前でライフルを乱れ打ちされたファラクトは一旦距離を置いて弾の再装填を急ぐが.....
アムロ「ずあっ!!」
エラン「なっ...」
なんと、ファラクトの後ろにゼムリアが現れる
アムロはビームをあえてずらし気味に、エランの視線を遮るように撃って弾幕の代用とした。ファラクトが堪らず距離取ったそのタイミングで背後に急接近、再装填をしかけたその時に斬りかかったのだ。
ザシュッ...!
斬撃を受けたアルケビューズの銃身は熱で切断面がドロリと溶解して真っ二つになった
オジェロ「よしっ!ビーム兵器はなくなったぞ!」
エラン「...僕のことを教えてくれだって....?」
ファラクトはフライトユニットから収納式のエンジンを展開した。
アムロ「まだあるか...!」
アムロはバルカンで狙うがエランは全て回避する
エラン「僕はガンダムのために作られた....使い捨てのコマだ....!」
アムロ「なに?」
ファラクトもビームサーベルを展開してゼムリアに白兵戦を仕掛ける
バリバリッ!
サーベル同士が重なり合い、プラズマが火花となってアムロとエランの周りを照らす
エラン「君はなんでも持っているな...!」
アムロ「なにを?」
エラン「友達も、家族も、過去も、未来も....!」
エラン「それにNew.GUND-ARMだって....?呪いを受けないガンダムだって.....?」
エラン「ふざけるな、そんなもの....ッ!」
ファラクトはもう一本のサーベルも展開する
エラン「悪魔めっ、勝利くらい僕にくれよ!じゃなければ...不公平すぎるっ!」
アムロ「チィっ!」ダダダダダ
アムロは再びバルカンでファラクトを狙うが、ファラクトはひらりと身を躱す
シャディク「....エランらしくない熱さじゃないか」
アムロ「動きが変わったか?」
アムロはビームライフルで狙い撃ちするが、エランのファラクトはそれを紙一重で躱す
オジェロ「なんつう機動だよ...」
チュチュ「アムロも化け物だけど、こいつもこいつで早すぎんだろ」
ミオリネ「推進力じゃエランのほうが上みたいね」
マルタン「どうしよう...このままじゃいずれ弾切れになっちゃうよ!」
アリヤ「そうなったら距離を詰めるしかないが.....」
エラン「....パーメットスコア3...」
ファラクトのボディが赤く光る
アムロ「......来たか」
ファラクトの体中から小型ビットが次々に出てくる
チュチュ「来た!」
オジェロ「やっぱそれかよ...」
ヌーノ「あれに触れたら電気系統はアウトだ」
ビットはアムロのゼムリアを完全に取り囲む
スレッタ「あ、アムロさんっ!」
ニカ「アムロくん避けて...!」
アムロ「来い...エラン」
ゼムリアに向かってスタン効果を持つ電磁ビームを放つ
オジェロ「当るッ!?」
_____ピキィィン!
アムロ「見える...!」
電磁ビームが機体に到達する寸前で回避しきる
チュチュ「避けた!」
エラン「.....まだ」
ビットは再びビームを放つ____ドカァンッ!
ゼムリアを狙ったビットが電磁ビームを放とうとした、その瞬間に撃破されていた。
アムロ「まずは.....一つ」
ヌーノ「一個墜としたぞ」
エラン「たかが一つやっただけで....っ」
エランはビットを束にしてアムロを襲わせる
アムロ「....ったく...付き合ってられるか」
ビット達は次々に電磁ビームを放つが、アムロが駆るゼムリアはそれをひらりひらりと躱していく。
更には、その躱す
一つ、二つ、三つ.....次々に小さな閃光があがる
ビットは電磁ビームを放つ瞬間に一旦止まらねばならない。その瞬間を作り出すためにアムロはあえて電磁ビームを撃たせて機体に届く間際を狙って回避、動けないビットをライフルで破壊する...
という撃破パターンを難なく繰り出していた
アムロ「無駄弾を撃たせようってのか?」
ビットはまだまだアムロにつきまとうが、それらを一旦無視してエランのファラクトを追う
エラン「しつこいよ、君は...!」
ビットはアムロの背後からビームを発射する
しかし、それを読んでいたようにアムロは悠々と避けて、再びライフルを連射
ドォーン!
ドォーン!
ドォーン!
アムロのゼムリアから数十メートル離れた位置にあったビット達だったが、アムロが放ったビームは一発も外れることなく、その真ん中を貫く
アムロ「む....」
前方にもビットが三つ展開される
チュチュ「前だ、アムロ!」
アムロは武装をビームサーベルに切り替える
電磁ビームを回避、ブーストをかけてビットに急接近...そして勢いそのままに切断。
残り二つもゼムリアを狙うが、再び躱してもう一撃、そして去り際に最後の一つをバルカンで葬り去った。
マルタン「うわ....全部やっちゃったよ....」
リリッケ「アムロ先輩すごいですね....!」
ミオリネ「弾も温存した立ち回り....あの一瞬でそんな判断ができるの....?」
アムロは速度を上げてファラクトに追いつく。
エラン「...うっとおしさもここまでくれば筋金入りだよ...!」
アムロ「なら、なぜ撃ち合わない!」
エラン「うるさい.......パーメットスコア...4」
ファラクトの赤い光が増し、更に速度を上げてアムロを振切ろうとしてくる
アムロ「まだ上がる...!」
ファラクトは残ったビット4つをアムロに向かわせるが、アムロはそれらをスルーして追跡を優先した
アムロ「チィ....ノズルに
リリッケ「無茶しますねぇ...」
ニカ「でも確実に近付いてる!」
ファラクトとゼムリアは追いつつ、追われつつを継続する
ロウジ「領空灯、出ちゃいましたね」
セセリア「追いかけっこも程々にしろってことねぇ」
エラン「....はぁ....はぁ....」
ベルメリア「.....まずい、データストームが許容値をオーバーしてる」
エラン「はぁ....はぁ.....うぅっ...」
アムロ「石っころ?.....エラン!ぶつかるぞっ!」
エラン「はっ...!?」
エランの目前には小柄の小惑星が迫っていたが、アムロの呼びかけでなんとかそれを回避した。
アムロ「もう終わらせるぞエラン...!」
アムロはビームライフルをファラクトに連発する
避けようもない程に迫るビームの雨、エランは必死に回避するが、ビーム弾の一発がファラクトのバックパックに被弾してしまう
ドォーン!!
エラン「ぐぁっ...!」
チュチュ「よっしゃ!」
オジェロ「当たったぞ!」
アムロ「.....チィ、弾切れか」カチッ...
ファラクトは両フットをゼムリアに向けると、爪先からビーム砲を展開、発射する。
アムロ「そこにもあるのか!」
アムロは弾切れのビームライフルを投げ捨てて被弾させる。その爆発に紛れて一気にフライトユニットのエンジンを加速、ファラクトに迫る
エラン「.....ベルメリア・ウィンストン....あんたの見立ては間違ってたよ」
迫るゼムリアは再びビームサーベルを持つ
エラン「....それでも、君らだけは否定させてもらうぞ....!」
残ったビットを再集結させてアムロに向かわせる
アムロ「またファンネルもどきか...?」
ビットは次々にゼムリアに電磁ビームを浴びせる
ヌーノ「さっきより早え!」
チュチュ「アムロ!」
アムロ「また無駄をして....っ!」
ファラクトはビームサーベルを展開してゼムリアに突貫してくる。
エラン「消えろ....アムロ・レイ!」
パアァァッ!
........その時、エランの目の前に奇妙な現象が起こる。
エラン「....緑色の光....?」
アムロが駆るゼムリアから緑色の光が溢れ出てくる光景を、エランは目の当たりにした。
その光に触れた瞬間、ビット達の機能が停止する
スレッタ「わっ!」
ミオリネ「なんなの...?あの光...」
エラン「動かない....何をした!」
その光はエランのファラクトも包み込む
エラン「うわっ.....!な、なんだこれは....」
エラン「なんだ?......とても....暖かい...?」
『あなたも....とらわれたヒト、なのね....?』
エラン「女の人の....声....?」
アムロ「抵抗はよすんだよ....エラン!」
ファラクトの目の前にアムロが迫る
エラン「....ハッ!」
我に返ったエランはビームサーベルで切りつけようとするが、アムロはファラクトの両アームを切断する。
エラン「ぐあぁ....っ!」
アムロ「ずあああっ!」
ザシュッ....!
ファラクトのブレードアンテナが、ゼムリアのビームサーベルで切断された。
『勝者、アムロ・レイ』
決闘の勝者が学園中にアナウンスされる。
ミオリネ「....よし」
リリッケ・マルタン「「や、やったぁ〜!」」
オジェロ・チュチュ「「おっしゃあーッ!」」
スレッタ「また....聞こえた気がする...」
喜び抱き合う地球寮の面々
アムロ「.....終わった。...エランは?」
アムロの前方には力なく宇宙空間を漂うファラクトの姿があった。
エラン「.........」
エラン「.........ぁ」
アムロ「エラン、しっかりしろ!」
エラン「アムロ.....」
アムロ「...怪我はないか?」
エラン「.....懸けは、僕のことを教える...だったね」
アムロ「....そう、だったな」
エラン「彼女...スレッタ・マーキュリーは、僕に誕生日を聞きたがってた...」
アムロ「.....」
エラン「僕にもね...いたんだよ、昔...誕生日を祝ってくれる人が....」
エラン「僕には何もないと...思ってた。けど、そうじゃなかった、そうじゃなかったんだよ.....」
アムロ「エラン....」
スレッタ『ハッピーバースデー、トゥ ユー....』
エラン「......え」
ゼムリアのコックピットからスレッタの声が聞こえた。
スレッタ『ハッピーバースデー、トゥ ユー...です。エランさん....』
アムロ「スレッタ.....」
スレッタ『エランさんに何もないなんてこと、絶対にないです!』
スレッタ『誕生日は私や、アムロさんや、地球寮の皆.....エアリアルだって。皆でエランさんの誕生日を祝います!』
スレッタ『だから......』
エラン「.....ふふっ」
エランは、始めて心の底から微笑んだ
アムロ「誕生日がないなら、作っちまえばいいのさ」
エラン「本当に、君たちは....」
アムロ「ハッピーバースデー、トゥ ユー...エラン」
________________________________________
次の休日
アムロ「じゃあ、楽しんできなよスレッタ」
スレッタ「はい!」
ミオリネ「また騙されるんじゃないわよ」
スレッタ「またそうやって.....エランさんはそんなことしません!」
ミオリネ「....どうだか?」
アムロ「僕たちもデート行くかい?ミオリネ」
ミオリネ「はぁっ!?!?なによいきなり....!」
アムロ「行きたいんじゃないのか?」
ミオリネ「行くわけないでしょ!この馬鹿!」
スレッタ「ふふっ.....」クス
スレッタ「まだかなぁ、エランさん」
エラン「........」
エラン「.......ハッピーバースデー....トゥ...ユー...」
キュィィィン.....
四肢を拘束されたエランに、一門のレーザー砲が向けられている。
エラン「ハッピーバースデー.....トゥ ユー....」
キュィィィン....!
エラン「ハッピーバースデートゥ ........」
_________ガチャ
エラン「.........え」
「....いました、無事です」
「レーザー砲、停止しました」
?「......警備は?」
「問題ありません、オールクリアです。」
?「....そうですか、ご苦労でした」
エランの前に一人の女性が立つ
?「こんにちは」
エラン「....きみは......?」
ルナ「私はルナ・シェーラ。貴方が強化人士4号ですね....?」
エラン「なんで....ここに.....?」
ルナ「貴方を、貰いにきました。」
7話へ続く。
原作のエラン4号さん可哀想すぎるんです...