アムロ「.....ミオリネ、これで合ってるのか?」
ミオリネ「違う!それじゃ実を切っちゃうでしょ?」
現在アムロとスレッタは、ミオリネの温室にて熟れたトマトやその他作物の収穫を手伝っていた
ミオリネ「ほら、もっと茎のほうにハサミを当てて...」チョキ
ミオリネはトマトを一つ取ってみせる
アムロ「...なるほど」
ミオリネ「もし一つでも傷つけたら、あんたでも許さないわよ」
アムロ「大丈夫さ、傷つけやしないよ」
スレッタ「.........」
一方スレッタはというと、先程から上の空な様子で、作業が全く進んでいない。ただ、右手だけがショギショギともったハサミを動かしていた
ミオリネ「.....ちょっと」
コンと持っていたじょうろで、スレッタの頭を軽く叩く
スレッタ「わわっ...!」
ミオリネ「なにボーッとしてんのよ、トマトに傷がつくでしょ」
スレッタ「ごご...ごめんなさい」
ミオリネ「...全く」
スレッタ「うう....」
アムロ「エランに会いたいのか?スレッタ」
スレッタは無言でコクコクと頷く
ミオリネ「なーにが気になるんだか」
スレッタ「あれから学校にも来てないっていうし...大丈夫でしょうか...」
ミオリネはデスクに顔を向けたまま応える
ミオリネ「...勝手に干渉して、勝手に心配して...一体なにが楽しいんだか」
スレッタ「...ミオリネさんにはないんですか?人のことで頭がいっぱいになる....」
ミオリネ「....ない」
ミオリネはデスク作業をしながらきっぱりと言う
ミオリネ「私が考えることはただ一つ、ここから脱出して地球に行くことだけ」
ミオリネ「あんたも余計なことばっか考えてると、また実習落ちるよ」
スレッタ「それは....そうですけど...」
アムロ「デートの約束までしといて急に失踪したら、嫌でも心配になるさ」
スレッタ「あ、あれは別にデートって訳じゃないですよ...!」
ミオリネ「あーはいはい。そういう話は外でしてもらえるかしら?」
その時、3人の生徒手帳にメールが届く
アムロ「....なんだこれは?」
スレッタ「招待状...?」
ミオリネ「インキュベーション、ね」
スレッタ「いんきゅ...?」
アムロ「起業支援か、そんなものがあるんだな」
ミオリネ「毎年やってるわよ...行く必要なしね」
スレッタ「行かなくていいんですか?」
ミオリネ「まぁ、グループ内の社交パーティーみたいなものよ」
ミオリネ「大体学生で参加するの、御三家くらいのものだしね」
スレッタ「......!」
アムロ「スレッタ...?」
スレッタは持っていたハサミをアムロに渡してミオリネの方に走る
ミオリネ「...大体、こんなのに行ったらホルダーのあんたも私の婚約者のアムロだってステージで挨拶とか.......」
スレッタ「じゃ、じゃあ!来ますよね!?」
PCに向かい合うミオリネの間にずいっと顔を出す
ミオリネ「え?」
スレッタ「ごっ、御三家来るなら....エランさん、きっと来ますよね!」
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インキュベーション・パーティー会場
マルタン「.....うわぁ」
ニカ「すごいね....」
巨大な展示会場に、いくつかの企業のMSが展示されている
マルタン「ほんとに来てよかったのかな、僕たち?」
ニカ「えへへ...なんだか緊張状態しちゃうね」
ミオリネ「...緊張なんかする必要ないわ」
二人が後ろを振り向くと、いつもの制服とは違い、美しくドレスアップされたミオリネが立っていた。
ミオリネ「こんなの、うわべだけのハッタリよ。それにあなた達はれっきとしたホルダーの同伴者なんだから」
スレッタ「おっ...お待たせしましたぁ〜....」
ニカ「わぁ...!」
黒色のスーツを着たアムロと、その手を取る形で紅のドレスに見を包んだスレッタが登場する。
ミオリネ「む.....」
マルタン「二人とも、すごく似合ってるよ!」
アムロ「俺まで来る必要あったのか...?」
ニカ「アムロくん、スーツとっても似合ってるね!かっこいいなぁ....」
ミオリネ「なんであんたらが手を繋いで来るのよ」
スレッタ「ごめんなさい....さっき転びそうになっちゃって」
アムロ「危なっかしかったもんだから...つい」
ミオリネ「.....ふーん」
ミオリネはアムロをじっと見つめる
ミオリネ「私のことはエスコートしてくれなかったクセに...」
アムロ「?...ミオリネは一人で歩けてただろ」
ミオリネ「っ、もう知らないわよ!」プイ
アムロ「なんだよ、エスコートしてほしかったのか?」
ミオリネ「うるさい!」
スレッタ「なんで二人とも揉めているんでしょうか...」
マルタン「あ、あはは...」
ニカ「鈍感さんなんだねぇ....アムロくん」
〜
ミオリネ「....で、ニカにもドレス貸せたのに...制服のままでよかったの?」
ニカ「私たち、面白そうだからついてきたけど...なんの集まりかもよく分かってなくて...」
ミオリネ「インキュベーション・パーティー...要は新規事業の立ち上げ支援イベントよ。」
ステージの真ん中で、一人の男性がプレゼンテーションを行っている
ミオリネ「グループ内で事業を起こそうって人間が、ここでプランを発表して投資を募るの」
ミオリネ「設定額に達すれば、めでたく新しい事業が誕生するってわけ」
男性のプレゼンテーションが終了し、投資が始まる
ニカ「...すごい」
ミオリネ「まぁ、お金は集まらないだろうけどね」
ニカ「え?」
ミオリネ「この事業、コンセプトが古すぎる。あれじゃプレゼンは通らないわ」
ミオリネの言うとおり、男性の事業投資は失敗に終わってしまった。
ニカ「ほんとだ...さすが経営戦略科の成績トップ」
ミオリネ「それ嫌味?さっさと行くわよ」
ニカ「あ...うん!」
__________
ミオリネ「私たち、これからエランを捜しに行くけど...」
ニカ「私はブースを見て回りたいかな」
ミオリネ「いいわ。じゃあ、また後で」
マルタン「うん、また後でね」
アムロ「僕もついていくのか?」
ミオリネ「当たり前でしょ?人数多いほうがいいんだから」
しばらく歩いていると、アムロは周りの参列者たちの目線が自分たちに向いていることに気づいた
参列者「あれでしょ?...悪魔と魔女って」
参列者「花婿候補がいるぞ」
参列者「地球の悪魔ってやつだろ?」
参列者「魔女もいるわよ...」
参列者「まあ...恐ろしいわ」
スレッタ「....あの、なんかすごい見られてますね...」
ミオリネ「気にしない。堂々としてればいいのよ」
アムロ「怖いかい?」
スレッタ「...だ、だって....」
ミオリネ「スレッタ、背筋をのばす!」
スレッタ「は、はい!」
シャディク「おやおや、これは珍しいな」
スレッタ「あっ...」
アムロ「シャディクか?」
シャディク「皆も新規事業に興味がお有りで?」
そこには正装をした御三家の御曹司の一人、シャディクがいた。
シャディク「よかったら、うちのプレゼンにもアドバイスもらえないかな?」
ミオリネ「フォーカード17地区の契約取ったあんたが言っても説得力ないんだけど?」
シャディク「ミオリネの意見が欲しいのさ」
アムロ「へぇ、ミオリネはシャディクと仲がいいのか?」
それを聞いたミオリネはシャディクをちらりと見て、フイと顔をそらす。
ミオリネ「違うわよ、ただの腐れ縁」
シャディク「そういうなよ」
シャディク「昔はこういう場でよく顔を合わせていたんだ」
スレッタ「そうなんですね...!」
シャディク「それで、今日はなんの用かな?総裁の顔を見にって訳じゃないんだろ?」
ミオリネ「スレッタの付添よ。エランに会って話したいってうるさいから」
スレッタ「え!?あっ!ミミミ....ミオリネさん...っ!?」
シャディク「じゃあアムロは、お二人の番犬役ってところかな?」
ミオリネ「そうね。すぐにどこそこ勝手に行っちゃうから、私がきっちりリードもっとかなきゃ」
アムロ「あのな...」
そんな様子をみて、シャディクは微笑む
シャディク「ミオリネ、変わったね」
ミオリネ「はぁ...?」
シャディク「...人のために動くなんて昔のミオリネなら絶対にやらなかった」
シャディクはミオリネを囲む二人を見て言う
シャディク「これも二人の魔力...なのかな?」
ミオリネ「....何言ってんだか」
ミオリネは空になったグラスをシャディクに押し付けて、アムロの腕を掴むとグイグイと引っ張って行く。
ミオリネ「ほら、スレッタも行くわよ」
アムロ「おい...引っ張るなよミオリネ」
ミオリネ「ならあんたが率先してリードしなさいよね、このバカ犬」
アムロ「なんだってんだよ...」ズルズル
スレッタ「あ...あの、えと....し、失礼します!」
スレッタもシャディクに一礼して二人を追いかける
スレッタ「ま、待ってくださーい!」
シャディク「........」
一人残されたシャディクは去っていくミオリネを見て呟く
シャディク「変わったよ....君は。」
少しだけアムロが気になってきたミオリネと、10歳以上離れたミオリネを恋愛対象としてはまだ見れないアムロ、ですね。