水星の魔女と地球の悪魔   作:yomiyomi

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第7話「起業~その2~」

 

プロスペラ「まぁ、すてき...!」

 

スレッタ「お母さん?」

 

アムロ「仮面...?そうか、彼女が...」

 

スレッタ「来られないって言ってたのに」

プロスペラ「仕事が予定より早く終わったの」

 

スレッタが駆け寄ると、プロスペラはポンと手を合わせて微笑む

 

プロスペラ「ドレス、とっても似合ってるわ」

 

スレッタ「えへへ...ゴドイさんも、お久しぶりです」

 

プロスペラの後ろにいる大柄で寡黙そうな男性は、スレッタに対して会釈する

 

プロスペラ「それで、そちらの方たちは...」

 

スレッタ「あっ、紹介しなきゃだよね!」

 

スレッタ「アムロさんとミオリネさん。...このドレスはミオリネさんが貸してくれたの」

 

アムロとミオリネはプロスペラに挨拶をする

 

ミオリネ「ミオリネ・レンブランです」

アムロ「アムロ・レイです。はじめましてですね、プロスペラ・マーキュリー」

 

プロスペラ「あら、ご存知で?」

 

アムロ「企業関係者の方々は一通り。」

 

プロスペラ「さすが、花婿さんね」

 

プロスペラはアムロと握手をする

 

プロスペラ「それに、またお会いできて光栄です。ミオリネさん」

 

ミオリネ「あのときはお見苦しいところを...」

 

ミオリネは頭を下げる

 

プロスペラ「とんでもない、とってもかっこよかったですわ」

 

プロスペラ「クソおやじ!......って」クスッ

 

ミオリネ「!」

プロスペラ「おかげてエアリアルやレイオニックス社のMSを認可いただけたと思っています」

 

プロスペラはミオリネに握手を求める

 

プロスペラ「...ありがとうございました」

ミオリネ「ええ....」

 

アムロ「なんだ、ミオリネは顔見知りだったのか」

 

ミオリネ「審問会のときにね」

 

 

「こんなところにいらしたのですか、ミス・プロスペラ」

 

聞き覚えのある声に、アムロは振り向く。

 

アムロ「.....父さん」 

 

プロスペラ「あら、随分と遅かったじゃないですか。テム代表?」

 

テム「何分こういったものには慣れていないものでしてね」

 

ミオリネ「レイCEO?」

テム「これは...デリング総裁のご息女様」

 

テムはミオリネに一礼する

 

アムロ「なんで父さんがここにいるんだ?」

 

テム「私だってこのグループの一員だ。招待されたなら出席しなくては失礼だろう?」

 

スレッタ「あの...はじめまして、アムロさんのお父さん」

 

テム「君が......そうか」 

 

テムはスレッタの顔を、どこか哀しげな目で見つめる

 

スレッタ「....?」

 

プロスペラ「....スレッタ、お母さん喉乾いちゃった。何か飲み物持ってきてくれる?」

 

スレッタ「うん。アムロさんのお父さんにも飲み物とって来ますね」

 

テム「.....あ、ああ。助かるよ」

ミオリネ「あ、なら私も.....」ギュッ

 

スレッタに付添おうとしたミオリネの手を、がっしりと握って離さないプロスペラ

 

ミオリネ「えっ...?」

 

プロスペラ「あなたは....お父様とは、いつもあんな感じなのかしら?」

 

ミオリネ「....今それ聞きます?」

 

プロスペラ「だって、あなたとアムロ君が結婚するんだから、ねぇ?」

 

プロスペラはそう言って、テムを見る

 

テム「....ええ、総裁とご息女には...仲睦まじくいて欲しいですから」

 

ミオリネ「なっ....」

 

プロスペラ「....21年前の『ヴァナディース事変』を鎮圧した立役者。なによりガンダムを禁忌にした英雄」

 

プロスペラ「立派なお父様だと思うけど?」

 

ミオリネ「そんなの過去の栄光です。私たちの世代はガンダムなんて知らないしね」

 

テム「ミス・プロスペラ...それ以上は....」

ゴドイがテムの話を遮る。

 

プロスペラ「...手厳しいのね、いったい何が許せないのかしら?」

 

その問いかけに対して、ミオリネは表情を曇らせた

 

ミオリネ「....いつも上から目線で、説明もなしに勝手に決めて....」

ミオリネ「あなた達だって、あのとき理不尽だって思ったんじゃないですか?」

 

ミオリネ「それに.....」

 

 

_____棺の中に入った、たくさんの花と.....もう目を覚ますことのない母親。そして、去っていく人影は______

 

 

アムロ「...ミオリネ?」

 

ミオリネ「......とにかく、私はあんな人が父親だなんて絶対に認めたくありません!」

 

テム「......」

 

プロスペラ「......ふふふっ」

ミオリネ「...なんですか」

 

プロスペラ「ああ、ごめんなさいね...」

 

次のプレゼンのために、会場の電気が再び暗くなる

 

 

プロスペラ「ただ....その素敵なドレスも、今身に着けているヒールもアクセサリーも...」

 

プロスペラ「寮に入らず理事長室で生活しているのも...他者から受ける敬意も....」

 

プロスペラ「その全てがベネリットグループ総裁であるお父様の力のおかげなのに......って思ったら、なんだかおかしくなっちゃって.......ウフフフ」

 

ミオリネ「.......え」

 

プロスペラ「ああ、気に障ったらごめんなさい」

 

わざとらしく謝るプロスペラ

 

プロスペラ「でも...まずは」

プロスペラは立ち上がってミオリネにズイと近付く

 

プロスペラ「そのかわいい意地を捨てなくっちゃね......デリング総裁のお嬢さん?」

 

ミオリネ「......っ!」

 

 

アムロ「....お節介が過ぎるんじゃないですか?ミス・プロスペラ」

 

アムロはミオリネとプロスペラの間に立つ

 

ミオリネ「アムロ...」

 

プロスペラ「ごめんなさい、立ち入りすぎたわ」

プロスペラはミオリネから距離をとる

 

プロスペラ「昔よくお世話を手伝っていたものだから、色々と心配なのよ」

 

プロスペラ「あなたのことを、本当の息子みたいに感じちゃってね....フフフ」

 

アムロ「父とはそんなに前から?」

 

プロスペラ「ええ...大親友なの」

 

アムロ「親友...ですか」

 

そのプロスペラの言葉に反応するかのように俯くテムの姿が、アムロには見えた。

 

プロスペラ「それにしても....本当にアムロ君は大きくなったわねぇ」

 

プロスペラはアムロの肩に手を置いて、互いに聞こえる音量で語りかける。

 

プロスペラ「ただ少し...独立心が強すぎるみたいね」

 

プロスペラ「あなたの自己犠牲的な行動、やめたほうがいいと思うなぁ....」ボソ

 

アムロ「....俺のことは俺が決めます。誰の言いなりにもなりはしませんよ」

 

プロスペラ「でもアムロ君のお父さんはそれを望んではいないわ」

 

アムロ「.....ミス・プロスペラ...あなたに一体なんの関係があるというんです...?」

 

プロスペラ「あるわよ....」

 

バイザーの奥の瞳が、アムロを捉える

 

プロスペラ「だって、私の愛しい『娘』のためですもの.....!」

 

 

ゾワッ....!

 

 

アムロ「っ!」

アムロ(このドス黒い感覚は...)

 

彼女の中に()()()を感じ取ったところで、プロスペラもアムロから離れる

 

プロスペラ「フフ....本当に逞しくなって。お母さんに似たのかしら?」クスクス

 

アムロ「.....」

ミオリネ「...アムロ?」

 

アムロ「....なんでもないさ。なんでも....」

 

 

 

ニカ「.........」

 

その頃、ニカ・ナナウラはブースにて立ち往生していた。

 

目の前には美味しそうな肉料理が次々と並べられている。

周りの大人たちは、それらを手に取り席へと帰って行く

 

しかし、このような催しに来た経験のないニカは、その料理たちを見て、勝手に取っていいものなのだろうか?と手につけられずにいた。

 

ニカ「.....はぁ」

 

コトッ、とニカの持っているトレーにその肉料理が入った皿が置かれる。

 

シャディク「よかったらどうぞ」

 

ニカ「えっ....?」

 

ニカが後ろを振り向くと、そこにはシャディク・ゼネリが立っていた

 

ニカ「ありがとうございます。こういうの、よく分からなくて...」

 

シャディク「...どういたしまして」

 

シャディクはニカの耳元でポツリと囁く。

 

シャディク「こちらこそ、こないだはありがとう」

 

ニカ「......いえ」

 

 

シャディク「...それに『Zeon(ジオン)』の件...いきなりですまなかったね」

 

シャディク「アムロ・レイの観察の方も、引き続き頼むよ...」

 

ニカ「っ.....はい」ギュ

 

 

マルタン「.........?」

 

_______________________________________

 

 

 

ミオリネ「...ニカ、マルタン」

 

ニカ「どうしたの?」

 

ミオリネ「スレッタがどっか行っちゃって...」

 

マルタン「はぐれちゃったってこと...?」

 

ミオリネ「今アムロと手分けして探してるんだけど....全く、どこ行ったのよ...あいつは」

 

司会者『ご来場の皆様、ここからは特別プレゼンターとして、ペイル・テクノロジーズCEOの皆様にご登場いただきます』

 

会場が暗くなり、照明がステージに集中する

 

そのステージにはペイル社CEOの四人の初老女性

ニューゲン、カル、ネボラ、ゴルネリ...各々が登場する。

 

アムロ「....ミオリネ」

 

ミオリネ「アムロ、スレッタは?」

 

アムロは首を横に振る

 

ミオリネ「ほんとにどこふらついてんのよ...あいつ」

 

ペイル社CEO達の登場に会場が拍手で迎える中、そのCEOの一人、ニューゲンが声を上げる

 

ニューゲン「___本日は、アスティカシア高等専門学園の将来有望なる生徒さんを皆様にご紹介できますこと____」

 

ニューゲン「大変、光栄に存じます。」

 

その一言と同士に、ステージ中央がせり上がる

 

ニカ「....あっ!」

 

そこに現れたのはスレッタと、紛れもない...失踪中のエラン・ケレスであった。

 

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