水星の魔女と地球の悪魔   作:yomiyomi

29 / 38
第8話「株式会社ガンダム~その3~」

 

 

スレッタ「...ど、どうですか!?」

 

チュチュ「そこ、編集点丸わかりじゃん」

 

スレッタ「ひぃぃ〜っ!」 

 

ミオリネの設けた締切期限の2週間が、今経とうとしている。

 

マルタンは登記書類の整理、リリッケは法人口座開設の手続き

その他のメンバーは総出して会社のPV作りに勤しんでいる。

 

アムロ「よし、音楽と音声の編集は終わったよ...そっちは?」

 

スレッタ「あ、アムロさ〜ん....」

 

編集などからっきしなスレッタはアムロに泣きついた

 

チュチュ「おい、またアムロに逃げんのかよ」

 

スレッタ「だ...だって...難しいんですもん!」

 

アムロはチェアのキャスターをキュルキュルと鳴らしてスレッタの隣まで移動する。

 

アムロ「問題は?またジャンプカットか?」

 

スレッタ「ここがうまく繋がらなくて...」

 

アムロ「分かった。ちょっとかしてくれ」

 

アムロはデスクの場所を代わると、2つの動画をうまい具合に切り取って接合。

その後は不自然な箇所がないか確認して終了、再びスレッタと場所を変わる。

 

アムロ「再生してみてくれ」

 

スレッタ「はい!」

 

接合部分が見当たらないほどに丁寧につなぎ合わされたその箇所を見て、スレッタは目を輝かせる。

 

チュチュ「ん、これなら大丈夫じゃね」

 

スレッタ「ごめんなさい...何度もアムロさんに頼ってしまって」

 

アムロ「いいさ。また困ったことがあれば言ってくれよ」

 

 

一方マルタンは慣れない書類記入をリリッケと共に進めていた。

 

リリッケ「先輩、ここ間違ってます」

 

マルタン「えっ?どこ....?」

 

リリッケ「ほら、ここです。」

 

リリッケはマルタンが記入していた欄を指差す

 

マルタン「.....あッ!?記入がズレてる...」

 

リリッケ「あー....書き直し...ですかねぇ」

 

マルタン「う...うわぁぁ〜っ!」ワシャワシャ

 

 

ニカ「こら、二人とも。いい加減仲直りしなよ!」

 

オジェロ「.....」

ヌーノ「.......」

 

オジェロとヌーノの二人は、2週間前の一件からろくに口を聞いていない

 

ニカ「もう...!」

 

オジェロ「...姫さんは?もう2週間経つぜ」

 

ヌーノ「ふん....面倒くさくなって地球に飛んだんじゃねぇの?」 

 

スレッタ「ミ...ミオリネさんはそんな人じゃありませんよ!」

 

オジェロ「そう言い切れるほど付き合い長くねぇだろ」

 

オジェロはひにくれた様子で素っ気ない返事をスレッタに返す

 

スレッタ「うう....」

 

アムロ「ミオリネはつんけんして見えるが、あれでも約束や決まり事はしっかり守る娘だ」

 

アムロ「それに今は一社の社長でもあるわけだし、それなりの責任感だって感じているはずさ。」

 

 

ミオリネ「____誰がつんけんしてるですって?」

 

アムロの話に呼応したようにミオリネが寮の入り口から現れた

 

スレッタ「ミオリネさん!」

 

スレッタは飼い主を見つけた忠犬のごとくミオリネに飛びつく

 

スレッタ「わ...私はミオリネさんのこと信じてましたよ......」ガシッ

 

ミオリネ「うっとおしい」

 

ミオリネ「それで....PVはどうなってるの?」

 

アムロ「映像の編集が終われば完成するよ。音声の方はもう仕上がってる」

 

アムロ「あとはガンダムの起業方針なんだが...」

 

チュチュ「....で?決めたんかよ。ガンダムの売り方」

 

その場の全員がミオリネを発言に注目している

 

ミオリネ「....収益を上げる方法は2つ」

 

ミオリネ「1つは兵器としてガンダムを売る...その場合、誰に売るかは問わない」

 

ミオリネの発言に、明らかに落胆した表情を見せる(アムロを除く)地球寮の面々

 

チュチュ「......チッ」

 

ミオリネ「....そしてもう一つ」

 

ミオリネは生徒手帳からデスクPCに、とある映像を移して皆に流す

 

 

『スペーシアンの皆さん、こんにちは』

 

『私たちはパーメット研究機関“ヴァナディース”です。』

 

アムロ「ヴァナディース...」

 

チュチュ「なんだよこの映像」

 

スレッタ「この人...誰ですか?」

 

ミオリネ「...ガンダムを造った人よ」

 

『私たちは常に宇宙環境との戦いを強いられてきました』

 

『無重力...真空...大気組成...宇宙放射能』

 

『ワクチンやインプラントアプリは高額で障害そのものを抑制することは難しい....だからこそ___』

 

『私たちの提唱する“GUND医療”は、身体の脆弱性を補う希望の技術となり得るのです。』

 

ヌーノ「GUND医療?」

 

『GUNDには生命圏の拡大だけでなく、地球と宇宙...双方の分断と格差を融和する可能性をも秘めています。』

 

『.....どうか私たちの願いに、人類の未来に...』

 

『共に手を携える光があらんことを_____』

 

映像はそこで終了する。

 

ミオリネ「.....これが、もう一つの道」

 

ミオリネ「GUNDに込められた本当の理念」

 

アムロ「GUNDの理念、か...」

 

ミオリネ「GUNDを使った医療技術を完成させて世に出すこと。」

 

リリッケ「それって...」

 

ティル「....命を救うためにガンダムを使う、ってこと?」

 

ミオリネはコクリと首を縦にふる

 

ニカ「MSが...命を」

 

ミオリネ「世間に受け入れてもらえるかは分からない....けど、やる価値はある」

 

ミオリネ「なによりクソ親父とは違う道っていうのがすてきだしね」

 

ミオリネ「責任は私がとるわ...文句ある?」

 

_______________________________________

 

 

夜、寮外にて

 

 

『♪ガ〜ンダム ♪希望の光〜』

 

 

ミオリネ「....で、なんなのよこのPVは」

 

スクーターを操縦するアムロの背中で会社のPVを見ていたミオリネ

 

アムロ「......ふっ」

 

ミオリネ「ちょっと、笑ってないで答えてよ」

 

ミオリネ「あんた他人にはセンス無いとか言っといてさ」

 

アムロ「俺が編集したら堅苦しくなるってチュチュに言われたんだよ。だから裏方だけ専念することにしたんだ」

 

ミオリネ「もっとイカしたのになると思ってた」

 

アムロ「十分いい感じだと思うぜ?踊ってるスレッタだって可愛らしいじゃないか」

 

アムロの後ろでその銀色の艷やかな髪がさらりとなびく

 

ミオリネ「....そうね。少しアホっぽいけど」クスッ

 

アムロ「.......いいな。これが青春ってやつなんだろうか」

 

ミオリネ「はぁ?」

 

アムロ「同じ寮の皆とワイワイやって、同じ目標のために助け合って.....こんな経験はしたことがなかったよ」

 

アムロは15歳で戦争という嵐に飲まれ、その後の彼の青春は重力の檻の中で朽ち果てていたのだ

 

その青春というものをアムロは今、二度目の人生で実感しているのかもしれない。

 

ミオリネ「.....大袈裟よ」

 

アムロ「ははっ、だろうな」

 

アムロ「だが....俺だってこういう瞬間を持てるんだって....そう思ったんだよ」

 

ミオリネ「そんなに酷かったの?ここに来るまで」

 

アムロ「そりゃあ...そうだな」

 

不可抗力とはいえ一民間人として首を突っ込んだ挙げ句に、自らの手によって心惹かれた女性を葬り去るなど....酷かったの一言で済ませるにはあまりにも酷な出来事ばかりである。

 

ミオリネ「あんたも大変なのね」

 

ミオリネはアムロの背中に頭を預ける

 

アムロ「やけに優しいな?」

 

ミオリネ「別に.....すこし素直になろうって思っただけよ」

 

 

ピリリリッ!

 

ミオリネの手帳に着信が入る

 

ミオリネ「ん、着信?」

 

どうやらミオリネ宛てのメールのようであり、ボックスを開いて内容を確認する。

 

ミオリネ「.......止めてっ!」

 

アムロ「は?」

 

ミオリネ「いいから、早く!」

 

いきなりの声にアムロはスクーターに急ブレーキをかけた

 

アムロ「なんだ...どうしたんだ?」

 

ミオリネ「なによ...これ」

 

そのメール画面には『規則の追加について』という表記が見られた。

 

_______________________________________

 

 

 

サビーナ「___指示どおり、規則を追加した」

 

サビーナ「学生起業規則53条、第3項...『学生事業における新技術安全性の証明』」

 

サビーナ「これでミオリネは会社を立ち上げられない。」

 

レネ「ガンダムはグループの所有物に逆戻り。あとはサリウス代表が破棄するだけ....ひひっ」

 

イリーシャ「うーん....ミオリネちゃん、ちょっとかわいそう」

 

メイジー「大丈夫だって。そんときはみんなで励ましてあげようよ」

 

シャディク「....破棄にはさせないさ」

 

シャディク「あのガンダム達はグループにも俺にも、いずれ必要になる存在だ。」

 

シャディク「ミオリネの会社は俺が引き取らせてもらう」

 

エナオ「もし彼女が拒んだら?」

レネ「決まってるじゃーん....でしょ?」

 

メイジー「シャディクは望んでいないだろうけど」

 

エナオ「私たちは覚悟を決めている」

 

 

サビーナ「ミオリネからガンダムを.....」

 

シャディク「.......」

 

サビーナ「____奪い取る。」

 

 

9話へ続く。

 




次回はアムロにとって初の集団戦です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。