アムロ「アリヤ、コンテナのハッチを開けてくれ」
アリヤ『分かった。MSコンテナ開けるぞ』
コンテナのランプが赤から青へと変わり、コンテナのハッチが開かれる。
アムロ「L P 042 アムロ・レイ...出る!」
コンテナから飛び出すと、ゼムリアの脚部ホバーを展開してレールの上を走行する
アムロ「俺がフィールドに着くまでに復旧が解除されてりゃいいんだが....」
___だが、そんな切望とは裏腹に、ミオリネとシャディクは既に決闘の宣誓に移っていた。
ラウダ『これより、双方の合意のもと決闘を執り行う』
ラウダ『立会人はジェターク寮寮長、ラウダ・ニールが務める。』
ラウダ『決闘方法は6対6の集団戦、勝敗はリーダー機のブレードアンテナを折ることで決するものとする』
ラウダ『.....両者、向顔』
ミオリネ「......」
シャディク「......」
ミオリネ「...勝敗はMSの性能のみで決まらず」
シャディク「操縦者の技のみで決まらず」
ミオリネ・シャディク「「ただ、結果のみが真実」」
ラウダ『フィックスリリース。』
決闘開始のゴングが鳴らされた。
ミオリネ『スレッタ、この場合はあんた一人が攻守兼任するしかないわ』
スレッタ「はい、わかりました...!」
ミオリネ『チュチュは4人のサポート、いいわね?』
チュチュ「わーってるよ」
チュチュは構造物の上に登り、ライフルの照準をシャディク組に向けた
廃墟が無数に点在するこの第4戦術試験区域は、遠距離に関して障害物が多すぎる一面、構造物の上と下では非常に高低差があるため狙撃するにはうってつけなのである。
チュチュ「へっ、あんなトコにいやがる......ん?」
障害物の向こう側に5つの敵の反応が確認できるが、残るもう一機が確認できない
突然、警告音がチュチュのコックピットに鳴り響く
チュチュ「なっ........はあ!?」
モニターが遅れて6体目の位置を映し出すが、すでにそれはデミトレーナーの10メートル圏内まで迫っていた。
シャディク「まずは...露払いだ」
ミカエリスの戦術複合装備であるビームブレイサーが火を吹く
チュチュ「うわッ!?」
その一撃は強力で、構造物をいとも容易く崩壊させた。
スレッタ「チュチュ先輩...っ!?」
エアリアルの後方からビームが数発飛んでくる
スレッタ「っ後ろ....!」シュルル...
スレッタはビットを展開させ、エアリアルへのビームの直撃を防ぐ
サビーナ「固めた!レネ、エナオ、メイジー!」
レネ・エナオ・メイジー「「コピー!」」
構造物の背後から3機のベギルペンデが、統率の取れた渡り鳥のように同じタイミングで一斉に飛び出す。
彼女らの狙いはスレッタの背後に陣取る地球寮の面々だ
スレッタ「抜かれた?...うッ!?」ズドドン!
スレッタの前方には2機のベギルペンデがピッタリとマークしており、構造物の上方から苛烈にビーム弾を見舞ってくる。
イリーシャ「怒らないでくださいね...っ!」
レネ「きひひっ!み〜っけた♪」
エナオ「一人一体、各個撃破する...」
メイジー「了解!」
マルタン「ひぃっ...こっちにくるよ!?」
リリッケ「先輩しっかり狙って!」
ティル「.....来る!」
ダァンッ! ダァンッ! ダァンッ!
マルタン、リリッケ、ティルは迫りくるベギルペンデたちにライフルを撃つが、一発も当たらない
マルタン「た、助けてっ!」
メイジー「慣れないことするとヤケドするよ?」
マルタンの目前にメイジーの駆るベギルペンデが降下してくる
マルタン「ひゃあ...」
慌ててライフルを構え直すマルタンだったが、メイジーはその腕を払いのけて鉤爪状のフットユニットでザウォートの頭部をガッチリと掴むと....
メキ...メキメキ...ッ!
ミシミシと音を立ててザウォートの頭部をねじ切った。
マルタン「うわぁぁっ!」
とっさにライフルを乱射するマルタン
メイジー「ふっ!」
その断末魔をひらりと空中で躱し、同時にビームライフルでザウォートの右アームを狙撃した
マルタンのザウォートはなすすべなく、右腕を落とされ決着する。
メイジー「まず一つ」
リリッケ「っ!」
リリッケは接近するレネ機にビームを放つが...
レネ「当たるかよノロマっ!」
レネはスラロームでザウォートの遠距離攻撃の一切を躱してビームサーベルでの白兵戦を誘う
レネ「リリッケ・カドカ・リパティッ!」
リリッケもそれに対応してサーベルを展開、2人の間にプラズマの火花が散る。
レネ「人の男に手ェ出した落とし前...きっちりつけさせてやるッ!!」
リリッケ「ええ...なんのことですか...!?」
レネのベギルペンデが攻勢を強める
レネ「ジョン・ヴァン・シモンズ...あたしのキープくん12号!」
リリッケ「え、えぇ? あっ、ランチのお誘いならお断りしましたよ」
レネ「あたしの男に恥かかせてんじゃねえッ!」
リリッケ「そ、そんなぁ...」
_____ダダダダッ!
上空からレネのベギルペンデに向ってビーム弾の雨が降り注ぐ
レネ「やっば....!」
背後を取られたレネは一旦その場から退避、左アームを損傷したリリッケのもとにティルが駆けつけた。
リリッケ「ティル先輩!」
ティル「リリッケ...逃げて_____ズガガガッ!
降下したティルにエナオの駆るベギルペンデが体当たりをかまし、両機ともに構造物に突っ込む
ティル「ぐっ!?」
エナオ「メカニック科にしては筋がいい.....けど」
構造物を抜けたエナオは空かさずビームサーベルをティル機の頭部ユニットに突き刺した。
エナオ「これで2つ...」
リリッケ「ティル先輩っ!」
レネ「余所見してんな...よッ!」
リリッケ「えっ.....きゃあっ!?」ドガッ!
ザウォートの首に勢いよくシールドの先端を突き立て、メインサイトの回路を破壊
リリッケのザウォートも立て続けに沈黙してしまった。
レネ「これで3つ....へっ!ざまあ〜♪」
ヌーノ「.....瞬殺かよ」
ミオリネ「マルタンたちは?」
アリヤ「無事だよ。けど3機とも戦闘不能だ」
オジェロ「ご丁寧に武器まで潰しやがって....!」
ミオリネ「.......くっ」
一瞬にして3体のMSを失ったチーム・ミオリネ
残るはリーダー機のスレッタと後方支援のチュチュだけ
ミオリネ(アムロ...早く来なさいよ...)
ミオリネは心の底で、アムロの名を叫ぶことしかできなかった。
* * *
アムロ「.....見えた、あれが第4戦術試験区域のハッチだな」
ようやく試験区域の門前までたどり着いたアムロ
しかし、その門はピシャリと隙間なく閉じてしまっている。
アムロ「どこかに緊急用の開閉装置があるはずだが....」
アムロはゼムリアから出てハッチの近場を隅々まで見て回る
アムロ「.....開閉装置、これか!」
見つけたはいいものの、カードキーやら暗証番号やらを打ち込まなくてはならないシステムで、それらを持ち合わせていないアムロには、まず突破は不可能であった。
アムロ「これは無理だな....やはり復旧モードが終了するのを待つしかないのか?」
先程からその管理AIは『復旧中だからレールをつかうな』を繰り返すのみで、なんの変化も見られない
アムロ「皆は...どうなんだ?」
ゼムリアのコックピットに戻ったアムロは決闘の中継をモニターに映す。
そこには、マルタンたちが無惨にも蹂躙される姿が映し出されていた
アムロ「....あぁ」
なぜ自分はこんなところで仲間がやられていく様を眺めているのだろうか?
なぜ自分はあの中に居ることが出来ないのか?
アムロ「見殺しは御免だぞ...!」
バンとシートを叩きもどかしさを顕にする
スレッタ「.....くっ!」
スレッタは先程から一方的な攻勢に晒され、ビットによるガードで防ぎきることに手一杯であった。
サビーナ「そのスウォーム兵器は使わせない」
チュチュ「チッ!」
そのスレッタらの真横でも苛烈な攻防が繰り広げられていた
チュチュはシャディクのミカエリスをビームライフルで撃つが、至近距離でも平然と避けられてしまう
シャディク「....ふふ」
チュチュ「あっ、おまっ!右手どこにやった...!?」
シュルルル...
チュチュは己の背後から近づいてくる存在に気付くことが出来なかった。
ザクン!
チュチュ「っ!?」
ライフルを持った右アームが切断されてしまう
スレッタ「チュチュ先輩!?」
サビーナ「大人しくしておけ、ガンダム!」
スレッタは4機のベギルペンデに集中砲火を喰らい、まともに反撃することすらさせてもらえない。
チュチュ「....クッソがァァっ!」
チュチュはライフルの銃口を左アームで掴むと、ミカエリスに対して突貫をかけた
チュチュ「地球寮...舐めんじゃねえェェッ!!」
____ズバァン!
デミトレーナーの両足が吹き飛ぶ
イリーシャ「....ごめんなさい。4つ、です」
ニカ「チュチュ....っ!」
ミカエリスの銃口が一人残されたエアリアルに向けられる
シャディク『最後のチャンスだ、負けを認めろ』
スレッタ「.......」
シャディク『ミオリネの暴走に大切な家族を巻き込んで壊してもいいのか?』
スレッタの周りを6機のMSが固めている
6対1のこの絶望的状況、だがスレッタは焦る様子を見せず、シャディクに対して言葉を返す。
スレッタ「そんな言い方...あなたはミオリネさんのこと、好きじゃないんですか?」
シャディク「......」
スレッタ「私はミオリネさんのことを信じてます。」
スレッタ「アムロさんだって必ず来てくれます、だからそれまで....私は負けません...!」
スレッタは操縦桿を力いっぱい握る
シャディク『.....哀れだね、君も』
フンとシャディクは嘲笑う
シャディク『アムロは来ないよ。君の期待に応えることもない』
スレッタ「来ます!だって、アムロさんですから...!」
ビームブレイサーがエアリアルを捉える
シャディク「.....水星ちゃん、君は素直でいい子だ。まっすぐでウソはつかない」
シャディク「....だが君は、他人にすがるだけのただの子供だよ。」
放たれたビーム弾をビットが弾き、それを機としてスレッタがヒットたちに攻撃を指示した
ようやく盾から開放されたビットたちは、お返しと言わんばかりに攻撃を展開させ、シャディクらを落とそうとレーザーを四方に放つ。
シャディク「.....無駄だよ」
しかし、スレッタの抵抗が通じることはない。
シャディク「追い込んだ。落とすぞ」
サビーナ達「「了解」」
シャディク達はエアリアルを取り囲むと、なにやら機体の一部を展開する
スレッタ「.....なに?」
ミカエリスやベギルペンデが青く発光し、衝撃波のようなものがエアリアルやビットを包み込んだのだ。
スレッタ「.....みんな?返事して....!」
衝撃波を受けたビットたちが力なくパラパラとフィールドに落ちていく
ニカ「スレッタ...!」
ミオリネ「なにが起こったの?」
スレッタ「エアリアル....?皆、とうしたの?」
エアリアルもビットらと同様に活動を停止させ、フィールドに膝を落としてしまった。
スレッタ「私一人でやるの...?だめだよ!一人じゃ......」
バァンッ!
衝撃がコックピットを襲う
スレッタ「ああっ!」
動きを止めたエアリアルをシャディク達は嬲る
エナオ「GUNDフォーマットがなければ凡庸ね...」
ラウダ「....墜ちろ!水星女ッ!」
スレッタ「くぅっ!」
スレッタはなんとかエアリアルを動かして抵抗するが、6名は鳥が死骸を啄むように次々と襲いかかる。
アムロ「.....くそうッ!」
その様子を見たアムロはゼムリアの両アームをハッチにかけた
アムロ「やはり直接ハッチを開かせるしかない!」
アームレイカーを前に倒し、最大稼働でハッチを開こうと試みる
アムロ「MS一機が通れればいいんだ!隙間さえ開けば.....!」
ギギ....ギ....ギ......
ゼムリアの両腕が悲鳴を上げるが、構うことなく続ける
アムロ「また失うわけにはいかないんだよ....俺は」
.....ムロ......アムロ.....アムロ.....
アムロ「頼むよ、開いてくれ........!」
『アムロ』
アムロ「......!」
声が、聞こえた。
アムロ「この声.....まさか」
フワッ
ゼムリアの動きがピタリと止まったかと思えば、コックピットを“緑色の光”が包み込んだ。
アムロ「なにをしようってんだ...」
その光はコックピットからゼムリアの肩...腕...マニピュレーターを伝い____
そして、試験区域のハッチにまで広がる。
アムロ「......これは」
AI『ジジッ....ジジジ....____レールの問題点をクリアしました。復旧モードを解除します。』
先程まで同じ言葉を反芻するだけだったAIが、復旧モードの解除を宣言したのだ
アムロ「ララァ・スン....なのか?」
ランプが赤から青に変わり、ハッチは勢いよく開門した。
* * *
スレッタ「.....大丈夫、まだ...ッ」
ボロボロになったエアリアルをミカエリスは執拗にいたぶる。
ブレードアンテナを折る...ましてや頭部を狙うことすらしないで、エアリアルの腕や脚に攻撃を加えていく
シャディク「こんな姿になってまで...早く降参してくれよ」
スレッタ「.....嫌です」
シャディク「何故?君たちの敗北は決定してるんだぞ?」
シャディク「これ以上立ち続けて何になるんだ」
スレッタ「アムロさんが.....来てくれます」
スレッタ「それまでは絶対に参ったなんて言いません...!」
シャディク「........そうかい」
ミカエリスのビームブレイサーが膝をつくエアリアルに対して向けられ、その砲門は閃光を帯びる
ニカ「スレッタ!逃げて!」
ミオリネ「.......っ」
ミオリネは顔をしかめる
スレッタ「エアリアル...お願い、立って....」
シャディク「これでおしまいさ__________
バキュンッ!
ミカエリスの背後にビーム弾が当たり、よろける
シャディク「ぐっ!?」ヨロッ
スレッタ「......え」
サビーナ「なに?」
メイジー「っ、どこから?」
エナオ「........あれは」
シャディク達のモニターに、一機の反応が出る
イリーシャ「拡大します....っ、あれって....」
ニカ「ねぇ、あのMS!」
オジェロ「.....ああ、やっとかよ...!」
画面をズームしたオジェロ達は顔を綻ばせる
アリヤ「なんとか間に合ってくれたな...」
ミオリネ「ほんと....遅すぎんのよ、あんたは」フッ
アムロ「すまない皆....遅くなった。」
構造物の上からライフルを構えるゼムリアの姿があった。
次回は1対6てす