水星の魔女と地球の悪魔   作:yomiyomi

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今回は番外編その2になります。
(アムロは今回一切出てきません)


第10話「近付く想い、離れる心 ~その1~」

 

 

____地球、北米にて

 

 

男性「...スペーシアンは搾取をやめろーッ!」

 

男性「われわれアーシアンにも自由を!」

 

女性「これ以上私達の人権を奪わないでっ!」

 

男性「俺たちは奴隷じゃないぞっ!」

 

 

都市の真ん中をデモ隊たちが占拠していた

 

その向かい側には鎮圧部隊が列を成しており、バリケードを隔てて緊張状態にある。

 

オペレーター『....各鎮圧部隊セーフティ解除、催涙弾射出許可する』

 

オペレーター『了解。MS部隊、前へ!』

 

MSがデモ隊へと迫る

 

男性「ぼ、暴力に訴えるのか!?こっちは非武装だぞ!」

 

鎮圧隊員『黙れ、お前たちは自らが規律を乱す存在であることを自覚しろ』

 

女性「私達は自由に生きたいだけよ!どうしてそれが許されないの!?」

 

オペレーター『鎮圧開始。』

 

その一言でMS達がデモ隊の列になだれ込む 

 

 

きゃああああッ!

 

うわぁぁぁっ!

 

助けてくれぇぇぇ!

 

デモ隊は散り散りになり、鎮圧隊に捕まったものは殴打され、引きずり回され、手錠をかけられ運ばれてゆく。

 

MSに踏まれ擦り潰されていく人、母とはぐれ泣く子供、火炎放射機で焼かれ燃え上がるデモのプラカード、火の粉が移り燃える家....

 

さらに援護に駆けつけるMS部隊が、街を一層地獄へと変える。

 

 

男性「...しばらくここに隠れていよう」

 

数名のデモ隊参加者たちは狭い路地裏に隠れていた

 

男性「大きな音を立てるなよ....」

 

女性「....!」

子供「....」

 

母親は子供の口を手で塞ぐ

 

老人「うう....神は私達を見放してしまわれたのか....」

 

一人の老人は手を合わせ天を拝んでいた。

 

男性「神様なんかいないんだよ....そんなのがいたら俺達ァこんな目にあってねぇ!」

 

男性「うるさい、静かにしろ____」

 

ガタンッ!

 

 

一機の鎮圧用MS『ディランザ』がその路地を覗いていた。

 

男性「あ....あああ....」

 

MSは彼らに向ってその銃口を向けている

 

老人「っ....うぅぅ....!」

 

老人は恐怖から目を瞑った_______その時

 

 

ドガァァァンッ!

 

 

男性「....なっ」

 

そのMSの頭上に一筋の閃光が落ちたかと思えば、いきなり機体が爆発したのである。

 

子供「....お母さん、あれ見て!」

 

少年が空に向って指をさす

 

女性「あれって....」

 

子供「ほらあれ!」

 

 

 

 

子供「『赤い』モビルスーツ...!」

 

 

 

 

 

部下『少佐、前に出過ぎですよ...』

 

赤いMS『ゲラノス』の後方をもう一機のMSが飛空してくる

 

?「すまんな。この様子を見ていたら、いても立ってもいられんよ」

 

部下『また少尉に叱られますってば。美人ですけど、結構怖いですからね....』

 

ルナ『____エルネスト曹長、全部拾っているぞ』

 

セルナ『げっ.....』

 

更にもう一機、MSが追従してきた。

 

?「ルナか?ほかの隊員はどうか」

 

ルナ『既にスタンバイついています。』

 

?「よし、各自発進させろ」

 

男はコックピットの通信ボタンを押す

 

?『勇敢なる“ジオン軍”各員に告ぐ。善良なるアーシアン市民を守り、侵略者たるスペーシアン共を駆逐しろ』

 

?『地球を卑下する宇宙(そら)のデブリ共に我々が鉄槌を下すのだ.....!』

 

男の激が部隊全員のコックピットに流れる。

 

ルナ『各員発進!』

 

ルナ・シェーラの一声を機に街へMSが飛来していく

 

?「ルナ、私は敵の本体を叩く。お前はエルネスト曹長と部隊を援護してくれ」

 

ルナ『しかし少佐...』

 

?「彼らはお前と違ってMSの経験がまだ浅い。これはルナにしか頼めんことなのだ」

 

ルナ『.......分かりました』

 

ルナは渋々承諾すると、ゲラノスから離れてセルナ機と共に街へ降下していく

 

?「......いい子だ」

 

ゲラノスのスラスターを一気に点火して目的の場所へと急いだ。

 

 

*  *  *

 

 

ルナ「.......」

 

セルナ『どうしたんです?少尉』

 

ルナ「.....お前には関係ない。操縦に集中しろ」

 

セルナ『折角のアメリカなんですから、もっと楽しくランデブーしましょうよ?』

 

ルナ「........堕とすぞ貴様」

 

セルナ『あっはは!....っと、敵が見えてきましたよッ!』

 

ルナ「前方に5機...」

 

セルナ『楽勝....で、生身のヤツらはどうします?』

 

ルナ「潰せ。機体は回収するのであまり傷つけるな」

 

セルナ『了解っ!』

 

 

鎮圧隊員「....敵襲っ!」

 

鎮圧隊員「なんだあれは....も、MS!?」

 

隊長「MS小隊、あの2機を狙え!」

 

ビルの間に陣取る鎮圧用ディランザがルナたちに銃口を向ける

 

隊長「各員MSの裏へ退避しろっ!」

 

生身の隊員たちがビルの隙間に引っこもうとしていた。

 

 

セルナ「逃すか.....よっと!」

 

鎮圧隊員「あ...ああっ!...た、助けてブチ...ッ!

 

セルナ・エルネストは躊躇なく生身の人間をMSで踏み潰す

 

セルナ「....さぁ、どいつから相手してくれるんだ?」

 

隊長「ぐっ.....ひ、怯むな!数はこちらが勝っているんだ!」

 

MS操縦員『チッ....反乱軍モドキが!舐めるなよ』

 

セルナ「いいね....キタキタ...!」

 

ドシューン!

 

 

ディランザのコックピット部分に一発のビームライフルが撃ち込まれた

 

セルナ「あっ!?」

 

MSは力なくその場に斃れる。

 

セルナ「俺の獲物だったのに....」

 

ルナ『.......遊ぶな。さっさと片付けろ』

 

セルナ「エンジンを傷つけないようにコックピットだけ撃ち抜く.....相変わらず凄いことしますね」

 

鎮圧隊員『ひ、ひぃぃ....』

 

セルナ「またトロトロしてると少尉に取られちゃうんで....やっちゃうかな」

 

セルナはビームサーベルを展開すると、ディランザ達に向かっていった。

 

隊長「実弾許可する!撃て!」

 

セルナ「っ来た!」

 

ディランザ2機がセルナを狙って実弾を射撃する

 

セルナ「....横っ」

ドカァァン

ビルを遮蔽物にして攻撃を避けた

 

隊長「ビルの合間、挟み込め!」

 

2機はセルナ機を挟み込むようにビル街の左右へと展開する

 

MS操縦員『今だっ!』

 

セルナを挟んだ左右のディランザは一斉に対MSライフルを射撃した。

 

セルナ「....ド素人め」ニヤ

 

セルナ機はスラスターを稼働させ空中へ舞う

 

MS操縦員『....ま、まずい...ッ!?』

 

ダダダダダ...ッ!

 

双方向かい合う形のディランザは、的を失ってしまったためにフレンドリー・ファイアを引き起こしてしまった。

 

隊長「何やってる!味方同士を撃つな!」

 

一方のディランザは運悪くコックピットに弾が当たってしまったために、そのまま沈黙する

 

MS操縦員『あ、ああぁ....メインサイトがやられちまった....!』

 

もう一方は頭部ユニットを損傷し、コックピット内が真っ暗闇になってしまう。

 

セルナ「.....じゃあ、お前も仲間の所に行ってやんなよ!」

 

セルナ機は残った方のディランザを蹴り倒し、そのコックピットにアームを掛ける

 

ギギギ....

 

ディランザのコックピットハッチがこじ開けられていく

 

MS操縦員「あ、ああ.....た、助けてくれっ!」

 

ハッチをこじ開けたセルナはマニピュレーターで中の操縦員を取り出した。

 

MS操縦員「うわぁぁぁっ!降ろしてくれっ!頼むーッ!」

 

セルナ「....助けろだ?」

 

セルナは操縦桿に力を込める...

 

セルナ「お前らは俺たちのその言葉を聞いてやったのかよ......ッ!!」

 

 

MS操縦員「あぁぁぁぁぁ....グチャっ

 

 

セルナ「........」

 

セルナは真っ赤に染まったマニピュレーターを見つめる。

 

隊長「....て、撤退、撤退しろ!」

 

隊長が乗ったトラクターが街郊外に向かって下がっていく

 

隊長「なんなんだアイツらは......ただの武装集団じゃないぞ!」

 

ドカァァン!

 

トラクターの真上でビルがディランザと共に崩れ落ちてきた。

 

隊長「う...うわぁぁぁッ!?!?」

 

その瓦礫やMSがトラクターを押しつぶす

 

ルナ「......これでMS5体確保だ」

 

一面が血と瓦礫に染まったビル街の一角を見てそう呟く。

 

ルナ「エルネスト曹長、他の部隊の救援に向かうぞ。」

 

セルナ「.....あっ、はい!了解ですよシェーラ少尉!」ニコッ

 

 

*  *  *

 

 

街から数キロ先 第7地上治安部隊駐屯地

 

 

鎮圧隊員『....現在、鎮圧部隊は謎の武装組織に襲撃を受け、半壊状態にあります....』

 

街で戦闘を行っている隊員から通信が入る

 

オペレーター「.....敵の数は?」

 

鎮圧隊員『お...おそらく数百っ....いや、数千....』

 

駐屯隊長「馬鹿者か貴様ッ!戦闘の規模を考えろ!」 

 

補佐官「おそらく敵は数十名きりのはずです。しかし、その全てがMSに乗員しています」

 

駐屯隊長「MS?万年金欠のアーシアン共がか?」

 

駐屯隊長は鼻を鳴らす

 

駐屯隊長「なにかの間違いだそんなのは!たかが少数の反乱軍になぜ手をこまねいているのだ我が部隊は....」

 

その時、オペレーターから一つの通信が入る。

 

オペレーター「基地3キロメートル以内に登録不詳のMSが接近中!」

 

駐屯隊長「なに?味方機ではないのか?」

 

オペレーター「い、いえ....自動認証AI反応示しません。反乱グループの物かと思われます!」

 

駐屯隊長「なに.....?」

 

 

?「........見えた。あれが()()()か」

 

 

補佐官「接近する敵機の数は?」

 

オペレーター「......一機のみ...です」

 

駐屯隊長「一機だぁ?ハッ!笑わせるな、虫が火にくべられに来たか」

 

オペレーター「き、基地まであと1キロメートル!.....速い....!」

 

モニターを見ると、通常では考えられない速度で駐屯基地までそのMSが迫っていることが分かった。

 

補佐官「......ッ!オペレーター、色は?」

オペレーター「は?」

 

補佐官「そのMSの『色』を確認しろと言っているのだ!」

 

オペレーター「は、はっ!.....あれは...あ、赤!赤いMSです....!」

 

補佐官「........!」

 

駐屯隊長「......なんだ?どうしたんだ」

 

補佐官「.......赤い、MS...」

 

オペレーター「来ました、映像流します!」

 

管制室のモニターに、そのMSが映し出される。

 

隊員「本当に赤いぞ...」

 

隊員「目立ちすぎだろあれ....」

 

隊員「なあ、あのマーク...どこかで見たことないか?」

 

オペレーター「補佐官殿、これは....?」

 

補佐官「...ジオンだ」

 

その名を聞いた駐屯隊長が反応する

 

駐屯隊長「ジオン...?ジオンとは、あの...!?」

 

補佐官「はい....ここ数年だけでこれまで、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、アフリカ....数多くの駐屯基地を壊滅に追い込んできた、要注意指定武装組織です...」

 

駐屯隊長「あの赤いのは....まさか....」

 

補佐官「.....ジオンの『赤い彗星』....」

 

駐屯隊長の額にブワッと汗が染み出す

 

駐屯隊長「い、いま稼働できるMSを全て出せ!支援部隊もだ!」

 

 

?「....来たな」

 

ゲラノスの目前に駐屯基地が見える。その基地からMSディランザが次々とフライトユニットに乗って出てくる。

 

?「たった30機もいないか....期待外れだな」

 

右手にはビームライフル、左にはMS用バズーカを持ちながら、高速で駐屯地に近付いて行く

 

鎮圧隊員『敵はたったの一機か?』

 

鎮圧隊員『そうらしいよ.....ったく、上官が大袈裟に言いやがって』

 

鎮圧隊員『だがMSなんか持ってるなんてな。裕福なテロリストだぜ』

 

 

鎮圧隊員『誰が堕とすか賭けないか?一人100ドルだ』

 

鎮圧隊員『マジかよ?乗ったぜ!』

 

鎮圧隊員『ははっ!俺がお前らからがっぼり頂いてやるぜ________』

 

 

ドガァァァンッ!

 

 

まだ1キロメートル程の距離があるにも関わらず、その赤いMSは的確にビームライフルで目標を撃ち抜いてきた。

 

鎮圧隊員『う、撃ってきた....撃ってきたぞっ!?』

 

鎮圧隊員『反撃しろ!』

 

前方だけでも10機以上のディランザ達がMSゲラノスに対してライフルを乱射する

 

?「....自分たちが狩られる立場であることを理解していなければそうなる」

 

集中乱射を軽々と躱すと、更に速度を上げる。

 

鎮圧隊員『!?速い.....っ!』

 

ゲラノスは集団を弄ぶように周りを旋回、隊員たちは必死にライフルを放つものの、当るわけもない

 

?「全部で28機か....よし、やってみせよう」

 

旋回をやめ、MSの集団へ一直線に向かっていく。

 

鎮圧隊員『来るぞ!リロードの済んだやつから撃て!』

 

?「ルナ達の所へ行かせるわけにはいかん」

 

ゲラノスはようやくライフルをディランザ達に向ける

 

ドシュュン!

 

ディランザの一機にビームが直撃した

 

男は立て続けにライフルを放つ。

 

ひとつ.....またひとつ...

 

考えられないスピードでMS達は撃ち落とされた鳥のように、燃えながら地上へと堕ちていく

 

?「あと10機か」ガチャン

 

悠々とライフルを再装填して、ふたたび撃ち出す

 

鎮圧隊員『き、基地本部ッ!応答してください....!』

 

 

補佐官「.......なんだ」

 

鎮圧隊員『赤いMSに.....次々と味方が落とされていきます.....ッ』

 

その様子は基地のモニターにも映し出されおり、皆がその様子を呆然と見つめていた。

 

鎮圧隊員『このままでは全滅です!どうか撤退命令を___________』

 

 

______隊員からの通信はそこで終わる。

 

補佐官の頬を一筋の汗がつたう

 

補佐官「.....大佐殿、只今をもってMS部隊....全滅いたしました」

 

駐屯隊長「...........」ガタガタ

 

管制室は機械音やレーダー音のみが木霊する、禍々しい程の静寂に包まれた。

 

オペレーター「っ....大佐殿.....!」

 

駐屯隊長「......どうした」

 

オペレーター「それが.....赤いMSから通信が」

 

補佐官「....なに?」

 

 

管制室と通信が繋がった。

 

?『私は地球開放戦線“ジオン”の者だ。諸君らのMSは全て鹵獲ないし破壊した。』

 

?『無駄な抵抗をやめて、武器を捨て投降していただきたい』

 

駐屯基地の滑走路にゲラノスが着陸する

 

 

駐屯隊長「.......」

 

その様子を隊員たちは固唾をのんで見守っている。

 

駐屯隊長「..........分かった、そちらの提案を受け入れる...」

 

?『.....そうか。英断を感謝する』

 

駐屯隊長は補佐官に手信号でとある合図をする。

 

補佐官「!」コクリ

 

駐屯隊長「....我々は投降の準備を始める。少々時間をいただけるか?」

 

?『許可しよう。私もしばらくここで、部下を待たせてもらうよ』

 

駐屯隊長はニヤリと微笑む

 

ゲラノスの死角となる位置に、対MS用ミサイルを展開していたのだった。

 

補佐官「大佐、発射いけます」

 

駐屯隊長「ミサイル発射しろッ!!」

 

 

?「_____残念だよ」

 

男は死角であるはずの後ろからの攻撃をするりと避ける

 

駐屯隊長「......えっ」

 

ゲラノスは回避体制から、持っていたバズーカを管制ブリッジに発射

 

 

ドカァァァァンッ!!

 

 

大規模な爆発が管制室を包んだ。

 

?「.....ルナ、街はどうだ?」

 

ルナ『はい。全て鎮圧しました』

 

?「MSの鹵獲はどうか」

 

ルナ『破壊してしまったものも多いですが、修復が可能なものを合わせると、計16機の鹵獲に成功しました。』

 

?「よし、日本に持って帰るぞ。ナジ達への土産にする」

 

ルナ『少佐のほうも終わられたのですね』

 

?「ああ。今より帰還するぞ、総員撤退命令を出せ」

 

ルナ『了解。』

 

 

男はコックピットから出て、ポツリと呟く

 

?「やはり私を追い詰めてくれるのは貴様だけだな........アムロ」

 

 




オリジナルキャラクターばかりでごちゃごちゃになってしまったかもしれません。
.....ちなみに、ゲラノスの想像図はまんま「赤い百式」ですね。
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