水星の魔女と地球の悪魔   作:yomiyomi

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第3話「檻の中の悪魔~その3~」

 

テム「こうやって実際に会って話すのはいつぶりでしょうか」

 

プロスペラ「あら、少し会わないうちに随分と老けられたんですね。テム代表」

 

テム「...それで、手は打ったと?」

プロスペラ「ええ。準備は万全ですよ」

 

「レイオニックス社CEO、シン・セー開発公社CEO、出廷願います。」

 

プロスペラ「では、行きましょうか」

テム「......ええ」

 

 

幹部「___これより、審問会を始めます」

 

デリング「レイオニックス社代表テム・レイ、シン・セー開発公社代表レディ・プロスペラ、双方に問う。」

 

デリング「お前達は魔女か?」

 

プロスペラ「いいえ」

 

デリング「ヴァナディース機関との繋がりはあるのか?」

 

テム「ありません」

 

デリング「では、どうやってガンダムを作った?」

 

テム「あのMS、RX−03はガンダムではありません。それはシン・セーのエアリアルも同じです」

 

デリング「では?一体なんだと?」

プロスペラ「エアリアルとRXは我々シン・セーと、レイオニックス社が共同で開発した新型ドローン技術です。」

 

幹部「ドローンだと...?」

それを聞いた幹部達はどよめく

 

テム「正確に言えば、RX−03とエアリアルは姉妹機ということになります。」

テム「RX−03で得たデータを元に、エアリアルへその機体データを送信し、毎秒ごとにアップデートを行っている状態にあります」

 

サリウス「シャディク」

シャディク「はい、義父さん」

 

シャディク「先の戦闘において、あの二機体のパーメット流入値のデータを算出したものがこちらにあります。」

 

シャディクはRX−03とエアリアルのパーメット流入値を表すグラフを提示する

 

シャディク「このエアリアルはパーメット流入値の基準を超えていました。これはガンダムの基幹システム、GUNDフォーマットの特徴を表しています」

 

幹部「しかし、もう片方のMS....パーメット流入値がほぼゼロとある。これは一体?」

 

シャディク「はい。これに至っては我々も計算機のバグであると判断するしかなかったのですが....」 

 

テム「いいえ、それはバグなどではありません」

 

テム「我が社が開発したこのMSは、パーメットリンクに頼らずとも高度な操作を可能にしています」

 

幹部「パーメットリンクをしないだと....?そんなのあり得る訳が....」

 

テム「CSSという超高性能AIによって、操縦者の操縦を自動的に修整しつつ、戦闘をおこなうシステムを搭載しています。」

 

テム「私の息子はこれまで一度もMSの操縦などはやったこともない。そんなものとは無縁であったのです。」

テム「しかし、現にその初心者たる者が、百戦錬磨の(つわもの)にも勝ちうることが先の戦闘で証明されました」

 

それを聞いて騒然の声はより大きくなる

 

プロスペラ「エアリアルも、もしGUNDフォーマットが搭載されているとすれば、データストームが検出されるはず....いかがです?」

 

シャディク「検出はされていません」

 

プロスペラ「従来のパーメットリンクを基にした操作技術です。グループの技術条項にも沿ったものと自負しています」

 

ニューゲン「しかし、それだけではガンダムではないとは言えないわ」

プロスペラ「ですが、断言もできません」

 

サリウス「レディ・プロスペラ。貴女はただ、エビデンスの欠落部分を言い訳にしているだけだ」

 

サリウス「シン・セー社製のMSには複数箇所、GUNDフォーマットと類似した点が確認できる。貴女は黒を白と言い張るつもりかね?」

 

プロスペラ「我々も末席とはいえベネリット・グループの一員です。カテドラルの協約も、もちろん存じております」

 

プロスペラ「我々を信用していただきたい。」

 

ヴィム「....その風体で信じろとでも?」

 

その言葉を聞いたプロスペラは自らの腕をその場の全員に晒す

 

そこにあったのは、人の柔肌ではなく、惨ましいほどの機械義手

 

ヴィム「んん....!?」

プロスペラは義手を外してヴィムの方へそれを放り投げる。

 

プロスペラ「....この腕も、仮面の下の顔も、全て水星の磁場に持っていかれました。」

 

プロスペラ「水星の環境は過酷です。しかし、我々のドローン技術を応用できれば危険に身を晒すことなく、パーメットの採掘事業が可能になります」

 

テム「.....先程紹介したCSSですが、本来このAIは人間の立ち入ることができない環境や場所などにMSやロボットを送り込む際、このAIをそれらに使うことを前提として開発しました」

 

テム「活用方法を変えれば、戦闘にも転用はできますが、本来は救助活動や運搬、医療関連などを想定して作り出したものです」

 

テム「エアリアルに使用されているドローン技術と、RX−03に使用されている高性能AIは必ず過酷な環境下で働く人々の助けになるであろうと確信しております。」

 

デリング「.......」

 

プロスペラ「我々にはグループの支援が必要なのです」

 

 

デリング「いや、あれはガンダムだ」

 

テム「...!」

プロスペラ「なぜでしょう?」

 

デリング「私がそう判断したからだ。この場に、異論のある者はいるか?」

 

デリングのその言葉に、この場にいる幹部は皆沈黙する。

 

デリング「.....決まりだ」

デリング「あのMS2機は廃棄処分。操縦者の生徒は抹消とする」

 

テム「...っ!お、お待ちください!」

 

テム「我々が開発した機体はガンダムであって、GUND−ARMではないのです!」

 

デリング「....なにが言いたい?ガンダムであるなら尚更、己で認めたようなものではないか」

 

テム「私は、GUND-ARMの圧倒的性能と、操縦者の命を危険に晒すことのない安全性を併せ持つ機体の開発に10年以上の時間を費やしました。」

 

テム「その結果、完成したものがこのNew.GUND-ARMなのです...!」

 

ヴィム「ニュー....ガンダム」

 

デリング「....やはり、ガンダムではないか」

テム「いいえ、GUND-ARMとは一線を画す全く新しいMSです」

 

テム「データにもある通り、このRX−03はパーメットそのものを極限なまでに排除しているため、万が一でも人体に何かしらの障害を負うことはありません」

 

デリング「......」

 

テム「私はこのMS技術を各企業に提供したいと考えております。現在のMS以上の安全性と、GUND−ARM並の機動性能が得られる筈です....!」

 

デリング「......それでも、だ」

デリング「やはり、ガンダムは排除しなければならん。その話も認めん」

 

テム「!?そんな________」

ヴィム「そ、総裁.......」

 

その時、審議棟の扉が重苦しく開かれる

 

ミオリネ「.......」

 

その姿を確認した面々は再び騒然とする

 

テム「.......彼女は」

 

デリング「....なんの用だ?ミオリネ」

 

ミオリネ「あんたに、一言いいたくてやって来たの!」

 

ミオリネ「自分で決めたルールを後から勝手に変えるな!......この、ダブスタクソ親父っ!!」

 

 

 

グストン「......なぁ、地球に運ぶんじゃなかったのか?」

フェン「お客様の要望には応えないとね」

 

グストン「しかし、地球からの依頼はどうなる?あいつら怒らすとまずいぜ?」

フェン「私はただ『ミオリネ・レンブランを地球へ』としか言われてないもの。いつ送ろうが私達の自由よ」

 

フェン「それに、総裁の娘なら貸しを作っておいたほうがいいでしょ?」

グストン「へえ.....計算ずくってわけか」

 

 

 

デリング「____ここに立てるのは」

デリング「ベネリットグループの、それも上位企業の力ある者のみ」

 

デリング「だがお前は違う。なんの力もないただの学生だ」

 

ミオリネ「....あんたっていつもそう。上から目線で説明もなしに勝手に決める!」

デリング「説明も相談も必要ない」

 

デリング「私が決める、お前は従う。娘だからといって私と対等にものが言えると思ったか?」

 

ミオリネは目を見開き絶句する

 

ミオリネ「なにそれ.....あんた王様!?」 

デリング「そうだ」

 

デリング「私には力がある、だがお前にはない。力ない者は力ある者に黙って従うのがこの世界のルールだ。」

 

ミオリネ「........っ!」

 

ミオリネ「だったら!決闘よ....!」

 

デリング「なに?」

ミオリネ「私達が勝ったら、あんたはアムロ・レイを私の婚約者として認める!スレッタ・マーキュリーの退学も取り消す!」

 

ミオリネ「負けたら....好きにすればいい」

 

デリング「....私の話が理解できなかったのか?」

ミオリネ「あんたが決めたルールで戦ってやるって言ってんの!自分が決めたことくらい責任持って守りなさいよ!」

 

ミオリネ「大人なんでしょ!?」

 

ミオリネの叫びがシンとした審議棟内に響く

 

 

ヴィム「.....意見よろしいでしょうか?」

ヴィムが挙手する  

 

テム「む.....?」

ヴィム「偶然とはいえ、あの...New.GUND−ARMは我が社のディランザを打ち破った機体です。」

 

ヴィム「レイオニックス製のMSも、そしてその完成版であるシン・セーのMS共々、今しばらくの運用を検討してはいかがでしょうか?」

 

デリング「....どういうことだ」

 

ヴィム「近年の市場では他社のMSシェアが高まってきています。」

ヴィム「この2機体は我々の業績回復の起爆剤になり得るかと」

 

プロスペラ「.......フ」

テム(....手は打ってあるとは、まさかこの事か?)

 

プロスペラ「学園での決闘は、RXとエアリアルの姉妹共に実証試験として有益と考えます。」

 

ニューゲン「機体の技術情報は提供してくださるのかしら?」

 

テム「....ええ、もちろんご提供いたします。」

サリウス「待て!何を勝手に....カテドラルの協約を破る気か?」

 

そのサリウスの声に、複数の幹部は反対を唱え、ある複数はヴィムの意見に賛同する

 

審議棟内は意見が分かれ騒然としている。

 

 

テム「...まさかジェタークCEOを味方につけるとは」

プロスペラ「単純なものよ」

 

テム「これでエアリアルによる計画の第一弾が発動できる.....でしょう?」

 

プロスペラ「....ええ。ようやく、ね」

 

4話へ続く

 

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