召喚,s killed 《once》   作:一途一

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最後のシーンは作者の曲解が含まれます。ご容赦下さい。



追記:今回は短いです。■■■は暫く出てこないかもしれないし次回にも出てくるかもしれません。


スキ(ル)だけどスキ(ル)じゃない。

留金は驚愕した。本人はフラグなどと言う言葉の存在を知らないのでアレだが、知らぬ間に留金はヴァッシュにフラグを立てられていた。ヴァッシュに非が無いのは明らかだが、彼女の家にアージャーを留めるという使命は達成されることは無くなった。そして、その裏でアージャー(留金)父の隠居生活は崩壊を迎えようとしていた―――

 

 

「これは本当に大事件どころじゃあない!!超事件ですよ!直ぐに教会本部に報告しに行かなければ行けませんので!じゃ!」

 

神父は俺のスキルを確認した直後にクラウチングスタートを切って走り去って行った。普通ならどんなスキルか気にしてから行く物だと思ったが、スキルを二つ持つということはそれ程までに衝撃的な事なのだろう。

 

 

礼拝所に1人残された留金は、ベンチに座ってスキルを再度確認した。

 

 

『長命化』

 

これは言わずもがな、長生きできるスキルだろう。一体何年生きれるんだ?もしこれがとんでもなくしょぼいやつで1年とか2年だったら、二つスキルを持ってても可怪(おか)しくないだろう。

 

 

『世界間跳躍召喚術式(制限付き)』

 

これは一体どういう事だ?これを口語体に直してみると、『世界間を跳んで、制限が付くけど何か召喚してあげるよ』っていう事なのか?さっぱり分からん。板の上を触ってみるが、手は通り抜けてしまうので触ることが出来ないし、手がかりはスキルの名前だけだ。

 

 

 

 

目を凝らして板の中を隅々まで見てみる。すると画面の端に何らかの注意書きのような物があった。もっと目を近づけてみる。視力が転生前のままだったら文字の存在すら分からなかっただろう。

 

そして端にはこう記されていた。

 

『※スキルは【開示】と唱える事でその内容を見ることが出来ます。他人の物は見れません。』

 

 

親切心ゼロの板に脳内で愚痴を吐きながら留金はそれを唱えた。

 

 

『開示』

 

 

 

別のホログラムの板が現れ、二つのスキルについての文章を記していく。

 

____________________________________________

 

 

長命化:寿命を延ばすスキルです。このスキルによって約4000年生きる事ができます。

 

 

 

 

世界間跳躍召喚術式(制限付き):世界の狭間を越えてランダムな物を出現させます。人物を召喚した際はクエストが始まり、そのクエストをクリアすることによってその人物を獲得出来ます。その他は武器や雑多が召喚されます。

 

 

____________________________________________

 

 

大体は思った通りだが、長命化のスキルが予想の数百倍の長さで生きられるようになっていた事に驚いた。

 

これは俺が転生者だから…という事なのか?しかし、召喚術式は少々複雑なようだ。どっか別の世界から人だか何だかを召喚する事が出来て、人が出た時は何かクエストをクリアしないと仲間に出来ない…要はソシャゲのガチャをハードモードにした物だという事か。

 

俺はスキルを見るのに夢中になっていた。最初の板にはスキルの欄以外にMP・HPなどが表示されている。こういうのは昔、東方紅魔郷を発売すぐプレイしたことがあるからきっと似たような物だろう。弾幕ゲーは俺には無理だった。(当時三十代)

 

 

俺は、背後に居る従者に気付かなかった。

 

 

「当主様?熱心にスキルボードを眺めてどうしたのです?」

 

「…ッッ!?!?!?」

 

 

唐突に現れたヴァッシュは柔らかい表情で俺を見てくる。しかし、その目がギンギンに冷えているのは目に見えて分かっていた。

 

「…まさか、冒険者にお成りになると言うのですか?」

 

…その後に続く言葉は無い。しかし、彼女が留金を止めるのもしょうがない事であった。

 

 

 

◆◇◆◇

 

前の代の当主、アージャー(留金)の父であるサンジェルマンは見事な経営手腕で、この世界で言う経営アドバイザーとしての地位を確固たる物にしていた。彼が一度契約を結べばその店が確実に繁盛する、と評判だった。しかし、その才能に依る名声を打ち消すような悪点が彼にはあった。

 

 

…女好きと酒好きだ。

 

 

その有り余る金と性欲を持て余したサンジェルマンは30歳の時に『性界旅行』なんて銘打って世界各地の娼婦街を駆け回ったのである。その際の経験人数は万を超えるのではないか、とも言われている。そしてその道中で見つけた酒を持ち帰り、当時王城の近くに住処を構えていた館の内部約4分の一を酒で埋めてしまったのだ。

 

そして付いた異名は『世界に股を掛けた男』。

 

 

そんな酒好き、金好き、女好きの三拍子を見事に揃えた史上最も“自由”な当主であった。

 

 

お陰で息子であるアージャーにもあらぬ噂が飛びまくっているのである。勿論冒険者にでもなったら即身バレして、今度は『世界に股を掛けるムスコか!?』なんて騒がれるに間違いない。

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

…しかし、俺はそんな事を気にして冒険者を諦める程ヤワな精神を持ってない。

 

外見が14歳の可愛らしい少年でも中身は50代後半のジジ臭いおっさんだ。この年になってこんな目に遭うとは思わなかったが、折角の異世界ライフだ。異世界物の世界がどうなのかは知らないが、どうせなら堪能してみたい。

 

 

「ああ、やってみたいと思ってる。」

 

「そうですか…」

 

 

ヴァッシュは悲しそうな顔をした。しかし直ぐに切り替え、とある事を俺に聞いてくる。

 

「それで…スキルはどんな物でしたか。」

 

「ああ…二つ貰ったんです。それで、神父様は慌てて飛び出して行っちゃって。」

 

 

ヴァッシュはひどく驚いた顔をした。まさか本当に先祖返りをしてしまったというのだろうか!?と。

 

「『長命化』と『世界間跳躍召喚術式(制限付き)』を貰ったんです。」

 

「そ…それは本当なのですか?」

 

「…そうですよ?何ならスキルボードにも書いてありますし。」

 

…ああ、きっとこの子はそのような運命の元に生まれてしまったのだなとヴァッシュは思った。それと同時に、サンジェルマンをこの家に戻して来なければ、と。

 

 

「貴方が冒険者になりたいのなら、私は止めないことにしました。」

 

「本当ですか!?」

 

 

その瞬間、いつも穏やかなアージャーの目が光り輝いた。ヴァッシュはこのような目を今日初めて見た。

 

「ええ、直ぐにとはいきませんが、準備を進めましょう。色々と用意が必要ですから。」

 

「ありがとうございます…!」

 

 

後々、ヴァッシュはやっぱりこの選択を後悔するのだが、それはまた別の話である。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

2009年とある■■■■

 

 

 

 

視界が闇で霞んでいます。左足の感覚はもうありません。

 

 

だけど、『生きたい』という感情を知ることが出来たのは良かったと、■■■は追憶します。

 

 

バッジを手放さずに済んだのは良かったです。だって、■■■■■から頂いた物ですから。

 

 

嗚呼、まだ生きたい______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

列車は■■を押し潰し、永遠の沈黙を齎す。

 

 

 

 

 

 

 

「本日の実験、しゅーりょォー。」

 

 

 

 

 

 

 

狂気と罪悪感に蝕まれた男は演技し、その姿を見た少女は激高し復讐しようと力を放つ。

 

 

 

 

 

―――別の世界で、また一つの命が潰えた。




スキルを授けるのって、大体でかい教会に行って司教が授けるイメージがありますがこの世界ではそんな事はありません、まる。




一先生の次回作にご期待下さい(死亡)
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