召喚,s killed 《once》   作:一途一

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ああああ語彙力が足りねぇ!!!!


冒険者にはお供が必要です。

留金は辟易していた。冒険者になる準備の為に一回王都に行き、父親であるサンジェルマンを持って帰って来て欲しい、とヴァッシュに頼まれたのである。ヴァッシュは別の方で何やら準備を進めるらしい。『本来の冒険者ならこんな面倒な事にはならない筈ですが…」と嘆息していた姿を思い出す。

 

現在留金が住んでいる割と大きめな館はサンジェルマンが20年前に買った物である。買った理由は『仕事する時は静かな方が良いから』らしい。館の中では随時5人ほどの使用人が働いており、館中の手入れや家事などをこなしているのである。

 

「当主様が居ない間は、私共が館をお守りします。」

 

「ありがとうございます。」

 

如何にも中世風の馬車の前でヴァッシュが挨拶をしてくれた。王都に行くのは何年かぶりだから少し楽しみである。そして馬車に乗ろうとした所、ヴァッシュが話しかけてきた。

 

「当主様、一つずっと気になっていた事が有るのですが…」

 

「何です?」

 

「何故当主様はずっと私達に対して敬語なのでしょうか?幼少期からまるで“ずっと使っていた”かのように敬語でお話になるので…」

 

 

痛い所を突いてきた。会社で万年平社員だった俺は敬語で話す習慣がどうしても抜けなかったのだ。其処ら辺はもうアイデンティティーとして受け入れていたのだが、これいつか正体バレそうだな。

 

「ああ、その事ですか。あれは皆さんの姿を見習って使うようになったんです。使用人の方々やヴァッシュさんはとても礼儀正しいので。」

 

「そうだったのですか…一つ気になることが解決しました。申し訳有りません、引き止めてしまって。」

 

「いえいえ…」

 

危ない、なんとか乗り切ったが次何か粗を見せたら終わるかもしれない。そそくさと馬車に乗り、御者に出発する旨を伝える。そして、使用人とヴァッシュが頭を(うやうや)しく下げる中馬車が出発した。

 

 

 

 

道中はのどかな風景が続き、思わず眠ってしまう程の陽気に照らされた。

 

 

 

 

体感二時間程経っただろうか。村のような場所を通過し、更に少し大き目の町のような規模の場所も通り過ぎ、漸く王都の姿が見えてきた。

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

ヴァッシュは不思議に思っていた。あの不思議な名前のスキルといい、当主としての才能といい、まるであの少年が最初から完成しているかのような違和感をずっと感じていた。

 

10歳の時に突然当主の座を譲られた時も動揺せずに引き継ぎを行い、家の仕事を一週間も経たずに完全にマスターしてしまった。それに加え剣術や魔法のの上達も目まぐるしい物だった。

 

しかし、主を疑うとは何事かと思い直ぐにその考えを捨てた。孤児院育ちで行く宛のない自分を拾ってくれた前当主にも失礼だと思い自分を責める。

 

︙︙︙︙︙︙

 

当主様の部屋を掃除している時にヴァッシュはある手帳を見つけた。誰が書いたのか、表には第一語(The firsth)で『留金』と書いてある。手帳には鍵が掛かっており、中身を覗くことは出来ない。不思議に思いつつも、ヴァッシュは棚にその手帳を戻した。

 

 

◆◇◆◇

 

 

王都の姿は正に壮観、と言う他無かった。規則的に立ち並んでいる建物の姿は何時見ても迫力がある。馬車はスピードを落とし、路をゆっくりと進んで行く。道中、

 

『あれ、あの馬車ブラッド家の家紋じゃないか?』

 

『まあ、あのサンジェルマン様の?』

 

『変態紳士の馬車だ…』

 

『馬車は地味なのに家のシュミは派手なのか…』

 

等とサンジェルマンパワー(変態紳士の情報拡散力)に掛けられた王都の人々からの声が聞こえた気がするが気のせいだろう。

 

 

馬車はそのまま王城の方向に向かって進んで行く。

 

欠片ほども説明をしていなかったが、この王国はヴァスティニア王国という名前で、イギリスのような立憲君主制で成り立っている。世界中から人々が集まり、異文化社会が成立しているこの世界では数少ない場所で、最近は高層建築の計画も進んでいるらしく。正しく世界の技術の最先端を駆けているのがこの国だ。

 

そして、そんな国の王城の近くに佇む手入れのされていない屋敷、其処がサンジェルマン…俺の父親の現在の住処だ。馬車がボロ屋敷の前で動きを止め、御者が扉を開ける。一つ礼を言って、護衛も付けず錆びまくった門を俺は通り過ぎた。

 

ドアの前に立ち何回かノックする。しかし、返事は無い。

 

「父さん、アージャーだよ。居る?」

 

少し声を上げてもう数回ノックする。すると、バスローブ姿のサンジェルマンが湯気を上げながら扉を開けてきた。

 

「おっ!久しぶりだな、アージャー。冒険者になるんだって?少し前にヴァッシュから聞いたぞ。まあ取り敢えず中に入ってくれ。」

 

何時見ても陽キャ属性なサンジェルマンの姿を見てアージャーは気圧された。家の庭とは対照的に光り輝いている。

 

家の中は案の定呑みかけの酒や呑み終わった酒瓶が散乱していた。栗の花の匂いが微かにするのは気の所為だと信じたい。酒瓶で転ばないように階段を昇り、『応接室』と書かれた看板のある部屋に入る。

 

サンジェルマンは『当主権限譲渡書』と書かれた紙を机に置き、話し始めた

 

「アージャーが冒険者に成りたいと思ったそのきっかけは一体何だ?俺は昔も今も大分好き勝手しているが、お前もその血筋だったとかか?」

 

「いえ、違います。」

 

サンジェルマンは目を細め、じっとアージャーを見た。

 

「ほう…」

 

「僕は…広い世界を旅してみたいと思ったんです。気になることに満ち溢れているこの世界を。」

 

サンジェルマンは面白い玩具を見つけた子供のように笑い、言葉を放った。

 

「面白い…其処までの決意が有るのなら、これをやろう。」

 

サンジェルマンが奥の方でゴソゴソと探し、此方に持ってきた。鈍い音を上げて机の上に置かれたそれは、留金にとっては見覚えのあるものだった。

 

「日本刀…?」

 

「何だ?ニホントウって。これは曲剣(きょっけん)と呼ばれる第一民国(だいいちみんこく)由来の伝統的な剣だ。切れやすいと評判らしい。」

 

鞘から抜かれたその刀は特有の鈍い光を放ち、その威厳を感じさせる。

 

「おー。何時見ても面白い剣だ。一体どうやって作ってるんだろうな?」

 

「さあ…」

 

サンジェルマンは刀を鞘に収め、俺の方に投げた。

 

「俺はお前の冒険者生活が楽しい物になると信じてる。家の事はこの偉大なるお前の父サンジェルマン様に任せておけ。じゃ、これ書いてくれ」

 

もう既に片方の名前が書かれている『当主権限譲渡書』にサインをする。これで俺は4年に渡る当主の仕事を辞め、遂に冒険者になるのだ。

 

「ああ、あと偽名どうする?この家の家名が入ってると問題になるのは間違い無しだぞ。まあ俺のせいだけど。」

 

そう言ってケタケタ笑うサンジェルマン。この下卑な笑い方はどうにかならない物なのか。

 

「そうだね…何か無いかな?」

 

「俺に振るのか。じゃあとびっきり格好いい名前を付けてやる。まず完全に気付かれないのならこの国の言語で名前を付けるのはは避けた方が良いな。」

 

サンジェルマンはうんうん唸り、考える仕草をする。

 

「…!(マガリ)!お前の名前は曲刀曲(きょっけん まがり)だ!!これは超格好いいぞ!これで行こう!」

 

刀の名前をそのまま名前みたいにしただけじゃないか。

 

 

「そうと決まれば、偽の戸籍をパパっと作ってやる。今日は俺の家に泊まって行け。ああ、宿代は要らないぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体この父親は息子の事を何だと思ってるんだ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

夕飯はサンジェルマンの手作りだったが、意外にも美味しかった。特にしじみのパチもんみたいな物を使ったシチューは美味しかった。食卓に所狭しと酒瓶が並んで無かったら最高の晩餐だったと思う。

 

此処を使ってくれ、と言われた部屋は何も散乱しておらず、あらゆる物が綺麗に整頓されていた。

 

因みに言っておくが、俺の母親は不明だ。生まれた瞬間の記憶自体はあるが、妙に母親の顔だけは思い出せないのだ。サンジェルマンも教えてくれないし、ヴァッシュも知らないの一点張りだった。

 

 

それにしてもこのスキル…どうやって使うのか。使い方は本で読んだが、一回ぐらい使って見ても損は無いのではないか。

 

「別に俺のスキルだし、使って良いよな…」

 

スキルの情報を見る限り、人物が召喚されるのは滅多に無いことの筈だ。ここで躊躇しては駄目だ。異世界人留金京一、行きます。

 

『スキル:世界間跳躍召喚術式(制限付き)』

 

 

 

 

 

魔法陣が出現し、部屋を光が包む。

 

 

「ッッ…!」

 

 

目が当てられないレベルにまで魔法陣は輝き、漸くその動きを止めた。

 

 

 

目はまだ光に当てられた影響で状況ほぼ見えない。

 

 

 

「ここは何処でしょう。と■■■は状況を探ります。」

 

 

規制音が混じった謎の声が聞こえる。

 

 

「貴方は一体誰ですか。」

 

 

視界が漸く開け、召喚した物が顕になる。

 

 

「嘘だろ…」

 

 

 

 

少女だった。何処かの学校かの制服を着て、頭に謎のゴーグルを付けている。

 

 

 

何よりその目を引いたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その少女の左足が欠けていた事だった。

 

 

 

「足の傷は塞がっているようです。と■■■は現在の体の状況を把握します。」




伸びないですね。伸びたいです。伸びさせて下さい。(承認欲求モンスター)
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