ギーツエクストラ 仮面ライダーチークヘッズ from:ぼっち・ざ・ろっく   作:きゅー。

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ギーツ最終回みました!僕も絵馬に何か書かなくては…
ぼざろも単行本、入手しました!早速ぼ虹に焼かれています。



また、あした

 

───ぼっちちゃんの様子がおかしい。

 

私は、ひと足先に家路へと帰ってしまった彼女の、先程までの行動を思い出していた。

そういえば、今日のライブが終わった後ぐらいからか、どことなく、ぼーっとしているような、上の空のような。

けれど、何だか落ち着きがなくてそわそわしているような。

 

うん、これぞまさしく、違わず"挙動不審"な感じだ。

まあ、言ってしまえば確かにそれは、"いつものこと"なんだけど。

けれども、大丈夫だ…なんていつもみたいに、冗談っぽく笑えない。

何かが、どことなく変だ…直感だけどそう思った。

 

その時、スマホが振動した。LANEの通知だ。

もしかして…と感じて、すかさず画面を見る。

やはり、ぼっちちゃんからのメッセだった。

『あのときの公園で 2人でお話したいです』

 

******

 

「へえ、そんな事があったんだね」

「は、はい」

夕陽が照らし始めた公園。

すっかり人気がなくなり、明日まで使われる事のないであろうブランコに、私と虹夏ちゃんが座っている。

…というか、呼び出してしまったのは私なんだけど。

あーあ。やっぱり、迷惑をかけてしまった。

こんな悩みも抱えきれないなんて、私って本当にダメな奴だなあ。

 

けれど、大っぴらに言えないこの心のモヤモヤを、気心の知れた誰かに相談して晴らしてしまいたい、って思ったら。

気がついたら、私は虹夏ちゃんに個人LANEを送っていた。

ああ、なぜ私ってば…変な所で行動力がいいんだろ…?

お腹の底から、ため息がまた漏れる。

 

私は虹夏ちゃんに、今日のライブのバックヤードであった事を全部話した。好きになったバンドが解散しそうになっているのを知ってしまった事。

その人たちに何も言えないで、それをただ盗み聞きしてしまった事。

そして何より…

 

「わ、私…こ、怖くて……」

「怖い…?」

「あの、人たちに…結束バンドのみんなが、どうしてだか、重なっちゃったん…です…」

 

結束バンド。そこには私を含めて、虹夏ちゃん、リョウ先輩、喜多ちゃん…みんなの心からの願いが、理想が乗せられている。

今までのライブや、学園祭のステージ。

全てが上手くいったか…どうかはちょっと分からないけれど、少しずつ、少しずつ…前には進めているのかも知れない、なんて思い始めていた自分がいた。

 

きっとウェザーハーツの皆さんも、私たちと同じで、純粋に音楽を追いかけていきたかったんだろう。けれども実際問題、現実に打ちひしがれている…そんな姿を見た私は、いずれ来るかもしれない未来を想像してしまった。

 

これから先、みんなの理想が実を結ばなかったとしたら?

私たちの知らない、仄暗い現実が口を開けて待ち構えていて、それに飲み込まれてしまったら?

その時、私たち結束バンドは、一体どうなってしまうんだろう。

そんな漠然とした未来への不安が、胸の中に押し寄せてきた。

 

「でもさ、ぼっちちゃん…そのバンドの人たち、音楽やめてやるぞ!…とか、もう解散だぁコノヤロー!…とか、言ってた?」

「い、いえ…」

「じゃあ、きっと…なんとかなるんじゃないかな!STARRYから離れちゃうのは少し残念だけど、ね」

 

世の中には、音楽の方向性とか、メンバーのプライベートの事情で喧嘩別れになりそうになりながらも、解散しなかったバンドがいっぱいあるんだよ、と虹夏ちゃんは続けた。

…うん、言われてみればその通りだ。

ああ、これじゃ私がウェザーハーツの皆さんを勝手に解散扱いにしちゃったみたいだ!なんという不敬か!早とちりとはこの事だあ…

 

「それにぼっちちゃんが認めたバンドだし、その人たち、結束バンドも認知してくれたんでしょ?すごいことだよ、それ!」

「そ、そうですかね…?」

「そうだよ、ギターヒーローのお墨付き!これは人気出るでしょ、間違いなく!」

 

やっぱり虹夏ちゃんは凄いひとだ。そう思った。

自分なりに、前向きなメッセージを、真摯に私に向けてくれている。

それだけで、未来への不安が晴れていくような気がした。

 

「だからさ…私たちも、もっと、もっと…やっていこうよ、結束バンド…ちょっとずつでもさ、一歩ずつ先に進んでると思うよ、私たち」

 

夕陽に照らされた虹夏ちゃんが、私ににっこりと微笑みかけた。

 

「それに、ずっーと未来の事なんて考えたってしょうがないしさ…やっぱりまずは今、何をするか…だと思うんだよね、私は」

 

そうだ。私、何を迷っていたんだろう。

いつの間にか、またいつものネガティブ妄想に取り込まれてしまってた。いま将来の不安を思い描いた所で、どうもならないんだ。

「きっと上手くいく」ってプラスに信じなきゃ、楽器の演奏だって上手くいくわけない。

ああ、虹夏ちゃんが私の崩れかけぐずぐずメンタルを救ってくれた…

感謝しても、しきれないよ。

 

「あ、ありが、とう…虹夏ちゃん、ありがとう…」

「えっ、ちょっとそんな手スリスリして拝まないで〜!?」

 

*******

 

すっかり日は落ちてしまって、夜になった。

あれから自宅に戻った私。

今は布団にくるまりながら、明日の事に思いを馳せている。

そうだ。学校が終わったら、例え雨が降っても、風が吹いたとしても、一直線にSTARRYに行こう。

そうしたら「皆さんすいません、ご心配をおかけしました」って、勇気を出して自分の口で言うんだ。

そう、明日はきっと……上手くいく。…だよね?

 

********

 

日付が変わり────早朝。

後藤ひとりは、未だ眠りに就いていた。

布団をかけ、時折、意味不明な寝言を呟いている。

 

その側に音もなく、何処からか転送された者がいた。

 

「久しぶりね…後藤ひとりちゃん?」

 

黒い燕尾服に身を包んだ、奇怪な仮面を着用した長身の女…フセルだ。

 

彼女は黄色のミッションボックスから、DGPのプレイヤーが身につける装備・デザイアドライバーのバックルを取り出すと、ひとりの布団を剥ぎ、腰に当てた。

『DESIRE DRIVER』

するとドライバーが起動し、ベルトの帯であるライドルラインが伸び、彼女の腰に瞬時に巻き付いた。

 

そしてフセルが次に手に取ったのは、IDコア。彼女はそれを、空いていたひとりの掌に近づけ…そして触れさせた。

 

───その瞬間、

 

「ぅ、あぁっ…ぅ、う、ぅぁっ…あ、ぁぁっ…!!」

 

これまで静かに寝息を立てていたひとりの様子に変調が訪れた。

まるでこの世のものとは思えない悪夢を見て、苦悶し、うなされているようだ。

みるみるうちに、全身から汗が噴き出していく。

 

そんなひとりの様子を見てフセルは…嗤っていた。

 

「さあ、貴女を私の特別ライブステージに招待してあげる…めいっぱい輝きなさい」

 

そう喜色に溢れた声色でフセルは囁くと、IDコアを握らせたまま、その手を取り、デザイアドライバーの中心部・パーフェクターコアに導いていく。そして────

 

『───ENTRY.』

 

デザイアグランプリへの参戦を示す、無機質な音声とともに、ひとりは一切の合意なく、瞬時に何処かへと転送されていった。

 

******

 

そうして───朝がやってきた。

黎明の名に違わず、地平線から溢れた日の光が辺りに降り注ぎ、静かに、けれど着実に夜を明かしていく。

この世界に生きる者、誰しもが、"明日"がやってきた事を感知し、今日もまた、平穏な1日が始まろうとしている。

 

その日。

後藤ひとりは、忽然とこの世界から跡形もなく、消えた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

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